Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

嘘のつけ

2008-08-31 | 想い・雑感
うそ というのは
嘘をついた 人あるいは主体 に
最終的につけを払わせるものなのだろうか

素人目に見ても
毒物の混入は日本ではありえない
と私たち 日本人の誰もが思っていたギョーザ事件

中国政府は
一貫して中国での混入はあり得ないと主張してきた

嘘であった

嘘でないとしたら
中国捜査当局の極端に低い能力を示すことになるが
それほど低いはずはないから
どこかで嘘をつかせるような
力が働いたのに違いない

さて
中国で混入されていないのであれば
当然中国に残されているギョーザは絶対安全である
食べて悪いはずがない
天洋食品の関係者がそう思っても当然である
しかし実際は被害が出た

この被害の責任は
中国政府にあると思われるし

中国政府の国際的信用は
さらに低下することとなる

つけはまわってくるのである

制限

2008-08-30 | 医療・病気・いのち
装飾品やフォーマルな衣類を身に纏うと
自然な動きが制限されるので好まない
仕方なく使用しているメガネも時に鬱陶しい
どんなことでもうまくコントロールするためには
適度な制限が必要となるが
身に降りかかる制限はなるべく少ないほうが良い

それは終末期を迎えつつある患者さんにとっても同じこと
様々な症状故の制限が出てくる
自由に動きまわれなくなる

そんな中
症状を少しでも緩和するための手段が
患者さんの自由を制限する
どこまでの束縛がその方にとって許容範囲なのかは
ご本人の希望をしっかり聞く必要がある

必要最低限の水分や栄養を補給するには
点滴のチューブに繋がれなくてはいけない

腸閉塞になってしまうと
溜まった腸内容の逃げ場を作るため
鼻からチューブを入れたり
胃や腸に直接チューブを入れたり
時には人工肛門を作らなければならなくなったりする

今なら外泊可能
と医師が判断しても
そしてご本人が少しでも自宅で過ごしたいと思っても
家族の不安が強ければ
それも思い通りにならない

呼吸機能が落ちて
酸素を十分体内に取り込めなくなれば
動き回るためには
酸素ボンベと伴に行動する必要が出てくる

老いるという過程も
癌による終末期を迎えるという過程も
次第に自分の体が自由にならなくなっていく過程

だから緩和ケアを行う上では
なるべく自由を制限しないですむような手段を選択していきたい
と思うのだが
そこは本人がどこまで症状を取ってほしいかと
どこまで制限を許容できるかを
天秤にかけて判断することになる

様々な症状

2008-08-28 | 医療・病気・いのち
癌末期の方に対する緩和ケア
その技術は最近かなり進歩し
徐々に医療の現場でも広がりつつある

かなりの症状を緩和することができても
当然すべてを取り去ることは叶わない

いよいよその時が近づいてくると
様々な症状が次々に出てくることも多い

痛み 倦怠感 食欲不振 吐き気
便秘 咳 かゆみ しゃっくり 神経麻痺
感染症 腹部膨満 呼吸困難 ・・・

一つの症状をとっても他の症状が出てくるし
症状を取り除く手段自体が他の症状の誘因となることもある

昔のように
のた打ち回って死んでいく
というようなことは少ないとはいえ
生きることと同様
死に行くことも そう楽ではなさそうだ

グリーフ

2008-08-27 | 想い・雑感
身近な人間が旅立ったあと
あわただしい1週間 2週間が過ぎ
次第に周囲が落ち着いてくるにつれ
心も落ち込んでくる

その後も年余にわたり
故人を思い出すものに触れる度
悲しみが舞い戻ってくる
奥底に沈んでいた痛みが
湧き上がってくる

昔 鬱の治療経験のある奥様がいる
その方が付き添っていた がん末期のご主人が旅立った

「最後の二日間のことは覚えていない」
「2週間は子供に支えられ ばたばたと過ぎた」

と言われていたが
堪えてくるのはおそらくこれから

心配だけど
「お体に気をつけて…」
としか声のかけようがなかった

時が解決するのかもしれないが
裏を返せば
時が経つまで解決しないということですから

PET検査

2008-08-26 | 医療・病気・いのち
PETという検査が在る
がん細胞が正常細胞よりたくさんの糖分を
その細胞内に取り込みエネルギー源とすることを利用して
取り込みの多い場所を見つけ出し
癌の診断に役立てるというもの

でも胃癌は基本的に保険適応が通っていない
胃癌の診断に関しては
内視鏡や胃透視が
PETなどより遥かに有用だし
PETでは早期胃癌などまず見つかりはしないから

胃癌術後の方で
腫瘍マーカーが上昇するけど
CTやエコー検査で
はっきりとしこりが指摘できない場合がある
たいていは腹膜播種といって
腹膜にぱらぱらと広がっているために
しこりがはっきり見えないのだ

その方に抗がん剤を使用して
下がったが再上昇
種類を3回変えて現在に至るが
相変わらずマーカーは高いが普通の画像診断ではわからず
自費でPET検査を受けることになった

しかしPETでも全く異常は指摘できませんでした

**************************
ちなみに保険適応になっている悪性疾患は以下のとおりです

3. 肺癌
4. 乳癌
5. 大腸癌
6. 頭頚部癌
7. 脳腫瘍
 他の検査、画像診断により転移・再発の診断が確定できない患者。
8. 膵癌
 他の検査、画像診断により膵癌の存在を疑うが、腫瘤形成性膵炎と鑑別が困難な患者。
 他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者。
9. 転移性肝癌
 他の検査、画像診断により転移性肝癌を疑うが、病理診断により確定診断が
 得られない患者。原発巣の不明な患者。
10. 原発不明癌
 リンパ節生検、CT で転移巣が疑われ、かつ、腫瘍マーカーが高値を示す等、
 悪性腫瘍の存在を疑うが、原発巣の不明な患者。
11. 悪性リンパ腫
12. 悪性黒色腫
13. 食道癌
14. 子宮癌
15. 卵巣癌
他の検査、画像診断により病期診断、
転移・再発の診断が確定できない患者。
他の検査、画像診断によりこれらの癌の存在を疑うが、
病理診断により確定診断が得られない患者。他の検査、
画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者。

たった一度きりの なみだ

2008-08-25 | 想い・雑感
腹膜に癌が広がり
それが直腸から肛門へ顔を出し
さらに膀胱へも食い込んでしまっていたKさん
飄々とした表情の裏で
苦痛と戦い
なかなか痛みなどを教えてくれなかったが
しつこく聞いては
鎮痛剤の量を加減していた

そんなKさんも徐々に体の衰えを感じたのであろうか
亡くなる2週間くらい前
家で奥様と二人になった夜中

「今夜だけ泣かしてくれ」
といってかなりの時間泣き続けたとのこと
あとにも先にも
奥様に涙を見せたのは
その一度きりらしい

奥様すら知らないときに
枕を濡らすことはきっとあったと思うのだが
家族への思いやりから
ぐっと堪えていたのだろう

はっきりとした予後の話などは本人にしなかったが
病状はなるべく正確にお伝えしていた
まだ大丈夫かな といいつつも
仕事その他の整理はきちっとした上での
旅立ちとなった

申し訳ない?

2008-08-23 | 想い・雑感
どんなことでも
それに取り組んでいる人たちが
一生懸命やり
うちうちで大いに盛り上がっているからと言って
周囲の皆が同じように盛り上がっているわけではない

テレビは見てないが
五輪で野球チームがメダルを逃したらしく
何人もの人が
「申し訳ない」を連発しているようだ

誰に対して?
おそらく一緒に盛り上がっていた
関係者に対してだろう

ただ中には国民全体に対して言っているような発言もみられるようだが
それには違和感がある

私の周りを見回しても
野球を話題にしていた人はほとんどいない
申し訳ながっていただかなくてもよいですよ

申し訳ないけど
関係者ほど
国民は盛り上がっていなかったと私は思いますよ

前途多難 でもひと段落

2008-08-23 | 想い・雑感
 

 福島大野病院事件裁判は、多くの問題点を浮き彫りにしてくれた

 経営主体の県職員の現場把握のお粗末さ
病院幹部のありよう
 現実把握もできていない時点で、福島県立医大産婦人科教室を罵倒するという信じられない愚行を演じた、当時の県知事
 根拠が極めて希薄な状況で何が何でも立件しようとする検察の体質
 医療の不確実性への認識不足
 医師法の問題
 業務上過失致死傷を無闇に医療現場に持ち込むことによる混乱
 なぜこの人に語る資格があるのかと疑問を感じる専門家といわれる証人
 切羽詰まった状況下で何とか命を救おうと手を尽くす人間に対し
その善意を完全に踏みにじる内容で受け手の歓心を得ようとする
程度の低いマスコミ姿勢
 
 考えると次から次に問題が出てくるし
 その一つ一つがとても重要で大きな問題と思える

 この事件(本当に事件?)は不幸な出来事だったかもしれないが
 さまざまな人がそれぞれの考察を持ち寄り
 知恵を出し合い
 良い方向にもっていく努力を続けていくしかないのだろう

 今は検察が
 上告しないという常識を
 見せてくれることを願う

病状への理解

2008-08-22 | 医療・病気・いのち
進行癌の方に説明をする場合
時に直截的言葉を避けることや
どうしても言うことがはばかられるような場合もあるが
事実をなるべく伝えるようにしている
無理に伝えるというわけではないが
尋ねられればその質問になるべく事実に沿って答えるようにしている

だから患者さんご自身も
ある程度状況を理解したうえで闘病されていると思っている

ところが
こちらを試そうと思っているのか
無意識のうちに現実から目をそらそうとしているのか
はたまた実は理解されていないのか
ご存知のはずだが・・・という内容の質問を受けることがある

最初に外来に来られた当初から
手術不能進行胃癌のNさん
抗がん剤治療で少し腫瘍マーカーが下がりかけたのだが そこまで
再び病勢がその勢いを増し
かなり全身状態が弱ってきた

進行胃癌であること
多数のリンパ節転移があること
腹膜に転移している可能性が高いこと
鳩尾に触れるしこりは胃癌自体であること
など 言葉を選んでお伝えしてきた

食事が次第に食べられなくなってきたある日
「最近食べられないけどどうしてですかねぇ」
食べられないことを嘆いているのかなと思ったのだが
表情からは心底不思議がっておられるようにも思える

もちろん 癌が進行したから というような直截的表現はしないが
もともとのご病気の影響と思われることをやんわりとお伝えした

お伝えしてよかったのかな
ただ質問を聞いてあげるだけのほうがよかったのかなあ

人により受け取り方が違うし考え方も違うので
一人ひとり対応に悩むばかりである

腰椎転移?

2008-08-22 | 医療・病気・いのち
進行胃がんで治療している方が
いきなり腰痛を訴えたりするとドキッとする
腰椎転移?と考えるから

突然の痛みは
転移のある骨が弱くなり
何かのきっかけで
腰椎の圧迫骨折(骨がつぶれる)を起こしていることが多い

胃がんで骨転移が見つかれば
生命予後はかなり悲観的になるし
痛みを取るのがわりと難しい

ある日突然の腰痛で
脂汗を流しながら外来に来られたTさん
整形外科受診後もなかなか痛みが取れず
モルヒネ製剤の使用を開始
何とか痛みが取れてきたが
CTとMRIを行うと
どうも転移ではなく
以前から指摘された
脊椎すべり症が悪化した様子
転移でないのは良かったが
鎮痛剤の使用はまだまだやめられそうにない

わかりやすい判決要旨

2008-08-21 | 想い・雑感
福島大野病院事件の裁判判決要旨を読みました
非常に常識的でわかりやすい内容でした

それはともかく
当初からずっと引っかかっていることがあります
それは検察側証人として証言した新潟大学の産科医のことです
その方は腫瘍が専門で
今回問題となった癒着胎盤などの手術経験はほとんどなかったと伝えられています
それなのになぜ
他の医師に罪を求めるような証言ができるのでしょうか
判決要旨の中でも
その医師の証言内容が
医療現場の一般とはずれていると一蹴されています

私も一度
ある医療裁判の内容について
質問を受けたことがある
割と気軽にお答えしたのだですが
しばらくしてそれが調書として出来上がってきたのにはびっくりしました
そして微妙に被告側が悪いということを強調するような文章になっていたのです

細かくチェックを入れること2回にして
ようやく納得のいく調書となり
サイン捺印

その中で
自分の経験の少ない部分ははっきりと書き記した
それが普通だろうと思うのだが
件の医師は何を考え どのように語ったのだろうか
どうも引っかかる

転移性肝癌破裂

2008-08-20 | 医療・病気・いのち
心筋梗塞や脳血管障害で突然命を失うのに比べて
癌の場合は診断がついてから死に至るまでに時間がある場合が多い
しかし癌でも
ほとんど突然死のようななくなり方をする場合がある
その多くは出血がらみである

食道癌の場合
大動脈などの大きな血管に癌が食い込み
あるとき突然そこからの大量出血がおき
あっという間に絶命ということがある

肺がんでは
そこからの出血が多いと
気道を閉塞してしまい
窒息で突然命を落とすことがある

先日紹介で来られた方は胃癌の末期
肝臓ほぼ全域に転移が見られる
貧血も進行しておりふらふらしておられれる
このまま帰宅するのは危ないと思われ
一旦入院となった

ところが入院二日目
少し吐いたあとに突然の心肺停止となり
心肺蘇生にも反応せずそのままお亡くなりになった

病理解剖の結果は
肝臓に転移した癌から腹腔内への出血
つまり癌が破裂してしまっていたわけだ
恐らく家におられても同様なことが起こっていただろう
その場合は冷たくなった状態で
発見される可能性が高い

家には施設に入所することになっている
認知症の奥様がおられるだけ
ということでしたから

女子体操

2008-08-19 | 想い・雑感
北京オリンピックの放送は
ほとんどといっていいほど見ていないが
たまたま女子体操の一部を見た
私の年齢が高くなったせいだろうが
若い軽業師の大会のように感じた
そう 美しさというより技を競うというかんじ
演技自体もそうだが
選手が醸し出す雰囲気というか色気というか
そういうものを全くと言っていいほど感じない

古くて恐縮だが
ベラ チャスラフスカや
ナタリア クチンスカヤ
を知っている方々は
なんともいえぬ優雅さ美しさを表現していた時代の体操を
懐かしく思い出すのではないだろうか

特にナタリア クチンスカヤ
少年だった私は その美しさに度肝を抜かれた
こんな美しい人が
地球上に存在しているという衝撃を今でも覚えている

などと夢想しながら
テレビを消した

効かなくなるとき

2008-08-19 | 医療・病気・いのち
明らかに存在する胃がんや大腸癌に対して抗がん剤を使用する場合
それは根治を目指すというよりも
延命を目指すということになる
抗がん剤によって癌が完全に消滅することなどまれなことだからだ

外来でそのような治療を行っている場合
かなり長期間にわたって
癌を制御できる場合もあるが
いずれ癌はその勢いを取り戻す

外来通院をしながら
抗がん剤治療を行う場合
患者さんご自身は当然治ることを期待して治療を受ける
完全に治すことは難しいかもしれないということはあらかじめ申し上げるが
希望を持って治療を開始する

しかし そうはならない
という現実を突きつけられる時がくる
医師はその現実をいかに伝えるかに心を砕くことになるが
どのような言葉を選んでも患者さんからすれば 伝えられる現実は変わらない

患者さんにとってはもちろん
医師にとってもつらい時である

効く人 効かない人

2008-08-18 | 医療・病気・いのち
ほぼ同じ時期に
進行胃癌として紹介されてきたAさんとBさん
どちらもいきなり手術を行うことは難しいと判断
 (手術をしても取りきれない)

抗がん剤による治療を行い
よく効いて可能であれば手術を考える
という方針になった

TS1とシスプラチンによる治療を開始したところ
どちらの方も腫瘍マーカーが減り始め
症状も軽くなった

Aさんは3コースの治療後に下がりかけた腫瘍マーカーが
また一気に跳ね上がり
治療の変更が必要となった
CPT-11とシスプラチンによる治療を2コース行ったところ
なんと腫瘍マーカーが正常化し
CTで見られる腫れたリンパ節はやや小さくなり
癌のために厚くなった胃の壁が薄くなってきた

このタイミングを逃しては二度と手術の可能性はない
ということで胃全摘を施行し無事退院となった
術後もしばらく抗がん剤治療は継続するが
治癒に持ち込める可能性もある

一方のBさん
お腹に触れていた胃のしこりが一旦やわらかくなりかけたが
腫瘍マーカーの上昇とともにまた硬くなってきた
薬剤変更したところ副作用が強く出て 
マーカーも下がらずという状態だったので
現在3種類目の治療方法に変更している

この治療でも印象とすると著効を呈してはおらず
いずれ癌に対する治療は少なくなり
次第に緩和ケアの占める割合が増えてきそうである

同じような進行度の胃癌に対して
同じような治療を行ったからと言って
同じような治療効果が上がるわけではない

そこが難しいし
致し方ないところでもある