Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

呼吸機能

2013-05-31 | 想い・雑感
全身麻酔下の手術を予定している方は
あらかじめ呼吸機能検査を行う
肺活量と吐き出す勢いを調べる

すると時に
過去の喫煙の為か
勢いよく息を吐き出せない方がいる
こういう方は
術後に肺炎を起こしやすかったりする
手術における合併症リスクが上がるのだ

何もいいことのない喫煙
止めるに越したことはない

終から

2013-05-31 | 想い・雑感
区切りの時を考えると
そこまでに残された時間を考え
それまでに何ができるかを考える
特に終わりをイメージする区切りの時に

一日の終わり
月の終わり
一年の終わり
卒業
退職


終から見つめると
あっという間に過ぎていく時間を感じ
今を大切に思い
二度と帰らぬ時を思う

特に
年齢とともに
人生の終わりというものを意識し始めると
それが本当に一度きりであり
瞬く間に過ぎゆくものであることを
強く感じる

すると
自分の心が振り回されていた多くのことが
そんなに大したことでないということが少しわかる

時に
死を想う
というのは
人生を豊かにしてくれる面を持っているのかもしれない

手術可能

2013-05-29 | 想い・雑感
手術不能と判断した胃癌の方に対し
約10ヶ月に及ぶ抗癌剤治療を行った

胃癌の一部がすい臓に食い込み
多くのリンパ節も腫れている

治療を始めて2コースくらいで
それぞれが小さくなってきたが
手術という局所療法の対象となる状況ではなかった

その後も徐々に効果は現れ
画像検査上は
手術可能となっているように見える
手術をやってみるか抗癌剤治療をさらに続けるかの相談をしたところ
手術を受けると言われる
抗癌剤治療もかなり辛くなってきたこともあるようだ

私たちには淡々とお話される方だが
友人には
「内緒だけど 今度手術が受けられるようになった」
ととても嬉しそうに語られていたとのこと

その気持ちを受けて
手術を行った
すい臓に食い込んでいたと思われる場所は
その名残を強く残し
硬く癒着している
その近傍を走る動脈も確認が難しい
何度もやめようと思ったが
少しずつ周囲から癒着剥離を勧め
なんとか突破

癌に対する手術としても
定型的な手術を施行できた

やれやれである

あとは
病理検査上も
元気のある癌細胞がかなり少なくなっており
根治の可能性が考えられる結果が出ることを
祈るばかりである

どちらが先?

2013-05-28 | 想い・雑感
病気の進行と寿命がやって来るのと
どちらが先でしょうか
と問われる事がある

高齢になるほど
気になる問題である

寿命が尽きるのが先ならば
辛い治療などは受けたくない
というのは誰しも思うこと

でも…
寿命がいつ尽きるか
というのは
神のみぞ知るという領域

お答え出来ない
問いかけです

タイミング

2013-05-25 | 想い・雑感
癌の末期となれば
いつ急変するかわからない
という事実はよくわかっているつもりだが
実際その急変がいつ起こるのかは
わからない事が多い

高熱を出し食事が摂れなくなった
末期ガンのNさんが緊急入院となったが
なんとか持ち直し
家に帰りたいというご本人の希望を叶えようと
急いで準備を整えた

短期間でも帰宅できると思っていたのだが
退院と決めていた日の朝からまた体調を崩し
結局その4日後に永眠された

帰宅できると思わせた元気は
消える前のロウソクの炎のような
状況だったのだろう

こんなことなら
もう少し早いタイミングで
無理してでも帰宅していただいておけばよかった
とあとになれば言えるのだが
なかなか帰れるような状態ではなかった

タイミングをはかるのは
むつかしいことも多い

時間

2013-05-24 | 想い・雑感
命あるものもそうでないものも
生滅流転していきます

生命は誕生したからにはいずれ死にゆくのが
自然なことだと
わかります

でもそれは
頭でわかっただけで
どうしても自分自身の死が
自然なことだと得心することは困難です

死への恐怖がつのります

そこをどう乗り越えて行くか
受け入れていくか
死ぬまでのあいだには
何らかの自分なりの答えを見つけたいものです

緩和ケアというのは
心身の苦痛を取り除くことに主眼をおいた医療と考えますが
実存への問いかけの答えを提供できるものではなさそうです

苦痛を少しでも取り除くことで
苦痛の中で死にゆくのではなく
人生を振り返り
死を考える
そんな時間を持つチャンスを提供するのが
緩和医療とも言えるのかもしれません

138億年

2013-05-23 | 想い・雑感
宇宙背景放射と言われるマイクロ波が
あらゆる方向から地球に降り注いでいるそうで
これはビッグバンが起こって間もなくの
昔々の光ということらしい

このマイクロ波を詳細に観測しなおした結果
これまで宇宙の年齢は137億年とされていたものが
138億年であることが分かったとのこと

数字だけ見ると
たった1億年じゃないか
と思ってしまうのだが
人類誕生から
500万年~800万年程度といわれていることを考えれば
とてつもなく歴史が長くなったことになる

私の知識や想像力では
出だしのビッグバン自体がイメージできない
質量も体積もない状態から
エネルギーが一気に噴出し
素粒子ができ原子が形成され・・・
なんていわれても?????

その一番最初の大爆発の広がり方が
ほんの少し変わっただけで
太陽系が生まれなかったかもしれない
なんてことを考えると不思議な感じがする

さらに
その大爆発エネルギーの
ほ~~~~~~んの一部を分けてもらって
今私が生かされているなんてこと考えても
実に不可思議で有り難いことだと思える

確立からすると
間違いなく奇跡の上に
私たちの命はある

腹水

2013-05-22 | 緩和医療
緩和ケアの実践においては
患者さんの苦痛軽減が
最優先課題

保険適応外の方法で
お薬を使用することもある
残された時間を
少しでも苦痛を少なく過ごせるようにと
いろいろな工夫が報告されている

腹水がたくさん溜まってくると
お腹の張りがひどくなり
横隔膜も押し上げて呼吸がつらくなったりする
腹水を抜いてあげてもすぐに溜まってくる
繰り返し抜くとそれ自体が体力を奪う結果となる

そんなときに
試してみると良い薬を
昨年の学会で教えていただいた
これまで何度か使用した印象では
確かに良い

こういうちょっとした工夫が
患者さんの調子を大きく変える

筋力

2013-05-21 | 想い・雑感
筋力というのは
あっという間に衰えますが
使えば多少は回復するみたいで

暖かくなって
数回自転車通勤しただけで
無理せずこいでいる自転車の速度が
上がったような気がします

生きているあいだは
しっかり体を動かさないとね

治癒

2013-05-20 | 想い・雑感
病気になると
早く治って欲しいと思う

特に
つらい症状を伴っていたりすると
少しでも早く治って欲しいと思う

つまり
体の変化を望んでいることになる

当然体は
常ならぬものなので
時々刻々変化し
うまくいけば病は癒えてくる

そう
無常だからこそ
治癒を迎える

そこのところは受け入れられて
死にゆくという
無常の別の面は勘弁して欲しいといっても
それは無理なんだろうね

疲労回復

2013-05-16 | 想い・雑感
私が担当する手術の中で
一番時間がかかるのは
食道癌の手術

一旦手術室に入ったら
半日近く出てこない

先日食道癌の手術翌朝に
首筋のこりや疲れが出ていたので
疲れが翌日にでるなら
まだまだ若い
なんていいながら一日外来をこなし
その翌日には
胃癌の手術

まだまだいけるじゃん

なんて思っていたら
その夜には
早いうちから
前後不覚で眠りに落ちてしまった

やはり疲れていたんですね

しっかり休めば
体も復活
無理が溜まり過ぎないように
気をつけながら
進みます

自信

2013-05-16 | 想い・雑感
人は
自分のできないことを見つけ出すのが
わりと得意

これができない
あれができない
と自分の能力欠如を見つけ出しては
勝手に落ち込んでいきます

でもね
よくよく生きている自分を振り返ってみると
私たちの全てが
生きていくうえで
数え切れないほどの能力を発揮している
ということがよくわかります

食欲を感じることができる
食べ物を飲み込むことができる
体を動かすことができる
意志を伝えることができる
薫風を心地よく感じることができる
息をすることができる
眠ることができる
卵を割ることができる
はさみを使うことができる
話をすることができる
自分をほめてあげることができる
・・・・・・・・・

たくさんの能力をもって
私たちは今の生を享受しています
今日を楽しく 自信をもって
行きましょう

症状緩和目的

2013-05-14 | 想い・雑感
3年くらい効いていた分子標的薬が
効かなくなった

再度腫瘍が勢いをますとともに
体調が悪くなり
表情も冴えなくなってきた

祈りを込めて
別の分子標的薬にかえてみた

2コースを終了した時点で
MRI検査を行ったところ
170mmくらいあった腫瘍が110mmまで縮小し
お腹を触っても分かりにくくなってきた
体調も万全で以前とかわりない表情を見せてくれる

緩和ケモ
症状を緩和するために化学療法を行う
というところを目指す薬物療法も
確かに有効だと実感できる事例と言える

ただ
この薬剤もいつか効かなくなる日がやってくるのだが

無理せず

2013-05-14 | 想い・雑感
「とにかくどんな治療でもやってみる
という感じで治療を積極的にやっている人で
長く生きられないと言われながら
1年以上元気に暮らしている姿を見たりすると
すごいなぁと感心するのですが

私はあまり無理やきついことはせず
楽に生きている時間が多い方がいいんです」

抗癌剤治療中
これまでいくつかの治療を行ってきて
再度腫瘍マーカーが上昇し始めた方に
次に使用できる薬剤を提案した
その薬は他の薬剤と組み合わせて使用するのだが
その組み合わせの中に以前ちょっときつかったお薬も含まれる
それを見て上記のお話をされた

風邪等で現在行っている治療を少しのあいだ休んでいたので
おなじ治療をもう一度繰り返し
それでも腫瘍マーカーが上昇する場合は
提案した薬剤と他の薬剤の組み合わせを模索することとした

患者さんが希望される中で
少しでも可能性があるものをなんとか見つけても
それが有効か否かはわからない
でも治療を受ける人本人の希望を叶える工夫をするのも
われわれの仕事だろうと思う
少しでも楽に長く治療を継続できることを願います