Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

一次縫合と二次縫合

2008-04-30 | 医療・病気・いのち
4~5年以上前に見たERというアメリカの番組の中で
救急外来で6時間くらい待たされた
怪我をした患者さんを医師が診察するなり
「もう怪我をして6時間以上経っているので今日は縫合できません」と言い 
傷をちょちょっと消毒して終わり
という場面があった

外来についた時点では
怪我をしてからせいぜい1時間くらいだったのに
待たされている間に受傷から6時間以上経過していたわけだ
患者からすれば納得できないだろう

だがそこの医者もその間遊んでいたわけでなく
何人もの重症患者の対応をしていたわけだ
この状況は個人のレベルでどうにかなるものではなく
救急医療のシステムの問題だと思われる

そして今日本の医療は
このようなアメリカの状況に向かって
まっしぐらなのだと感じる

現場の医師が最近声を上げ始めているのは
患者さんが困る状況が出現することが眼に見えているからだ
ぜひそのような発言に耳を傾けてほしい

後期高齢者医療制度
医療事故調査委員会
医療費削減ありきの政策
・・・

一部の人やマスコミは
医師の利益誘導のように医師の発言を揶揄するが
おそらくそのような状況になっても医師は困らない

逆に気持ちの上でアメリカのように吹っ切れてしまえば
通常の自分の守備範囲をきちっと守っていれば良いだけであり
無理な救急を押し付けられても
何とかしてあげたいと頑張る必要がなくなる分楽になるかもしれない

医師の中には一度崩壊しつくさないとかわらんよ
という発言も出てきた
そのような発言が大勢を占める前にどげんかせんと・・・

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【一次縫合と二次縫合】

外で転んだりして怪我をする
出血が止まらないし
ばい菌が傷口から入っちゃうのではないかと不安になったりで
救急外来を訪れる

傷口の状態から
縫ったほうがよさそうならば
十分洗浄して
縫合することになる
これ 一次縫合

受傷から6時間以上経過していたり
もともとかなり汚い(泥だらけとか)ものだったりすると
縫っても化膿してしまい
結局途中で糸を切って創を開くことになる可能性が高いため
縫わずに4~5日おいて
改めて縫合処置をすることがある
これ 二次縫合

ERでのお話は
一次縫合はもう無理なので二次縫合をしますよ
ということです

切り取った一瞬

2008-04-29 | 想い・雑感
仕事がら
摘出した臓器とか
ホルマリン漬けした臓器とかを
記録として写真に納める

それ以外では
ほとんど写真には興味はなく
撮ることも 見ることもほとんど無かった

ベトナム戦争の流れを大きく変えた
銃で撃たれる瞬間の男性の写真
タンカー事故で漏れだしたオイルにまみれ
真っ黒になってしまった水鳥の写真
そういう写真に度肝を抜かれたことはあるが
芸術としての写真云々とは
縁のない人生を歩んできた

今回habichanさんの教えてくれたブログ
風にのせて のんびりと
をちょっぴり覗いておどろいた

並べられた写真たちが
私の中の情感を揺さぶる
このような経験は初めてだ

そのブログの主はすでにこの世を去っているそうだが
その人の目や心で切り取られた一瞬が
まっすぐこちらに伝わる
きっと澄んだ心の持ち主だったのだろう

写真の量が多いので
もう少し見るために
これからちょくちょくのぞきに行くことになると思うが
まだ気持ちの納まりがつかない

とぎれる記憶

2008-04-29 | 想い・雑感
翌日に残るような飲み方は
ほとんどしなくなったのだが
かつて経験しなかったほどに
飲んだ後の記憶が抜け落ちることがある

これまでは
どんな二日酔いの日にだって
前日の記憶はほぼ連続しており
人が「飲んで記憶が飛んだ」
などというのは
何かの言い訳のために言っているのに違いない
と確信していた

ところが
最近は実際に記憶が抜け落ちるのである
先日飲んで帰ったとき
家に帰り着いた記憶はなく
風呂で目覚めた所からしか覚えていない

どうも夜中に帰り着いた後
デッキの椅子に腰掛け眠りこけていたらしいのだが
そこの場面が全く映像としてよみがえってこないのだ

活動していたはずの自分の記憶が抜け落ちるという恐怖
将来に備えて
誰かが私に経験させてくれているのだろうか

rurihakobeさん
habichanさん
もし今後飲み過ぎている私を見かけたら
そっとストップをかけてくださいね

事故調査

2008-04-29 | 想い・雑感
中国で列車事故が起きた
過失による人為的事故として
地元の鉄道局長ら2人を罷免した上で
原因を調べているらしい

でも原因の究明もなされないうちから
誰かに詰め腹を切らせるというやり方は
どうも納得がいかない

北京と青島とを結ぶ区間は
オリンピック会場の一つが青島にあることもあり
最近輸送速度を上げる決定がなされたと報道されている
だとすると国からのプレッシャーが大いに事故と関連している可能性があると感じるが
単に地方の責任者に責めを負わせ
それ以上上層部に責任問題が広がらないようにしている姿が
見え見えである

事故調査は再発の防止と安全性向上のために行われるものであり
真摯に調査を行えば
二人の罷免で片付くという問題ではなく
国として対処していく問題ということが見えてくるような気がする

事故調査といえば
現在厚労省が
医療事故調査委員会を作ろうとしている
その発想にはほとんどすべての医師が賛同していると思う
その目指すものが事故原因の究明と再発防止にあり
そのために中立的な第三者機関を設けるというものだからだ
患者にとっても医療者にとってもそれはありがたいことである

しかしその内容を見ると
結局警察と連動し
誰かの責任ということになるまで
とことんやるという意志が見え隠れする
いや はっきり見える
それって事故調査委員会ではなく
単に警察組織でしょう

現在の救急医療において
二次救急を引き受ける病院は
24時間救急に精通した医師が対応できるという建前になっている

そんな病院はほとんど存在しない
そんな医師を多数輩出するような状況にもない
つまり明らかにシステムの問題が根底にある

しかし救急の現場で
専門でないものが応急処置をしてもし問題があれば
その医師は救急に精通した医師であるべきだったといって
その医師個人の罪に矮小化され
有罪判決がでる始末である

そんなリスクがあるならば
自分の専門分野だけを診て
救急医療には手を出さないと考えるのが
普通の考え方であろう

最近救急医療の崩壊が話題になるが
もともと国も地方自治体も
本気で救急医療を構築する意志などなく
建前で語られていた救急医療などもともと存在していなかったのだ

散々現場に無理を押し付けてきていながら
その責任まで現場におしつけてよしとする風潮が強くなり
そんなんやってられんわと
現場の医師が本来の専門分野以外手を出さなくなり
現実の姿が見えてきただけだ

救急医療の現場一つをとってもこのような状況の今
もし現在の案のままの医療事故調査委員会ができれば
医療の崩壊は
間違いなく加速すると思う
単なる吊るし上げのシステムになってしまう可能性が
極めて高いと思うから

あまり長生きされましても・・・

2008-04-28 | 想い・雑感
昔見た映画です
ある人が未来へと迷い込みました
あるとき大きな円形の施設から
音楽か音波が流れ始めると
ある年齢以上の男女が
吸い寄せられるようにその施設へと向かい始めました
銀色に輝く施設と
白い服を着て歩き続ける男女の姿が
記憶に残っています

たしか人口制限を目的とした
人減らしのために
人の記憶に暗示をかけておき
何かの音を聞くとその施設へと向かってしまう
という内容だったと思います

タイトルも詳しい内容も忘れてしまいましたが
がんになってもあわてない」というブログを読んで
なぜか思い出したしだいです
長生きはちょっと・・・
と言っているという意味では
新医療制度と相通ずるものがあるような気がいたしましたもので

まあ私のように映画の内容もはっきり覚えていないようでは
間違いなくその施設行きですかね
 

ゆらぎ

2008-04-27 | 想い・雑感
癌による死を少なからず見つめてきた
一人一人その姿や態度は異なるが
多くの場合最後は意識が薄らぎ
亡くなるときには穏やかな顔つきとなる

旅立つ瞬間にはおそらくすでに意識は無いのだろう

また末期に訪れる様々な苦痛に対する緩和治療も
以前に比べ随分進歩しており
のたうち回るほどの苦痛を経験することは少なくなった

そのような状況を見ていると
苦痛という意味での死に対する恐怖や不安は
私の中ではかなり薄らいできている

しかし解消するのが最も難しいのが
自分自身が消滅するということに対する
どうしようもない不安である
ここがまさに死生観と言われるものなのだろう

現在
ほとんどの場合に病名告知を行っているが
時にそれをためらうことがある
自分自身の死生観の揺らぎが
患者さんの心の動揺に増幅されたときに
ためらいも強くなる

自分自身の死に対する態度が安定すれば
落ち着いて患者さんの動揺を見つめ
その心の変化に合わせて
寄り添うことができるのだろうが
そこへの道は
まだはなはだ遠いと感じる

もし自分なりの死生観が確立できた
と感じるときが来たとしたら
その時もその考え方を人に押しつけることなく
それぞれの患者さんの気持ちに合わせていける
心の柔軟さや余裕を
持っていることができれば良いなぁ



酔った勢い?

2008-04-23 | 想い・雑感
私はお酒に弱い
酒席へのお誘いに 弱い

たくさん飲むわけではないが
あまり種類は問わない

といいつつも
多少は嗜好があり
若い頃は日本酒党
その後ワイン党 焼酎党と渡り歩き
最近ではまた若干日本酒好みになってきた

おいしいお酒が出るとついつい適量を少し越えてしまう
さすがにお酒に呑まれるということはなくなってきたが
随分と気持ちよくなってしまう
そしてなんだかんだとくだらぬ事をしゃべりだす

先日歓迎会の帰りに病院に寄った際
消灯時間を過ぎているのに
術後の患者さんがまだテレビを見ていた
眠れないのかとちょっと心配になり部屋をのぞいた
  ・・・ までは覚えているのだが
何をお話したのか全く覚えていない

「お話をして 生きる力をもらった」
というようなことをご本人がおっしゃっていると伝え聞いた
酔った勢いがそれほど悪い方向に行ったわけではないようだが
何をしゃべったのか
恐ろしくて まだ聞けない

小さなポテトチップス

2008-04-21 | 想い・雑感
大きいことはいいことだ ♫
森永 エール チョコレート♪

という歌詞を見てメロディーが浮かぶあなた
半世紀は生きておられると見ました

とにかく右肩上がりの世の中でしたねぇ

この春先からは
スーパーで見かけるスナック菓子が
全体的に小さくなってしまって
ポテトチップスなども随分上品な姿になってきました

パッケージが小さくなればそれにあわせたデザインを施し
あまり違和感がないようにする点などは
天晴れですが
この先どうなっていくのでしょうか

少なくとも
大きいことはいいことだぁ!!
などという価値観は
もう過去のものでしょうからね

でも
とにかく道路整備はいいことだぁ!!
という価値観を持ち続けている人は
いるみたいですね

私は太郎じゃないけれど

2008-04-20 | 想い・雑感
大坂は道頓堀にある
食い倒れ人形
大坂のシンボルとも言われるこの人形が
店の閉店に伴い
無くなってしまうらしい

黒縁メガネということで
昔から
似ていると言われている小生としては
なにか淋しい気がする

しかし太郎という名前が付いていたというのは
知らなかった

丈夫という思い込み

2008-04-18 | 想い・雑感
どんなことでも
苦手意識をもったり 
いやな思いが残ったりすると
尾を引いてしまうもの

病院で行われる検査などでも
一度苦しい思いなどしてしまうと
その検査はできればもう受けたくなくなる

10年前に胃透視を受けたときに
検査後なかなか便が出ずに
随分つらい思いをしたというUさん
それ以来
おれの胃は丈夫だから大丈夫
という理由をつけて
一切胃の検査は受けなかったとのこと

ところが
大好きなゴルフをしているとき
途中でどうもお腹が張り
時折カートの後ろで吐きながらのラウンドになってしまった

すぐに近所のお医者さんに見てもらったところ
胃の出口にりっぱな癌ができていた

よく
体に自信があるとか
胃腸は丈夫だとか
呼吸機能は鍛えてあるだとかいうことで
自分は癌にはならないと
変な思い込みをしてしまう人がおられますが

体の丈夫な人が
がんにならないわけではありません

日常身の回りに起きる様々な問題は
対応が遅れるほど
リカバリーに時間と手間がかかり
早く手当てをすれば 簡単に対処できる

癌の治療もこれと同様
早ければ早いほど
楽に治癒に持ち込めるし
手遅れになれば・・・

妙な自信を持たずに
定期的に検診を受けることがお勧め

そういう私も
そろそろ検診を受けなければ

子供の成長

2008-04-17 | 想い・雑感
40代前半の男性が
早期胃癌と言われ紹介されてきた
便の色が黒いとのことで
開業医を受診し見つかった

早期胃癌は基本的に何の症状もないことが多いので
この方も
出血による便の色の変化に気づかなければ
数年以内には進行癌となっていた可能性が高い

癌が見つかるのはいやなことだが
見つかるならば早いほうがよい

手術予定日の4日前に
ご長男の中学校への入学式があり 出席は可能かと問われたので
どうぞ参加されてください と申し上げた

翌日 しみじみと
「良いものを見せてもらった」
と一言

息子の成長した姿
これまでの思い出
彼のこれからの成長もぜひ見守りたいという気持ち
でもひょっとしたら長い命ではないかもしれないという不安

様々なことを感じ 想いながら 出席した入学式
きっとその瞬間の幸せを噛み締めることができたのでしょう

手術前には納得されたように穏やかでした

自転車でのんびり

2008-04-16 | 想い・雑感
4月になって
時折自転車で通勤するようになった
約7.5Kmの距離を40分かけてのんびりとこぐ

車では決して通らないような小道に
入ってみる
思わぬところに
通じている
方向がわからなくなり迷ったりする
そんなことでちょっとした旅気分
楽しい気持ちになる
生きるうえでも
何でも楽しめる心のもちようになることができれば
もっと楽に生きていけるのかもしれない

などと思っていると
わずかに残った桜の花びらが
時折目の前に舞い落ちる
風や雨の強い日が何日かあったにもかかわらず
まだ枝に残る花びらたちがいる

そのときが来れば
その時節にならなければ
花びらは落ちない
という当たり前のことが起こっているだけなのだが

ついつい人の生き死に結び付けてしまうのは悪い癖かもしれない

まあ人の命も
その時までは保つことができる
というだけのことなのでしょうが

チベット

2008-04-10 | 想い・雑感
北京へ向けての聖火リレーを妨害する活動が
メディアで報道されている
新聞もテレビも取り上げている
でも聖火がどうなろうとどうでもよい

それより
大元のチベットで起きていることを
どうしてメディアは伝える努力をしないのだろうか

政治的な興味はないが
自由を叫んで連れ去られたお坊さんたちが
その後どんな扱いを受けているのかと思うと
心が痛む

中国当局にしてみれば
そのようなお坊さんは当然政治犯
政治犯に簡単に死刑を言い渡す国だから
あのお坊さんたちもそうならないとは限らない
お坊さんの心臓や肝臓が
いずれ誰かの体の中で息づく というのは想像しすぎであろうか

日本の仏教者たちはどうしているのだろうか
日本へきた仏教の流れをさかのぼれば
チベット仏教というのは
かなり源流に近いところに位置しているのではないかと思うのだが
チベット仏教の危機に際して
何も思うことはないのだろうか

仏教を信じ
日々を慎ましく生きる一人の人間の生が
大きな力によって虐げられる状況をみて
何も発言しないのだろうか

花びら

2008-04-10 | 想い・雑感
落ち行く花びらを見て

をイメージすることが多い

でも
流れる水に落ちた多くの花びらたちが
少し流れの堰き止められた小川の中で
押し合いへしあいしているのを見ていると
死というより
新たな旅立ちに向けて
楽しそうにわいわいがやがや話しているように感じた

花びらが落ちることは
淡々と流れていく
時を意味しているだけ

流れ行く花びらは
次なる命につながっていく

花びらを落とした木は生きている
いずれ枯れ行くかもしれないが
大地は生きている

大地も割れ
ばらばらに散っていく日が来るかもしれないが
宇宙は存在している

死もそのように
ずっとつながり行く時の中での
ほんの小さな変化に過ぎないのかもしれない

内視鏡検査を

2008-04-07 | 医療・病気・いのち
PET検診を受けて一年も経っていない方が
胃癌が見つかり紹介されてきた
CTではかなりリンパ節が腫れている

胃癌自体はそれほど大きくなく
肝転移なども見られないのだが
リンパ管を介して広がる傾向がかなり強く
3群と呼ばれるリンパ節まで転移を認める

完治は極めて困難な状況

胃癌は基本的に
PETの適応になっていない
PET検診だけで安心することはできないのだ

胃癌はごく早期に見つかれば
ほぼ完治する
面倒くさがらずに
ぜひ胃の内視鏡検査を受けてほしいと思う