Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

目は口ほどに・・・

2009-01-30 | 想い・雑感
風邪をひいたときなどでもそうだが
病が重いときには
体がだるく きつくなり
動く気にならない
人と話をする気にもならない

入院中の方も
病が進行につれて
病室を訪れても
布団をかぶっていることが多くなる
身奇麗にしていた人が寝具を乱すようになる
問いかけに答えるのにエネルギーを使っている という感じになる
そして目がうつろになる

自分が担当してない患者さんで
検査データなど知らない場合でも
回診のときの様子で
かなりのことがわかる

目を見て問いかけると
よくわかる

four leaves

2009-01-28 | 想い・雑感
元気一杯に活動し跳ね回った若人も
いずれ老い 病を得 旅立つ
当たり前だが実にさびしい

かつてといっても随分年月は過ぎたが
フォーリーブスといえば
若さの象徴的グループであり
SMAPなどのずーーーーっと先輩

その一員である青山孝史さんが肝臓がんで
57年の生涯を閉じたという

過度の飲酒をしそうなイメージはないので
やはり肝炎ウィルスに感染していたのだろうか

4枚の葉が1枚落ち3枚の葉がさびしく風に揺らめく

この訃報は意外なほど心に堪えた

ご冥福をお祈りいたします

芋焼酎

2009-01-28 | 想い・雑感
名前がいいよ
と言って焼酎を持ってきてくれた

「明日もいい日 きっといい事がある」

という名前の芋焼酎

製造元の真意はわからないが
日日好日
という言葉が頭に浮かぶ

どういう状況でも好日と感じることは
なかなか難しい

ついつい愚痴が口をついて出る

感謝し
ありがたく
今日を生きたいと思っていますけれど

きびしい進行がん

2009-01-27 | 想い・雑感
半年前から下腹部の痛みがあり
食べるとお腹が張るという症状のあったタクシー運転手さん

いよいよ座ることすらつらくなり
一ヶ月ほど仕事を休んだ後に
ようやく病院を受診
直腸がんの診断で紹介となってきた

顔色が悪い
鳩尾に硬いしこり
検査をするまでもなく
おそらく肝臓転移を伴うかなり進行した直腸がんと思われた

精密検査を行ったところ
癌自体は骨盤内でそこそこ大きくなり
周囲のリンパ節には転移が多数あり
肝臓は転移巣がいくつもあり
肺のリンパ管にもがん細胞がつまっているという
非常に進行したものだった

しかしこのままでは出口がふさがっており食事が取れないので
逃げ道の人工肛門を造った
小腸も途中で癌に巻き込まれていたので
バイパスも作成した
その上で今後の抗癌剤治療のための静脈カテーテルを挿入

同僚とも話したが
症状を我慢し
このような進行がんになってやっと病院を受診するひとが
最近多いような気がする

頑張る

2009-01-25 | 想い・雑感
携帯電話の待ち受け画面を変更した

デジタル表示の時計が現れた

秒を刻む数字は
次々に変わり
時の飛び去る早さに目が眩み
胸が少し苦しくなる

癌末期の方なら
その想いはさらに強いものになるだろう

余命が少ないと感じた癌患者の多くが
最後まで頑張ると答えるという
この頑張りが意味するところは
患者と医師では違うように感じる

医師は頑張るといえば
辛くても積極的癌治療をやっていく
という意味にとらえるだろうが
患者は最後まで
少しでも悔いが残らぬよう
できることを精一杯やっていきたい
と考えているものと思う

その思いは両者で重なる部分もあるが
異なる部分が多いように感じる

お互いの思いの違いを認識するためには
率直に意見を伝えあうしかないのだろう

2009-01-24 | 想い・雑感
つまみは塩だけでいい
なんて言う酒飲みがいます
その感覚がまったく理解できなかったのですが

このごろは漬物があれば呑める
という状況に近づきつつあるもので
若干理解できる気がしてきだしました

ただしほかにつまみがなければの話であって
やはりおいしい料理と少しのお酒
というのが一番幸せを感じますね

少しというのがどれくらいかという問題はおいときますが・・・

希望

2009-01-24 | 想い・雑感
人間にとっての様々な困難や苦痛が飛び出してきたという
パンドラの箱
病気 憎しみ 怒り 悲しみ うそ などなどが
人間の世界に飛び散った

それでも何とか人間がそれに耐え生きていく力となったのが
箱から最後に出された 希望

どのような絶望的状況でも
どこかに希望があれば人は生きていけるのだろう

癌末期の方にもそれは言える
その方から希望を根こそぎ奪い取るような言動を示す権利など
誰にもない

皆胃を持って生まれてくる

2009-01-23 | 想い・雑感
様々な奇形が病気として上げられているが
胃がない という先天性疾患にはお目にかかったことがない

胃が発生しないという遺伝子変異は起こらないようにセーフティーがかかっているのか
胃がないヒトは誕生できないのか

いずれにしろ多細胞生物の進化のなかで
随分昔から胃は存在しており
いまだになくなっていないということは
生物の生存にはかなり重要な臓器ということになる

胃癌に対する胃切除というのは
その胃を取ってしまうわけであり
多くの場合その欠落による不都合が生じてくる

癌に対する手術というものは
癌を体内に残さないことを目指すので
どうしてもある程度広い範囲を切除してくることになる

癌を取り除くために
多少の不都合には眼をつぶる
ということになる

その不都合は受け入れられないということになると
手術を受けないという選択をすることになる
手術を受けるか否か
究極の選択ともいえる

早めの受診を

2009-01-22 | 想い・雑感
胃癌でも昔に比べると随分長生きできるようになってきたし
治ってしまう人もかなりおられる
昔は早期に見つかれば
それは随分ラッキーなことで
今の分類で言う進行癌の方がほとんどだった

治療方法の影響も大きいが
早期癌の方の割合が増えたことも
胃癌の治療成績の向上に大きく寄与している

ところが
昨年後半くらいから
進行癌の方がちょくちょく入院されてくる
それも手術不能くらいの進行癌である

医療費の自己負担増
介護保険の負担増
景気の後退
などなどがかさなり
受診抑制がかかったために
症状が進行するまで我慢しているのでなければよいのだが

指嗾

2009-01-20 | 想い・雑感
オバマ新アメリカ合衆国大統領が
その就任演説で何を語るかがもっぱらの話題となっている

言葉は思索の重要な道具であり武器であるわけだが
言葉によって人々は惑わされ そそのかされる危険が常に付きまとう

今後の外交政策において
クリントンの言うスマートパワーが軸になっていくならば
その力の大きな部分は言葉になる
つまり言葉によって世界をリードするというつもりであるとも思える

心に語りかける言葉に酔うのも良いが
何を意図しているのか
世界は注視する必要がありそうだ

一方最近酔わせてくれるような日本語の演説には遭遇した記憶がない
うそにうそを重ねたような悪酔いしそうな言葉の数々である

妙な方向へそそのかされたりはしたくないが
たまには酔わせてもらいたい気がする

さあ オバマ氏の演説やいかに

未告知

2009-01-20 | 想い・雑感
手術不能進行胃癌で紹介されたTさん
ご本人は当初から癌であっても聞きたくないといわれていた
奥さんも決して本人には伝えてくれるなとのことで
ご主人の親戚には 「もし本人に癌であることを言ったら一生うらむ」
と言っていたようである

抗がん剤による治療開始から4ヶ月経ったころ
外来診察終了後奥さんが診察室に残り
言わないというのはなかなか大変ですね
最近喧嘩が多くなってしまって・・・
と言って出て行かれた

詳しくお話はできなかったので実際どのような状況なのかはわからないが
当初よりは良くなったとはいえ体調は十分回復せず
鳩尾にはしこりを触れる
という現実を前にご本人はいらいらされているものと思われる
現状を聞きたいけど聞くのは怖い
そこのところは私からとやかく言えることではない

自身がどのようにしたいか
どのように心を整理するか

それを待つしかない

使用している薬の名前や出現する可能性のある主な副作用は伝えているので
本人が調べようと思えばすぐにわかる
でも調べてなさそうなので
私は待つしかない
治療は継続しながら

決断

2009-01-17 | 想い・雑感
一年以上にわたり
何回か薬の種類や組み合わせをかえて
抗がん剤治療をしてきた男性患者さん

これまで腫瘍マーカーが上昇したことがなかったのだが
この2ヶ月でトントンと上昇した
現在日本で行われている治療の主たるものは行ってしまっているので
本人とも話し合い
最初の頃の治療に免疫賦活剤を組み合わせるというものを行ってみることにした

奥さんには かなり厳しい状況になってきたことを先日お伝えした
数日たって廊下で奥さんと少し立ち話をすると
「昨日職場に辞職願を出しました。
少しでも長い時間子どもと主人の傍にいて
思い出を増やしたいから。」
とのこと

なんと決断が早いことか
思い切りのよいことか

生活費のめどはついているのだろうが
今の世で資格があるからと言って
職を見つけることは難しいだろうに

それでも主人の傍にいることを
選んだわけですね

トラフグの行方は?

2009-01-15 | 想い・雑感
以前ちょくちょく釣行を楽しんでいた時期がある
上手な船頭さんと釣りの師匠について行き
刺身クラスの魚を必ず釣らせてもらっていた

釣る気が無いのにつれてしまう魚を外道と呼ぶことがあるらしいが
その最右翼はフグであろう
底物を狙っているとよくかかった

フグは内臓や生殖臓器に毒があり身には入っていないものがほとんどらしいが
中には全身毒なんて種類もあるらしく
船頭さんはそのフグを北枕(キタマクラ)と呼んでいた
食せばお陀仏ということであろう

ふぐ毒はテトロドトキシンといい
毒として有名な青酸カリなんぞよりはるかに毒性が高いとされているらしい
主たる症状は麻痺
痺れくらいから呼吸筋麻痺まで多様なようだが
少量で死ぬことができる

熱湯消毒という言葉につい勘違いし
十分火を通せば大丈夫と思うのは浅はかで
この毒熱にもめっぽう強い
ちなみに熱湯に期待する効果は
細菌や有害物のタンパクを変性させてしまうことと思われまして
熱湯によって何でもかんでも無毒化できると思うのは大間違い
とにかく毒の入っている部分を完全に取り除いた上で食す必要があるようです

通ぶって
ちょいとピリピリし痺れるくらいが・・・
なんていう愚かな考えは持たないほうがよい

数日前築地市場から紛失したトラフグ2匹
それで命を落とすようなことにならないよう願っています

意識の乖離

2009-01-14 | 想い・雑感
癌に対して最後まで戦うか否か
などの質問に対する回答から
患者と医師との間に意識の乖離が大きいとの
報告がニュースで流れていた
その質問に対する答えがかい離するのは
見る方向が違うからある意味当然である
そしておそらく
癌患者自身と
癌を患っていない人との間でも
かなりの乖離があるものと思われる

たとえば
末期癌 それもかなり体力が落ちてきた人に対して抗がん剤治療を行うことは
副作用ばかりが前面に出て
効果は認められず
結局苦しめるだけという現実がある場合
医師は それでも戦えとは言えない
でも患者が強くそれを望むなら
注意深く 遠慮がちに薬を使用することもある
戦う患者さんはもしかしたらという思いから
治療を継続することを望む
それは良いとか悪いとかではなく
生き方であり
それは当然尊重するべきことである

報道を見ていると
患者と医師との隙間風が強調されているように感じるが
現場では意見を述べあい
タッグを組んで治療に取り組んでいることが多いことを
忘れてほしくない

医師から最後まで戦えとは言えない
でも戦いたいと患者さんが言えば
よく話し合ってどう戦うかを決めていくのだ

ちょっとずれるが
実生活でも
ある人から見ると そこまで頑張らなくても…と思うようなことを
当人はどこまでも頑張り通したいと思う

そこには意見のかい離があるわけだが
ある人と当人が協力できないということを意味しているわけではない

患者と医師に意見の乖離があっても
十分協力関係を構築できるのである