Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

蛍光法を用いた腹腔鏡下胆嚢摘出樹t

2020-05-06 | 医療・病気・いのち

腹腔鏡下手術の進歩は著しく、今や消化器外科手術のほとんどの領域で取り入れられています。日本で初めて行われた腹腔鏡下手術は胆嚢摘出術で、1990年のことです。私自身も1993年から行うようになりました。その後ほとんどの消化管手術にも適応が広がってきています。

この30年の間に画像技術、凝固切開装置、鉗子類その他その進歩は目を見張るものがあります。

最近のお気に入りは、蛍光法を胆嚢的手術に利用すること。ICG(インドシアニングリーン)という色素を少量静脈注射すると、その色素は肝臓から分泌されます。さらには肝管、総胆管、胆嚢管、胆嚢などへと分布していきます。そこで特殊光を当てるとICGが蛍光を発するので、解剖学的位置関係が容易に確認出来るのです。胆嚢周囲は、人によって解剖が異なる場合も多いので、注意が必要ですが、そのストレスをずいぶん軽減してくれます。現在でも誤認による損傷~的変異が0.4~0.5%程度報告されているとのことですから、蛍光法のような進歩を取り入れることも必要ですね。


パルスオキシメーター

2020-04-24 | 医療・病気・いのち

 赤血球は酸素の運び屋さんということは理科の時間に学ぶ。実際は、赤血球の中のヘモグロビンの中のヘムタンパクが関与している。何気なく呼吸をしているが、肺で酸素を抱え込み、抹消の組織に行けばそこで酸素を提供するということを赤血球がしてくれているおかげで私たちは生きている。不思議なもので、酸素がたくさんある環境では酸素をしっかり運び、低酸素の環境では放出する。赤血球が酸素を抱き込む場所は、肺の中の小さな袋肺胞。薄い膜を隔てて、肺胞内の酸素を、血管内の赤血球が受け取ってくれる。肺から戻った赤血球たちは心臓から体の隅々まで運ばれていく。だから呼吸状態が悪くなっても、心臓の機能が悪くなっても、十分な酸素を組織まで送り届けにくくなる。

 手術中から手術後、心肺機能が不安定になることがある。そんな時は、動脈血中に十分酸素が流れているかどうかチェックする必要が出てくる。昔は必要なら動脈血を数ml採取して、血液ガス分析器で測定していた。動脈血採血は研修医の役目。夜中の病棟で採血しては、穿刺部を同僚に押さえてもらい、何度検査機まで走ったことか。しかしその後、パルスオキシメーターが次第に普及してきた。前述のヘモグロビンが酸素を持っている状態と、離した状態では、赤い光や赤外線を吸収する程度が異なることを利用して、ヘモグロビンがどの程度の割合が酸素を持っている状態かを指につけるだけで測定できるのだ。おかげで動脈血採血の頻度はぐっと減った。

 今では病棟に何台もパルスオキシメーターはある。クリニックにもある。個人で持っている人もいる。ずいぶんと時代は変わった。現在、COVID19に感染して肺炎を起こすと、肺胞レベルで酸素を受け取れないヘモグロビンの割合が増えるため、パルスオキシメーターの値が下がってしまう可能性がある。そこで感染疑いの人にはパルスオキシメーターをつけて酸素の取り込みに問題ないかを見ているのです。これのない時代にこのウイルスが蔓延したなら、そして酸素取り込み能力を見ようと思ったら、皆動脈に針を立てられる羽目になっていたわけだから、ありがたい発明です。ちなみに発明は日本発です。医療現場での実用化が広まったのはアメリカが先です。

 なお、血液中に実際どの程度酸素が含まれているか、二酸化炭素の量はどうか、pHは保たれているか、重炭酸濃度はどうか、などまで見ようと思えば、今でも動脈血採血が必要です。


カリフォルニアでの抗体検査

2020-04-21 | 医療・病気・いのち

日本のライターがカリフォルニアでの抗体検査結果のリポートを出していた

要請率が2~4%との数字を

予想以上に多いとレポートしているのだが

これはライターの予想より多いだけの話で合って

私は2割くらいになっていないかなと思っていたから

予想よりずいぶん少ないと感じる

 

また罹患率と表現していたが

陽性者の多くは発病していないわけだから

罹患したわけではなく感染しただけだから感染率と述べたほうが良い

 

言葉を用いて何かを伝えることによって生活しているのであれば

レポートを書く際には正確な言葉遣い

誰の意見であるかの明確化

などをお願いしたいものである

と少し文句を述べてしまいました

 

ところで抗体陽性率

これがもっと多ければ

多くの人が抗体を持って

感染増加は収束していくのではないか

との期待を持っていたので

私の期待値よりずいぶん低い陽性率に少しがっかりしている

 

感染爆発が下火になるための道筋は

①ひょっとして他のウイルスと同様に高温多湿に弱い

という形質を持っていてくれれば

日本でのこれからの季節は下火になる

これはかなり希望がはいっている

②感染率がある程度上昇していって

日本の集団としてウイルスに対抗できるようになる

③治療薬やワクチンが開発される

以上の三つだろうと思う

 

②を考えて感染率がすでにもっと高いことを期待していたのだが

随分低いので

この線で収束するには

まだまだ時間がかかりそうですね

 

まだかかっていない人たちは

とにかく今はなるべくかからないように

できることは何でもやって

③の線で収束できるようになるまで粘りましょう

今罹ると十分な医療を受けられないケースも出てくるでしょうから


複数回の感染

2020-04-20 | 医療・病気・いのち
オックスフォード大のワクチン開発研究者が
COVID19に感染した人でも
再度感染する可能性有りと述べていた

感染して抗体ができれば
再感染しても症状が軽いかどうかも
わからない

わからないことだらけだが
他人との接触を可能な限り減らす
と言う行動指針は当分必要なのだろう

有効なワクチンができれば
通常の感染より抵抗力が長く続くとも述べていたが
その理由には言及していなかった

抗体検査

2020-04-04 | 医療・病気・いのち
コロナウィルスに対する
抗体検査のキットがあると聞く
PCR検査が十分にできない現状において
可能ならば抗体検査の導入を
急いだ方が良いと思う

新しい抗原に対する抗体の産生には
一次反応として2週間程度が必要とされる
その点を鑑みれば感染直後には
意味のない検査である
しかし症状が発現して
2週間以上PCR検査にたどりつけない人が
たくさんいると聞く

症状が出て時間の経った人なら
すでに抗体検査で
感染していたかどうかは判断できるはず
わかれば次の手も打てるかもしれない

また診断と言う意味もさることながら
抗体陽性となっていれば
その人にコロナウィルスが感染しても
速やかな抗体産生の二次反応が起こって
重症化しない可能性が高い

特に患者さんに接する
医療従事者や家族などにとって
抗体陽性と言うことがわかれば
より積極的に治療や看病に
関われるのではないだろうか

抗体検査に対して否定的な意見もあるようだが
できる事は何でもやっていく姿勢が
必要だと思う

胸のレントゲン検査

2020-04-01 | 医療・病気・いのち

日が差せば影ができる

影の濃さは物体によって異なる

物体によってどの程度光を通すかが異なるからね

 

物体が重なったりすれば

影だけをみて区別することはむつかしくなる

 

X線は体を通り抜けるわけだが

100%通り抜けるわけではなく

体の中の状況により少しずつ吸収されたのちに

残ったものが通り抜けていく

その通り抜けたものを写真にとるわけだから

X線による影を見ているのと同じ

胸のレントゲン写真ではよくわからない病変もあるわけです

 

早期の肺がんなども胸部レントゲン検査では見つからないことが多いので

疑いがある場合やしっかり検診したい時などは

胸部のCT検査が必要になります

 

CTはぐるりと360°方向からレントゲンを照射して

その情報をコンピューターで計算して

画像として作り上げますから

随分と細かい変化まで見ることができます

 

今回のCOVID19感染による肺炎でも

軽度のものや初期のものは

CTでなければ検出できないような例がみられるようですね

 


呼吸

2020-03-29 | 医療・病気・いのち

 普段意識せずに繰り返している呼吸。呼吸は換気とガス交換の二つが肺呼吸で生きている生物にとって必要な要素。

 換気は、肺胞まで十分に行わなければならない。酸素を血液中に取り込み不要な二酸化炭素を放出するというガス交換の場所は肺胞だから。気道は、気管からまず左右の主気管支に分かれたのち分岐を23回くらい繰り返しやっと肺胞にたどり着く。肺胞はとても小さな袋だから、それがつぶれずに広がってくれるというのは、身体の妙。意識せずに呼吸できるということは、とてつもなくありがたいことなのだと思う。

 肺炎などで気管支や肺胞レベルで炎症が起きると、水分が気道に出てきやすい。これが粘稠だと、換気もガス交換も効率よく行えなくなる。炎症がひどくなれば、肺が水浸しという状態にまでなる。そうなると普通に呼吸運動をしていても、呼吸機能は悪化していく。酸素を取り込めなくなったら死を待つばかりとなるので人工呼吸器の出番となる。

 人工呼吸器を装着してしまえば、胸は上下していて見ている人はほっとするかもしれないが、そんなに簡単な話ではない。機械的に空気を送り込んでも、肺が水浸しだと換気が肺胞レベルまで十分にできない、つまり換気ができないのだ。そこで送り込む空気(必要ならば酸素濃度も徐々に上げていく)にかける圧力を上げていき、肺を押し広げようとするわけだが、この圧が高くなるにつれて肺組織自体を破壊してしまうことになってしまうので高圧にすればよいというものでもない。また酸素濃度も高くなればそれ自体が肺組織を傷害してしまうというジレンマもある。治療者は呼吸器の設定を細かく調節し何とかしようとするが、限界があるのだ。

 志村けんさんが人工心肺による治療を受けているとの報道があった。真偽は分からないが、もし本当であるなら人工呼吸器による治療では、血液の中に十分な酸素を送り込めなかったということだ。そこで本人の血液を体外に導き、酸素化した血液を体に戻す、という方法で何とか体を維持するための酸素を送り込もうとする治療をしているという意味になる。

 呼吸なんて当たり前にできるときには、禁煙を勧められても愛煙家は聞く耳を持たない。しかし、間違いなく喫煙により肺は痛んでいく。肺胞があちこちで壊れていく。その状態で呼吸不全になり、もし人工呼吸器が必要となったときには、傷んでいる肺は送り込むガスの圧に耐えられないため呼吸器設定の限界がすぐにやってくる。ちなみに志村さんも多量喫煙が日常だったらしい。

 人生100年時代。体を長持ちさせようと思うなら、大切に使っていく必要がある。

 志村さんの、そして呼吸不全と戦っている方々の回復を祈ります。そしてCOVID19感染症が終息することを願います。


健康は大事や

2020-03-28 | 医療・病気・いのち

医療システムというの

重要な社会保障インフラの一つであると

改めて思います

 

医療費がかかると引き締めが続いてきていますが

軍事費に重点を置くよりも

医療を充実させる方が

国民の命を守るという意味では重要だとも感じます

 

経済破綻したイタリアでは

医療の縮小が進んだと聞きます

どの程度の縮小かは分かりませんが

医療システムの脆弱化が

コロナ感染症による死亡率の高さに関係する

要因の一つではないかと疑います

 

医療従事者

薬品開発

準備医療器材

医療提供の場

予算

など多方面の再検証が必要でしょう

 

医療提供の場ということでは

病院という組織をたくさん作る方向にだけ考えるのではなく

医療を提供できる場を広げていくという方が

柔軟性の高いシステム構築ができそうな気がします

 

そのためには

空港 会議場 ホテルその他の場所でも

医療チーム 医薬品 医療器材をパッケージで派遣すれば

治療の現場とできるような

施設設計 システム設計 

そしてそれを認める法律

などの検討をしていく必要がありそうです

 

そして今後現れてくる感染症の中には

さらに致死率が高いものも出てくるでしょうから

いざとなれば隔離施設として使用できるような場所

あるいはそのような施設として流用できる場所も

ある程度多く作った方がよいと思います

 

 


アルコール性慢性膵炎

2020-03-19 | 医療・病気・いのち

慢性膵炎は膵臓の炎症が長期にわたることにより

膵機能が廃絶していく病気です

 

膵臓の機能は大きく二つ

消化酵素を分泌して栄養の吸収を助けること

血糖をコントロールするインスリンやグルカゴンなどを分泌すること

 

この二つがやられると

栄養状態が低下しコントロールがむつかしい糖尿病になります

 

慢性膵炎の原因として最も多いのは

長期にわたるアルコール多飲

 

一旦発症するともとに戻すことはむつかしく

病状が進行しないようにすることが大切

そのためには禁酒がすべてのスタート

 

しかし慢性膵炎になるほどの方は

この禁酒がむつかしいようです

 

専門機関に禁酒目的の入院を3回以上した方がおられます

癌が怖いといわれたとのことで検査依頼で紹介されました

しかし癌年齢となる前に

膵機能の廃絶で命が尽きそうな気がします

 

禁酒はできていないようです

 

主治医は血糖のコントロールと

消化酵素の補充をしてくれていますが

残念ながらそれ以上できることはなさそうです

 


レスパイト入院

2020-03-15 | 医療・病気・いのち

 日常的に医療的処置が必要な方をご自宅で家族が介護されている場合があります。もちろん訪問診療、訪問介護なども利用されていますが、家族は家から長時間離れることができません。この状態が長期になれば、ご家族も疲弊してきて当たり前。医療行為を要するとなれば、介護施設のショートステイなども利用しずらくなります。そのような時に、病院が短期入院という形で患者さんをお預かりするのがレスパイト入院と呼ばれます。

 介護をしている家族だって、入院が必要となることもあれば、出張があったり、旅行をしたりということがあります。そのようなときに医療行為が必要な要介護者を入院という形でお引き受けするわけです。明確な定義はありませんが、数週間までの短期入院となる場合が多いようです。

 レスパイト(respite) には、①小休止、中休み、中断、②〔一時的な〕延期、遅延などの意味があり、法律用語としては(死刑)執行猶予という意味もあるようです。いずれにしろ、ご家族に一休みしてくださいという入院です。こういう形で入院を受け入れてくれる病院もあります。必要な場合は近隣の病院へ問い合わせたり、かかりつけ医に紹介してもらうとよいと思います。

 レスパイト入院。知っていてもよいですね。

 


胃瘻

2020-03-12 | 医療・病気・いのち

 お腹に穴をあけて胃とつながった状態になったものを胃瘻と言います。口から食事がとりにくくなった方に栄養をそこから入れてあげるために、或いはおなかのしこりなどの影響で胃の下流に食事が流れていかなくなり嘔吐するような方に逃げ道を作ってあげるために胃瘻を作ります。

 昔なら、上腹部に5~10cmの切開を加えて普通の手術として行っていました。しかし近年では局所麻酔をして内視鏡下にで胃瘻を作る場合がほとんどです。ただし通常の手術と違い、直接胃の壁を確認することができないので、安易に行うと胃のすぐ近くにある肝臓や結腸を傷つける危険性があります。そこで、おなかを指で押すのを内視鏡で確認したり、内視鏡の光が腹壁を通して見えることを確認したり、局所麻酔を行う細い針を胃の中に入れるまで空気が引けないことを確認したりして、まず大丈夫だろうということで処置を始めるわけです。だから100%、絶対大丈夫とは言えないところがつらいところです。そこで私はさらに透視も併用しています。透視以外の確認方法で大丈夫と思えたものでも、透視で見ると結腸が胃の前にかぶさっていたなどということが何度かあったので、透視による確認はしたほうが良いと思っています。以上の確認で、内視鏡下に胃瘻を作るのが危ないと判断すれば手術による胃瘻造設となります。

 内視鏡下に胃瘻を作るのは、いったん始まれば、局所麻酔をして胃瘻のカテーテルが入り終了するまで5分程度で終わります。胃瘻というのは単なる延命処置ではありません。胃瘻からの栄養補給を行いながら家庭で日常を送る方もおられます。もし胃瘻の話が出たら、毛嫌いせずに一度よく聞いてみることをお勧めします。お風呂だって入れますよ。


人工呼吸器

2020-03-09 | 医療・病気・いのち

肺呼吸の役割は

換気と酸素化

不要となった二酸化炭素を空気中にはきだし

必要な酸素を空気中から血液へと取り込む

重症肺炎になれば肺がその役割を果たせなくなる

 

新型コロナウィルスによる肺炎は

下気道の炎症が強いと聞くので

血液と空気とのガス交換を行う肺胞が

粘っこい痰で満たされてしまうのかもしれない

 

そうなってしまうと

気管に管を入れて

人工呼吸器を作動させても

ガス交換ができない状態となる

 

コロナに限らず

重症肺炎となり呼吸不全となれば

呼吸器の設定をどんどん強力にしていっても

血液中に二酸化炭素がたまり酸素は減っていき

臓器組織が酸素不足でやられてしまう

 

呼吸器は高機能化で小型化が進み

昔よりずいぶんよくなっているのだが

やはり限界がある

 

祈るような気持ちで呼吸器の設定を変えていっても

どうしようもなくなるという経験は

私にもある

 

つらいものである

患者さんはもちろん

その家族も医療者も

 

 


内痔核(いぼ痔)

2020-03-08 | 医療・病気・いのち
 痔の中で1番多いのが内痔核、いわゆるイボ痔です。イボ痔と言う呼び名からイボができていると思っている人もおられますが、実際はできものではありません。直腸下端の粘膜の下に、細かい静脈が集まっているところ(痔静脈叢)があります。そこに負担がかかり静脈の一部が拡張してしまい、静脈瘤の状態になっているのです。ですから状況により拡張の度合いが変化します。痔主の方は分かると思いますが、日により症状が変化するのです。
 もう手術しかない、と観念して外来を受診される方もおられますが、そのような方でも保存的治療、つまり飲み薬や座薬で症状が軽減し、手術はせずに済むことが少なくありません。症状をコントロールできるなら、手術はせずに薬や生活習慣改善で、痔とうまく付き合っていけばよいと思います。外科を受診したからと言って手術になるわけではありません。また痔と思っていたら別の重大な病気だったということもあります。痔で悩んでいる方は一度は外科外来を訪れてください。
 痔に対して保存的治療を行っても、どうも気になるとか症状がつらい場合に、初めて手術を考えます。手術といってもいくつかの手段がありますが、私はなるべく負担が少ないやり方でするのが良いと思っています。治療方法はある程度医師の好みや経験によって変わってきますので、手術を受ける際は主治医とよく話して、納得したうえで受けてください。

サイレント・ストーン

2020-03-03 | 医療・病気・いのち

 この数十年で医療における画像診断装置の進歩が著しい。そのおかげで、それまで見つからないままで一生を終えていた可能性のある異常が見つかるようになった。ある程度昔から見つかっていた胆石などもそうである。昔なら症状が出なければ見つかることもなかったであろう胆石が、簡単に見つかってしまう。

 胆石があっても全く症状が出ないような胆石を、サイレント・ストーンと呼ぶ。その多くの場合は石とともに生涯を終えるので、基本的には様子観察となる。「痛むようだったら必ず受診してくださいね。」とだけ付け加えて。

 ただ、本当に黙っているのかどうかわからない場合もある。時々胃もたれがする、食べ過ぎると胃が痛むことがある、肋骨のあたりが苦しくなることがある、急に背中や肩が痛くなることがある、などなど、すぐには胆石による症状とは思えないようなものが実は胆石による症状ということがあるのだ。胆石の治療にかかわったことがない医師なども、安易にサイレントストーンと決めつけてしまうことがあるから注意が必要。

 いったん強い発作が起きれば、痛みだけで治まらず強い炎症まで起こしてしまうことがある。そうなってしまえば "Be silent!" などといっても黙っちゃくれない。手術になっても、炎症が強いとむつかしい手術になることがある。だからたまたま胆石が見つかった場合でも、胆石の患者をよく経験している外科医や消化器内科医の診察を受けることをお勧めします。


延命

2020-03-02 | 医療・病気・いのち

延命治療など望まない

 

そういう人は多い

しかし実際どのような状況であれば望まないのか

という具体的な内容を考えている人は少ない

 

皆が必ず死ぬ身であるならば

すべての治療は延命治療となるとも言えるわけだが

一切医療は受けないというまれな人を除けば

通常の治療は望むであろう

 

助からないのであれば延命は望まない

という人も多い

でも一縷の望みを抱いてしまうのも人間である

 

進行性の病気の方が

心肺停止となったとき

人工呼吸器までは望まないと

本人も家族も言っていても

目の前で心肺蘇生が行われ

心拍や呼吸が何とか再開したとき

そこで十分と思えなくなってしまう

 

つい延命を選択する

 

むなしく呼吸器の作動音が続く