Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

体力

2015-05-27 | 想い・雑感
50代の方は
まだまだ基礎体力があり
病に対する抵抗力もある

だから癌の末期となっても
心臓 腎臓 肝臓その他の臓器に余力があり
非常に進行した状態となっても
外来通院が可能な場合が多い

しかし
こんな方の状態が悪くなりだすときは
いよいよ限界を超えたことを意味する
そこからの病状の変化は速やかだ


消化器癌から多発性肝転移再発をおこしたYさん

食事は普通に食べられると言われた2週間後の外来では
腹水がたまり全身倦怠感も強い状態となった

入院とし体調改善を目指し治療をした

しかし状態の悪化を食い止めることはできず
2週間ほどで肝腎機能が急速に悪化

「今夜あたりが危ないですか?」
と夕方私に問いかけてくれたときには
まだ尿量も何とか保たれていたのだが
翌朝には意識状態が低下し
その午前中のうちに亡くなられた

多くの場合は
なくなられる数日前から
意識レベルが低下するものだが
亡くなる半日前まで会話は可能であった

疎遠

2015-05-26 | 想い・雑感
付き合いのある身内もいれば
随分と疎遠になっている身内もある

仲違いをしているわけでもないが
いつでも会えるという油断から
御無沙汰になっている身内もある

患者さんが急変し
意識も無くなってしまってから
そのような方がやってきたのでは
集まった身内同士が久しぶりに話せたとしても
患者さんとは話せない

末期の方は
最後体調が悪くなりだすと
一気に坂道を転がりだすことが少なくない

私は
患者さんの変調を感じたら
悪化が予想されるときにはある程度元気なうちから
患者さんのご家族に
会うべき人と会わせておくことを
お勧めするようにしている

実際に行動に移すかどうかは
それぞれの判断となるにしても

側に

2015-05-25 | 想い・雑感
少し疲れ顔の奥さんが
ベッドサイドに座っている

大丈夫ですかと声をかけると
主人が帰って良いと言ってくれないのですよ
との答え

患者さんはベッドに横たわったまま力なく苦笑い

これまでは体調を崩して入院しても
少し気分が良くなればすぐに退院したいと言っていたご主人も
今回の入院では体がかなりきついのか
逆に長く入院させてくれとのご希望

何かを予想し 感じて
少しでも長く奥様にそばにいて欲しい
と思われるのかもしれない

いずれ
一人で行かなければならない道
だとわかってはいても

かおり

2015-05-18 | 想い・雑感
末期の患者さんに
いよいよ最後のときが近づいてくると
部屋に死の香りがしてくる

いわゆる悪臭とか腐敗臭とかではなく
もちろん加齢臭でもない
長年使用されなかった地下室の臭い
というのが近いかもしれないが
かび臭さとも少し違う

とにかく死を予感させるにおいなのだ

すべての患者さんというわけではないのだが
部屋に入った瞬間に
あっ いよいよだな
と感じることもある


無常の風

2015-05-13 | 想い・雑感
胃癌術後で定期的に経過観察をしている方から
外来受診の予約日に受診できない旨の連絡が入った

ご子息が心筋梗塞で急逝されたらしく
自分の体のことなどどうでもよいという心境との伝言だった

もともと落ち込みやすい性格のHさん
ご自身の手術前後も
精神的サポートに配慮した

そしてなんとか無事治療が終了し
経過もとても順調だった

Hさんは夫婦仲も親子仲もよかった

最近では
公私共に新たな一歩を踏み出されたご子息のことを
外来でうれしそうに語られていた

人間誰しも
一瞬先のことは分からないとはいえ
親の心境はいかばかりであろう

Hさんが
外来に顔を出してくれる日が
来ることを願う