Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

鎮静

2014-04-20 | 緩和医療
もう息をしたくなくなりました
疲れてしまいました
先生を困らせるつもりでは
ないのですけどね

苦しみから
完全に解放してあげることは
難しい
夜間の眠りも不十分

ご本人といつも付き添う娘さん
ともに薬の力で眠ることを希望

様々な工夫をしても
ぬぐいきれない苦痛を
鎮静と言って
意識レベルを下げることにより
本人が感じない状態にする

最後には
こうするしかないことも
少なくはない

自覚

2014-04-18 | 緩和医療
朝 病室に入ると
胸の前で合掌し
天井を見つめている

目を覗き込み
おはようございます
と声を掛けると

ああ 先生
ありがとうございました
お世話になりました
と弱いけれどはっきりした口調で
挨拶を返された

手を握ると
両の手で包んでくれた

何処か遠くを見つめるような
その視線の先には
何が見えているのだろうか

一日のモルヒネ量が
500mgを超えたところで
痛みが無くなった

肉体的苦痛が軽減した状態が
このまま続いてくれることを願います

オピオイド

2014-04-14 | 緩和医療
癌による痛みに対し
モルヒネなどのオピオイドを使用する

少量から始めて
夜痛みで眠れないことがないようにする
じっとしていれば痛くないようにする
動いても痛くないようにする
という目標を目指して
適切な量を見極める

多くの場合
少量から中等量で目標クリアとなるが
時に大量のモルヒネが必要となる

通常なら考えられないような量を
使用することで
ようやく痛みがコントロールできた時
モルヒネの副作用が強く出るかと言うと
ちっともそんなことはない
呼吸抑制も精神的副作用も出ない

副作用を怖がって
十分な除痛ができないことの方が
よほど患者さんにとって
悪い影響を及ぼすものである

苦痛

2014-03-27 | 緩和医療
死ぬ瞬間の自分を
自分で見ることはできない
意識を失い
その後に心臓の鼓動や呼吸が
止まって行く

だから
最後に知覚出来るのは
意識のある自分
つまり生きている自分

死ぬまで
そして死んでも
自分の死の瞬間を
体験することはできない

経験することのない死を
恐れる必要などないのかもしれないが
私たちの多くは
それを恐れる

きっと死の瞬間を恐れるのではなく
そこへ至る過程で味わうであろう
苦痛を恐れている部分が大きいのだろう

それらの苦痛を
かなり軽減することが出来る
とわかっていれば
恐怖感が少しは和らぐ

苦痛を取り除く方法を
きちんと実行でき
患者さんに合わせて工夫をし
大丈夫だよと声をかけられる

そんな緩和ケアを
提供できるといいですね

持続皮下点滴

2014-02-11 | 緩和医療
何度も点滴のために針を刺していると
血管が固くなるし
時にはつぶれてしまうことになる

ベテラン看護師が探しても
手足にはもう針をさせる血管が
見つからなくなる時がやってくる

それでも食事を摂れなくなったひとを前にすると
少しでも栄養をつけてあげたくなるのが人情
家族も点滴継続を望み
手足を抑制したうえで
点滴を継続する
場合によっては太い血管に直接カテーテルを挿入することもある

そうなってくると
せっかく血管に入った針を抜いてしまっては困ると
患者さんは手足を抑制されたりもする
これって本当に患者さんが望んでいることなのか
家族も医療者も一度は考えたほうがよい

死がまじかに迫った体は
水分も栄養もそれほど必要としていない
補給もほどほどにしたほうが楽になることも多い

そんな時に用いる手段の一つとして
皮下点滴というのがある
一日に500ml程度の点滴を
ゆっくり時間をかけて皮下に点滴するのだ
針は血管に入っているわけではないので
何かの拍子に抜けたってどうってことはない
安全性が高く患者さんへの負担も少ない方法だ

オピオイド

2013-12-12 | 緩和医療
癌による痛みに対して
オピオイド(麻薬)を使用するのは
当たり前になっています

またこの10年間で
利用できる薬剤の種類も多くなり
スムーズに疼痛コントロールを
行えるようになっています

しかし日本における
医療用麻薬の使用量は
諸外国に比べてまだかなり少ない
というのが現状です

日本人の患者さんが痛みを我慢する
医療者が患者さんに痛みを我慢させる
投与量の増量を躊躇する
痛みに対して無頓着な医師がいる
その他の種々の要因が考えられます

癌による痛みは
我慢して良いことなどありません
可能な限り痛みを取り除き
できれば痛みのない状態にして過ごす
ということが大切なことです

癌による痛みを
我慢しない
我慢させない
ということが生活の質を
上げて行くことになるのです

にっちもさっちも

2013-08-05 | 緩和医療
胃癌や大腸癌が再発しても
抗癌治療の進歩で
随分長生きできるようになってきた
以前だったら数ヶ月の余命と言われていたような状態でも
数年にわたり命を長らえ
日常を送ることは決して希なことではなくなった

しかし
どこかで治療の限界がやってくる
癌に対する積極的治療ができなくなる時がやってくる
そうなってくると
体力が落ち
抵抗力が失われ
体を動かすことも難儀になってきたりする

痛みが出たり
神経障害が出たり
食事ができなくなったり

癌治療の進歩とともに
緩和ケアも進歩しているが
とてもケアが困難な方に出会うことも
多くなってきた

最後の苦痛に対する鎮静

2013-06-19 | 緩和医療
 緩和ケアという視点からも患者さんを看てくれる医療機関では、様々な手段で苦痛を取り除く努力をしてくれます。それでも死にゆく過程が安逸であることは少ないと思います。なんせ、生命を維持する能力がどんどん失われた肉体が感じる苦痛を取り除く最もよい方法は、欠落していく生命維持能力を取り戻すことです。しかしそれができたら、人は死ななくなりますよね。
 
 考えられる手段を講じた上で、取り除けない苦痛というのがあります。最終的にそれを取り除くには、ご本人がその苦痛を感じないようにする、つまり意識をとってあげるしかなくなってしまいます。その際に使用する鎮静剤は、多く使いすぎると呼吸を抑制してしまうので、少ない量から始めてちょうど寝入ったくらいの状態に調節するように持続投与しています。ですから、投与をやめれば数分から10分くらいで再び意識が戻ります。

 基本的には、鎮静剤を使用することによって命を縮めることは無いと思います。たび立つ過程で、苦しみを取り除くひとつの手段として使用する場合があるだけで、時間的経過を変化させることはないということです。

腹水

2013-05-22 | 緩和医療
緩和ケアの実践においては
患者さんの苦痛軽減が
最優先課題

保険適応外の方法で
お薬を使用することもある
残された時間を
少しでも苦痛を少なく過ごせるようにと
いろいろな工夫が報告されている

腹水がたくさん溜まってくると
お腹の張りがひどくなり
横隔膜も押し上げて呼吸がつらくなったりする
腹水を抜いてあげてもすぐに溜まってくる
繰り返し抜くとそれ自体が体力を奪う結果となる

そんなときに
試してみると良い薬を
昨年の学会で教えていただいた
これまで何度か使用した印象では
確かに良い

こういうちょっとした工夫が
患者さんの調子を大きく変える

ポンプ

2012-12-17 | 緩和医療
癌性疼痛に対して
モルヒネのようなオピオイドを使用することは
ほぼ認知されてきている

癌による痛みは
我慢してもなにもいいことはない
それで
痛みで夜中に目が覚めたりしないように
痛みをほぼ0に近づけるように
体を動かしても痛まないように
必要十分なオピオイドを使用する

そんな中
痛みをコントロールするために
大量のオピオイドを必要とする人が出てくる
そうなると貼り薬や飲み薬では対応できなくなる場合がある

モルヒネの注射でなくては対応できなくなるのである

ポンプをもちいてモルヒネを持続的に投与するのである
こうなると昔は退院が不可能になっていたが
最近では携帯できるような小型ポンプがあるので
それを持ったまま退院できるようになっている

もちろん訪問診療や訪問看護の手配は必要な場合が多いですけどね

呼吸困難

2012-09-23 | 緩和医療
最後が近づくと息苦しさを訴える方がおられる

息が吸えない
酸素が入ってこない
胸がくるしい
などという訴えがでてくる

呼吸(外呼吸)は
酸素を取り入れる
換気により二酸化炭素を体外に出す
血液のpHを保つ
などの働きがあり
それらの機能が落ちてくると肺障害とか呼吸不全とかいう状態になる

ここで大切なのは
患者さんに呼吸困難感があるからといって必ずしも呼吸障害があるわけではないということ
つまり呼吸困難というのはあくまでご本人の自覚に基づくものであるということ

だからもし体に十分酸素が取り入れられていても
また二酸化炭素がきちっと体外に排出されていても
患者さんが苦しいといえばそれは呼吸困難ありなのである
苦しいと言っているのに
データが正常だからそんなはずはない
などと言ってはいけない

呼吸困難が出現したら
その原因を取り除いたり軽減することが出来る場合もあるが
それができないことも多い
そんな時少量のモルヒネが著効することがある
モルヒネを使うのは痛みに対してだけではないのである

考えられることをいろいろやって
少しでも苦痛を少なくすることを常に目指す
ということが緩和ケアで大切なこととなる

緩和

2012-09-05 | 緩和医療
 緩和ケアという言葉から、ホスピスを思い浮かべる人が多いかもしれません。そういう人のイメージでは、おそらく緩和ケア=末期、となっているのではないでしょうか。
 
 緩和ケアというのは、つらさ、苦痛に焦点をあて、それらを緩和することを主眼とするケアのことです。病気の時期や、ケアを受ける場所とは基本的に関係ありません。緩和ケアという言葉を使う場合、その対象はかなり厳しい病を得た人であることが多いのですが、それは必ずしも末期を意味しているわけではないのです。

 病気にたいする治療を受け始めた時期でも、つらい症状があればそれを取り除くケアを受けることは大切です。病気の治療には我慢せざるをえないこともあるでしょうが、しなくても良い我慢をしたり、させたりしていることも多いと思います。

 緩和ケアの扉を叩くのは最後、というイメージを払拭していただきたいとおもいます。

最後の日々

2012-09-03 | 緩和医療
残された時間が少ないと感じたとき
なるべく自宅で多くの時間を過ごしたい
と思うひとが多いのだが

いよいよ最後を迎える場所は何処が良いか
をお聞きすると
自宅を選ぶひとは1割ちょっとで
病院やホスピスを最後の場所
と考えるひとが多数となるようだ

やはり末期の様々な症状や
急な状態変化に対する不安が大きいのだろう

そこをサポートできるような体制が
構築できれば
最後も自宅!!
という方が増えるのかもしれない