蝉の鳴き声で目が覚める。開け放った戸から差し込む陽光に目を瞬かせながら、蚊帳から這い出す。
朝メシ前の手伝いは、庭に出て、日蔭に植えたミョウガの繁みから、毎日、花ミョウガを摘んでくることだった。
やぶ蚊と格闘しながらの収獲で、手足を動かし続けているつもりでも、毎回あちこち刺されたっけ。
でも、湿った土から顔を出す、ずんぐりむっくりした独特の形を見つけると、なんとも嬉しかったものだ。
小さなザル一杯になるまで粘って探して、得意になって母親に自慢したこともあったな。
ミョウガを喰うと物忘れすると言われるが、鮮烈な香りを愉しみながら喰っていたら、子供の頃を想い出したのさ。
正式には花穂の部分なので、花ミョウガと呼ぶようだ。
ミョウガ。子供の頃は、あんな臭いものを喰うなんて大人はどうかしていると思ったが、今や夏の好物のひとつだ。
ミョウガを縦に刻んで、暫し水に晒す。こいつが無いなら素麺は喰うなっていうくらい薬味として溺愛している。
酒の肴なら、鮮烈な香気とシャキシャキの歯応えを愉しみたいので、これをカツオブシで和えて醤油をちょろり。
ざっくりかき混ぜるだけで、キンキンに冷やした吟醸酒にぴったりの夏の一品が出来上がり^^
妹香、「めのか」転じて「ミョウガ」となったらしい。ちなみに兄の香りは、「せのか」で「ショウガ」なんですと。
う~ん。これが妹の香りで、あれが兄の香りかあ・・・そう考えちゃうと、なんだか微妙。
あまりミョウガやショウガを溺愛しているなんて言ったら、本質はそっち系の奴なんだって誤解されちゃったりして^^