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ぽかぽか春庭「戦争画と戦争じゃない画 in 近代美術館その2」 

2021-05-06 00:00:01 | エッセイ、コラム
20210506
かぽか春庭アート散歩>2021アート散歩早春~春(3)戦争画と戦争じゃない画 in 近代美術館その2

 戦争画を描いた画家達の戦後の画業について。
 藤田嗣治、向井潤吉につづき、小磯良平を取り上げます。

 小磯良平は、赤坂離宮迎賓館の玄関から階段を上がったホールで最初に目に入る音楽家の絵の作者で、文化勲章受章画家です。裕福な家に育ち、フランス留学し、フランスから帰国後は戦争画で名をはせる。敗戦後は、戦意高揚絵画を描いたことを後悔する、とってもフツーな感覚の持ち主なんですけれど、私の趣味嗜好からいくと、「幸せな画家人生でよござんしたねぇ」という、いつものひがみねたみそねみ。

 小磯良平「練習場の踊り子たち」1938

 おそらく、小磯良平の述懐がもっとも多かった画家作家の身のこなし方だったろうと思います。戦中は粛々と軍の要請に従って戦意高揚画を描き、戦後は一転して「ああするより仕方なかった。戦争協力を後悔している」と述べる。反省さえすれば、間違った行動も帳消しにされる「告解」の制度、カトリックだけじゃなく、有効だったのですね。

 戦後民主主義者に育てられた私は、「ごめんなさいで済むならケーサツいらない」と叱られて生い立ちましたので、自分の行動には責任が伴う、ということをたたみ込まれました。告解の制度、うらやまし。10歳頃、近所の小間物屋で販促用の化粧品の小瓶ほしくて「だまって借りた」ことなんぞも、死ぬときは免罪にして欲しい。

 戦争画を描いた3人を取り上げました。
 戦争責任を負わされ、日本を追われた藤田嗣治。戦争画制作を後悔していると述べた小磯良平。インパールで死ぬところだったのに「戦争中に描いた絵で技術が向上した」と語る向井潤吉。
 それぞれの戦時中の絵と戦前戦後の絵。並べて見ることで「絵を描くこととは」「国家に協力するとは、協力を拒むこととは」と、思いつつ歩いた近代美術館常設展でした。 

 戦意高揚の絵を描けと求められれば、画家達は勇んであるいはいやいや戦争を表す絵を描きました。私の母などは、大本営発表以外になんの情報もなく、敗戦を意識したのはソ連参戦が伝えられたときだったと述べていました。それまでは勝利を信じていたと。
 今でも政府発表を信じてはいけない、という事例はあとはたちません。

 敗戦はつらいことでしたが、残った人々は復興に取り組みました。
 戦後、画家達はさまざまに画業を進めて行きました。
 戦後めざましい活躍を果たした画家のうち、岡本太郎の戦中戦後を見てみましょう。

 1911年生まれ、パリに留学し、ヨーロッパ戦線激化ドイツのパリ侵攻により1940年に帰国。1942年、31歳という新兵としては高齢で招集されます。補充兵役召集陸軍二等兵として中国戦線へ出征。
 厳しい兵役生活の間、師団長の肖像画を描かされたほかは、絵を描くことはなかった、というのは、戦後の岡本にとっては、むしろ幸運でした。戦後の活躍は、太陽の塔と「芸術は爆発だ!」のことばとともに、絵画に興味のない人にも知らない人がない芸術家になりました。 

 岡本太郎「夜明け」1948


 北脇昇「抛物線」1949


 戦争で傷つき松葉杖を脇に抱える兵士が洞窟の中に座っています。七輪は割れていて火が兵士を温めているとは思えませんが、洞窟の外には薄く日が見えます。
 薄い日であっても、夜明けは来ると信じて夜を耐えましょう。  
  
 靉光が「わたしには戦争画は描けない」とつぶやき戦場へおくられたように、どんな時代が来ようと「戦争はいやだ」と言い続ける老婆がいてもよい。どうせ老い先短い身、、、とは言っても、「美人薄命」が正しければ、あと30年老いながらえることになっている。

 五輪開催の巨大利権が大手建設業や広告代理店にもたらされるか、全部おじゃんになるかの瀬戸際。利権配分によって政権維持している政府は、五輪開幕7月までに全国民のワクチン接種をすませようと、なりふりかまわぬ情勢。休業要請への補償費など莫大な費用は、こののち、増税となってすべての国民の負担になりますからご覚悟めされぃ。
 言ってもせんないが「政府の無策によって、国民が税負担させられるのは、いやだ」
 と、力なくつぶやいてみる。

<つづく>
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