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ぽかぽか春庭「本紹介-DISCO」

2012-03-06 07:00:00 | 読書・本・ログ
2012/03/06
ぽかぽか春庭ブックスタンド>読んだ本、読みたい本(1)DISCO

 読んでよかった本の紹介ページです。
~~~~~~~~~
『DISCO』 
本文80ページ  1000円(税抜価格)
ISBN978-4-9906075-0-0
発行:co-LLaps(コラプス)

 「dis-communication/discommunicationを、一般的な英和辞典を調べても出てこないことが多い。「ディスコミュニケーション」は和製英語だからです。日本では、1988年に出版された植島啓司・伊藤俊治の共著『ディスコミュニケーション』によって一般に認知された語であるが、最初にこの語を使ったのは鶴見俊輔(1922-)だとか。(ここらへんの詳しい分析は和製英語の研究者にまかせるとして)一般には「ディスコミュニケーションは、コミュニケーションの不全や不能状態のことをさし、研究者によっては、反コミュニケーション、矛盾コミュニケーション、ゼロ度のコミュニケーションの意味を含ませる、のだそうです。

 真っ白い中にアルファベットで『DISCO VOL1』と印字されたシンプルな表紙。シンプルな全80ページの、小冊子ともいえる体裁の『DISCO』は、そのページ数からみると、ずしりと濃い内容を含んでいます。

 最初に「生きるためのテクスト」と銘打たれた5人の表現者へのインタビュー。山城むつみ、鈴木雅雄、岩本正恵、北小路隆志、磯部涼。そして杉井ギサブローと山村浩二との対談。この冊子を手にして目次を眺めただけで、ワクワクしてくるような人々が並び、これらの人たちにインタビューをし、編集作業を行ったのが、ひとりの若者であったことを知ると、若者ことばでいうところの「スゴッ!!」という感嘆が洩れます。

 編集担当者は、まえがきに言う。
 『世界をまたいで、通じないかもしれない言葉を、お互いにおずおずと差し出し会うこと。ディスコミュニケーションを成立させる場を準備すること。ささやかな足場を考える中で、誰もが関係し、興味がある共通のテーマとして-当たり前かもしれませんが-日常を「生きる」ことが浮かんできました。、、、、』

 2011年11月に発行された、志の大きなこの本を、「”生きる”ためのテクスト」として、ぜひ手にとってほしい。
 書評子が興味深く読んだ若い執筆者のテクストを紹介しましょう。張予思(ちょうよし)の「南京 東京」です。これは、私が日本語教師であり、1994、2007、2009年と3度にわたって中国の大学で日本語教育に従事した経験を持つことからの興味でもありますが、日本語を学んだ若い中国人学徒の声が、真っ白な表紙のシンプルさと響き合うように率直に表明されていることに気持ちよく読めたのです。日中の歴史問題を若者がどのように受け止め、どのようにこの先へ進んでいこうとしているのか、そのを聞くことができ、うれしく思います。

 編集を担当している「co-LLaps(コラプス)」、発行人宮田文久氏は、出版関係の仕事を続けつつ松岡ゼミに所属する院生です。
 まえがきの「生きるためのテクスト」ラストに編集子は言う。
 『夜をこえ、同じステップさえもふめずに、それでもぎくしゃくと共に踊るためのダンスフロア『DISCO』が始動します。』

 書評子は、毎週2回、ジャズダンスのレッスンに通っています。ダイエットの目的はいっこうに果たされていないけれど、心身の健康には役だっていると信じて、毎週ぎくしゃくと踊っています。さび付いた頭で振り付けが覚えられない。
 『DISCO』の始動に合わせて、さび付いた頭を生き生きとさせるために、同じステップは踏めないかも知れませんが、次回の出版『DISCO VOL2』を楽しみに待っています。

(某電子マガジンに掲載される予定の書評を先行UPしました)
☆   ☆   ☆   ☆   ☆

 踊りならなんでも踊りたがる春庭ですが、超若いころに「ゴーゴー喫茶」ってのにいったことはあるのに、ディスコ全盛時はでかけるヒマもなく、ディスコというところに行ったことがないのです。ジャズダンス仲間、ゆみさんの音頭で「ジュリアナ東京にみんなで乗り込んで、おばさんたちも負けてないとこ、見せてやろうじゃないの」ってことになったときも、疑似母子家庭で息子と娘をふたりだけで夜ほっておくことができずに、ディスコクイーンになり損ねました。

 ダンスのほうのディスコはフランス語のdiscothèque(ディスコテーク、または、ディスコテック)で、その元はマルセイユの方言で「レコード置き場」という意味なんだとか。
 和製英語、ディスコミュニケーション(「dis-communication/discommunication)も、人の交流不全、という意味にダブルミーニングとして、レコード置き場、記録倉庫という意味を含ませれば、この「無名人のブログ書き」も、「ディスコ」で踊るひとつの媒体となるにちがいない。

 踊れ! 

<つづく>
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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
2maria2 (maria)
2012-03-06 13:25:08
勉強になりました
ありがとうね
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まりあさん (春庭)
2012-03-06 14:01:01
ママが寝てからレグカするって書いてあったけど、もうママは寝たのかしら。

今日は昼、雨上がりのあと気温急上昇。
時間つぶしの昼寝もいいけれど、ぽかぽかの日差しを浴びて、切りたい足をお日様に向けてひなたぼっこしてね。

まりあさんの心の気温も上昇して暖かくなりますように。
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和製英語 (桂林)
2012-03-06 14:26:28
春庭さん こんにちは 午後のひと時 如何お

過ごしでしょうか 貴女様の御陰で生きる力を

戴きました 「ペットロス」「時薬」短縮文字

ではありますが当事者には意味が深くあります

昔も今も憧れはパリ ニューヨーク ロンドン

でしょうか それがケニアに憧れた女性を紹介

します 会社の事務員をして26歳のとき事務

にマンネリを感じ留学を思いついたのだそうで

す アメリカよりアフリカにインパクトがある

とケニアに向かった アフリカ中部の小国ルワ

ンダ 1994年の政府による大虐殺で約80

万人が犠牲になったとされるこの国で15年間

障害のある人たちに義足を無償で提供し続けて

きた ルダシングワ 真美さん49歳です
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Unknown (まっき~)
2012-03-06 15:18:34
北小路隆志と柳下毅一郎が現代で最も注目すべき批評家だと思っているので、おぉ! と思いました。
さっそく、手に取ってみます。(朝日の映画批評、このふたりの文章だけ切り取り保存中)
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桂林さん (春庭)
2012-03-06 20:54:34
青春の1年をすごしたケニアと、3度も単身赴任で出かけて仕事をした中国は、私にとって第2のふるさとのように思う土地です。

アフリカに根をおろして、現地の人々のために働く日本人が多勢いますね。たとえば、スーダン視覚障害者教育支援の会」、私はここのfacebookに登録しています。
また、ケニアに地元民のための豆栽培販売会社ケニアナッツカンパニーを創立した佐藤芳之の講演を昨年聴いたことも印象に残っています。
佐藤さんは「貧乏でかわいそうなアフリカに施しを与える」のではなく、「産業を創設し、雇用を確保する」というビジネス視点での活動を続け、ケニアナッツカンパニーが独り立ちでやっていけるとわかると、さっと株式をケニア人に分けてリタイアして次の国へ旅立ちました。

ルワンダのルダシングワ真美はじめ、ほんとうにすばらしい人々が地道に生活しています。

これから、そういう方々の紹介もしていきたいです。
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まっき~さん (春庭)
2012-03-06 21:05:45
北小路さん、まっき~注目の映画批評家だったのですね。

新進気鋭の批評を、私も読んでみようと思います。

このところ、テレビ放映の録画で、何度か見た映画を見直しています。今週はレインマン、トッツィと、ダスティンホフマン祭り。

来週は鎌倉まで藤巻義夫展を見にいこうかと。
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読んでみたい! (すみとも)
2012-03-06 21:13:20
世界をまたがなくても・・
我が家 日本語不自由? 愛情不足?コミュニケーションの不全家庭です~(笑)

錆びついた頭のために 読んでみます~^^
ありがとうございます



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これも愛 (春庭)
2012-03-06 23:06:39
今日、夫に「とりあえず、70歳までは働き続けるから」と申しますと、「僕は65で引退したい」と、気軽に言う。家計負担してないヤツは気が軽いこと。

愛も不足、コミュニケーション不全の我ら夫婦、ぎくしゃくちぐはぐと、ケナシあいながら生きております。ケナシ愛。
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2maria2 (maria)
2012-03-07 13:45:11
ママが寝てからしているわ
げんきになるわね
ありがとう
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