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ぽかぽか春庭「いろは歌 粗朶火燃え散る囲炉裡辺に」

2025-01-16 00:00:01 | エッセイ、コラム
20250116
ぽかぽか春庭ことばの知恵の輪>いろは歌(日本語音節と音節文字)(3)粗朶火燃え散る囲炉裡辺に

 2011年の春庭コラム再録です。
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2011/01/30
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語講座>いろは歌再び(日本語音節と音節文字)(4)粗朶火燃え散る 囲炉裡辺に

 明治時代に「萬朝報」が行った「現代いろは歌」公募には1万首もの応募があったそうです。そのうちの優秀作第一席が埼玉県児玉郡青柳村・坂本百治郎の作った「鳥鳴く声す」です。坂本百次郎は数学教師だったそうで、アナグラムを考えるのが得意だったのかもしれません。「とりなくこえす」は、小学校の壁にも張り出されて、児童が「ひらがな」を覚えるために教育用としても使われたそうです。

「鳥啼く声す 夢覚せ 見よ明け渡る東を 空色栄えて沖つ辺に 帆船群れ居ぬ 靄の中」という1位に対して、第19席になったのは、「粗朶火燃え散る」の歌。「鳥鳴く声す」が、明治の世にふさわしい勇ましくて明るい雰囲気を出しているのに対して、「粗朶火燃え散る」は、世の文明開化のかけ声とは裏腹な明治の庶民の現実を歌い、身に染みます。実際の社会はこのようなものだったのでしょうけれど、第1席に比べると19席とは評価が低い。私は、「粗朶火燃え散る」のほうが詩情があっていいように思います。明治の貧窮問答歌といった趣です。

粗朶火燃え散る 囲炉裡辺に 賤の夜寒を 嘆く見ゆ 女子弟飢ゑて 顔痩せぬ 哀れ着い寝ん藁衾
そたびもえちる ゐろりべに しづのよさむを なげくみゆ めこおとうゑて かほやせぬ あはれきいねん わらぶすま   

 18席となったのは、東京・萬年昭明の作。「あめつちの詞」のように、名詞を並べるタイプで、氏姓を並べています。明治の世になって、民百姓も苗字をつけることになった社会を詠んでいます。

八十氏増して、大江・布留・櫻井・權田・長谷・楡木・餌守・犬飼・根津・夢野・小室・和気など算み能へず
(やそうじまして、おほえ ふる さくらい ごんだ はせ にれぎ ゑもり いぬかひ ねづ ゆめの をむろ わけなどよみあへず)

 1952(昭和27)年に週刊朝日が公募した「新いろは歌」。明治の和歌調文語体に比べて、口語体の「いろは」が増えていきます。戦後復興に燃える明るい歌が多くなっています。

「ビールを飲めば」(大阪府貝塚市・西本翔蔵)
ビールをぐっと飲み干せば 青いロマンス胸に燃え 歌声柔わし霧濡れて 幸夢かなへ夜更け空
びゐるをぐつとのみほせば あおいろまんすむねにもえ うたごゑやわしきりぬれて さちゆめかなへよふけぞら       

「夢を語らん」(東京都・露木竹夫)  
笑くぼせつない君とゐる 優しさより添ふ胸の間に 日ごろ思へば忘れ得ぬ 夢を語らんうちあけて
ゑくぼせつないきみとゐる やさしさよりそふむねのまに ひごろおもへばわすれえぬ ゆめをかたらんうちあけて

「花売娘」(徳島・宇山千代枝)
ネオン揺れる頃笑って 今日街にゐた花売娘 青い瞳燃え やさしの靨へ風そよぎぬ
(ねおんゆれるころわらって けふまちにゐたはなうりむすめ あをいひとみもえ やさしのゑくぼへかぜそよぎぬ)

「ああ広島」(宮城・中川弘)敗戦後7年目に、平和を願う心が表されています。
あはれわが夜毎夢見る 失せ亡ぶ邑の衢や 末思ひ冱えゐて寝ぬに な作りそ原子兵器を
(あはれわがよごとゆめみる うせほろぶむらのちまたや すゑおもひさえゐていぬに なつくりそげんしへいきを)

 まあ、どれもなんて上手なんでしょう。日本語の言葉遊び、奥が深いです。
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20250116
 2024年1月、娘が懸賞に当たり、2度もディズニーリゾート招待をたのしみました。3月の北海道エスコンフィールドお食事券、9月の大阪USJ2日券も娘の懸賞当選。なんだかんだで楽しくお出かけした2024年でした。

 春庭2025年新作。ディズニーエレクトリカルパレードのラプンツェルでいろは歌。コソ泥フリン・ライダーは、塔の屋根で 泣くラプンツェルの声を聞いて会おうとがんばる。ラプンツェルもコリンのために髪を下ろす。

 地も 這へと 吠ゆ 我 呼びぬ ラプンツェル 泣く声 聞いた  
 真屋根に 娘 髪の毛を おろし そろりと 居させて 会う  
 ちも はへと ほゆ われ よひぬ らふんつえる なく こゑ きいた 
 まやねに むすめ かみのけを おろし そろりと ゐさせて あう 

エレクトリカルパレードのラプンツェル

<つづく>
        
コメント
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