医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病合併症の予防・治療とビタミンCについて その二 栄養医学ブログ

2011-04-01 19:09:38 | 健康・病気

 細胞代謝に及ぼすビタミンC(AA)サプリメントの効果を単純図式化すると、AAの作用は、糖尿病時の糖輸送担体が関わった酸化型ビタミンC(DHA)の細胞内への取り込みに、もっぱら関係しています。著しく増加する血漿ビタミンC濃度では、血清アルブミンやセルロプラスミンのような,ascorbate oxidaseによって、DHA産生の増大をもたらします。DHAは、糖輸送担体によりグルコ―スと競合します。そして、細胞内へのグルコ―スの流入を減少させます。グルコ―スの流入の減少は、aldose reductaseによってソルビト―ルの産生の減少をもたらし、protein KinaseC活性と糖化終末産物(AGEs)の減少をもたらします。そういう理由から細胞病理学的反応を減少させます。一方、グルコ―スに関係したDHAの輸送の増加は、細胞内のAAへの転換が促進されます。そして、dopamine beta hydroxylase(DBH)活性を刺激します。DBH活性の増大は、順次、dopamine(DOP)とtyramine(TYR)がそれぞれの代謝産物に変換する率を増大させます。そして、神経機能を最適化します。メラニン産生とそのAGEsへのメラ二ンのincorporationは最少になります。そして、細胞内が正常化し、代謝が正常化し、合併症を予防し、治療します。ちなみに、AGEsの蓄積は細胞障害をもたらし、糖尿病合併症の原因になり、ソルビトールは蓄積されると神経細胞が障害を受けます。

上記、研究により、食事療法、運動療法、プロバイオティクス療法とともに、ビタミンC(VC)も他のビタミン・ミネラルの適正量とともに摂取すると、軽い糖尿病なら改善すると、我々の調査でも判明しています。透析をしている糖尿病患者や重度の合併症の方は、糖尿病に詳しい医師に相談下さい。重い腎障害の方は、大量療法は向きません。なお、VCはビタミンというより、普通の栄養素です。歴史的事情でビタミンにされてしまいました。

次に、細胞の小胞体が活性酸素や発がん物質などに暴露されたり(酸化ストレスなど)、また、それらによってミトコンドリアが傷ついたりすると、糖尿病が発症するという、研究もあります。さらに、ビタミンCは活性酸素や発がん物質を消去し、小胞体やミトコンドリアが傷つくのを防ぐので、糖尿病の発症に対し有益と考えられます。更なる研究が行われることを期待しています。

Reference

Robert Root-Bernstein, J.theor.Biol. (2002) 216, 345-359

 

 

 

 


糖尿病合併症予防・治療とビタミンCについて その一 栄養医学ブログ

2011-04-01 16:29:51 | 健康・病気

Robert Root-Bernsteinらによると、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、それに糖尿病性腎症を含む糖尿病の合併症のいくらかは避けることができるし、治療可能とのことです。DHA-グルコ―ス阻害の速度では、高血糖症による細胞特異性壊血病の発症は、ビタミンCの摂取を増大さすことにより、糖尿病患者で治すことができます。その際、脳やその他の重要な器官システムでは、グルコ―スの吸収に拮抗しません。コントロ―ルがうまくいっていない糖尿病患者の糖輸送担体依存性細胞への酸化型ビタミンC(DHA)の流入速度を調整する還元型ビタミンC(AA)の濃度を増やすことが、合併症予防・治療の鍵となると、考えられます。

 8mM濃度のグルコ―スが存在するとき、DHAの細胞への流入を調整するために必要な還元型ビタミンCの血漿濃度は、100μM-120μMであると、推定されます。ちなみに、8mMはコントロ―ルがうまくいってない糖尿病に特有な、基準となるグルコ―スの血漿濃度です。重度の高血糖状態でいる間は、細胞へのDHAの流入を再度、正常化するには、150-250μMの血漿ビタミンC塩値で達成可能です。そのような濃度は、臨床上、可能な範囲です。すなわち、150±50μMの一定した血漿濃度は、一日あたりビタミンC(還元型ビタミンC)を一ないしそれ以上のグラムの補給で、一時的に達成可能です。さらに高い値はビタミンC(AA)の静脈内投与(点滴)により達成できます。

 酸化型ビタミンC(DHA)の点滴は赤血球の細胞膜と腎臓刷子縁膜の崩壊をもたらし、膵臓β細胞に対し毒性となる可能性があります。したがって、野菜や果物は新鮮なものを食べましょう。古いとAAが減って、DHAが増えている可能性もあります。缶詰の果物もDHAが増えている可能性があります。点滴と経口摂取とは消化管を通らないのと通る違いがありますが、酸化した食品は良くありません。酸化型ビタミンCも同様なことは、Heaney博士の研究が示しています。

 ビタミンCナトリウムの補給は、糖尿病ラットの代謝性変化に伴う網膜症を改善させ、その臨床像を改善さすことが、証明されています。ビタミンC(VC)の補給は、糖尿病ラットの腎臓糸球体の大きさと機能を改善させます。さらに、ヒト患者でのVCの補給は、細胞のソルビト―ル濃度を著しく減少さすことが、証明されています。適切なビタミンC塩濃度は、実験動物やヒトの糖尿病患者の網膜症、腎症、それに神経障害等に対し、保護作用があるはずです。酸化型ビタミンCに気をつけて、冷蔵庫に入れ、蓋をよくしていれば、還元型ビタミンCは酸化型ビタミンCに変換しないでしょう。くれぐれも酸化型ビタミンCには気をつけましょう。次に、ビタミンC等の栄養サプリメントは、新鮮な野菜や果物を多く摂取する場合、抗ガン効果が高まり、タバコや酒もやめた方がより有効で、併用した場合、副作用が出る事も有ります。さらに、足湯で足を温めると、免疫能が高まり、膝痛、ガンに良いようです。それは温熱療法の家庭版です。また、糖尿病の場合は生の果物の摂取が賢明と、考えられます。

 Reference

Robert Root-Bernstein, J.theor.Biol. (2002) 216, 345-359.