細胞代謝に及ぼすビタミンC(AA)サプリメントの効果を単純図式化すると、AAの作用は、糖尿病時の糖輸送担体が関わった酸化型ビタミンC(DHA)の細胞内への取り込みに、もっぱら関係しています。著しく増加する血漿ビタミンC濃度では、血清アルブミンやセルロプラスミンのような,ascorbate oxidaseによって、DHA産生の増大をもたらします。DHAは、糖輸送担体によりグルコ―スと競合します。そして、細胞内へのグルコ―スの流入を減少させます。グルコ―スの流入の減少は、aldose reductaseによってソルビト―ルの産生の減少をもたらし、protein KinaseC活性と糖化終末産物(AGEs)の減少をもたらします。そういう理由から細胞病理学的反応を減少させます。一方、グルコ―スに関係したDHAの輸送の増加は、細胞内のAAへの転換が促進されます。そして、dopamine beta hydroxylase(DBH)活性を刺激します。DBH活性の増大は、順次、dopamine(DOP)とtyramine(TYR)がそれぞれの代謝産物に変換する率を増大させます。そして、神経機能を最適化します。メラニン産生とそのAGEsへのメラ二ンのincorporationは最少になります。そして、細胞内が正常化し、代謝が正常化し、合併症を予防し、治療します。ちなみに、AGEsの蓄積は細胞障害をもたらし、糖尿病合併症の原因になり、ソルビトールは蓄積されると神経細胞が障害を受けます。
上記、研究により、食事療法、運動療法、プロバイオティクス療法とともに、ビタミンC(VC)も他のビタミン・ミネラルの適正量とともに摂取すると、軽い糖尿病なら改善すると、我々の調査でも判明しています。透析をしている糖尿病患者や重度の合併症の方は、糖尿病に詳しい医師に相談下さい。重い腎障害の方は、大量療法は向きません。なお、VCはビタミンというより、普通の栄養素です。歴史的事情でビタミンにされてしまいました。
次に、細胞の小胞体が活性酸素や発がん物質などに暴露されたり(酸化ストレスなど)、また、それらによってミトコンドリアが傷ついたりすると、糖尿病が発症するという、研究もあります。さらに、ビタミンCは活性酸素や発がん物質を消去し、小胞体やミトコンドリアが傷つくのを防ぐので、糖尿病の発症に対し有益と考えられます。更なる研究が行われることを期待しています。
Reference
Robert Root-Bernstein, J.theor.Biol. (2002) 216, 345-359