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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

またカメの話?

2010年08月20日 | 哺乳類、爬虫類、他
 昨日と今日は、暑さが少しだけ落ち着いた感じで、助かりました。

 夕方の海の写真でも見てください。伊豆諸島の沖の島々です。左側が新島、右側が利島、真ん中にうっすら見えているのが、神津島です。

 元町港の辺りから見る沖の島々の配列とは、随分違うはずです。これは、大島の南部の海岸から望んだところです。

 こちら↓の噴煙を上げているのは三宅島です。2000年の大噴火以来、煙や有毒な火山ガスを出し続けているそうです。



 これ↓は、10日ほど前の同じ海岸でのこと。

 ウミガメの産卵から2ヶ月程が経って、子ガメたちが元気に降海(こうかい:海へ旅立つこと)したので、その巣穴を掘り起こして、孵化率などを調べました。

 梅雨の末期に大雨が降ったり、強烈な夏の太陽に照らされたりしたので、うまく孵化するか、ちょっと心配でしたが、6割くらいの47匹が夜の間に砂中から脱出して降海したようです。



 この発掘作業で、産卵巣の中に取り残されていた子ガメ7匹が生きていたので、暗くなり始めた海へ放流しました。

 子ガメは、明るい昼の海では天敵に見つかりやすいので、暗い内に出来るだけ陸から離れられるように、必死に泳いで行きました。

 暑い砂の中にいても、広い海へ泳ぎだして行く子ガメたちは、しっかり心の準備ができていたようです!?


 
 でも、それから日本列島には、台風4号が接近・通過して、波浪も高くなりました。

 子ガメたちのことは、それぞれの生命力と運にまかせて・・・

 残りの産卵巣が流出しないように、波打ち際に近い卵を別の安全な場所へ移植しました。

 砂防堤やダムなど、治山のための土木設備が整ってきたことなどで、全国各地で海岸の浜痩せ(やせ)という砂不足問題が起きています。大島の砂浜も同様です。



 この↑時点で、すでに死んでいる卵・・・卵殻の中で胚の発生が進んでいるのが、生きている卵です・・・が、判別できる場合は、死んでいる卵を除去します。

 鳥類の卵のように、厚い殻で覆われていないウミガメの卵は、死んでしばらくすると変色して生死が分かるのですが、砂の中にあるので、どの時点で死んだものかは、分かりにくいです。

 実は、この卵たちは、ほとんど死んでいましたが、無精卵で最初から生きていなかったのか、産卵後の早い時期に水没するなどして・・・窒息死してしまったものなのか、分かりません。 



 
 こちら↑は、元気な生きている卵です。きれいな白い色の殻がパンパンに張っていて、見るからに元気そうです(笑)

 見ていて嬉しくなります!

 もうしばらく砂浜で温められて、孵化の時期を待ちます。



【今日のおまけ】
 先週のこと、砂浜を歩いていて、流れ着いた海藻の上に小さなカニを見つけました。


 

 甲羅の幅が18ミリほどの、オキナガレガニです。
 
 丸っこくて、足が平べったい特徴に、まだら模様。



 以前、思わぬ所で見つけて驚きました。調べると、もう10年前のことでした。




 2000年6月18日に採集し、この時もすでに死んでいましたが、ホルマリンに漬けました。これ↑は、その標本の方のオキナガレガニ。

 その「思わぬところ」とは、カメの産卵巣の中だったのです。

 産卵の翌朝、すぐに卵を移す移植作業をしていた時、卵塊の中で発見したこの個体は、死んだばかりのように見えました。

 流木・軽石・流れ藻などや、ウミガメやクラゲに付着して太平洋を漂流しているカニだそうです。

 だから和名が、沖流れ蟹(カニ) なのですね。 翁枯れガニじゃなくて・・・。



 きっと、カメの尻尾の辺りに付着していて、産卵中に巣穴の中へ落ちたのでしょう。

 アカウミガメの卵の直径は、通常36~43ミリくらいですが、中にはこんなに小さな卵が混ざっていることもあります。卵径10ミリくらい。小卵の多くが卵黄はありません。



 この時季、カメネタが多くて、すみません。

 (なるせ)




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最近、話題の?キセルガイ

2010年07月28日 | 哺乳類、爬虫類、他

 毎日、暑い日が続いています。それでも本土に比べ涼しい大島なのですが、暑いものは暑いです。

 しかし、未だに「ホ~ホケキョ」とウグイスの鳴き声が聞こえてきます。
春先には、実をつけていた木々も今はジッと暑さに耐えているようです。
春に実をつけるというと、人気なのはクワです。
甘味の強い、独特な味は正に春の味覚です。
そんな、クワの木が好きなのは、我々だけではありません。

それは、こいつです↓


と言ってもこいつが好きなのは、実じゃありません。
大島にはどこにでもクワが生えていますので、食べ物には困らないしょう。
名前は「ヒカリギセル」といいます。
先週、ご紹介した「ハコネギセル」に比べ、大きさが2~3cmと小さく
体色も淡い黄色味がかった茶色で、光沢があります。
東北から関東・中部地方まで広く分布している貝で、大島にも分布しています。

タイトルの「最近、話題?」とは何の事か?というと
この貝、実は肝臓病に効くとして、健康食品としての需要が増加しているそうなのです。
桑の木やその近くについている、小さなキセルガイにまさかそんな効果があるとは思いませんでした・・・

需要が増加と言っても、専門で採って商売にしている人も少ないのか
農林水産省で、養殖技術の確立を目指しているそうです。
しかし、生態が良く分かっていないのか、食性や繁殖等様々な実験が行われ
今現在では、ほぼ確立されているようです。

調べてみると、粉末にして販売されているらしいのですが
なんて商品名で、どこから販売されているのか?全く分りませんでした。
誰かご存知の方がいたら教えて下さい。

しかし、養殖技術が確立したというのは、非常に嬉しいことです。
こういう貝は、乱獲されるとすぐに絶滅の危機に瀕するでしょう。
実際、岩手県では準絶滅危惧種に指定されているそうです。

しかし、このヒカリギセルにも天敵がいます。
それは、大島にも生息するムネクリイロボタルの幼虫の餌になるそうです。
ホタルの仲間は、結構、陸性の貝を餌にする場合が多いのです。
ムネクリイロボタルは、大島にもそこそこ生息しているので、ヒカルギセル等の陸性貝も豊富なんでしょう。

いや~ ムネクリイロボタルは、よっぽど肝臓が丈夫なんでしょうね~
(そんな訳ないか・・)



 

 

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陸上に棲む貝達

2010年07月21日 | 哺乳類、爬虫類、他

すっかり夏の陽気です。
とにかく毎日暑い・・・ 少し動くと汗をかき、水分補給が欠かせません。
我々人間よりも乾燥が大嫌いな生き物が身近にもいました。
それがこれ↓

これは、陸に棲んでいる貝の仲間(キセルガイ)です。
先週、陸に棲んでいる貝の代表選手「カタツムリ」について基本説明をしました。
なので、今回から大島に生息している詳しい種類を1種づつ書いて行きましょう。
実は、大島で発見した陸産貝達を詳しい方に精査して頂いています。
そちらの感謝の意味もこめ、この場を借りて発表して行きます。

まず、陸産貝という聞きなれない言葉から説明します。
書いて字の如し、陸に棲んでいる貝の事です
貝と言えば海に生息している種類が殆どです。日本だけでざっと5000種以上はいるでしょう。
これに後鰓亜綱のウミウシを入れれば、その数はいくつまで昇るか検討も付きません。
しかし、陸上にも実は数多くの種類が生息しています。
日本には亜種も含め約190種以上いると言われています。
陸で生活するからには、鰓ではとても都合が悪いです。なので、みんな肺を持っています。
先週も書きましたが、これらを「有肺類」と言います。

では、有肺類は全て陸産貝と言えるのか?というと非常に疑問です。
何故なら、過去にこのブログで連載されていた「磯の貝達」シリーズで紹介されたカラマツガイや
オカシイノミガイなんかも「有肺類」になります。
これは、有肺類でありながら海の側(近海)に棲んでいます。
これらは、陸産貝とは表現し難いので、ここでは仲間外れにします(笑)

さて、前置きはこれ位にして、具体的な種類を紹介して行きます。
第一回目の今日は、上の写真の貝「ハコネギセル」です。
大きさは、4cm程までなる大型のキセルガイです。このキセルガイを一番身近で見る気がします。
店の外シャワーや器材洗い用の水槽等にくっついているのは、全てハコネギセルです。
それだけでなく三原山のカルデラ内で発見したのもこのハコネギセルでした。

ハコネギセルは、その名の通り「箱根」が模式産地になっています。
なので、学名の種小名も「hakonensis」となっています。
伊豆半島や関東地方にも広く分布しており、
特徴は、何と言ってもこの赤茶褐色をして色合いです。大島では他にはこういう色のキセルガイを見た事がありません。

大島で既に調査、発見されているキセルガイ科の貝は全部で4種
●ハコネギセル
●ヒカリギセル
●ヒクギセル
●ヒロクチコギセル

今後、何種出現するか楽しみですね。
「陸産貝」は決して、自然豊かな場所にしか居ないという生き物ではありません。
庭の石や朽木をちょっと捲って見て下さい。きっと捲った石や木の裏側に付いていますよ。


 

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ツチガエルのお玉ちゃん

2010年07月16日 | 哺乳類、爬虫類、他
 西日本を中心に集中豪雨が続いていますね。梅雨の末期の大雨は災害になりやすいので充分注意が必要ですね。

 世界的にも、中国で死者不明500人以上にも。ドイツやフランスでも記録的な雨量で死者や被害がかなり出ているようです。

 お見舞い申し上げます。

 この梅雨の大島の総雨量は少なめだったと感じています。まだ梅雨は明けていないし、実際の雨量を調べたわけではありませんが。

 天気図の梅雨前線が、九州~東北方面で停滞していることが多かったですね。これは、偏西風の蛇行が原因とか、地球温暖化が関係しているようだとか・・・。


 うーん! 温暖化で雨の降り方も変わるの!?



 カエルが鳴くと雨が降る、などと言いますが、昨日は昼頃まで時々小雨が降っていて、カエルが喜んで(か、どうか知りませんが)、鳴いてました。

 その時のツチガエルの声を文字で「ガーーーガーーーーガーーーーッ」としか書けません。何と表現したらいいか??? ほうずきを鳴らすような音って分かりますか? 最近、やりませんか?

 上の写真、ボケててすみません。その上、水面が反射して見えにくいですが、浮き草ホテイアオイの根元についているツチガエルの卵塊です。今年は5月8日に見ました。



 これは4日後、5月12日です。胚が長くなって、鰓(えら)が出来始めるころです。水中で呼吸できる準備がととのうと、寒天質の包層を破って水中へ出ます。



 おたまじゃくしは暗灰色で、銀色の小点を散らした、何ともかわいい、お玉ちゃんです。

 目の周りは、まだ透き通ってますね。



 モリアオガエルと同じ頃に産卵を始めるようですが、モリアオガエルのおたまじゃくし達がどんどん大きくなって、成体に変態して池を出て行くのに、ツチガエルのお玉ちゃんは小さいままです。

 上にいる黒くて大きいのが、モリアオガエルのおたま。もう、足が付いています。中位のは、早く孵化したツチガエルです。ツチガエルはおたまじゃくしのままで夏秋を過ごし越冬もして、翌春に成体となります。

 どうして、1年近くも「おたまじゃくし」やってるのでしょうね?


 ↑は、お玉ちゃんのお父様かもしれません。ツチガエルの成体です。前肢(手)に注目して下さい。指先がはっきり見えます。水かきがありません。後肢(足)には、立派な水かきが付いています。



 ↑は、安産型のように見えます(笑)メスでしょうか? ツチガエルのお母さん? これもボケ画像で失礼。撮影に近づきすぎて、すぐ池の中へ逃げられてしまいました。

 アカガエル科のツチガエル。

 アオガエル科のモリアオガエル。

 ヒキガエル科のヒキガエル(ガマ)。

(調べていたら、伊豆諸島の両生類目録は、ニホンヒキガエルが生息となっています。アズマヒキガエルだと聞いていたので???)今日の主役はツチガエルなので・・・統一見解は、また後日。



 元町の知人宅へ伺って、お庭の池を覗かせて頂きました。昨日もまた、ツチガエルの新しい卵がオオシマカンスゲの葉先に産み付けられていました。新しい卵は、このように黄褐色で、ヒキガエルのようなヒモ状ではなく、不規則な形の寒天状包層に入っています。

 小さな池なので、過密状態にならないかな? たくさん孵化して、来春たくさん成体になって蚊やハエをたくさん食べて欲しいものです。


 カエルが、たくさん鳴くと、たくさん雨が降る?  

 雨は、ほどほどで。


 (なるせ)
 

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カタツムリの季節

2010年07月15日 | 哺乳類、爬虫類、他

梅雨です。
「で~んでんむ~しむし、カタツムリ~~♪」 童謡にもなっている生き物「カタツムリ」を良く見かける季節です。
雨の日に表に出れば、紫陽花の葉の上に這っている姿を目にします。

ここで、質問です。「カタツムリ」って何の仲間でしょう??
保育園児に質問したら「虫!!」って即答していました(笑)
確かに、でんでん「ムシ」と名前に「ムシ」が付いていますが、勿論虫ではありません。
カタツムリは立派な貝の仲間です。
貝というとやっぱり、サザエやアワビ・ハマグリ等海の物を想像するでしょう
しかし、貝という軟体動物は非常に幅が広く、多くの種類が陸上に適応して生活しています。

歌の中に「お前の目玉は何処にある~♪」とありますが、触角の先端にあります。
海の貝は触角の根元にある種が多いです。
その他の違いをあげると蓋を持っていません。

グループを専門的に言うと「有肺類」になります。
その中でも、球型や饅頭型の大き目の貝を持っている物の総称を「カタツムリ」と呼んでいます。

雨の日に良く目にするのには、理由があります。
カタツムリの多くは、乾燥に弱いのです。
なので、乾燥している冬等は足から分泌された粘液が乾いて蓋の役割をします。

葉っぱの上にいるというイメージが強いカタツムリですが
海岸や畑地・人家の庭等の開けた場所でも多く見られます。
中には山の奥や木の上等を好んで生息している種類も居ます。
表に出ていない時には、朽木や石の下等に居る事が多いです。

都会では、コンクリートに壁に付いている姿を良く目にします。
良く「カタツムリはコンクリートを食べている」と話を耳にしますが
これは、あながち間違えじゃありません。
正確には、コンクリートに含まれる石灰岩をこそげ取って食べているのです。

日本は世界でも有数の石灰岩地が豊富な土地です。
この石灰岩が貝殻を作るのに必要なカタツムリは、その石灰岩が多くある場所に分布が集中しています。
その為、その場所・その環境でしか見られないというカタツムリが居るのです。
例えば、絶滅危惧種のモリサキオオベソマイマイ等は、徳島県阿南市の石灰岩地の固有種でここでしか見られない特有の種です。

この時期、葉っぱを捲ると時々、2匹で仲良くしているカタツムリを目にします。
繁殖の為に交尾を行っているペアです。
カタツムリは実は、雄も雌も無い雌雄同体です。勿論、1匹での自家受精も可能ですが、卵の数が減ったりと問題も起きるので大抵交尾を行い産卵をします。
カタツムリは土の中に卵を産み付けます。2~3週間すると孵化するのですが、なんとカタツムリその物が出てきます。
産まれた時から小さな貝をちゃんと付けているのです。
成長は実は遅く2年位かけて成体になる種類もいるのです。
小さいカタツムリは実に可愛いですよ~

飼ってる方には、餌にキャベツをあげたりしている方もいますが
自然界では、生の植物や枯葉などを食べています。コンクリート等に付いた藻類も餌になります。
中には、園芸植物や野菜を食べてしまう種類もいて、駆除の対象になっています。
確かに折角育てたトマトを齧られたら、かなりムッとしますよね~
まっ それだけ皆さんの家の野菜が美味しいという事で大目に見て下さい(笑)

そんなカタツムリですが、天敵は非常に多く居ます。
有名なのがマイマイカブリです、その名から分るようにカタツムリが大好物です。
右巻きが多いカタツムリを食べる為に、頭が右の曲がっていると言うから驚きです。
他にも、コウガイビルの仲間やカエル・トカゲ・イタチ・ネズミなど等、天敵だらけです。
その割に、貝殻はちょっと強く掴むとパキッと割れてしまう程弱く、蓋もありません。。。
なんて無防備なんでしょう!!

ここ伊豆大島で、カタツムリと呼ばれるのは以下の2科です。
オナジマイマイ科・ナンバンマイマイ科 です。
過去に調査された記録によると
オナジマイマイ科
ツバキカドマイマイ エンスイマイマイ オナジマイマイ
ウスカワマイマイ シモダマイマイ ヒダリマキマイマイ

ナンバンマイマイ科
ニッポンマイマイ

の7種類が生息している事になっています。
この中でも、ツバキカドマイマイは椿の樹上に生息するという、正に大島を代表するかのようなマイマイです。
しかし、準絶滅危惧種に指定されています。是非、見てみたいですね~

上述の和名を見てもらって分る通り、全て「~~マイマイ」となっています。
そうなんです。カタツムリとかデンデンムシって呼ばれる生き物は実は分類学的にはいないのです。
なので、前にも書いた通り、あくまでも「総称」となるのです。
子供から大人まで、誰もが知っているカタツムリ。
都会でも身近に見られるこの陸貝にも、実は細かい種類や生態があります。
身近に生息しているからこそ、知ってる様で実は何も知らない生き物と言えるでしょう。
実は、絶滅危惧種や天然記念物を多く含む貴重な生き物なのです。

自然のカタツムリが、いつまでも普通に見られる環境をいつまで大事にしていきたいですね。

上写真のカタツムリは、詳しい方に聞いたら「ミスジマイマイ 離島型」という種類だそうです。
ここで「???」 上のリストにはミスジマイマイの名前はありません・・・
どうやらまだまだ記録されて居ないカタツムリが生息している様です。
今後、どれだけ発見出来るか楽しみですね。


 

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カテゴリー

2010年06月18日 | 哺乳類、爬虫類、他
 梅雨らしく、シトシト、ザーッと降っては止み・・・日が射したかと思うと、また暗くなって、パラパラ・・・。その雨つぶに濡れたガクアジサイが、何ともステキですねェ。見とれてしまいます。

 今年もウミガメが産卵に来る季節となりました。

 砂浜に卵を産む穴が上手く掘れるように、雨が降って砂浜の砂が湿り気を帯びるのを待っていた・・・というわけではないようです。産卵したいという衝動は、海水温と関係があるようです。
伊豆大島で上陸産卵するアカウミガメは、水温が20℃程になる頃から上陸行動を起こすようになります。


 この画像(↑)は、10日程前に砂浜に残されていたウミガメの上陸痕跡です。

 今年は、すでに2回上陸が確認できました。2回目は産卵巣も確認しています。昨年も少し書きましたが、この辺り関東エリアはアカウミガメの繁殖地の北限域で、産卵に来る親ガメの個体数は少ないのです。

 どのくらいの数かというと、伊豆諸島の全体の合計でも、上陸回数は20回に満たないくらいです。

 「みどりの地球大好き会」で調べ始めて19年目になりますが、比較的上陸頻度の多い大島で、
1995年に9回の上陸を確認したのが最高記録です。



 昔のことをご存知の方々から「(ご自分が)子どもの頃は(産卵に来るカメが)もっと多かった」と教えて頂きました。戦後、食料品の少ない時代に、「卵を掘って食べてみたがまずかった。茹でても固まらないから気持ち悪いなあ」など。大島ならではの、いろいろな体験談から昔の様子が少しずつ分かってきます。

 画像では上陸跡の大きさが分かりにくいですね。この個体の足跡の幅は約80センチでした。

 念のため、卵の有無だけ確認して埋め戻し、保護柵をして孵化を待ちます。



 ウミガメの話題をこの日記に書く時、カテゴリー「哺乳類、爬虫類、その他」を選んでいます。
もちろん、ウミガメは爬虫類ですが、浜辺の出来事ですし、「海の生物」でもいいです。

 大島では陸上で見られる動物相が少ないので、爬虫類の増量のため!カテゴリーに加えている?!(笑)




 通常は海中で生活しているウミガメが、上陸中は法的に、どのように扱われるべきでしょう?

 鳥獣保護法でしょうか? 



お隣りの伊豆半島の南伊豆町では、ウミガメ保護条例を制定して。そのお隣りの御前崎町では、国の天然記念物に指定して保護しています。伊豆大島では・・・まだまだ(汗)

 国立公園の大島の砂浜で野生動物が繁殖するのですから、何かしらの保護策があるはず?!

 国立公園の特別保護地区では、動物を捕獲し・・・卵を採取し、もしくは損傷することには、環境相の許可が必要(自然公園法)ですが、伊豆諸島の砂浜で特別保護地区に指定されているのは、
新島のシロママ層下の砂浜だけでした。大島にはありません・・・。

 当然ながら、上陸しているウミガメは、魚介類ではなく「動物」の扱いです。

 東京都では、漁業調整規則(アオウミガメ・タイマイ)、漁業調整指示(アカウミガメ)で漁の規制としての保護です。

 砂浜海岸の背後の植生帯や砂の供給源も含めた繁殖地の保護が急がれます。



 
 保護した子ガメたちが、大きくなって戻って来るまでには、もう数年は掛かりそうです。

 (なるせ)





 【この活動は、東京都漁業調整委員会から承認を得て、調査協力として行なっています】





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ムシの日

2010年06月04日 | 哺乳類、爬虫類、他
 暑くなりました!
 昨日は25度を越えて夏日でした。今日も夏日だったのでは?!

 今日は6月4日でムシの日。 (虫歯予防デーとも・・・)

 それでトップ画像は、ご近所のお家の壁に取り付けられている、虫のオブジェです。
子どもさんの作品で、なかなかいいですよね。

 虫の日にちなんで、今日見つけたカミキリムシの仲間をネタに日記をと考えたのですが、その正体が解明できず時間切れになってしまいました(汗)

 春から初夏は、虫たちの発生も活動も多く、活発で目立ちますから、最近このスタッフ日記も虫を題材にしたものが多くなりがちです。

 そこで、ちょっと目先を変えて、虫はムシでも虫偏の長ーいもの・・・。

 ヘビ。 お嫌いな方は、ここまでということで(笑)





【ヘビの抜けガラ】

 
 3メートル程の高い枝に掛かっているのは、ヘビの抜けガラです。ガサガサの梅の樹皮が脱皮に適しているようです。

 こんなふうに、木登りが得意で長ーい抜けガラを残して行くのはアオダイショウです。
 
 毎年。この紅梅の枝で何度か脱皮しているのですが、その脱ぐシーンは見たことがありません。
脱皮は夜中にするとか?! いつか見てみたいものです。


【若いアオダイショウ】


 成体は2メートル程の長さになりますが、こちらは、まだ45センチの若者。

 昨日の夕方出合ったアオダイショウの若い子です。キレイですね。1才くらいでしょうか?
アオダイショウは、「青大将」と書きますが、アオウミガメと同様、「アオ」はブルーではなくグリーンのことです。

 まだらな暗褐色の模様が、はっきりしているのが若いアオダイショウの特徴で、成体になって緑色味が加わると、模様が明らかでなくなり暗灰緑色になります。

 アオダイショウの白化変種をシロヘビと言って、天然記念物にしているところもあるそうです。
 


 目が、とてもかわいいです。

 実は、この子、ほとんど外傷らしい外傷もなく、近くの道に横たわっていました。

 死んでいます。 どうしたのでしょう? 交通事故でしょうか???

 埋めてやりました(涙)



【幻のヘビ、シロマダラ】


 同じくヤマカガシ科のヘビです。こちらは、元気でした!

 個体数が少なく、習性はよく知られていないようですが、先週、我が家へ迷い込んで来ました。
類は友を呼ぶでしょうか?(苦笑) 来る者は拒まず、特別室で接待致しました。

 シロマダラは、北海道にいないものの、日本の特産種だそうです。


【シロマダラ】
体鱗17列、腹鱗199~214、尾下鱗68~75、上唇鱗8、前眼鱗なく、肛鱗2分する。

【アオダイショウ】
体鱗23列(中央部)、腹鱗224~244、尾下鱗99~122、肛鱗2分する。



 ヘビたちは、こんなふうにウロコの数をキッチリ数えられているんですが、毒がなくても気軽には触れません。 

 ヘビは、自然・環境の守り神。あまり触れずにおくのがいいと思います。

 

 明日は世界環境デー。


 (なるせ)

 後記:元スタッフの天野獣医師よりチェックが入りました。
  
 最近の調査によると、北海道にもシロマダラが局所的にいるそうです。
そして、北海道の離島には昔から生息が知られていたそうです。
お詫びして訂正させて頂きます。
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イルカがいるよ。

2010年05月08日 | 哺乳類、爬虫類、他
私がこのイルカたちの存在を知ったのは一昨日の夜でした。
すぐさま昨日の朝見に行ってみました。

場所は知っていても、広い海です。
果たしてそう簡単に見つかるのか・・・?

幸い穏やかな波が味方してくれてすぐにその姿を見つけることができました。
遠くのほうで背ビレが見えたかと思うと、ぐんぐん近づいてきます。
2頭です。






見事なまでのシンクロ。
こんな場面が何度も何度もありました。

野生のイルカをこんなに近くで見るのは初めてです。
ハンドウイルカのようですね。





ちょっと背ビレが見えたかと思うとすぐに潜ってしまいます。
次に出てくるのはそのすぐ先か、ずっと遠くか・・・まったく予想がつきません。

今度どこに姿を現すのか、なんだかドキドキワクワクします。
私の目の前だったらいいのに!

一旦潜ると10分くらいは出てこないことがありました。
とても遠くに見えるときもあれば、私が見ている岸から40~50メートルくらいのところをゆっくり泳いでいるときもありました。
もっと近いときもあったかもしれません。





あ!
なんか捕まえた?


魚をくわえているように見えます。
ってか、魚でしょう!!




同じような写真ばかりですが・・・(汗)



背ビレの後ろってギザギザなんですね。





おー、鼻の穴が見える(笑)



この2頭はどんな関係なんでしょうか?
いろいろと想像がふくらみます。



と、ここまでが昨日の写真です。




今日も見に行ってきました。

昨日は薄曇りでしたが、今日は快晴!
海もきちんと青くなりました。




うむ。
やっぱり笑っている。

ハンドウイルカはこの笑顔が特徴ですよね。




今日も仲良し。



ス~イスイっと。





かわいいオデコ(でいいの!?)



ぐいぐい水を切ります。





なんか捕まえたっぽい!?



クチビル(でいいの!?)がグニ~って!




見ていると時が経つのを忘れます。
大勢の人がこの生き物に魅了させられる気持ちがわかります。

広い広い海の中で、ここ伊豆大島を選んでちょっと立ち寄ってくれたイルカたち。
いつまでいてくれるかは誰にもわかりません。

車を停めたそのすぐ先に、悠々と泳いでいます。






本日のオマケ。



波浮港(『はぶみなと』です。 つい先日のテレビ番組で『はぶこう』と何度もナレーションされていてガックシきました。誰もチェック入れんのかね)にまだいるシノリガモ。

2羽ともオスですがなんとなく仲良し。
まったりとお休み中でした。

今年も越夏するのかしないのか!?


         がんま
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外国からやってきた…

2010年03月30日 | 哺乳類、爬虫類、他
 伊豆大島のどの地域を歩いても、必ず目にする動物が居ます。

 来島経験のある方なら誰でもぴーんと来るかも知れませんが…
 それは一体何でしょう?

その動物はこんな巣を作ります。


鳥の巣でしょうか?国内で繁殖する鳥ではこのような形の巣を作る場合、お椀型のものが多いのですが、この巣は入り口が横に開いているようです。

さて、なんでしょう。
こんな食べかす(食痕)がありました。


松ぼっくりがエビフライ状態にされていますね~。

もうお分かりでしょうか?

今日の主人公は忍者のような格好で木の幹からこちらを見ていました。



そうです。タイワンリスと申します。


 タイワンリスは今現在伊豆大島では海岸からカルデラ内まで至るところでごく普通に見ることが出来ます。しかし彼らはその名の通りもともとこの島に居た動物ではないのです。
 ペットとして持ち込まれたりしたものが逃げ、鎌倉や江ノ島などでも増えて問題になっていますが、台湾などの東南アジア原産の外来種です。

 伊豆大島でも1930年代にとある施設から集団で逃亡したものが元になり、1948年までには全島に分布していたという記録が残っていました。

見た目は可愛いのですが…。



 大島名産のツバキの実を食べてしまったり、他の農作物も食害すると言うことで現在は駆除の対象となってしまいました。また動物質の餌もよく食べるので元々居た野鳥の卵や雛も食べてしまうらしく、伊豆大島でヒヨドリがほとんど繁殖しないのはタイワンリスのせいではないかと私は勝手に考えています。

 野生の植物も相当食害を受けていて、数百万頭いるとされているタイワンリスの影響は無視できないものになってきているでしょう。

 けれども、彼らにとって大島はパラダイスなのでしょうか?
冬になるとノスリのような捕食者がやってきます。またこのように道路に出てきて、時には車に轢かれて死んでいるのも見かけます。



 タイワンリスばかりが自然の中で増えすぎると、餌を食べつくして自分達も滅びることになります。
 タイワンリスは農業に被害を及ぼす、在来の生物を駆逐するなど悪のレッテルをこってりと貼られていますが、彼らは人間によって故郷から見知らぬ土地に連れてこられて必死で今日まで生き抜いてきたのでしょう。

 だからといって日本の自然の中に居ても良い動物ではありませんが、もう一度よく考えてみましょう。

 悪いのはタイワンリス?それとも、人間?

(あまの)
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知られざる住人・オオシマアカネズミ

2010年03月23日 | 哺乳類、爬虫類、他
 今日は真冬が戻ってきたような冷たい風が吹いている伊豆大島です。

今日は小さな森の住人をご紹介します。
アカネズミです(いや、この絵はハムスターだろ…。)

 いきなり話は脇道に逸れますが、伊豆大島からは4種類のネズミ類の記録があります。
このアカネズミと、ハツカネズミ、都会でお馴染みのドブネズミとクマネズミ。

 しかしアカネズミ以外の3種は貨物に紛れて侵入したりしてきた外来種であるとされています。特にクマネズミは密航の達人(達ネズミ?)で日本各地の離島で増えており、小笠原などでは物凄い密度で生息して在来野生動植物に多大な影響を与えているとされています。

 ネズミといえばどんぐりや胡桃をカリカリ齧っているイメージをお持ちの方が多いので(え?チーズ?)あまり知られていませんが、クマネズミは野鳥の卵や雛も大好物ですし、農作物にも相当被害が出ているようです。そしてそれは小笠原だけの話でもなく、世界中でこうした問題が起こっています。
 
 …しかし、どうしたわけかこんなに本州に近くて毎日船も発着しているこの伊豆大島ではクマネズミもドブネズミもハツカネズミも滅多に見かけません。
過去、いろいろな調査隊が残した記録を見ても、ドブ、クマともに過去数頭しか捕れていないようです。住民の方から「某ホテルには昔から大きいネズミがいる」などと聞いた事がありますが、私は一度ハツカネズミを確認しただけで、ドブとクマはこの島でまだ見たことがありません。 

 世界中どこの島でもクマネズミには手を焼いていると言うのに、ナゼなのでしょう?
伊豆諸島のほかの島ではどうなのか、とても気になります。
 
 さて、本題のアカネズミですが、伊豆大島での生息密度はやや高いようです。(許可を得て捕獲していた方の手ごたえによると(^▽^;))厳密な調査はされていないようですが、海岸沿いから山の上まで幅広い環境に居るようです。普通、アカネズミは本州では森林に住むネズミですが、伊豆大島では草原を好むハタネズミなどが居ないせいか民家付近から森の中まで多様な環境に進出しているようです。

 しかし夜行性で小さいため滅多に人目に触れることはありません。なので島に住んでいる方でもアカネズミを見たことがある方はあまりいらっしゃらないようです。

 ところでこの伊豆大島のアカネズミ、ただのアカネズミではないんです。

「オオシマアカネズミ」という名前で呼ぶ研究者も居ます。

ことの発端は1938年、とある博士が伊豆大島のアカネズミを研究し、伊豆大島のものは体色が濃く、体が大きく、後ろ足が長いとし、さらに頭骨や脊椎骨数にも違いがあるとして新亜種「オウシマアカネズミ」として発表したことでした。

 ところが、1969年、別の研究グループが異論を発表。
アカネズミは北海道から九州までとその周辺の離島に生息している日本固有種ですが、上記の特徴は佐渡、隠岐、対馬、屋久島などの「島のアカネズミ」にも見られる共通の特徴であることを根拠に、亜種ではなく、「島嶼型」のようなものであるとしました。

 現在、同じ伊豆諸島の三宅島の別亜種「ミヤケアカネズミ」や、全国各地の離島に7亜種ほどが提唱されていますが、1969年の説を受けたのかすべて1種とする説が有力のようです。しかし研究者によっては全て亜種でもなく別種だとする方もいるようです。

 ごく最近の研究者の方がこれらのDNA分析を試みられているようですが、やはり遺伝的にすこしだけ違うようです。

 これから研究が進めば別亜種、あるいは別種になるかもしれない、そんな知られざる住人はこの伊豆大島の森で、今夜もひっそりとどんぐりを食べているのでしょうね。

(あまの)
 
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