Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 489 オープン戦なんでも No,1:阪急ブレーブス編

2017年07月26日 | 1985 年 



ヒヤリとさせた男・・今井投手は周りが緊張している時に一瞬ヒヤリとさせるが同時に笑いを誘う男。昨年の日本シリーズで打球が直撃しマウンド上で蹲った。ナインが心配して駆け寄ったが球が当たった箇所は股間。痛みを堪える姿に周りは笑いを抑える事が出来なかった。今キャンプでも突然右肩痛を訴え首脳陣をヒヤリとさせたが翌日には何事もなかったかのように100球前後の投げ込みをしてみせたり、胃痛でオープン戦を回避したがこれも直ぐに回復するなど今井投手の言動はどこかユーモラス。今季も周りを少しヒヤリとさせながらも終わってみれば最多勝、なんて事になるかも?

怒られ役・・文句なしに小林敦投手。3月16日の対西武戦にオープン戦三度目の登板をしたが2回持たずにKOされた。「キャンプで一体何をしとんたんや。全く成長しとらん!」と上田監督に大目玉を喰らい、試合後直ぐに二軍落ちを宣告された。キャンプ中からオープン戦にかけて一番多く怒られてきた小林投手。それだけ期待されている事の裏返しだと考えれば寧ろ幸せなのかもしれない。

憂鬱男・・新助っ人のヒックス選手。キャンプ当初は陽気な性格でチーム内を和ませていたが、本職の評価が徐々に低下していくと共に陽気さが消えていき今では殆ど笑顔は見られない。体重90㌔を超す巨体では外野手は務まらず、かと言って指名打者には水谷・小林晋・石嶺とライバルが多く食い込めない。肝心の打撃の方もサッパリで住友打撃コーチに新人のように腕の使い方を教えられる始末。3月18日現在、打率.176 では陽気な男が暗くなるのも仕方ない。

ネアカ男・・一方でネアカなのが松永選手。上田監督から「アイツは今年が一番ええでぇ。ここで打って欲しいという時に打てるようになってきた」とお褒めの言葉を頂戴した。明るさの原因は好調な打撃ばかりではない。昨年の11月に生まれた長男・啓太くんの存在もある。可愛くて仕方ないようで子供が生まれる前は練習後に麻雀をしたり呑みに行ったりしていたが今では家へ直行。しかも自宅は西宮球場から徒歩3分なので " 帰宅スピード No,1 " でもある。

【 センバツ随想録:森 浩二 】
昭和53年の夏の大会で2年生ながら高知商を準優勝に導いた森投手だが翌年のセンバツは2回戦で敗退した。「あの時の悔しさは忘れない(森)」と今でも悔しさいっぱい。負けた相手は牛島・香川コンビがいた浪商。「浪商は確かに強かったけど僕自身の調子も悪かった。だから余計に悔しくて…」と。実はこの試合の9回に高知商は逆転する好機を迎えていたが浪商守備陣の超美技に阻まれたのだ。森は余りの悔しさで甲子園の土を持ち帰るのを忘れてしまった程。この悔しさをバネにプロでは笑ってほしいものだ。

【 試される男:野中 徹 】
スリムに変身したプロ2年目の " ニュー・野中 " が動き始めた。3月15日のヤクルト戦の7回に初登板して、いきなりの2連続奪三振。六大学出の大物ルーキー・広沢も三ゴロに打ち取った。続く8回も小川に安打を許したが後続を抑えて2回を1安打・1四球の上々のスタートを切った。野中本人は「カーブとフォーク、変化球は良かったけど直球が今一つ。気持ちばかりが先行してフォームはバラバラで修正出来なかったのが反省点」と冷静に振り返った。上田監督は「プレートさばきは2年目とは思えない。さすが甲子園の大舞台を踏んだだけの事はある」と実戦に強い野中に合格点をつけた。

【 投手コーチに聞く、今季の投手陣はどうなる? 】
聞き手…何と言っても左膝半月板損傷の山田投手の状態をお聞きしたい
梶 本…3月18日に退院して19日からキャンプに合流。状態は正直言って本人しか分からない
聞き手…開幕は無理ですよね?
梶 本…調整は本人に任せるが無理はさせない
聞き手…山田投手の不在は大きいし不安では?
梶 本…そりゃ先発ローテーションの一人が欠けたら痛いよ。しかも精神的支柱である山田なら尚更。でも当初の
      復帰予定は5月以降と聞いていたけど、どうやら4月中には戻れそう

聞き手…不安材料は山田投手の他にも。去年の反動で今井投手と佐藤投手の疲労を懸念する声がチラホラ
梶 本…2人で38勝の大車輪でしたからね。特に今井に今年も20勝を期待するのは難しいかな。でも別に20勝に
      こだわる必要は無い。いかに負けない投球が出来るかです

聞き手…佐藤投手は?
梶 本…今井に比べたら若いし昨季はこれまでの力任せの投球から脱皮できたので疲労はさほど残ってないのではないか
聞き手…期待の若手陣がオープン戦で苦戦していますが
梶 本…いかにブルペンでの力を実戦で発揮できるか、それが課題。言うのは簡単ですけど、これがなかなか難しい。
      今井にしてもそれが出来ず8年も燻っていたんですから。焦らず一歩一歩ですよ若手は

聞き手…総括として今季の布陣は?
梶 本…主力5人(山田・今井・佐藤・宮本・永本)に小林敦、小島。が基本。そこに2年目の野中と新人の古溝が
      どれだけ食い込めるか。新戦力の4人もいるし心配はしていない
コメント
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