H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

板の芯に乗る

2009-12-26 | 臨床研修

最近はとんとご無沙汰しているが,ウインドサーフィンを大学卒業した時からやっている。ジャイブという方向転換があり,これができるかどうかは,初心者から中級へのステップアップの永遠のテーマである。まだ全然できなかった頃,雑誌のHow Toのコーナーを,それこそ必死になって読んだものである。その中で,あるプロ選手の言葉がとても簡潔で印象的だった。ボードの重心に体重をのせるということを「板の芯に乗る」と表現していた。ジャイブというのは風を後ろから受けた状態で,ボードの向きを変えるのだが(サーフィンと同じような感じ)なかなかできなくて,「板の芯に乗る,板の芯に乗る」と呪文のように唱えながらやっても落水してばかりであった。それが練習を続けるうちに,何とかできるようになったのだが,できるようになって初めて「板の芯に乗る」というのはこういうことか!と理解できたのである。つまり「できるようになって初めて,アドバイスの意味が分かる」ということである。何とも逆説的なのだが,同じようなことは多いと思う。

先達の言葉(Quotation)が好きで,心に残ったものは書きためてあるのだが,例えばSir William Oslerの有名な

  Listen to the patient, he will tell you the diagnosis.

というのがある。これも「いろいろな検査の末に診断にたどり着いたが,実は鍵となる情報は当初から患者さんの言葉にあった」というような経験をして,初めて言葉の本当の意味が実感として理解できる。
スポーツでも医学でも,コツとか奥義のようなものを,言葉として理解することと,それを自分のものとして身に付けることには大きな差がある。そのためには経験を積みかさねるしか方法はないということだろうか。
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pagophagia

2009-12-25 | 身体診察

鉄欠乏性貧血で異味症 (pica) とは教科書に書いてあるが,clay(粘土)なんか食べる患者さんなんかみたことがない。数年前に鉄欠乏性貧血の患者さんが,やたら氷を食べるということに気づいた。それ以来,鉄欠乏性貧血の患者さんには,「氷がやたらと欲しくなりませんか?」と聞いてみることにしていが,結構な頻度でみられるように思う。興味深いことに,貧血が改善すると氷を食べなくなるという。病棟の看護師さんの一人が,貧血治療前は夜勤の時でも病棟にある製氷機からしょっちゅう食べていたのが,治療開始後,数日でぴたっと食べなくなったので自分でも驚いていた。

この氷を食べることが,ちゃんと用語としてあるのを最近知った。”pagophagia"というそうで,実はUpToDateにもちゃんと記載されていた。(単なる勉強不足でした・・・)貧血というよりも,鉄欠乏に特異的だそうで・・不思議である。

Pagophagia, or pica for ice, is considered quite specific for the iron deficiency state. It may be present in patients who are not anemic and responds rapidly to treatment with iron, often before any increase is noted in the hemoglobin concentration. In one study of 55 unselected patients with iron deficiency anemia secondary to gastrointestinal blood loss, pica was present in 32 and pagophagia in 28. (UpToDate 17.3より)
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イブ

2009-12-24 | 日記

いつもよりちょっと豪華な食事と,ピアノミニコンサートの贅沢な夜でした。
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クリスマス点描

2009-12-23 | 写真

家族でちょっとクリスマス気分を味わいに有楽町から銀座までお出かけ・・・・で,最後は築地で寿司(笑)











    
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Learning Clinical Reasoningの第2版

2009-12-23 | 臨床研修

Learning Clinical Reasoningの第2版と初版との違いを目次で比較してみた。

Part 1(総論)の部分はそれほど変わっていない。基本のコンセプトは,以下に集約される。

臨床医が患者に向き合って医療面接,診察を始めてから診断に至るまでの思考過程には,次の5 つのステップがあるとされる。
1)診断仮説の想起(Diagnostic Hypothesis Generation)
2)診断仮説の修正 (Refinement of Diagnostic Hypothesis)
3)診断のための検査とその解釈 (Use and Interpretation of Diagnostic Tests)
4)病因と病態の推論 (Causal Reasoning)
5)診断仮説の検証 (Diagnostic Verification)

これらに加えて,治療に関する臨床決断や,第2版ではExamining Evidenceというchapterが加わっている。それとErrorがどこで起るかについてのchapter(Cognitive Errors) が続く。

Part 2 では,part1で述べられた概念を学ぶ題材として症例が呈示されている。臨床情報が少しづつ呈示され,それにdiscussantがどのように考えたかが述べられる,NEJMのClinical problem solvingでおなじみのスタイルである。
初版では63例であったのが,第2版では69例と単純には6例増えた。内訳は初版の17例が第2版で別の23例に置き換えられている。新しく増えたCaseのタイトルには,NEJMのClinical problem solvingで見覚えのあるものがあった。ちょっと目についたことは各症例のあとのreferenceがなくなっている。これはちょっと残念なことである。

まずは追加されたところから読みはじめてみようかと思うが,どうやって時間を確保するかが問題・・・
コメント (1)
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