初めて輸液の番組をケアネットTVで作らせていただいて,早いもので12年が経ってしまいました。今回,その改訂版とも言うべき番組を作らせていただきました。
そもそもは,研修医に糖尿病性ケトアシドーシスの症例の輸液をどう考えるか,検査結果や輸液内容を記録したワークシートを見せながら解説したことがきっかけでした。
印刷した経過表に書き込みをしながら研修医に説明している時のこと,ふと「輸液の臨床推論」という言葉が浮かびました。ちょうどその頃,ネットで見つけたこの動画にハマっていました。
私は将棋をやらないので解説の意味はよく分かりません。にもかかわらず,この動画は何度みても爆笑します。そして,こんな感じに大盤を使って輸液の解説をできたら面白いなと思ったのでした。
症例提示では多くの場合,診断に至るまでの推論は語られますが,その後の治療経過についての思考過程が討論されることは少ないように思います。輸液に関しては,初診時から経時的にバイタルや尿量の変化,検査データなど「どこに注目して,どのように解釈して,それを輸液変更の判断に使うか」といったことを解説した教材はあまり見たことがないことに気づきました。これは文章だけで表現することは難しい。
それを何とかプレゼンにできないかと,2年あまり試行錯誤しました。実際に何度か講演でやってみるうちに,ようやく形にできたので「やりなおし輸液塾」の追補改訂版として制作することになったのでした。1枚の手書きメモを元にした無茶なアイデアを,ケアネットの製作陣は見事に現実のものとして下さいました。素晴らしいプロのお仕事には感謝しかありません。しかもイントロのアニメーションなんて最高にカッコいいんですよ。
以前,このブログでも収録については言及していましたが,ついに7月29日(水)から配信が開始されます。全8回で,最初の3回は基礎編として輸液に必要な生理学の復習です。当初,基礎編は省略するつもりでしたが,10年以上経って前回のシリーズをご覧になっている方のほうが少ないだろうと考えて,重複があっても基礎編を含めることにしました。残りの5回は症例をもとに大盤を使って輸液の思考過程を解説します。収録では白神真乃先生が素晴らしいアシスタント役をしてくれました。あらためて感謝です。
皆さん,機会があれば是非ご覧下さい。