今年も4名の研修医を始めとして,多くの新人職員が入職してくれました。感染に備えて,皆がマスクをしてごく短時間の集まりでしたが,入職式では次のような話をしました。自分の覚え書きとして記録に残しておきます。
-------------------------------------
皆さん,入職おめでとうございます。そして大船中央病院を新しい職場として選んでくれてありがとうございます。
2020年4月1日現在,世界は新型コロナウイルス感染症の蔓延で大変なことになっています。東京では爆発的感染が起こることが危惧されています。そうなると神奈川も影響は避けられず,2−3週間のうちに大変な状況に一変する可能性があります。例えて言えば「大きな津波」はすでに発生していて確実にこちらに向かってきています。海外の例をみると爆発的に感染が蔓延すると,すべての患者に普通の医療を提供できなくなる,そんな悲惨な状況もあるようです。それを少しでも避けるべく,我々も大急ぎで準備に追われています。皆さんはそんな大変な中で医療従事者としての第一歩を踏み出されるわけです。
私が尊敬する救急医の先生がおっしゃった言葉に次のようなものがあります。
「すべての患者に治癒をもたらすことはできないが,すべての患者に親切にすることは可能である。」(※)
是非心に留めておきたいと思います。
そしてもう一つお話したいこと,それは3年前,病院が苦難の時期に私が院長になったときに職員の皆さんに呼びかけた次のキャッチフレーズです。
「みんなを笑顔に。」
これは患者さんはもちろんのこと,自分の周りの同僚や家族を,さらには地域の人達を笑顔にできるように努力しよう。それは他の誰かがやってくれるのではなく,自分達でやるのだという気持ちを込めています。
患者さんを大事にするのは医療機関として当たり前のことです。それ以前に私は院長の立場で「職員を第一」に考えています。我々は人をHappyにする仕事です。まず自分がHappyでなければ人をHappyにすることはできません。自分のことを大事にして下さい。これから新人として悩むこともあるでしょう。でも決してひとりで抱え込まないで下さい。身近な上司や先輩に相談して下さい。うちの良いところは職員間の距離が近く,でもそれぞれ誇りを持って役割を果たしているところです。
皆さんも今日から我々の大切な仲間です。一緒に頑張りましょう。大変な時期だからこそ,新しい皆さんの力に期待しています。
※)岩田充永 ERのクリニカルパール 160の箴言集 p.9
K-1 mk II, smc PENTAX-DA* 300 mm F4 [ISO200, 1/1600, f 4.5, 0 EV]