H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

第16回大船GIMカンファレンス

2012-02-25 | 臨床研修



第16回大船GIMが無事終了。

例年2月は若干参加者が少なめなのだが,それでも50名の方々が参加して下さった。もっとも遠方は,何と鹿児島大学から来てくれた4年生の学生さんでした。

1例目は東海大学総合内科の津田歩美先生が症例提示して下さった76歳女性の咽頭痛・発熱。2ヶ月半前から続く嚥下時の咽頭痛と発熱のために転院。喉頭後壁に潰瘍があり耳鼻科で生検されても非特異的な潰瘍としか診断されていなかったが,CXRで粟粒結核があり,咽頭部の病変も,咽頭結核であったという症例。最初にみた先生も,CXRを見るまでは結核を想定できなかったそうで,やっぱりどんな時にでも不明熱の診断では結核を忘れてはいけないという教訓でした。柳秀高先生のまとめのレクチャーも素晴らしかった。咽頭結核は,癌と間違われることがあるそうで化学療法以前の時代には肺結核の15-37%に合併していたが,抗結核薬治療が行われるようになってからはまれで1%以下だという。フロアからも,いくつもパールが披露された。

小ネタは,最近興味深い浮腫の2例を経験したので,むくみについての簡単なまとめ。

2例目は,大船GIM常連である有隣病院内科の小野正博先生が初めて症例提示。こちらも大変に素晴らしいプレゼンでした。2週間発熱が続く90歳の女性。小野先生が悩みながら診療する様子を我々も追体験できるように,非常によく考えられた内容でした。誤嚥性肺炎,薬剤熱,IE,偽痛風,血液疾患,TBなどいろんな鑑別が次々に挙げられ,どのタイミングで骨髄穿刺を行うか・・・などいろんな問題が話題になった。最終診断はリンパ腫だったが,診断に至るまでのプロセスが臨場感をもって皆さんとdiscussionできた。後半のミニレクチャーも,先生がCunhaの論文をもとに勉強した内容を分かりやすく提示して,実際の診療にとても参考になるものだった。不明熱の鑑別では「問診,身体所見,非特異的な検査で原因を4つのカテゴリー(感染症,膠原病,悪性腫瘍,その他)のどれかに絞り込むことは可能である。先生が紹介してくれたCunhaの主張ー不明熱の診断は,relevant, focusedに行うべきであり,よく言われるcomprehensiveな問診,身体所見は役に立たない。非特異的な症状や所見も一緒に組み合わせることにより特異的になる」というのはなるほどと思わされた。

とにかく,このカンファレンスでは診断の当てっこゲームにならないようにするのが一番大切だと考えて進行しているつもりだが,参加者の皆さんもその趣旨を共有して発言してくださるので本当にやりやすい。いや~,今回もホント勉強になった。カンファレンスのあとの懇親会も例によって楽しいひとときでした。

参加して下さった皆さん,本当にありがとうございました!!!


いよいよ5年目に突入する今後の予定は・・・次のように会場を確保してある。
 ・第17回 5月12日(土)
 ・第18回 8月18日(土)
 ・第19回 11月24日(土)

コメント
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