H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

バイタルサイン

2011-08-02 | 臨床研修


10年ほど前から,内科学会の認定医受験者のサマリー評価のお手伝いをやってきた。自分が研修医の時にはとても書けないような素晴らしいサマリをみることもしばしばで,大変ではあるが,自分自身の勉強にもなるのでずっとやらせていただいている。

先日,今年の担当分をすませたのだが驚いた。今回の受験者のサマリで,入院時の身体所見にバイタルサインが「まったく記載されていない」ものが結構あった。認定医受験のためには,18から20症例分のサマリを提出するのだが,ある受験者のサマリは,18例中の半分以上でバイタルサインが一切かかれていなかった。体温と血圧はかいてあるが,呼吸数が書かれていないなどという生易しいものではない。主訴が発熱とか,ショックの症例でも一切のバイタルの記載なし!よほどこれだけで不合格にしようかと思ったが,他の部分は非常によく書けている場合もあり,一応不合格にはしなかったが,あまりにアンバランスである。すべてのサマリで記載されていないというのは,指導医は目を通したのだろうが,これはチェックされていないのか,それとも指導医そのものに問題があるというべきなのか。なんとも嘆かわしい。最近は,宮城征四郎先生や徳田安春先生などがバイタルサインの重要性をあちこちでお話しされたり,雑誌や単行本も出版されており,よくなっているのかなと思っていたが,やはりそれは一部ことなのか。最近の風潮がまた逆行しているのか・・・(もちろんサンプリング・バイアスかもしれないけれど)



以前,ある指導医の先生から教えていただいたこと。研修医には,こう指導していると。

  「呼吸回数が分からなかったら(確認していなかったら),とりあえず16と書いておけ」

とにかく記入する癖をつけさせると,そのうちちゃんと測って記載するようになるそうで,なるほどなあと感心。以来,自分も研修医にそう話すようにしている。

ただし,これにはオチがあるので注意。

  「もし呼吸数に16と書いてあったら,それは信用するな・・・」 (笑)




K-5, SMC Pentax F DA 100mm Macro, F2.8 [ISO200, F6.3, 1/125, EV 0]

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする