H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

第10回大船GIM無事終了

2010-08-21 | 臨床研修

今回は,参加者54名で懇親会へも27名の参加者があり盛況であった。

最初に短め2例として,うちのレジデントが経験した症例を1例づつ提示。

1例目 26歳の男性の腹痛。腹膜刺激症状の所見とCarnett徴候の両方が陽性で,その原因は?という症例で,さすがに参加者の皆さんは,腹痛の性状から腹壁の問題ではないかとすばやく絞り込みがなされた。では,腹膜刺激症状陽性をどう考えるか?ということであったが,結果は「臍炎」でした。放射線診断の先生から指摘を受けていたが,一旦救急外来から帰宅にしていたが,症状が改善なく入院となった。乳幼児に多い疾患で,成人でみることは稀で,尿膜管遺残が基礎にあることが多いそうです。この症例でははっきりしませんでした。

2例目は,81歳の両下肢の蜂窩織炎?ということで内科に依頼がきた男性。
両側の蜂窩織炎というのは考えにくく,既往歴を詳細にとると,過去に数回同様の「蜂窩織炎疑い」のepisodeがあることが判明。身体所見では,両足趾に結節があり,耳介にも白色の硬い結節を認めた。母趾のXRでも痛風を疑う所見があったが,どこで確定診断するかが問題。そこで耳介の結節を削って鏡検したところ負の複屈折性がある典型的な尿酸結晶が確認され,慢性結節性痛風と診断。(この耳介の結節をちょっと削って鏡検するというのは,中部ろうさい病院の藤田芳郎先生に教えていただいた。)

一旦休憩のあと自分が恒例の「小ネタ」。今回もネタ切れになりそうだったが,何とか新ネタを披露。

3例目は遠く宮城県丸森町から山本祐先生が,症例を提示して下さった。これは難しい症例でした。農業をされている80歳の男性が全身倦怠感,発熱を主訴に来院。頸部リンパ節腫脹,体幹に紅斑を認め,肺野ではfine crackle. その後汎血球減少が出現。低酸素血症を伴い間質性肺炎がある。2週間前に小猫に咬まれたところに結節あり。バルトネラを念頭にAZMを投与して一旦解熱したが,再度高熱が持続。さてどうするか?というところで議論。この症例では診断が確定しない段階で,何を考えてどこまで(見込みで)治療を行うか?というのがポイントであった。最終的には血清学的に診断できた「刺し口がないツツガムシ病」という症例であったが,素晴らしいプレゼンと,何よりも地方の施設で可能な検査も限られた状況で,論理的に診断・治療をすすめられた山本祐先生に称賛の声しきりであった。ツツガムシの刺し口がみられるのは86%という報告があり,つまり7人に一人は刺し口がないことになる。勉強になりました。

恒例の懇親会も,いつも通り盛り上がって,楽しい夜でした。参加者の皆様,本当にありがとうございました。

次回以降の予定は,第11回が11月27日(土),第12回が来年2月19日(土)を予定している。
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