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「インモータルズ -神々の戦い-」

2011年11月15日 | 映画
人間が誕生する遥か昔、“光”と“闇”の神々の間に戦争が起きた。
戦いは、“光”の神であるゼウス(ルーク・エヴァンス)率いるオリンポスの神々が勝利して天空へと上り、敗れた“闇”の神はタイタン族としてタルタロス山の地底深くに封印されたのだった。

時は流れ、地上は人間が支配する世界となる。
オリンポスの神々は、地上を人間たちに委ね、人類に力を貸してはならないという掟に従って天空から見守り続けていた。
ある時、イラクリオン国王のハイペリオン(ミッキー・ローク)が、闇の力を手に入れて世界を支配するべく動き出す。
そしてタイタン族の封印を解くために、“光”の神によって作られた“神の武器”である「エピロスの弓」を捜し求めて強力な軍隊を組織し、ギリシャの村を襲撃した。
「エピロスの弓」がハイペリオンの手に渡ればタイタン族が復活し、人類は破滅してしまう。
ハイペリオンの野望を阻止するために、ゼウスが人類の救世主として選んだ人間は、恐れを知らない真の勇者の資質を持つ青年・テセウス(ヘンリー・カヴィル)だった。
彼こそ、幼い頃から来るべき日に備えてゼウスが目にかけ、謎の老人(ジョン・ハート)に姿を変えて指導し、鍛え上げてきた人間だったのだ。
いよいよ、人類と神々の命運をかけた戦いの火蓋は、切って落とされた…


“闇”の封印を解いて、世界征服に利用しようとするハイペリオン演じるミッキー・ロークの悪辣ぶりが見事。
鍛え上げられた肉体を金色に輝くコスチュームで包む、美男美女揃いのオリンポスの神々と対比を描く醜悪さ。
“猫パンチ”で一世を風靡した(?)かつての優男の面影は微塵も無いが、その存在感は登場人物の中で群を抜いている。

それにしても、戦いに明け暮れる神々というのはいかがなものか。
「神話」というものが民族の精神性を表すものであるならば、欧米人とはなんと戦闘的であることかと思ってしまうのは、うがちすぎだろうか。
神々には争いにいそしむことなく、モンスターエンジンが描くように、「ヒマをもてあまして」遊んでもらいたいものだ。

そんな神々に見込まれ連れて行かれるテセウスには、本当に災難なことと同情を禁じえない。
人間世界の正義を守るために戦うならまだしも、神々の手伝いをさせられては、たまったものではないと考えるのは、自分の生来の貧乏性のせいだろうか。


「300(スリーハンドレッド)」の製作者と「ザ・セル」のターセム・シン監督がタッグを組んで、ギリシャ神話の神々の戦いを、まばゆい映像美で描いた神話スペクタクル巨編。


インモータルズ -神々の戦い-
2011年/アメリカ  監督:ターセム・シン
出演:ヘンリー・カヴィル、フリーダ・ピント、ミッキー・ローク、ルーク・エヴァンズ、ケラン・ラッツ