面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「男と女の不都合な真実」

2009年10月14日 | 映画
アビー(キャサリン・ハイグル)は、カリフォルニア州サクラメントの地方テレビ局でバリバリ活躍中の敏腕プロデューサー。
美人で頭の切れる彼女は、理想とする10項目をクリアできる完璧な男性を求めているが、そんな“都合のいい”男がそうそういるわけもなく、孤高のシングル・ライフを突き進んでいた。

そんな彼女の前に、ある日ハンサムな医師・コリンが現れる。
隣に越してきたという彼は、ハンサムなだけでなく真面目で誠実で、たちまち彼に惹かれていくアビー。
しかし、うまく関係を進展させられずに悩んだ彼女は、男女の本音を暴露する過激なトークで大人気の恋愛カウンセラー・マイク(ジェラルド・バトラー)のアドバイスを受け入れることを決意。

男性は必ず自分になびくはずと自信たっぷりな彼女に対してマイクは一言。
「君にはそそられない。男をゲットしたければ、5つのルールを守れ。」
スカート丈を10センチ短くし、ふんわりカールの髪型に変え、セクシーな下着や体の線を強調したドレスを買い込み、マイクの指示に従って変身したアビーは、見事コリンの心をとらえることに成功する…

アビーが描く「理想の男性」の像は、夢想の果ての画餅。
マイクが唱える女性が守るべき「恋愛ルール」は、身も蓋も無い下卑た猥談。
しかしどちらの言い分も、イマドキの恋愛事情を如実に物語っていて笑える。

大脳生理学的に見ても、男女の間における異性に対する興味の示し方には、大きな違いがある。
女性が男性を見るとき、理性をつかさどる大脳新皮質でとらえるが、男性が女性を見るときは、より本能に近い脳幹部分で見る。
従って、男性がすれ違う女性をつい目で追ってしまうのは本能に基づいた反応であり、いわば「反射」に近い行動であるため、止められない!
という“言い訳”はさておき、ことほどさように男女における恋愛感情の抱き方には違いがある。

とはいえ、そんな理屈が常に当てはまるわけではないのが、人間の人間たる所以。
女性は思い描く理想の条件に当てはまらない男性であっても好きになるし、男性は娼婦と司書を使い分けるような女性でなくても愛情を抱くもの。
「理想の相手」も「恋愛のルール」も、どちらも恋愛に失敗することに対する恐怖から身を守るための「鎧」。
そんなお互いがキープする“一線”が揺らぎ、自分の心に素直に従って思いのたけをぶつけあったとき、「醜い真実(the ugly truth)」は昇華されて、「真実」にたどりつく。

やっぱり、ぶっちゃけた話をしてみないと、お互いの本当のところは分からないということで。
結局のところ、「ぶっちゃけ話」を互いに寛容できるならば、そのカップルは続いていくもんだわな。

男女の思考のズレ、恋愛感情の違いを、過激な本音丸出しトークでストレートに描き、ちょっとHなネタも交えた小さなギャグを随所にうまく散りばめた、新たな切り口のラブストーリー。
あっけらか~んと楽しめる、新機軸の佳作。


男と女の不都合な真実
2009年/アメリカ  監督:ロバート・ルケティック
出演:キャサリン・ハイグル、ジェラルド・バトラー、シェリル・ハインズ、ジョン・マイケル・ビギンズ、ニック・シャーシー、エリック・ウィンター、ケビン・コノリー