面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

老将の意地

2009年10月18日 | 野球
山崎武、値千金の3ラン…楽天・CS第2ステージ進出(読売新聞) - goo ニュース


シリーズを目前にして選手とファンに冷や水をぶっかけるような最悪の球団首脳が経営する楽天が、見事連勝で第1ステージを突破してしまった。
岩隈・田中の両エースが完投し、主砲の山崎がホームランを連発するという、チームの主軸の爆発だけでなく、脇役たちの動きも軽やかに、チームが一丸となって突き進んでいる雰囲気が漂っていた。
今の勢いなら日本シリーズに進出してもおかしくない。
ダルビッシュを欠く日ハムにとって脅威の快進撃である。

短期決戦には部類の強さを発揮する老将・野村監督のこと、日本シリーズに進出してしまえば、一気に日本一まで駆け上っていくかもしれない。
しかし、たとえ日本一になったとしても、野村監督は解任される。
かつてタイガースの星野監督は、18年ぶりのリーグ優勝を果たしながら監督の座を去った。
この去就も世間を騒がせたが、このときは自らの意思で辞任したものであり、球団から解任されたわけではない。
解任どころか、久しぶりにチームを優勝させた功労者であり、まだまだ監督を続けてほしいというのが球団の思いだった。
優勝監督に対する球団の思いとは、基本的にはそのようなものだろう。
実績を残せば高く評価され、続投が望まれるのは自然な流れだ。

しかし、東北楽天ゴールデンイーグルスという球団は、そうではなかった。
(改めてチーム名を書いてみたら…長い名前やな)
しかも、大切なクライマックス・シリーズの前に解任を決定しているだけでなく、それを表明しているなど前代未聞。
球団創設以来初めてのAクラス入りを果たし、更に2位に食い込んで地元でのクライマックス・シリーズ開催を勝ち取った監督に対し、そのシリーズ直前という大事な時期にクビを言い渡すとは、無神経にも程がある。
基本辛口のノムさんでなくても、誰が監督であっても怒り心頭になるのは当然。
球団経営陣の対応は、とても人間の行為とは思えない。
ネット社会に拒否反応を示す人々からは、
「しょせん楽天なんてインターネットなどというバーチャルの世界でのさばっている会社であって、生身の人間のことなんか理解できないクソ野郎ばっかりなんだよ」
と、「それみたことか」とばかり、勝ち誇ったように言われそうだ。

そんな“人”が経営しているかのように思える東北楽天ゴールデンイーグルスだが(やっぱり長いな)、一番心配なのは、熱心に応援しているファンの心が離れないかということだ。
人間としての温かみが感じられない首脳が運営するチームに対して、応援しようという気持ちが冷めてしまわないだろうか…

しかしこれは、杞憂であろうことも予想される。
それは、長年タイガースを見守ってきた我が身に置き換えてみれば、想定できること。
なんとなれば、長年に渡って阪神タイガース球団は、ファンの意向や気持ちを無視、あるいは邪険に扱い続けてきたのである。
それでもタイガースのファンは離れない。
なぜなら、我々ファンが応援するのは選手であり、チームそのものであり、更に言えば、プロ野球選手としてのプレーそのものだからである。
そこには、誰が球団を経営しているかという視点は無い。
ある種そんなことはどうでもよく、タイガースというチームが甲子園を本拠に戦い続けてくれていればいいのである。

いつも球団から請われては、弱小チームの監督を引き受けてきたノムさんが、今回楽天の社長との対談に際して「監督を続けさせてください」と懇願したという。
ところが、社長はただ「契約切れです」とだけ言い放ち、解任を再検討しようという姿勢すら見せなかったようだ。
第1ステージを突破した直後のKスタは、最後の挨拶をした野村監督に向かっての“辞めるな”の声で埋め尽くされていた。
これだけのファンからの支援・声援を受ける野村監督を、忌み嫌うのか何なのか、三木谷氏の頭の中を知る由もないが、CSに進出したことで楽天はもう十分強くなったと首脳陣が考えているならば、認識不足もはなはだしい。
ノムさんの言ではないが、来年は確実にBクラスに転落するだけでなく、最下位独走も大いにありうる。
そしてそんなことになれば、プロ野球を単なるビジネス(金儲け)の手段のひとつとしか見ていない(と思われる)楽天首脳陣の球団経営の意欲は一気に消滅し、球団存続の危機に晒されかねない…

今はただ、ノムさんには是非とも日本一になって、球団経営陣に一泡吹かせてやってもらいたいと願うばかり。