面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

祝!2000本安打

2008年04月13日 | 野球
阪神・金本が通算2000本安打達成、プロ野球37人目(読売新聞) - goo ニュース


なかなか出ぇへんなぁと思っていたアニキの2000本安打が、土曜日の横浜戦でようやく出た。
1999本目から19打席ヒット無しというのは、それまでの最長無安打打席だった江藤慎一の17打席を2打席も上回る日本記録となり、またひとつ、地味~な日本記録を作ることになった。
清原のコメントではないが、そんな2000本安打も、金本らしい気がする。

目の前で舎弟の新井が勝ち越し打を放った後、更に点差を広げるタイムリーは値千金の一打。
そしてこれで、舎弟と共に節目のヒットを放つという、タイガースファンにはたまらない記念試合となった。
お立ち台で新井と一緒に記念打を放ったことにコメントを求められ、
「キモイっすね!」
と表現したのは、いかにもな“お約束”的言い回し。
その後新井が、
「運命的なものを感じました」
と言ったのは、全くその通りだと思う。
互いに2000本、1000本の安打数まであとわずかとなったときに再び同じユニフォームを着たこと自体が、既に運命的であったと言えるのではないだろうか。

この二人のおかげで、タイガースは黄金時代を迎えることができる可能性が広がっている。
そんな兆しが、2000本狂想曲の明けた日曜の試合に見て取れた。
今日はテレビ中継が無かったので(今日ほどスカパーに入ろうかどうしようか悩んだ日はない…入らへんかったけどね)、ラジオの中継を聞いていたが、1点リードされたまま迎えた8回表のこと。
先頭打者の赤星が、三塁打で突破口を開く。
続く平野に岡田監督は代打・桧山を投入して勝負をかけた。
ここで桧山のあたりはレフトライナー(フライ?)。
ところが横浜のレフトビグビーは直接取れず、二塁塁審はヒットの判定。
この打球処理を横浜側がもたついている間に、なんと桧山は二塁を陥れた。
レフト前の打球で打者走者が一挙に二塁到達!
それも、決して俊足とは言えない桧山が、相手のスキをついての好走塁!!
中日の井端や荒木にヒケをとらない好プレーだ。

これには本当に驚いた。
昨年までには考えられなかったことだ。
かつてシーズン最多三振を新庄と競った年の契約更改で、大した成績でもなくチームも低迷しているなか、「4番を打ち続けたのだから“4番料”をくれ!」と言い放った、ダメ虎の代表格だった(ファンの方には申し訳ありませんがあくまで私見です)あの桧山が、こんな抜け目のないプレーをするとは!!

三塁の赤星はレフトが直接取ると判断したために三塁へ帰塁し、得点にはならなかったが、無死2、3塁という絶好のチャンスを作りあげた効果はテキメンだった。
続く新井がきっちりタイムリーで同点。
そしてアニキがしっかり勝ち越し打を決めてついに逆転!
前のイニングで、盗塁しようとまでして勝利に対する執念を見せていた福原に、見事に応えることができたのは素晴らしい!!

本当に、去年まででも見られなかった好走塁が、今年は随所に見られる。
ワンヒットで2塁から帰還するシーンや、1塁ランナーがヒットで3塁まで進むシーンが多くなった。
前にも書いたが、常に全力疾走を怠らない金本はもちろん、そのアニキに負けじと全力疾走を繰り返す新井のプレーに、ついに鈍足トラ連中の意識が変わったのだろうか。
更には“突貫小僧”(勝手命名)平野の加入も大きいだろう。
タイガースを応援してきて○十年になるが、こんなに走塁に積極的になったチームは見たことがない。
「走れて守れる外国人を」とアレンとジョンストンを獲得したときの安藤監督でさえ、結局は「走るタイガース」は作れなかった。

中日がいやらしさを身に着けて常勝チームのようになったのも、井端、荒木を中心として、次の塁への積極性を高めたことが大きい。
更に中心打者だった福留も抜け目ない走塁をみせたことも、チーム全体がいやらしいプレーをするようになった要因ではないだろうか。
今年のタイガースは、新井と平野という全力プレーの権化が二人も加入したことで、ついに「ソツの無い野球」に目覚めるかもしれない。
そうなったとき、戦前・戦後の黄金期とは全く性質の異なるゴールデン・エイジの幕が開くことになるだろう。


当たり前のこと

2008年04月13日 | ニュースから
入学金未納の2生徒、入学式に出席させず 千葉の高校(朝日新聞) - goo ニュース


入学金の支払いについて、経済的理由があるなら分納も可能であり、相談にのると学校側が事前に説明していたにも関わらず、何の対策も講じなかった親の責任であり、学校側には何の非も無い。
どこかの識者が「なんということをするか!学校は生徒と保護者に謝罪せよ!」と発言しているそうだが、何をかいわんや、である。
安易にバカ親を擁護する識者がいるから、「権利」という名のわがまま勝手を撒き散らし、なんら「義務」を果たそうとしないヤカラが増えるのだ。

「子供には罪は無い。学校のとった処置は子供の心に傷をつけるものであり、許されない!」
という論調があるだろうが、社会ルールは守るべきものであることを生徒に教えるのも学校の役割の一つでもあり、今回もその役割を果たしたに過ぎない。
このことで子供の心に傷がついたというのなら、事前に何ら措置をとらなかった親の責任であり、家庭内で解決すべき問題だ。

もしマスコミが学校側を全面的に非難するのなら、そんなマスコミは要らない。
(昔、似たような名前のテレビ番組があったなぁ)


「チョコレート」

2008年04月13日 | 映画
ジョージア州立刑務所の看守であるハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)は、父親のバック(ピーター・ボイル)、息子のソニー(ヒース・レジャー)の3人で暮らしていた。
バックは、ハンクと同じ刑務所に勤めていた元看守で、黒人を忌み嫌う差別主義者だった。
そして彼は、家庭内では絶対的な権威主義者でもあったが、ハンクはそんな父親の後を追うように生きてきた。
ある日、黒人の死刑囚マスグローヴ(ショーン・コムズ)の刑執行の日、息子のソニーは任務を全うしきれずに失態を演じてしまう。
その姿に激怒したハンクはソニーを罵倒し、家から出て行けとまで責めた。
その翌日、ソニーはハンクに問いかけた。
「父さんはボクを憎いんだろ?」
「そうだ。ずっとお前を憎んできた。」
「ボクは父さんを愛していた。」
言うなりソニーは、ハンクの目の前でピストル自殺する。
突然の出来事に打ちひしがれたハンクは、看守を退職するが、そんなハンクをバックは蔑み罵るばかりだった。

一方、処刑されたマスグローヴの妻レティシア(ハル・ベリー)は、夫が11年もの間刑務所暮らしを続けていたために貧乏のどん底に喘ぎ、一人息子のタイレル(コロンジ・カルフーン)を抱えて、ファースト・フードの店で働きながら必死で暮らしていた。
しかし収入は低く、家賃も滞りがちで、とうとう大家から退去命令の札を家の玄関に貼られてしまう始末だった。
処刑された夫の葬儀を終え、出勤してきたレティシアは、遅刻を詫びながら制服に着替えようとして店主に呼び止められた。
「もう新しいコを雇ったんだ。」
仕方なくレティシアは、レストランで夜当番のウェイトレスの仕事を得る。
その初日、ガラガラの店にやって来たのは、常連客のハンクだった。
彼は、いつもと同じ「チョコレートアイスクリームとコーヒー」を注文する。

ある日、レティシアは息子のタイレルを店に連れてきていた。
仕事を終え、タイレルを連れて店を出たレティシアを、思わぬ悲劇が襲った。
タイレルが自動車に轢かれてしまったのだ。
助けを求めて泣き叫ぶ彼女の前を、偶然ハンクが車で通りかかる。
驚いたハンクは急いでタイレルを病院まで運んだが、医師の懸命の手当ても及ばず亡くなってしまうのだった。

底知れぬ喪失感に包まれながらもレストランで働くレティシア。
ある日、毎日夜遅くまで働く彼女を気遣い、ハンクは自宅まで車で送ることに。
彼女の家の前で車を止め、自分にも息子がいたが自殺してしまったことを告白するハンク。
「彼はいい息子だったが、自分はいい父親じゃなかった。」
レティシアは自宅へとハンクを誘い、そこでお互いの喪失感を埋めるように求め合った二人。
その夜をキッカケに、二人は愛を育んでいった。

ある日レティシアは、ハンクへのプレゼントを自宅に届ける。
呼びかけても返事がなかったが、入口が開いていたためについ入り込み、そこで父親に出くわす。
「そんな贈りものをするなんて、相当な仲だな。」
はにかむレティシアに追い討ちをかけるようにバックは言った。
「ワシも若い頃は黒い女を抱いたものだ。黒い女を抱いてこそ、男だ。」
ハンクも同じことだ。
ショックのあまり、家を飛び出すレティシア。
庭に出ていたハンクは追いかけるが、彼女は振り切って行ってしまう。

よりを戻そうとするハンクだが、傷ついたレティシアは取り合わない。
ハンクは、父親を介護施設に入所させ、家を改装した。
レティシアを迎えるために。

一方レティシアは、家賃を滞らせたままにしていたため、家を追い出されるハメに。
家財道具一切と共に強制的に放り出され、夕焼けに染まりながら途方に暮れる。
彼女の元を訪れようとやって来たハンクは、もちろん躊躇無く彼女を自宅へ迎え入れた。
戸惑いながらもハンクの家に招かれたレティシアは、自分のために準をしていたハンクの気遣いに、再び心を許すのだった。

再会に喜び、愛し合った二人。
ハンクがふいに、「アイスクリームを買ってくる」と言い出す。
「君は何がいい?」
「チョコレートアイスクリーム。」
ハンクが出かけた間に、二人の亡くなった息子たちの遺品が置いてある部屋にいき、ハンクの息子・ソニーのものを目にした瞬間、レティシアは凍りついた。
夫を処刑執行したのは、ハンクだったのだ…

レティシアの息子タイレルは、母親の目を盗んではチョコレートバーを貪り食う。
そんなタイレルはぶくぶくと肥え太っており、盗み食いを見つけては激しく叱る。
しかし彼は、父親が家にいない寂しさを紛らわすように、自分の部屋のベッドの周りにチョコレートを隠し持っている。
父親の影に付き従うように、父親と暮らしてきたハンク。
威圧的な父親の影響を受け続けたハンクは、自身で気づかないうちに父親の求める枠の中で生きてきたのだろう。
それは結局、父親から自立できないまま大人になり、父親になってしまった悲劇として、最愛の息子ソニーを失うことになった。
父親から自立できない、いつまでも“息子の地位”に甘んじてしまっていることを象徴するかのような、甘い甘いチョコレートアイスクリーム。
しかし、自分の息子を亡くして喪失感に打ちひしがれ、また父親が忌み嫌う黒人女性の恋人を得たとき、父親が自分を押し込んでいた“枠”から飛び出すことができたのである。

ようやく父親のもとを離れることができたハンクは、今度はレティシアと一緒にチョコレートアイスクリームを食べることができるのだろうか…


「チョコレート」
2001年/アメリカ  監督:マーク・フォスター
出演:ハル・ベリー、ビリー・ボブ・ソーントン、ヒース・レジャー、ピーター・ボイル、ショーン・コムズ