面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「セシウムと少女」

2015年09月08日 | 映画
17歳のミミちゃんは、阿佐ヶ谷で両親と暮らす17歳の高校生。
生来の記憶力の良さもあって成績は常にトップクラスの優等生ながら、なんとなく周囲から浮いた存在になっていて、あまり居心地は良くない。
自分がいるべき本来の場所はどこだろう?本当の自分て何だろう?

ある日の学校の帰り道、送電線の下で落雷に遭うが、そこで雷神のらーさん(長森雅人)と出会った。
それをきっかけに、風神のふーさん(飯田孝男)に海神のうみさん(川津祐介)、田の神のたーさん(山谷初男)、阿修羅のあーちゃん、大黒天の大ちゃん(山崎恵史)、芸能の神のミッキー(なんきん)という、古来より日本に住むちょっとくたびれた神様たちと知り合い、行動をともにするようになる。
そして、老人ホームに暮らす静おばあちゃんが可愛がっていた歌う九官鳥のハクシを、“神様的手段”を駆使して探す時空を超えた旅に出たり、東日本大震災以来、ミミちゃんを悩ませてきた食事のたびに舌がチクチク痛む症状の原因を突き止めようとしてセシウムのホットスポットを辿ったり…


東日本大震災の3日後、東京にセシウムの雨が降り注いで以来、ミミちゃんの舌は食事をするとチクチクと痛む。
出会った神々と共にその原因を突き止めようとして、セシウムのホットスポットを辿ったり、神様たちが原発政策に対して喧々諤々の議論を戦わせる。
静おばあちゃんの九官鳥を探す時空の旅では、アニメと実写が絵本のように織り交ざって描かれ、ほのぼのとしたファンタジー映画の様相を呈する一方で、神様たちの口を通して原発への懸念や原発に対するこの国のあり方を憂い、憤る。

事故を起こした福島の原発は、周辺を巻き込んで二度と人の住めない土地を作り出し、今もなお放射能を吐き出している。
原発事故に近い福島はおろか、東京のそこかしこにも、セシウムのホットポイントが存在する。
本当に「まだ何も終わっちゃいない」のだ。

にも関わらず、原発推進は止まらず、原発周辺の避難指示は次々と解除されていく。
そして原発に対する国民の不安を吹き飛ばすかのように、安保法案を推し進めて自衛隊の戦争参加への道筋を整えようとする。
この国の為政者は、本気で国民のこと、日本のあるべき姿を考えていない。
いや、為政者は考えていないのではなく、首相個人が独善的かつ自己満足的に、「日本の為に」なることを推し進めているのである。
併せて、こんなことを書いたら警察組織から目をつけられる可能性のある国へと突き進んでいる。


主人公のミミちゃんが溌剌と弾ける可愛い映画でありながら、どストレートに原発政策に対する疑問をぶっ放し、北原白秋の歌に乗せて日本の来し方行く末への考察を明るく促す、POPでキュートなトゲのあるファンタジー。
反戦意識だけでなく、原発への憂いも忘れてはならないことを思い起こさせてくれる。


セシウムと少女
2015年/日本  監督:才谷遼
出演:白波瀬海来、長森雅人、飯田孝男、川津祐介、山谷初男、なんきん、山崎恵史、金野美穂

適当で絶妙な抱負

2015年08月30日 | ニュースから
3代目散歩人は高田純次「じゅん散歩」へ抱負「残り人生30年散歩する」


抱負とか意気込みとか、そんな意欲的なことがいかにも似合わない高田純次が番組への抱負を語る逆説が面白いが、こういう番組をやりたいと思ってきたことが本当だからなんだろう。
番組のコンセプトに高田純次はピッタリ!
これまでこういう番組を持っていなかったのも少し意外な気もするが、この年齢になってようやく使う側にも彼に任せても大丈夫と思えるようになったということか。

「わたしに会うまでの1600キロ」

2015年08月28日 | 映画
アメリカ西海岸を、メキシコ国境からカナダ国境まで南北に縦断する自然道「パシフィック・クレスト・トレイル」。
1,600キロに及ぶこの道の踏破に、たった一人で挑むシェリル・ストレイド(リース・ウィザースプーン)は、険しい岩山の上で束の間の休息を取ろうと、登山靴を脱ごうとして誤って谷底へと片方の靴を落としてしまった。
彼女は、「ふざけんな、バカ!」と叫び、もう片一方の靴も投げ捨ててしまう。

そもそも、この挑戦を始めたときから失敗の連続だった。
あれもこれもと詰め込み過ぎたバックパックはクソ重たくて、担ぎ上げるのにも一苦労。
初日から止めたくなったシェリルだが、いつも明るく笑っていた大好きな母・ボビー(ローラ・ダーン)のことを思うと力が湧いた。
子育てがひと段落した母は、シェリルと同じ大学に入学して文学を学んでいて、そんな母親が誇らしかった。

2日目に携帯コンロの燃料を間違って持ってきたことが分かる。
仕方なく火を通さずに冷たい粥をすすり、コンロを使わない食事を続けたが、その食料も8日目に尽きた。
トラクターで作業中のむさくるしい男を見つけて、街まで車に同乗させてもらおうとするが、男から自分の家に来いと言われて身構える。
しかしあまりの空腹に耐えきれずに車に乗り、自衛策を講じて必死に作り話をするシェリルが連れていかれた家には、男の妻が食事を作って待っていたのだった。
シャワーを借りて一息つくシェリルは、ふと腕の入れ墨に目をやり、夫のポール(トーマス・サドスキー)と離婚した日を思い出した。
絆として同じ刺青を彫った二人は、互いに愛していながら別れてしまったのは、シェリルの度重なる浮気が原因だった…


ハイキングでさえ行くこともなかったのに何のトレーニングもせず、3カ月をかけて1,600キロもの自然歩道「パシフィック・クレスト・トレイル」踏破に挑んだ女性、シェリル・ストレイドの大ベストセラーになった自伝を、リース・ウィザースプーンの製作・主演で映画化。
原作に惚れ込んだリースが作者のシェリルに直々に交渉して製作に取り組み、全てをさらけ出した自然で体当たりの演技で映画を作り上げた。

シェリルが歩みを進めるのに従って、なぜ彼女がこんな無謀な挑戦に臨むことになったのかが、徐々に明らかになっていく。
どんなに苦しい状況でも前向きで、優しく微笑んで楽しそうに歌っていた最愛の母親を亡くした喪失感があまりにも深く、優しい夫を裏切って、薬と男に溺れたシェリル。
これ以上の下は無いどん底まで落ちたとき、ふと目にした「パシフィック・クレスト・トレイル」のガイドブックを見て、衝動的にこのトレイルを歩くと決めたのだった。


人の一生は重き荷を負うて遠き道を往くが如し。
徳川家康が言ったとされる言葉だが、実際にこの言葉を地でいく体験が無いと、本当の自分とは出会えないものなのかもしれない。
とはいえ、本当に「重い荷物」たるデカいバックパックを背負わずとも、苦しい状況の中でも「なにくそ」と歯を食いしばり、もがきながらも一歩ずつでも前進し続けていると出会える“自分”がある。
シェリルの場合、母親が亡くなるという現実があまりにも重くて直視できず、逃げることしかできなかったが、「パシフィック・クレスト・トレイル」を歩くことで辛すぎる現実を離れることができ、大自然の中に我が身一つだけが置かれている状況の中で、ようやく“自分”に出会うことができたのだろう。

“自分”との出会い方は人それぞれだが、その出会いは人生を豊かにする。
“自分”に出会えることが大切であると同時に、出会えればそれはとてもラッキーなこと。
常人には、なかなか出会えるものではないのだから。

“自分”に出会えたシェリルはラッキーなのだが、その幸運をつかんだのは、踏み出した一歩の歩み。
苦しくても、とにかく前へ、前へ、前へ…


“自分”に出会うための一例を示す、ヒューマンドラマの佳作。


わたしに会うまでの1600キロ
2014年/アメリカ  監督:ジャン=マルク・ヴァレ
出演:リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーン、ミヒル・ホイスマン、ダブル・アール・ブラウン、ギャビー・ホフマン、ブライアン・ヴァン・ホルト、クリフ・デ・ヤング

「テッド2」

2015年08月28日 | 映画
冴えない中年男のジョン(マーク・ウォールバーグ)が恋人と結婚してから数年。
しかし美人妻との結婚生活は、長くは続かなかった。
一方、彼の唯一無二の大親友テッドは、バイト先のスーパーで出会ったタミ=リン(ジェシカ・バース)と結婚した。
お互い口の悪い者同士、幸せな新婚生活を送るはずだったが、バイト生活という状況は経済的に楽ではなく、ある夜ささいな行き違いから大ゲンカになってしまい、二人の間に暗雲が立ち込める。

仲直りのキッカケがつかめずにいたテッドは、離婚危機を乗り越え、夫婦の愛を再燃させるために子供を持つことを決めた。
タミ=リンは大喜び!
再び二人の愛は燃え上がったが、予期せぬ大問題が発生する。
州政府がテッドを「モノ」として認定、「人間ではなく、所有物である」と通達してきたのだ。
子供を持つことはおろか、タミ=リンとの結婚さえ無効と判断され、スーパーもテッドをクビにしてしまう。

途方に暮れるテッドだったが、大親友を「モノ」扱いされてジョンは怒り心頭!
敏腕弁護士に訴訟を依頼するが、勝ち目のない裁判となることが予想されるため自分は受けず、弁護士になって事務所に来たばかりの姪に受けさせることにする。
新米弁護士サマンサ(アマンダ・セイフライト)を紹介されたジョンとテッドは、これでは裁判に勝てないと他の弁護士を当たろうと考えるが、若くて美人の彼女が自分たちと同様“はっぱ”をやることを知って方向転換。
“はっぱ”を通じて意気投合した3人は、周到に準備を重ねて裁判所に乗り込んでいく…


中年のオッサンそのもののテディベアという衝撃的なキャラクターが大当たりした、大ヒット作の第二弾。
下品で低モラルではあるが、ヘタな人間よりもよっぽど人間らしいテッドが、テディベアであるという事実を楯に“人権”を認められず「モノ」扱いされるというシビアな展開に、単純な自分はイッキに物語に引き込まれていった。


今となっては昔のことだが、かつて奴隷制度が敷かれていたアメリカでは、黒人奴隷は“モノ”扱いされていた。
テディとは違い、れっきとした人間にも関わらず、である。
その奴隷が解放されて人権が認められ、市民権を得るまでには、内戦をはじめとする激しい闘いの歴史があるが、いまだに黒人に対する差別は続いている。
翻って、中身は中年オッサンの“人間”ではあるが、れっきとしたテディベアのぬいぐるみであるテッドは、「モノ」ではなく“人間”なのか?と改めて問われれば、人々は思わず「違う」と言ってしまうのは当然であり仕方ないこと。
胸を押せば“中年オヤジテッド”の意志に関係なく、「ライ・ラブ・ユー」などと声が出てしまうおもちゃなのだから。
しかしこのぬいぐるみの中には、確かに“人格”が存在し、人間そのものの思考・言動をするのである。

政府側は手強い辣腕弁護士を押し立ててきて、テッドたちは苦戦を強いられる。
そこに登場するモーガン・フリーマン演じる、優秀な人権派弁護士の動向は見もの。
彼の登場により、物語はハッピーエンドに向かって突き進んでいくのは痛快。


往年のコメディ映画のようなオープニングと、相変わらずのフラッシュ・ゴードンに、突然のジュラシック・パークが微笑ましい。
そしてあの美人女優・アマンダ・セイフライドに“くわえさせる”蛮行や、モーガン・フリーマン演じるジェントルマンそのものな弁護士への罵詈雑言の雨嵐など、やりたい放題が加速した、良い子には見せられない“もふもふ”コメディ♪

しかし笑いの中に、アメリカにおける人権の歴史について考えさせられる、ピリッとしたスパイスがgood!


テッド2
2015年/アメリカ  監督:セス・マクファーレン
出演:マーク・ウォールバーグ、アマンダ・セイフライド、ジョヴァンニ・リビシ、ジョン・スラッテリー、ジェシカ・バース、モーガン・フリーマン、パトリック・ウォーバートン、マイケル・ドーン、ビル・スミトロビッチ、ジョン・キャロル・リンチ、ロン・カナダ、デニス・ヘイスバート、セス・マクファーレン

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

2015年07月30日 | 映画
石油も水も尽きかけた近未来。
元警官のマックス(トム・ハーディ)は、愛する者を殺されて夢や希望もなく、ただ“生存”していた。
ある日、水を独占して暴力と恐怖で民衆を支配しているイモータン・ジョー率いる軍団に捕まった彼は、生きたままその血を提供させられる“輸血袋”とされるが、ジョーの子供を産むことだけの目的で囚われていた「ワイブズ」を連れて軍団からの脱出を図るフュリオサ(シャーリーズ・セロン)と、戦闘要員として育てられてきたニュークス(ニコラス・ホルト)と共に、自由を求めて逃走を開始する…


頭のおかしい凶悪なボスに立ち向かうというコンセプトは、メル・ギブソン主演の「マッドマックス」シリーズの面影そのままに、ハデハデしいマシンをブッ飛ばしての壮絶なカーアクションによる迫力満点の追跡劇で、かつてのシリーズとは似て非なるものとなっているが、相変わらず“悪玉”が倒されていく度に心はスッとする。
ある種のカタルシスは得られるものの、スキッと爽快♪とはいかないところも前シリーズと同じか。

砂埃が舞い上がる乾ききった大地の描写が息苦しさを感じさせる、“ほぼ勧善懲悪型”のバイオレンスアクション!
監督だけでなく、「あ!あいつが!?」という人物も再登場しているところがミソ♪


マッドマックス 怒りのデス・ロード
2015年/アメリカ  監督 ジョージ・ミラー
出演:トム・ハーディ、シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、ロージー・ハンティントン=ホワイトリ、ゾーイ・クラヴィッツ、ライリー・キーオ、ネイサン・ジョーンズ、メーガン・ゲイル、ヒュー・キース・バーン、ジョシュ・ヘルマン

「海街diary」

2015年07月27日 | 映画
鎌倉で暮らす長女・幸(綾瀬はるか)、次女・佳乃(長澤まさみ)、三女・千佳(夏帆)の三姉妹のもとに、15年前に家を出て以来疎遠になっていた父親の訃報が届いた。
父の最後の地となった山形で葬儀に参列した三人は、母親の違う妹・すず(広瀬すず)に出会う。
三度目の結婚をした父の連れ子だったすずは、頼りない継母に代わって、気丈に父親の最後の面倒を見てきたのだった。
三人から父親の介護に対する礼を言われたとき、張りつめていた心がほぐれたように涙を流すすず。
そんな彼女に幸は、自分たちと一緒に暮らすことを提案する。
秋の訪れとともにやって来たすずを迎えて、四姉妹の新しい生活が始まった…


離婚した両親が出ていった後の一軒家で、寄り添うように生きている、生真面目で責任感の強い長女・幸、自由奔放な次女・佳乃、マイペースな三女・千佳の三姉妹。
そこへ、腹違いの四女で、素直でマジメでしっかり者のすずが加わることによって変化が起きる。
幸の心はほぐれ、次女・三女は人間的に成長し、すず自身も心の奥に封印していた悲しみを解き放つことができ、自分自身の存在を認められるようになる。
鎌倉の美しい四季の中で、四姉妹の何気ない日常も、さりげなく変わっていく。


季節と台詞の移ろいが、四姉妹の絆が深まっていく様子を描く佳作。


海街diary
2015年/日本  監督:是枝裕和
出演:綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、加瀬亮、鈴木亮平、池田貴志、坂口健太郎、前田旺志郎、キムラ緑子、樹木希林、風吹ジュン、リリー・フランキー、堤真一、大竹しのぶ

来季の大谷

2015年07月25日 | 野球
日本ハム・大谷、プロ初の満塁被弾も両リーグトップ11勝目…昨季に並ぶ


ファイターズの大谷が両リーグダントツトップとなる11勝目をあげた。
この試合はあまり調子がよくなかったようで、ライオンズの主砲・中村にホームランを二発もくらうなど、6回投げただけで102球も投げ、7安打打たれての5失点。
ただこの5失点が、全ておかわり中村のホームランだけだったというところに、悪い中でも最低限の投球はできた大谷の強さがある。
中村に打たれても気持ちを切ることなく、後続を断ち、それ以上の失点を防いだと言えよう。
そして普段からチームへの貢献度が高いことは、野手にはもちろん浸透済みであるので、悪いなりにも必死で失点を食い止めようとしている姿に打者も応えたのではないだろうか。
おかわりに対抗するように、助っ人のレアードが2発ぶっ放して援護したのはその最たるもの。
大谷自身の力もあるが、やはり野手陣の援護もあってこその11勝であり、敗戦もたった1つで済んでいるということだろう。

投手として、もはやエースの風格を備えてきた今季であるが、打者としての成績はイマイチ。
このままだと、来季からいよいよ投手として“一本化”することになるのではないだろうか…

「ゾンビーバー」

2015年07月23日 | 映画
ズボラな運転手が携帯片手に運転するトラックが、田舎道で鹿に激突。
その衝撃で、荷台に積んであった汚染廃棄物の入ったドラム缶の一つが、そばを流れる川へと転げ落ちた。
下流へと流れていったドラム缶は、とある湖に作られたビーバーの巣に引っかかって止まったが、はずみで中身が吹き出し、辺りを汚染してしまう。

ある日、湖のほとりにあるコテージに、メアリー(レイチェル・メルヴィン)、ゾーイ(コートニー・パーム)、ジェン(レクシー・アトキンス)の仲良し3人組がやってきた。
彼氏の浮気に傷ついたジェンを慰めようとメアリーが、週末に無人になる親戚の所有するコテージを借りて、“女子会キャンプ”を企画したもの。
昼間は近くの湖で遊び、夜は過激なガールズトークを楽しんでいた3人だったが、彼女たちの彼氏であるサム(ハッチ・ダーノ)、トミー(ジェイク・ウィアリー)、バック(ピーター・ギルロイ)が突然乱入してきて乱痴気騒ぎになる。
そんな中、シャワーを浴びようとしたジェンが、バスタブで共謀なビーバーに襲われ、慌ててバスルームから飛び出してきた。
おとなしいはずのビーバーが、まるで違う生き物のように牙をむく恐ろしい姿に、トミーがボコボコに木で殴って撲殺し、ゴミ袋に放り込んでコテージの玄関から放り出した。

翌朝、ゴミ袋が破れて、中に入っているはずのビーバーの死体が無くなっていた。
森の中のコテージゆえ、野生動物が食ってしまったんだろうとタカをくくる3人だが、それがその後に起こる凄惨な事件の幕開けとなることを知る由も無い…


週末のバカンスに、森の奥にたたずむコテージへとやって来る下品でユルい大学生たち。
そこで繰り広げられる乱痴気騒ぎと、その喧噪をよそに迫りくるモンスター、やがて繰り広げられる血しぶきにまみれる惨劇…
キャンプ、バカな学生、お色気、スプラッターと、伝統的B級ホラーの基本を忠実に踏襲して物語が進む。

映画が始まってしばらく続く、トラックに乗る二人組の男たちの下品極まりないユルい会話。
この下衆さは、B級テイストにおける基本的なスパイス。
いきなりのご機嫌な味付けに、思わず吹き出して笑ってしまった♪

汚染物質にまみれて遺伝子に異常をきたし、ゾンビとなって狂暴化するビーバー。
鋭い前歯を牙のようにむき出すものの、マペット感たっぷりの“ちゃちな”作りで動きも雑(笑)
CGによるVFXなどクソくらえなその姿に、恐怖感よりも“失笑感”が湧き起こる♪


B級スプラッターホラーの王道をゆくのだが、うまくスカされるところが楽しい!

登場して早々に見事なバストを惜しげもなく開示する、セクシーで少々下品な美女ゾーイ。
彼氏に裏切られて落ち込む、マジメで少し引っ込み思案なジェン。
そんな彼女たちの中に立つリーダー格のメアリー。
この組み合わせならば、だいたいはゾーイは早々に殺されてしまい、次にメアリーが死に、最後はジェンが生き残るだろう。
無意識のうちにそんな予測をしながら観ていたが、それを見事に外される意外な展開にワクワクする♪

また、「ゾンビモノ」にはかかせない、ゾンビに噛まれてゾンビになるという現象は、ビーバーのゾンビだけに、ただ人間がゾンビ化するなどという単純な話ではない。
ビーバーに噛まれてもしばらくは何も起きないのだが、やがて奇想天外な変貌を遂げていくことになってビックリ♪

そして惨劇が収束して平和が訪れる終盤。
そこでもう一度ハラハラな展開があるのはお約束だが、あ!と思わせた瞬間にやって来る、実にあっけない幕切れに爆笑した♪

さすがは「ハングオーバー」シリーズの製作者クリス・ベンダーとJ・C・スピンクが手掛けただけのことはある。


映画「アイアンマン」におけるサミュエル・L・ジャクソンを彷彿とさせる、次作への伏線となるシーンが登場するので要注意。
そこから類推するに、きっと次回作のタイトルは「ゾン○○」に違いない!
というのが、映画情報バラエティ番組「Theがってんシネマ」における結論である。
(「○○」は当局の指導により伏字としています)

最後の最後まで、ワクワク・ゲラゲラし通しの、オーソドックスなB級スプラッターホラー&モンスター系パニックムービー♪


ゾンビーバー
2014年/アメリカ  監督:ジョーダン・ルービン
出演:レイチェル・メルビン、コートニー・パーム、レクシー・アトキンズ、ハッチ・ダーノ、ジェイク・ウィアリー、ピーター・ギルロイ、レックス・リン

「ターミネーター:新起動/ジェニシス」

2015年07月21日 | 映画
2029年のロサンゼルス。
1997年の「審判の日」に、人類を守るためのシステムのはずだったスカイネットが核兵器で30億人もの人類の命を奪って以来、機械軍によって支配され続けてきた人類が、その闘いにようやく終止符を打とうとしていた。
機械軍中枢への攻撃態勢を整え、とどめを刺すべく全軍を鼓舞する抵抗軍のリーダーはジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)。
機械軍との戦い方を指導し、敵の動きを常に先取りして人類を指揮してきた彼は“預言者”と呼ばれていた。
そんなジョンに付き従っていたカイル・リース(ジェイ・コートニー)は、彼と共に機械軍の“最終兵器”を破壊するべく最終決戦に臨む。

戦闘が始まり、激戦が展開されたが、ついに別働隊が機械軍中枢の破壊に成功。
人類は勝利を収めたかに見えたものの、ジョンとカイルの部隊が突撃したときには、自らの敗北を悟ったスカイネットは既に“最終兵器”を作動しいていた。
ジョンの母親であるサラ・コナー(エミリア・クラーク)を抹殺し、ジョンが産まれなかったことにしようと、タイムマシンを使ってターミネーターを過去に送り込んでいたのである。
ターミネーターは1984年に送り込まれていることが判明。
サラ抹殺を阻止するため、カイルはタイムマシンで過去に向かうことを志願、タイムマシンが起動してカイルが時を超えようとしたその瞬間、ジョンが何者かに襲われる姿が彼の目に映る…


1985年、日本で公開された「ターミネーター」を観たときの衝撃は凄かった。
サラ・コナーを抹殺することだけをプログラミングされ、現代の攻撃では容易に破壊することのできな超合金で作られたボディを持つ、未来から送り込まれてきた殺人マシーンが、どこまでもサラを追いかけてくるスリルに、手に汗握りながら瞬きも忘れてスクリーンを凝視し続けたもの。
世界的なヒットとなった「ターミネーター」は続編が作られて人気シリーズとなり、無機質な殺人マシンを演じたアーノルド・シュワルツェネッガーが一躍スターダムにのし上がるとともにターミネーターも“善玉”となった。

第一作の「ターミネーター」から30年。
アンドロイドという機械であるはずのターミネーターが歳をとるという設定が作られ、12年ぶりにアーノルド・シュワルツェネッガーが戻ってくることになった「ターミネーター:新起動/ジェニシス」。
スカイネットが“切り札”として送り込んだターミネーターT800は、昨今のVFX技術を駆使して往年の姿(若かりし頃のアーノルド・シュワルツェネッガー)が復元されて現れるが、その日を待っていたという“現在の”アーノルド・シュワルツェネッガー演じるT800に倒される。
その瞬間、30年前に受けた衝撃の思い出と恐怖の殺人マシンに対するノスタルジーは雲散霧消。

エミリア・クラーク演じるサラ・コナーも、リンダ・ハミルトン演じる“初代”より肉感的でセクシーで魅力はアップした(感想には個人差があります)。
しかも登場シーンでいきなり、ピンチに陥ったカイルを助ける戦闘能力を備えた強い女性となっていて、“初代”の初登場時のか弱さは微塵もない。
なんとなればまだ彼女が幼い頃、何の前触れもなく家族ともども未知の相手から襲撃を受けたところを突如現れたT800によって救出され、彼によって育てられたのだから強いのも当然。

更には、人類の救世主たるジョンまでもが予想だにしないシチュエーションでカイルとサラの前に現れるに至っては、これはもう全く新しい物語。
過去の作品に対する思いはすっかり消え去って、物語が正に「新起動」するのである。


人間が作り出し、人類を守るべくプログラミングされているはずのスカイネットが、自我を持ち、人類を駆逐し始める展開は、これだけインターネットが普及し、スマートフォンによって常にネットワークとつながっている状況が生まれ、しかも人工知能がどんどん発達していく今、第一作の「ターミネーター」が公開された頃よりもはるかに信憑性が高くてゾッとする…

往年の人気SFアクションシリーズが新たな命を吹き込まれ、より娯楽度を高めたアトラクションムービーとして「新起動」♪


ターミネーター:新起動/ジェニシス
2015年/アメリカ  監督:アラン・テイラー
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、エミリア・クラーク、ジェイソン・クラーク、ジェイ・コートニー、イ・ビョンホン、J・K・シモンズ、マット・スミス、コートニー・B・ヴァンス、マイケル・グラディス、サンドリーヌ・ホルト、オットー・サンチェス

大阪市住民投票

2015年05月17日 | ニュースから
【大阪都構想】最終の投票率は60%超え確実…19時現在「45・41%」 大阪ダブル選上回る見通し(産経新聞) - goo ニュース


投票率が、少なくとも先のダブル選挙時を上回りそうだとか。
6割はいきそうな様子であるのはよかった。
通常の選挙とは違い、市民自らの生活に直結した判断をくだすための投票。
本当なら9割を超えてもいいはずだが、7割を切るというのは、いかがなものかとは思う…
最終投票率はどこまでいくだろう。