面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

訃報

2016年04月03日 | ニュースから
漫画家の望月三起也さん死去 77歳 「ワイルド7」がヒット


ニュースにもあるが、自分の中では「ワイルド7」とイコールな漫画家である望月三起也氏が亡くなった。
突然の訃報に驚いたが、もう77歳だったとは。
冥福を祈るばかり。
合掌

「セーラー服と機関銃 -卒業-」

2016年03月06日 | 映画
高校三年生の星泉(橋本環奈)は、四代目目高組組長だったという過去がある。
父親代わりに自分の面倒をみてくれていた伯父の星嗣夫(榎木孝明)が、高校の入学式の日に目の前で銃弾に倒れ、ヤクザの親分だったことを知った泉は、親族が跡目を継ぐという組のしきたりに則り、組長となったのだ。
そして敵である浜口組に3人しかいない子分を引き連れて乗り込み、機関銃を打ち込むという大事件を引き起こす。
この一件で浜口組と協定を結び、浜口組は目高組の“シマ”には手を出さないことと引き換えに目高組は解散。
事務所を改装して「めだかカフェ」をオープン。
組長改め、店長としてカフェを切り盛りしているのだった。

いまだに自分のことを「組長」と呼んでしまう元若頭の土井(武田鉄矢)たち「店員」の言動にうんざりしながらも、フツウの女子高生として暮す泉のもとへ、ある日同級生の女子がやって来た。
胡散臭いモデル事務所が詐欺まがいの契約で女の子を集めているという話に、「店員」の祐次(大野拓朗)と晴雄(宇野祥平)と共に現場に乗り込むと、責任者の男が浜口組がバックに付いているという。
協定違反に抗議するべく、浜口組長(伊武雅刀)に直談判に行った泉だったが、逆に浜口から危険ドラッグ入りのクッキーを売りさばいていると責められる。

この些細ないざこざは、実は浜口組が引き起こしたものではなく、いくつもの「フロント企業」抱えて暗躍する暴力団・堀内組の進出の序章であった。
「ホリウチ都市デザイン」という企業が、街の再開発を担って進出してくるが、社長の安井(安藤政信)は、街の再開発を病院や介護施設、製薬会社を経営する堀内組の若き組長だった。
巨大な力を背景に、市長と刑事をも抱き込んで街を食い物にしようと企む安井の前に、恐れをなした浜口組長はひれ伏してしまう。
しかし、若頭補佐として組長を支えてきた月永(長谷川博己)は、堀内の指揮下に組み入れられることをよしとせず、浜口組を再興するべく堀内組の排除を企て、目高組組長としての泉に協力を持ちかけた…


1981年に薬師丸ひろ子主演で映画化され、翌年の邦画配給収入一位をなる大ヒットを飛ばした「セーラー服と機関銃」。
薬師丸ひろ子を一躍スターダムに登らせた相米慎二監督の名作の“続編”となる物語が、角川映画40周年記念作品として映画化された。
ヒロインの星泉には、映画初主演となる橋本環奈が抜擢され、かつての薬師丸ひろ子同様に主題歌も歌う。
往年の大ヒット作品の後継作品に、主役として指名された橋本環奈が感じたプレッシャーはいかばかりか。
その重圧たるや想像を絶するものがあるが、それに押しつぶされる気配を全く感じさせない橋本環奈の佇まいが清々しい。
イマドキの女子高生を等身大に演じつつ、戦う決意を固めた泉の急成長ぶりを、堂々たる演技で魅せていく。


ドラッグ入りのクッキーを取引する場所として映画館が登場するが、そこで上映されている作品が「晴れ、ときどき殺人」。
また、巨悪に立ち向かうべく行動を共にする月永に、ほのかに思いを寄せていく泉の姿は、「探偵物語」における、松田優作演じる辻山に淡い恋心を抱く薬師丸ひろ子演じるところの直美を彷彿とさせる。
往年の角川映画を活用し、テイストを醸し出すところは、正に角川映画40周年に相応しい。

更には、ヒロインを演じる橋本環奈が、潔いほどアイドル然としてスクリーンに映し出される。
薬師丸版「セーラー服と機関銃」の代名詞である「カイ、カン…」の台詞を、出し惜しみすることなく、しかもある意味“脈絡もなく”言わせるところも愉快!
メガホンを取る「婚前特急」や「夫婦フーフー日記」の前田弘二監督は、一風変わったヒロインを活き活きと描く術に長けているが、本作では橋本環奈をアイドルとして小気味よく、“どストレート”に描いている。


1980年代、薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子の「角川三人娘」を、アイドルとして映画の中で躍動させた往年の角川映画が、今をときめく橋本環奈を押し立て、平成テイストで復活!
イマドキなエンタメの、正統派美少女アイドル映画♪


セーラー服と機関銃 -卒業-
2016年/日本  監督:前田弘二
出演:橋本環奈、長谷川博己、安藤政信、大野拓朗、宇野祥平、古舘寛治、鶴見辰吾、榎木孝明、伊武雅刀、武田鉄矢、北村匠海、前田航基、ささの友間、柄本時生、岡田義徳、奥野瑛太

3週連続万馬券!?

2016年01月31日 | ニュースから
AKBこじはる 3週連続で万馬券的中 AKBファンだけでなく競馬ファンも注目


必ず宝くじが当たる!とか、当選番号を知らせるといった詐欺があるが、そんな犯罪を下支えするのではないか!?と思うような万馬券的中。
三週連続で当てるとか、あり得んからねぇ、ふつう。
ものすごいギャンブラーか、はたまたやたら金運がイイ流れにあったのか(笑)

「どら平太」

2016年01月04日 | 映画
とある田舎の小藩で、町奉行が不可解な辞職を繰り返していた。
またしても町奉行が辞職したある日、江戸から望月小平太(役所広司)という新任がやってくる。
江戸では不埒三昧の振る舞いであったため、「どら平太」というあだ名がついているとの情報が家中を巡ったが、案に違わずこ平太は、着任以来一度も奉行所に出仕してこない。

主君の“お墨付き”を持ってやってきた小平太だったが、武士が入るのを禁止されている「壕外」と呼ばれる地域へと繰り出しては放蕩の限りを尽くし、一部の若手官僚からは命を狙われる始末。
しかし小平太は、ただ散財をしていたのではなかった。
博打、売春、密輸などあらゆる犯罪が横行し、治外法権と化していた「壕外」を“浄化”し、家中の汚職を正すべく主君より特命を帯びていた小平太は、遊び人を装って侵入し、情報を集めていたのだった。

豪快に遊ぶ小平太は、次々と「壕外」の利権を分け合っている三人の親分の存在を知る。
売春業を仕切る巴の太十(石倉三郎)、賭博を仕切る継町の才兵衛(石橋蓮司)、そして一番の大親分である密輸業を仕切る大河岸の灘八(菅原文太)。
町奉行ながら気風の良い遊び人として、小平太は三人に近づいていき…


何をするでもなくのんびり過ごしていた元旦に、たまたまテレビのチャンネルが合って、何の気なしに見始めたのだが、展開の面白さにあっという間に最後まで見入ってしまったが、それもそのはず。
黒澤明・木下恵介・市川崑・小林正樹によって結成された「四騎の会」の、第1回作品として共同執筆されながらお蔵入りになっていた作品なのだ。
エンドロールを見るまで、すっかりそのことを忘れていた。
山本周五郎原作のこの時代劇を、脚本執筆者の一人である市川崑がメガホンをとることになり、「市川監督の時代劇に出演したい」と熱望していた役所広司が主演し、ついに作品化されたもの。
公開当時、「シネマコミュニケーター」たるべく勉強中の身であったが、これを観ずにいたとは何たる不明!
そんなこっちゃから、ロクなシネマコミュニケーターになれていないという点を痛感…


主人公の「どら平太」は、とにかく強くて頭の切れる正義漢。
博打を打てば負け知らず、男ぶりの良さで女にモテモテ、手刀で湯呑を割り、何十人という敵に囲まれながらも全員峰打ちで倒し、自分はキズ一つ追わず。
ヒーローとはこうでなくっちゃいけねぇ!
(おっと!つい江戸っ子が出ちまったぃ)

「んな、アホな!」とツッコミを入れながら観るのは大損のもと!
このテの映画は、何はさておいても、主人公の超人的な活躍に胸を躍らせて観るのが正しい鑑賞法。
現実離れした圧倒的な強さを誇るキャラクターだからこそ、その活躍に胸が空くのである。
近年では007までもが、変に“人間味”を持って怪我をして血を流したりしているが、そんなジェームズ・ボンドはもはやヒーローではない。
モニカ・ベルッチの登場が宝の持ち腐れになるというものだ。


分かりやすい勧善懲悪が清々しい!これぞ痛快!これぞ娯楽!
絶えて久しい娯楽時代劇の王道を行く、劇画型娯楽活劇の傑作!


「どら平太」
2000年/日本  監督:市川崑  脚色:黒澤明、木下惠介、市川崑、小林正樹
出演:役所広司、浅野ゆう子、菅原文太、宇崎竜童、片岡鶴太郎、石倉三郎、石橋蓮司、大滝秀治、江戸家猫八、岸田今日子、神山繁、加藤武、三谷昇、津嘉山正種、うじきつよし、尾藤イサオ、菅原加織、松重豊、黒田隆哉、本田博太郎、永妻晃、赤塚真人、横山あきお

ダイエット中の餅

2015年12月30日 | よもやま
ダイエット中の“お餅”…何個までなら太らない? 女医の意見は


ダイエット中でも餅を食べても大丈夫、的な記事だったので読んでみたが、結局「食いすぎるな」ということで。
あたりまえやがな(^_^;)

MRJ

2015年12月17日 | ニュースから
MRJ、納入時期先送りへ 4回目の延期


国産初のジェット旅客機として期待を集めているMRJの納品が延期されたという。
MRJの開発は2008年に本格化し、材料や設計の変更などでスケジュールをたびたび延期してきたとか。
1号機を全日空に納入する時期も、既に4年ほど遅れているというからビックリ!
延期は今回で4回目となるのだそうで。

三菱航空機は、初飛行した11月11日の記者会見で森本社長が
「納期を変えるつもりはない」
と言いつつも、
「残された期間がタイトになっているのは否定できない」
とコメントして、ある種伏線を張っていた。
そしてその後、開発スケジュールを精査した結果、納期の遅れが避けられないと判断したとみられている。

MRJはこれまでに全日空や日航、アメリカの航空会社などの計6社から、合計407機を受注しているという。
三菱航空機としては初飛行に成功した実績をアピールする考えだったところに、度重なる納期の先送りで、受注活動への影響も懸念されるのは必定。
営業担当が大変だ…


「FOUJITA」

2015年11月27日 | 映画
1913年、27歳で単身フランスへ渡った、画家の藤田嗣治(オダギリジョー)。
1920年代、「ジュイ布のある裸婦(寝室の裸婦キキ)」をはじめとする裸婦像が「乳白色の肌」と称されてパリで絶賛を浴び、ピカソやモディリアーニ、キスリングらとともに時代を代表する画家となる。
エコール・ド・パリの寵児としてもてはやされた“フジタ”は、夜ごとカフェへと繰り出しては、モデルや画家仲間達と乱痴気騒ぎに興じていた。

1940年、第二次世界大戦の惨禍に見舞われたパリがナチス・ドイツの手に落ちる直前、藤田は日本に帰国する。
フランス時代の裸婦像から一転して、陸軍美術協会のもと戦争画「アッツ島玉砕」を描き、戦意高揚のために開かれた「国民総力決戦美術展」において展示される。
その絵を前にして人々は手を合わせ、絵の前に置かれた箱に“賽銭”を投げ込んだ。
その様子に藤田は、
「絵が人の心を動かすものだということを、私は初めて目の当たりにした」
と感動を覚え、数多くの戦争画を描いて、日本美術界の重鎮へと上っていく。

やがて戦争が激化してくると、藤田は5番目の妻となる君代(中谷美紀)と共に疎開した。
彼は、農家の別棟をアトリエ兼住まいとして田舎の村に暮らしながら、改めて“日本”に触れることになる。
しかし静かな日々を送りながらも、バンザイクリフを題材にして戦争画を描く…


“華のパリ”において、煌びやかで華やかな喧騒に包まれた日々の中で描かれた裸婦像。
その作品群が持つ“静けさ”は、どこか日本的な空気が漂っている。
一方、帰国した日本では、戦時における息の詰まる“静けさ”の中で描かれた戦争画。
猛々しく荒々しい筆致で描かれたその絵には、どこか西洋絵画的な雰囲気が醸し出されている。

フランスにおいては、当時大変珍しかったであろう“日本的なもの”でパリっ子たちの注目を集め、日本においては、パリで触れた西洋絵画の持つ力強さを応用して国民の心を打つ。
それぞれの時代におけるそれぞれの国で、藤田嗣治は人々の心を掴むために策を弄したかのよう。
しかし、画家として売れんがためのしたたかさにも見えるその姿勢は、絵画に対して真っ直ぐに向き合う、藤田の真摯な姿に他ならないのではないだろうか。
彼はただひたすらに、大好きな絵を生かしたいだけだったのかもしれない。


戦前のフランスで人気を博し、戦時中の日本で国威発揚に協力し、それがために戦争責任を問われることとなって再びフランスに渡り、そのまま日本の土を踏むことのなかった日本人画家・藤田嗣治の生き様を、その波乱万丈な生涯とはうってかわって静かなタッチで描く。
凛とした静謐さと計算され尽くしたカットは、映像作家・小栗康平の真骨頂!
絵画と映画が融合した、格調高い芸術作品。


FOUJITA
2015年/日本・フランス  監督・脚本:小栗康平
出演:オダギリ・ジョー、中谷美紀、アナ・ジラルド、アンジェル・ユモー、マリー・クレメール、加瀬亮、りりィ、岸部一徳、青木崇高、福士誠治、井川比佐志、風間杜夫

豪華首脳

2015年11月07日 | 野球
金本新監督&掛布2軍監督W指導で鳴尾浜は超満員

タイガースの2軍練習場が大入り満員とか。
観客のお目当ては1軍監督の金本と2軍監督の掛布の“雄姿”。
どちらも現役時代の背番号を背負い、往年の二人をよく知るファンにとってはたまらないものがあるのだから当然だ。
プロ野球が興行である以上、観客動員につながることはいいことだが、チームとして考えた場合、豪華な首脳陣というのは無意味。
豪華な首脳が並ぶのではなく、少しでも早く豪華な“主砲”に出てきてもらいたい。
せっかく現役時代に“主砲”として活躍した二人が監督になったのだから。

「ロード・オブ・ツリメラ」

2015年09月23日 | 映画
つり目のアイドルグループ「ツリメラ」は、今日もライブを開いていたが、観客は熱狂的な追っかけの男が一人だけ。
ライブの後、キャプテン(仁後亜由美)は悲惨な状況に対する怒りをメンバーにぶつけるが、恋愛禁止のルールを破っているメンバーが二人いたことに衝撃を受けて突如解散を宣言。
懸命に夢を追ってきた桃子(赤澤ムック)は、あまりのショックに気を失う。

平凡な日常に埋没し始めたとき、突然仲間の訃報が飛び込んできた。
更にショックを受ける桃子、藍子(葛木英)、留璃子(岡田あがさ)の三人は、そこから何だかロクでもない方向に暮らしが向かっていく。
桃子は、同棲しているマザコンで極端なベジタリアンな彼氏に、自分の自由を押し殺して尽くしていたが、突然やって来た彼氏の母親に気に入られずに落ち込む一方で、バイト先の花屋に元カレが押しかけてくるようになってグダグダな毎日に。
久しぶりに実家に戻ってみた藍子は、いつの間にか親の不始末に巻き込まれて多額の借金を背負ってしまい、それを清算するために、バイト先の居酒屋へ藍子目当てにやってくる常連のオッサンが命じるままに、オッサンの足を舐めさせられるハメに。
ティッシュ配りのバイトをしている留璃子は、しょっちゅうティッシュを捨てるところをバイトの先輩に見つかってボコられる。

高校時代から、芸能界デビューを果たしてスポットライトを浴びることを夢見ていた三人。
そんな彼女たちがどん底の生活まで落ちたとき、思いがけず知ることとなった仲間の死の信じられない原因に何かが弾ける。
ついに彼女たちの、怒涛の上昇が始まるのだった…!


かつて自分たちが望んでいたことも、自分を偽って、自分らしさを押し殺して実現しても、万事に“イイ目”はでないもの。
何事によらず「just the way you are」が、実は正解。
とはいえ、現実社会においては「そのままの自分」でい続けることは難しい。
「そのままの自分」と、自分の置かれた状況・環境の中で「あるべき自分」とのギャップに苦しみ、悩むもの。
しかし実は、「あるべき自分」というものは「そのままの自分」の延長線上にあるべきもので、「そのままの自分」を自分自身が気づいていないと、この“延長線上の自分”になれず、ギャップとして苦しむことになってしまうのだろう。

ツリメラの三人は人間としての底辺にまで落ちた時、大きなキッカケを得て覚醒し、素の自分を爆発させてのし上がり、「ドS」へと変化していくことで自分たち自身の尊厳を取り戻していく。
そう、彼女たちの“素”は「ドS」なのであり、その延長線上の姿にたどり着いたことで、自分たちがかつて望んでいた舞台でキラキラ輝くアイドルへと昇っていくことができたのだ。

そんな三人が繰り広げる「ツリメラ」のライブは、熱く、エロく、パワフルで、ドMな男たちを虜にして隷属させる。
「ツリメラ」を頂点とする奴隷社会で、つまらない日常を駆逐する快感に浸ることで、再び現実社会に立ち向かっていくエネルギーが充填されるのだ!

…おそらく(見たことないので)


つり目でドSの三人組ボーカルユニット「ツリメラ」主演の、V字復活型ブラックコメディ♪


ロード・オブ・ツリメラ
2014年/日本  監督・脚本:塩出太志
出演:赤澤ムック、岡田あがさ、葛木英、仁後亜由美、大中淳史、岡本裕輝、松本高士、馬場泰光、長山浩巳、牛丸亮、泉水美和子、後藤直樹、長岡明美、広正裕子、村田啓治、萩原正道、星野祐樹、ほりかわひろき、富永茜、市原叶晤、よこえとも子、ちえり、木村知貴、矢島康美

「死神ターニャ」

2015年09月20日 | 映画
人間の死に際に立ち会うだけの日々に退屈を感じ、笑ったり泣いたり怒ったりする人間が楽しそうで、美味しいものを食べて美味しいと言ってみたい、ハンバーグを食って美味いと言ってみたくなった死神。
死んだばかりで、黄泉の国へとつながる道を歩いている人間に触れるとその肉体に乗り移り、人間になれると仲間(の死神“女子”)に教わった死神は、嫌がる仲間を道連れに、交通事故で死亡した佐々木英雄(芹澤興人)となって人間となる。

死神が乗り移った佐々木は、実は交通事故に遭う直前、強盗仲間から奪った金を持って逃げているところだった。
しかしそんなことは露知らぬまま佐々木となった死神は、人を車で撥ねて死なせてしまったと茫然自失に陥っている谷屋みゆき(小堀友里絵)の前に笑顔で現れる。
ビックリ仰天のみゆきだったが、事故で記憶喪失になったように話しかけてきながら頭から血を流している佐々木を、自分の部屋へと連れて帰る。
佐々木は、自分を死神だと言い、あらぬ方向を見ながら疫病神と話をしているという。
何だかよく分からないが、バイトをクビになったり彼氏から突然別れを告げられたり、最近ロクなことがないみゆきは、その原因が自分に憑りついた疫病神のせいなのだと知らされて納得。
2日以内に涙を流せないと消えてしまうという佐々木@死神に協力することに。

ところがみゆきは、大金を奪われて追ってきた仲間と佐々木のトラブルに巻き込まれることになり、更に災いが拡大。
そこへ、人間の姿になった死神の仲間の“女子”も絡んで、どえらい事態に…!


冒頭、紙兎ロペ風な死神同士の掛け合いが絶妙。
“神さま”もイマドキはこんな感じやろ的なリアル感が面白すぎて、いきなり物語に引きずり込まれる。
人間の死に際に立ち会うだけでつまらないと感じている死神(男)は、人間になってみたいと仲間に言う。
「人間になりたいなんておかしい」と答える死神(女)。
なぜなら、人間より“ランクが上”の神様なのだから、そんな“ランクが下”の人間になってどうするんだ!?と言うのだが、確かにもっともだ。
でも、なんだか人間は楽しそうだ。
面白ければアハハと笑い、美味しいものを食ったら美味いという。
そんな刺激ある体験がしたくて人間になる死神(男)だが、自分だけでなく死神(女)も軽いノリで巻き込んでしまうところがまた、イマドキな少々チャラい神様なればこそ。

王侯貴族の高貴な生まれの“やんごとなき方”が、なんとなく庶民の生活に憧れて庶民に混ざってみるという展開は、洋の東西を問わず昔からあるパターンではあるが、神が人間に憧れるというのはなかなかない(というか自分の記憶にはない)。
しかし死神に限らず、神の日常というものは、案外つまらないものかもしれない。
快楽を求め、面白いことに首を突っ込み、美味いものが食いたいと煩悩にまみれて生きるのは、それはそれは楽しいものだ。
欲望を超越した神の日常とは、良く言えば平穏ではあるが、平々凡々とした刺激のないものではなかろうか。
だからこそ、暇をもてあまして人間のフリをして遊ぶ神々もいるのだろう(「モンスターエンジン」参照)


「神とはなんぞや?」ということを(もしかすると)考えさせてくれる、人間でいることはエエやんと思わせる(はず)、ファンキー・ファンタジック・コメディ♪


死神ターニャ
2013年/日本  監督・脚本:塩出太志
出演:芹澤興人、小堀友里絵、岡田あがさ、竹田尚弘、松本高士、河嶋健太、仁後亜由美、星野祐樹、矢島康美、桜木梨奈、ほりかわひろき 、小田学、萩原正道、香取剛、長岡明美、箱田友紀、大高健二、五十嵐さゆり、下川邊寿美、岡本裕輝