花序の蕾全体が大きな球状の苞で覆われた薄紫色の美麗種
■BⅠ①1 タマアジサイ Hydrangea inbolucarta
●BⅠ①1aタマアジサイ(基変種)var.inbolucarta 本州中部
●BⅠ①1bラセイタタマアジサイvar.idzuensis 伊豆七島
●BⅠ①1cトカラタマアジサイvar.tokarensis トカラ火山列島(三島列島黒島・トカラ列島口之島・同諏訪瀬島)
首都圏近郊の丘陵や低山地で夏の終わりごろ最も普通に見ることができる野生アジサイのひとつ。装飾花や正常花が紫色を帯び、(関東地方などでは)白花の多いヤマアジサイより、むしろ栽培アジサイの野生種の様な趣を持つ。本州中部のほか、伊豆諸島とトカラ火山列島(三島列島・トカラ列島)に隔離分布する。同亜群のもうひとつの種、台湾産のナガバノタマアジサイを含めて考えると、変種トカラタマアジサイは、分布圏のちょうど中心に位置すると考えることも出来る。
群馬県榛名山85.7.24
山梨県甲武信岳山麓02.7.30
◆BⅠ①2 ナガバノタマアジサイ Hydrangea longifolia 台湾
合歓山東面の断崖絶壁とも言えそうな急斜面の山腹に、樹高5m以上ある大きな株が散在する。合歓山東面では“アスペラ”の仲間のタイワンオオアジサイH.kawakamiiと同時期に咲くが、生育地は明らかに異なり、本種は標高1000m前後、タイワンオオアジサイは標高2000m前後かそれ以上の地に見られる。著者の観察した限りでは、雄蕊花糸の数は、タマアジサイより明らかに多い15~20本。
合歓山東面中腹 2005.8.20
合歓山東面中腹 2002.9.6
合歓山東面中腹 2005.8.20 この集団に関しては、雄蕊数約20本。