A Short Story of The Cadence Record /3人の女性ポップス歌手ほか(抄』 【上】
カテゴリー:「コロナ」「差別問題と民主化運動」「アメリカン・ポップス」
Don Everly, Johnny Tillotson, Phil Everly. Hangin' out in Printer's Alley, Nashville, Tennessee.
お宝写真を見つけました! エヴァリー兄弟とジョニー・ティロットソンの3ショットです。ケイデンス時代(1958年秋~1960年春)は同僚だったわけですが、エルヴィスと並ぶナンバー・ワン歌手のエヴァリーと、駆け出しのジョニーでは、格が違い過ぎて、なかなか2(3)ショットが見つからない。やっと見つけたのがこの写真です。しかし、やや大人っぽい雰囲気から、60年にエヴァリーがワーナーに移籍し、ケイデンスに残ったジョニーも大ヒットを連発しはじめて、やっと「横綱」と「関脇」ぐらいの位置関係になった頃ではないかと思われます。3人の髪形から見て、エヴァリーが「クライング・イン・ザ・レイン」、ジョニーが「涙ながらに」の頃(1962年)ではないかと。ドン25歳、フィルとジョニーが23歳前後ですね。後ろのポスターは、C&W界の「ギターの神様」チェット・アトキンスのライブです。
https://www.bsnpubs.com/cadence/cadence45.html ケイデンス・レコード全シングル盤リスト
http://www.bsnpubs.com/cadence/cadence.html ケイデンス・レコード全アルバムリスト
↑こんなのに取り組んでいます。アーチ・ブレイヤー率いる「ケイデンス・レコード」(53年に発足し63年暮にレーベル消滅)のシングル盤とアルバムの全曲紹介です。何故かコピーが出来なくて、手書きで写し取ってます。いや、もう大変な作業です(笑)。全曲リストの作成は8割方終えているのですが、B面曲のチェックなどに手間取っているので、今回は、Billboard チャート・ヒット曲を中心に、とりあえず概要を紹介していきます。
Cadens(ケイデンス)レコードは、大スターの、エヴァリー・ブラザース、アンディ・ウイリアムスを擁した、“超有名”な“マイナー(弱小)”レーベルです。
1953年から10年間の間に、212枚のシングル盤をリリースしています。参加アーティストは70組ほど。53年に準備期間のような形で発足し、64年初頭には残務整理のような形で数枚の旧譜のリリースを行っているだけなので、実質的には54年~63年のちょうど10年間と言えます。
便宜上、3期に分けてみました。
第Ⅰ期:1953-1956年。Cadence 1230-1304の75枚(うち2枚はEP盤)をリリース。
1955年にカントリー界で、1956年にポップス界で、エルヴィス・プレスリー(1935~1977)が大ブレイクし、新しいポップ音楽が誕生した時代です。
(レーベル成立とともに立て続けにリリースした8枚を含め)Julius La Rosa(1930~2016)が16枚と奮闘しています(スタートした1230の番号は、ラローサの誕生日の1930.1.2から来ているとのこと)。ついで The Chordettes(リーダーでArchie Bleyer夫人のJanet Ertel:1913~1988)が 8枚、オーナーのArchie Bleyer(1909~1989)が4枚、Andy Williams(1927~2014)も 4枚。
ビルボード総合チャートNo.1ヒットにコーデッツの「Mr.サンドマン」(54年)と、ビル・ハイエスの「デビー・クロケットの唄(55年、子供向け)」があり、No.2ヒットのアーチ・ブレイアー「Hernand’s Hideaway」(54年)が続きます。他にトップ10ヒットとして、コーデッツの「ボーン・トゥ・ビー・ウイズ・ユー」(56年5位)と、アンディ・ウイリアムスの「カナダの夕陽」(56年7位)、および最初期のジュリアス・ラローサの「Anywhere I Wonder」(53年4位)と「Eh Cumpari」(53年2位)があります。
以下、1953~1956年のBillboardチャートヒット全曲。
1230 Julius La Rosa/Anywhere I Wonder(2-53, #4 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=uW0-Qesx8cc
1230(B-side)Julius La Rosa/This Is Heaven(1-53, #21 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=CouvPC2-4CM
1231 Julius La Rosa/My Lady Love To Dance (5-53, #21 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=3qWTOIAHZuM
1232 Julius La Rosa/Eh Cumpari (9-53, #2 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=Bsg73N0eUZk
1240 Julius La Rosa/Three Coins In The Fountain(5-54, #21 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=tK7l_dgI0Mk
1241 Archie Bleyer/Harnando’s Hideaway(5-54, # 2 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=dxltk9yaBZs
1247 The Chordettes/Mr.Sandman (10-54, # 1 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=CX45pYvxDiA
1251 Julius La Rosa/Mobile(11-54, #21 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=Al-OeAZNSBg
1254 Archie Bleyer/The Naughty Lady Of Shady Lane(12-54, #17 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=Z713x0Ji3_g
1256 Bill Hayes/The Ballad Of Debby Crockett (2-55, # 1 pop)*1926~、俳優。曲は子供の歌。
https://www.youtube.com/watch?v=9vKSMd2SbGI
1266 Marion Marlowe/The Man In The Raincoat(7-55, #14 pop)*1929~、Godfreyショー出演。
https://www.youtube.com/watch?v=QjM9yVakayk
1270 Julius La Rosa/Suddenly There’s Are Valley(10-55, #20 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=jQ1V0IOqEM0
1273 The Chordettes/The Wedding(1-56, #91 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=NNAQwmOWG9k
1284 The Chordettes/Eddie My Love(3-56, #14 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=J7c_6ieoTDM
1286 Kay Thompson/Eloise(3-56, #59 pop)*
https://www.youtube.com/watch?v=MnjxEjbQDLI
1288 Andy Williams/Walk Hand In Hand(4-56, #54 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=JC3LOidNxBg
1291 The Chordettes/Bone To Be With You(6-56, # 5 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=bVEiUmfZ4yw
1293 Archie Bleyer/The Rockin’ Gost(6-56, #61 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=7fE2gEmYm04
1297 Andy Williams/Canadian Sunset(8-56, # 7 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=y1LqH4Aq7Rk
1299 The Chordettes/Lay Down Your Arms(9-56, #16 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=1NLkMsdlkF4
1299(B-side)The Chordettes/Teenage goodnight(10-56, #45 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=pVcoFC0IeIM
1303 Andy Williams/Baby Doll(12-56, #33 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=PtO2fNXl0us
第Ⅱ期:1957-1959年。Cadence 1305-1375の 71枚をリリース(うち57年は37枚で他の年に比べて飛び抜けて多い)。
The Chordettesが 9枚(5曲がチャートイン)、Andy Williamsが 8枚(8曲チャートイン)、The Everly Brothers も8枚(13曲チャートイン、うち一曲はC&Wチャートのみ)。
エヴァリー・ブラザース(Don:1937~/Phil:1939~2014)が大ブレークし、エルヴィスに並ぶ存在になりました。57年と58年の2年間に、3つのNo.1(「起きろよスージー」「夢を見るだけ」「バード・ドック」)と、2つのNo.2(「バイバイ・ラブ」「プロブレムス」)ヒットを放ちました。うち、「起きろよスージー」(57年)と「夢を見るだけ」(58年)は、総合、カントリー、R&Bの3つのチャートでNo.1を記録、「バイバイ・ラブ」(57年)もカントリーで1位。また、激しいロックの「バード・ドッグ」と、美しいバラードの「デボテッド・トゥ・ユー」のカプリングは、記録的な両面大ヒット(総合で1位と10位、R&Bで共に2位、カントリーで1位と7位)と成ります。
*兄弟の区別がつかない人もいるでしょうが、僕は一発で区別できますよ。(野生の獣のような)鋭い目つきのドン、(モニカの御主人に似た雰囲気の)穏やかな表情のフィル、、、まあ、ヤマキマダラヒカゲとサトキマダラの区別みたいなものですね。
この3年は、エヴァリー兄弟のヒット曲を中心に紹介していくことになりますが、アンディ・ウイリアムスも、「バタフライ」1位(57年)、「アイ・ライク・ユー・カインド・オブ・ラブ」8位(57年)、「アー・ユー・シンシア」3位(57年)、「ロンリー・ストリート」5位(59年)、「ザ・ヴィレッジ・オブ・セントバーナード」7位(59年)、コーデッツも、「ジャスト・ベットウイーン・ユー・アンド・ミー」8位(58年)、「ロリポップ」.2位(58年)と、脂が乗りきっていました。
以下、1957~1959年のBillboardチャートヒット全曲。
1306 The Harvey Boys/Nothing Is Too Good For You(3-57, #84 pop)*ポップ・ヴォーカル・グループ
https://www.youtube.com/watch?v=OS2JtXsVvKs
1308 Andy Williams/Butterfly(2-57, # 1 pop, # 14 r&b)
https://www.youtube.com/watch?v=NPh435KiBt4
1315 Everly Brothers/Bye Bye Love(5-57, # 2 pop, # 2 country, # 5 r&b)
https://www.youtube.com/watch?v=LRyrWN-fftE
1315(B-side)Everly Brothers/I Wonder If I Care As Much(5-57, flip)
https://www.youtube.com/watch?v=VrG1Yz1XDSw
1318 Joyce Hahn/Gonna Find Me A Bluebird(6-57, #84 pop)*後述
https://www.youtube.com/watch?v=9DDH5CucnwA
1323 Andy Williams/[with Peggy powers] I Like You Kind Of Love(5-57, # 8 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=kXheuEUgg8U
1330 The Chordettes/Just Between You And Me(9-57, # 8 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=cMetSnOD4A8
1330(B-side)The Chordettes/Soft sands(9-57, #73 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=l49qt4Xsq5Y
1336 Andy Williams/Lips Of Wine(9-57, #17 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=mM9elhDV078
1337 Everly Brothers/Wake Up Little Susie(9-57, # 1 pop, # 1 country, # 1 r&b)
https://www.youtube.com/watch?v=LojqhHnmyvc
1340 Andy Williams/Are You Sincere(2-58, # 3 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=HGI9hTLQkOw
1342 Everly Brothers/This Little Girl Of Mine(2-58, # 26 pop, # 4 country)
https://www.youtube.com/watch?v=b2jVZ8tAU-U
1342(B-side)Everly Brothers/Should We Tell Him(2-58, #10 country)
https://www.youtube.com/watch?v=IeIGAgXnVBI
1345 The Chordettes/Lollipop(3-58, # 2 pop, # 3 r&b)
https://www.youtube.com/watch?v=A0kd-w7Xwd8
1347 Link Wray/Rumble(4-58, #16 pop)*後述
https://www.youtube.com/watch?v=BuAD_sQUgpw
1348 Everly Brothers/All I Have To Do Is Dream(4-58, # 1 pop, # 1 country, # 1 r&b, 7-61:#96 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=tbU3zdAgiX8
1348(B-side)Everly Brothers/Claudette(5-58, #30 pop, #15 country)
https://www.youtube.com/watch?v=B9r3qZORr1Q
1349 The Chordettes/Zorro(5-58, #17 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=Zd7lNxEIFcE
1350 Everly Brothers/Bard Dog(8-58, # 1 pop, # 1 country, # 2 r&b)
https://www.youtube.com/watch?v=I65PxlOlHA4
1350(B-side)Everly Brothers/Devoted To You(8-58, #10 pop, # 7 country, # 2 r&b)
https://www.youtube.com/watch?v=Gv8BaytaOPI
1351 Andy Williams/Promise Me Love(9-58, #17 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=PL8f0DTw1i8
1353 Johnny Tillotson/Dreamy Eyes(11-58, #63 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=eyGumi55aGA
1353(B-side)Johnny Tillotson/Well I’m You Man(10-58, #87 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=dwTWSx2FT4E
1355 Everly Brothers/Problems(11-58, # 2 pop, # 17 country)
https://www.youtube.com/watch?v=ZRGCeM1enhw
1355(B-side)Everly Brothers/Love Of My Life(11-58, #40 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=ll1A18OQOaY
1358 Andy Williams/The Hawaiian Wedding Song(12-58, #11 pop, #27 r&b)
https://www.youtube.com/watch?v=ibkB47OAt6c
1361 The Chordettes/No Other Arms No Other Lips(3-59, #27 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=Zrkpryy-nWQ
1364 Everly Brothers/Take A Massage To Mary(3-59, #16 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=3ORu-sOPMVc
1364(B-side)Everly Brothers/Poor Jimmy(3-59, #22 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=Y3OG1mPPqdo
1365 Johnny Tillotson/True True Happiness(8-59, #54 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=UEd9zzFCJ60
1366 The Chordettes/A Girl’s Work Is Never Done(8-59, #89 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=usEIr99xBa4
1369 Everly Brothers/Til’ I Kissed You(8-59, # 4 pop, # 8 country, # 22 r&b)
https://www.youtube.com/watch?v=m2ma7r23SrA
1370 Andy Williams/Lonely Street(9-59, # 5 pop, #20 r&b)
https://www.youtube.com/watch?v=TvRjA_BMikQ
第Ⅲ期:1960-1964年。Cadence 1376-1447の 72枚(4つが欠番で実質68枚)をリリース。 このうち5枚は1964年に入ってのリリースですが、録音は63年以前に為されています。
ケイデンスは1963年の暮、10年間の歴史を閉じてしまいます。むろん、弱体化した直接の原因は、60年春にエヴァリー・ブラザースが、61年夏にアンディ・ウイリアムスが、それぞれ「ワーナー・ブラザース」「コロンビア」という大手レコード会社に移籍したことに因りますが、根本の原因は別のところにあると思います。詳しくは機会を改めて述べますが、一言で現すと「ポリシーが良質すぎた」ということだと思います。
また、解散直後の64年春にはビートルズがアメリカに上陸し、彼らをはじめとした新しい波によって、ポップスの世界が全く新しいものに塗り替えられてしまった。アーチ・ブレイヤーには、その予感があったのだと思います。「ケイデンス」そのものが、まさに「ポップス黄金期」の象徴であったと言えるでしょう。
60~63年の中心になったのは、58年秋にデビュー・ヒットを放ったジョニー・ティロットソン(1939~)です。チャートヒット14曲のうち9曲(上位10曲中7曲)を占めていて、トップ10ヒットが3曲。「ポエトリー・イン・モーション」2位(60年)、「ウイズアウト・ユー」7位(61年)、「涙ながらに」総合3位、カントリー4位、R&B6位(62年)。自作曲「涙ながらに」は、60年代を通して3曲しかない、総合チャート、カントリー、R&Bの3ジャンルに跨ってベスト10入りした、今はカントリーのクラシックとなった名曲です。しかし彼もまた、63年秋に、大手レーベルのMGMに移籍してしまいます。
意外な健闘をしたのが、年少(1947~/61年時点で14歳)のエディ・ホッジス。61年「恋の売り込み」12位、62年「(ガールガールガール)メイド・オブ・ラブ」14位のヒットを放っています。
61年に異色のヒット曲「ウオーター・ボーイ」総合40位、AC10位を放った黒人ジャズ・ピアニストのドン・シュェリー(1927~2013)は、シングル4枚のほか、アルバム19枚をCadenceからリリースしています。
数少ない所属黒人男性歌手、レニー・ウエルク(1938~)も忘れることの出来ない存在です。60年初頭「ユー・ドント・ノー・ミー」総合45位、R&B28位で、幸先よくスタートを切ったのですが、以降の7枚のリリース曲はどれもノンヒット、しかし、63年秋のレーベル消滅直前にリリースされた「シンス・アイ・フォール・フォー・ユー」が、総合4位、アダルト3位の大ヒットを記録します。
ほぼ同時期にデビーしたジョニー・ティロットソンがヒットを連発するなか、腐ることなく歌い続けてきたレニー・ウエルクは偉いと思うし、ヒットに結びつかなくても我慢してリリースし続けたアーチ・ブレイヤーも立派だと思います。そこに「ケイデンス」の神髄を見る思いです。
1372 Johnny Tillotson/Why Do I Love You So(1-60, #42 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=nRk6sLhywLo
1373 Lenny Welch/You Don’t Know Me(2-60, #45 pop, #28 r&b)
https://www.youtube.com/watch?v=lowHP3gLTUs
1374 Andy Williams/The Village Of St.Bernadette(12-59, # 7 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=vYRL5sJLFfY
1376 Everly Brothers/Let It Be Me(1-60, # 7 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=zRKjTtiGQRY
1377 Johnny Tillotson/Earth Angel(4-60, #57 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=M8bqswE8L-Y
1377(B-side)Johnny Tillotson/Pledging My Love(4-60, #63 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=vkZzEupxvoU
1378 Andy Williams/Wake Me When It’s Over(3-60, #50 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=UKp24nueaoA
1380 Everly Brothers/When Will Be Loved(5-60, # 8 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=lv6L2zIk2ZQ
1380(B-side)Everly Brothers/Be Bop A Lula(7-60, #74 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=3u3jEwkG3_Y
1382 The Chordettes/A Broken Vow(8-60, #102 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=lWGDSeTsKtY
1384 Johnny Tillotson/Poetry In Motion(10-60, # 2 pop, #27r&b)
https://www.youtube.com/watch?v=CvHC-NWJYWM
1388 Everly Brothers/Like Strangers(10-61, #22 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=1nG-lLo9LXE
1388(B-side)Everly Brothers/Bland New Heartache(11-61, #109 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=BwvfktBq0HI
1389 Andy Williams/(In The Summertime)You Don’t Want My Love(3-60, #50 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=E4L3lcRKSro&list=RDE4L3lcRKSro&start_radio=1#t=5
1390 Charlie McCoy/Cherry Berry Wine(2-61, #99 pop) *1941~、ハーモニカ奏者。
https://www.youtube.com/watch?v=klKAGGuSYn4
1391 Johnny Tillotson/Jimmy’s Girl(1-61, #25 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=YooOx6UBxD0
1392 Don Shirley Trio/Water Boy(7-61, #40 pop, #10 AC)
https://www.youtube.com/watch?v=YR9d1l6oOxI
1397 Eddy Hodges/I’m Gonna Knock On Your Door(6-61, #12 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=uQPnwYu5zyA
1398 Andy Williams/The Bilbao Song(4-61, #37 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=tYPZYn9EDQY
1402 The Chordettes/Never On Sunday(6-61, #13 pop, # 4 AC)
https://www.youtube.com/watch?v=DPNASiM8rNQ
1402(B-side)The Chordettes/Faraway Star(9-61, #90 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=c40PArno9uw
1404 Johnny Tillotson/Without You(9-61, # 7 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=wOgmx88bhgc
1408 Don Shirley Trio/Drown My Own Tears(62.1, #100 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=1AxNMfm8Vsc
1408(B-side)Don Shirley Trio/The Lonesome Road(61.12, #116 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=XNIZAeLLNY8
1409 Johnny Tillotson/Dreamy Eyes[R](2-62, #35 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=aBVejGKfgt4
1410 Eddy Hodges/Bandit Of My Dreams (1-62, #65 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=y_1nIskIv_E
1418 Johnny Tillotson/It Keeps Right On A Hurtin’(5-62, # 3 pop, # 4 c&w, # 6 r&b)
https://www.youtube.com/watch?v=Okk3ARBn2Tk
1421 Eddy Hodges/(Girl Girl Girl)Made To Love(6-62,#14 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=Q0oyuM-jhC8
1422 Lenny Welch/Ebb Tide(3-64, #25 pop, # 6 AC)*62年夏リリース。
https://www.youtube.com/watch?v=2kYhjLQWYi8
1424 Johnny Tillotson/Send Me The Pillow That You Dream On(8-62, # 17 pop, # 11 c&w, # 5 AC)
https://www.youtube.com/watch?v=c1-SKk6kvTg
1424(B-side)Johnny Tillotson/What’ll I Do(9-62, #106 pop,)
https://www.youtube.com/watch?v=sTnG8ZSTwX4
1426 Archie Bleyer/Moonlight Serenade(non-hit)
https://www.youtube.com/watch?v=N4_COjpT-rE
*Archie Bleyer’s Last Single from Cadence
1429 Everly Brothers/I’m Here To Get My Baby Out Of Jail(10-62, #76 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=P35_fH80S80
*The Everly Brothers’s Last Single from Cadence
1432 Johnny Tillotson/I Can’t Help It(If I’m Still In Love With You)(10-62, #24 pop, # 8 AC)
https://www.youtube.com/watch?v=zwthfBBe7wI
1432(B-side)Johnny Tillotson/I’m So Lonesome I Could Cry(12-62, #89 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=zwthfBBe7wI
1434 Johnny Tillotson/Out Of My Mind (3-63, #24 pop, #11AC)
https://www.youtube.com/watch?v=q8rhVL-QPVo
1437 Johnny Tillotson/You Can Never Stop Me Lovin’ You(8-63, #18 pop, # 4 AC)
https://www.youtube.com/watch?v=UGiYJDtwhlI
1439 Lenny Welch/Since I Fall For You(10-63, # 4 pop, # 3 AC)
https://www.youtube.com/watch?v=U7xrQY_FLM4
1441 Johnny Tillotson/Funny How Time Slips Away(10-63, #50 pop, #16 AC)
https://www.youtube.com/watch?v=o9GdfHtFXH8
*Johnny Tillotson’s Last Single from Cadence
1442 The Chordettes/True Love Goes On And On(non-hit)[R]
https://www.youtube.com/watch?v=ZB_AXYdqwJg
*The Chordettes’s Last Single from Cadence(1954年録音の旧譜=Cadence1329)。
1444 Julius La Rosa/Gonna Build A Mountain(non-hit)
https://www.youtube.com/watch?v=ZLB6FROXb3w
*Julius La Rosa’s Last Single from Cadence(1964年リリースのアルバム「Mainly Romantic」収録)。
1445 Don Shirley/Ol’ Man River(non-hit)
*Don Shirley’s Last Single from Cadence
1446 Lenny Welch/If You See My Love(7-64, #92 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=J6HJ-dtiUe4
*Lenny Welch’s Last Single from Cadence
1447 Andy Williams/Under Paris Sky(8-64, #121 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=l7p2M-D-P9Q
*Andy Williams’s Last Single from Cadence(1960年にリリースしたアルバムからの旧譜)。
主なアーティストのヒット曲数を整理しておきます。
◆Julius La Rosa 発売シングル18枚(チャートヒット7曲/ベスト10入り2曲)
◆Archie Bleyer 10枚(3曲/1曲)
◆The Chordettes 23枚(13曲*/4曲)*両面hit含む
◆Bill Hayes 7枚(1曲/1曲)
◆Andy Williams 18枚(17曲/6曲)
◆The Everly Brothers 12枚(20曲*/8曲)
◆Johnny Tillotson 16枚(18曲*/3曲)
◆Lenny Welch 9枚(4曲/1曲)
◆Don Shirley 3枚(3曲/0曲)
◆Eddie Hodges 3枚(3曲/0曲)
他のアーティストは約70組、リリース数は約100枚ということになります。全部合わせて、チャート・ヒットは、6曲、ベスト10入りは、0曲です。ということは、上に挙げた10組のアーティスト以外は、ほとんどがノン・ヒット・シンガーということになるので、ユーチュブで見つけるのは大変です。
でも、それにチャレンジしよう、という思いに、突然なりました。
ノンヒット曲の中に、次々とお宝発見です。特に3人の女性歌手。
まず、ケイデンス最末期の2大ヒット曲Johnny Tillotson「You Can Never Stop Me Lovin’ You」【Cadence 1437】とLenny Welch「Since I Fall For You」【Cadence 1439】に挟まれた【Cadence 1438】に、ノンヒット・女性シンガーJean Thomasのノン・ヒット曲(したがってyou-tubeで曲を見つけるのに大変苦労した)の「He’s So Near(Yet So Away)b/w The Boy That I Want Doesn’t Want Me」。
【Cadence 1438】 Jean Thomas/He’s So Near(Yet So For Away)(non-hit)1963
https://www.youtube.com/watch?v=Oap4qNCcnAI
「He’s So Near」は日本でも63年秋「お熱をあげて」のタイトルで発売されていました。ジェーン・トーマスの自作曲です。彼女の生年は不明ですが、ジョニーやレニーと同年代(1938-40年頃生まれ)だと思います。今も健在らしいです。
【Cadence 1438B-side】 Jean Thomas/The Boy That I Want Doesn’t Want Me(non-hit)1963
https://www.youtube.com/watch?v=NYVUlj2wZNE
Jean Thomasのシングル盤がもう一枚ありました。あの名曲、「Moon Riverムーン・リバー」を、映画公開とほぼ同時期にリアルタイムで取り上げています。【Cadence 1419】ということは、Johnny Tillotson「涙ながらに」【Cadence 1418】の次のリリースですね。この曲がJean Thomas盤でヒットしなかった(ヒットヴァージョンは黒人男性歌手のJerry Butler盤、総合11位/R&B14位/Adult 3位)のは、ひとえにレーベルが弱小だったからでしょう。
【Cadence 1419】 Jean Thomas/Moon River(non-hit)1962
https://www.youtube.com/watch?v=c_hQyYbh3aI
ケイデンスから3枚のシングルを発売していますが、そのうちの一つ「Seven Roses」【Cadence 1435】は、you-tubeで見つけることが出来ませんでした。そのB面に入っている「He’s So Near」は、ケイデンス解散前の最後のシングルのひとつとして【Cadence 1438】で再リリースされるわけですから、アーチ・ブレイヤーも、何とかヒットすることを願っていたのでしょう。レニー・ウエルクが、最後の最後に【Cadence 1439】で大ブレークしたことを思えば、(レニーより後発デビューのジェーンに)あと一回か二回のチャンスがあれば、ヒットに結びついたのに、と残念でなりません。
でも、日本でも発売されたことで、僕のように記憶に留めているリスナーは少なからずいると思います。ちなみに、「He’s So Near(お熱をあげて)」は、最初の「Seven Roses」とのカプリング時に、ジョニーの当時のシングル盤同様、AB面逆さにA面として発売されています。B面に回った「Seven Roses」の邦題は「サンタモニカのバラ」。僕はよく覚えていますよ(「サンタモニカ」という地名は、その時に初めて知ったのです)。
もう一人、意外な女性歌手の名を見つけました。あの「エンジェル・オン・マイ・ショルダー」(自作、1961年にBillboard pop 22位)のシェルビー・フリント(1939~)が、初ヒット(と言っても他に63年に「Little Dancing Doll」pop 103位と、66年に「風のふくまま」pop 61位/Adult 11位のヒットがあるだけですが)を放つ前に、Cadenceから「I Will Love You」でレコードデビューしています。
【Cadence 1352】 Shelby Flint/I Will Love You(non-hit)1958
https://www.youtube.com/watch?v=K7ayw_sGmbs
【Cadence 1352】ということは、ジョニー・ティロットソンのデビュー曲「夢見る瞳」【Cadence 1353】の一つ前で、同じ時のデビューと言ってよいでしょうね。数年後に別レーベルに移籍し、ほぼ一発ヒットと言ってよい、しかし不屈の名曲の「エンジェル・オン・マイ・ショルダー」を著すのですが、この「アイ・ウイル・ラブ・ユー」(やはり自作)もそれに負けない素晴らしい曲です。シェルビー・フリントは、この曲のカバーで知られる、ザ・カスケーズ同様、ほぼ一発屋に近い存在ですが、一部のポップス・ファンには、絶大な人気を誇っています。
ちなみに、エヴァリー兄弟にしろ、ジョニー・ティロットソンにしろ、レニー・ウエルクにしろ、ジェーン・トーマスにしろ、シェルビー・フリントにしろ、皆多くの曲を自作しているのですね。彼らは「ティーン・アイドル」には違いないのですけれど、少なくとも「日本のティーン・アイドル」とは、種類が異なる存在なのだと思います。
Shelby Flint 「Angel Of My Shoulder」
https://www.youtube.com/watch?v=M_5kjg4Awj4
話がケイデンスから逸れますが、この曲(エンジェル・オブ・マイ・ショルダー)は、リアルタイムではザ・カスケイズ盤で聴いていた人も多いのではないでしょうか?カスケーズの「悲しき雨音」は、アメリカを含む世界中で大ヒットしました。ことに日本では、1963年前半のほぼ半年間、No.1に君臨し続けました。日本で最もヒットしたアメリカン・ポップスと言えるでしょう。僕も「悲しき雨音」のLPを買いました。最も好きだったのが「エンジェル・オブ・マイ・ショルダー」です。ただし、この曲は、古くからのスタンダード・ナンバーだと思い込んでいました。カスケーズがカバーするすぐ前の、若い女性シンガー・ソング・ライターのヒット曲だと知ったのは、ずっと後になってからです。
The Cascades 「Angel Of My Shoulder~Was I Dreaming?」
https://www.youtube.com/watch?v=fxvgQdkLu3s
ジョン・グモー(カスケーズのリーダーで「悲しき雨音」の作者)、このライブ当時77歳。決して美人じゃないけれど、現地(東南アジアのどこか)の可愛らしい少女歌手Ninaとのディエットです。唄い終わって、次の曲、エヴァリーの「夢を見るだけ」に移ります。と思いきや、最初の一小節を歌い終えたところで、おそらくカスケーズのオリジナル・ナンバー(アルバム「悲しき雨音」収録曲)でしょう、「夢を見たのかな?」に切り替わります。いろんな意味(10種類ぐらい)で、もう、涙が溢れて、、、、、、。三世、助けてよ!涙に溺れてしまいます。
さて、上記2人の女性歌手の曲はノンヒットなのですが、1957年にリリースされたこの女性歌手の「私の青い鳥Gonna Find Me A Bluebird」は、上記したように総合チャートの84位にランクされています。これが素晴らしい! 【Cadence 1318】ということは、エヴァリー兄弟の「バイバイ・ラブ」【Cadence 1315】の3つあと。ちなみにケイデンスからは、このヒットの前後に、ノン・ヒット曲「The Grass Was Greener」【Cadence 1298】と「Did You Close Your Eyes」【Cadence 1332】(共にユーチュブでは見つけることが出来なかった)もリリースしています。B面の「I Saw You, I Saw Tow」と併せて「Gonna Find Me A Bluebird」を再紹介しておきます。
【Cadence 1318】Joyce Hahn/Gonna Find Me A Bluebird(6-57, #84 pop)
https://www.youtube.com/watch?v=9DDH5CucnwA
【Cadence 1318B-side】Joyce Hahn/I Saw You, I Saw Tow(non-hit)
https://www.youtube.com/watch?v=zPiDPG92l8A
Joyce Hahn(どう発音するのだろう?ジョイス・ハン?)という名前は、聞いたことがあるような、ないような、、、。でも、総合チャートにランクされているということは、ビルボードのチャートブックを見れば、最低限出身地と生年は分かるはずです。しかし、なんと、(名前と唯一のヒット曲であるこの曲が記されているだけで)全く付記がない(そのような例は他にほとんどありません)。そこで、日本で以前発売されていたアメリカン・ポップス本の中の「一発屋列伝」の1957年度のリストをチェックしてみることにしました。ところが、なぜかそこにも紹介が為されていない(意図的なものではなく、この著者の単純な見落としなのでしょう)。
結局インターネットで色々と調べて、やっと1929年生まれのカナダSaskatchewan出身の女性歌手であることが分かりました。上記2人の女性歌手より10歳年長で、この57年には28歳ですね。カナダでは結構有名な歌手らしく、ユーチュブに動画もいくつか紹介されています。
「Moment To Remember」 (1950’ Canadian Hit parade #5)
https://www.youtube.com/watch?v=vK6c9vzwA2k
この曲は1955年以降、何組かのアーティストでヒットしています。僕はブライアン・ハイランド盤(Album収録)が好きです。
Joyce Hahn盤の「Gonna Find Me A Bluebird」は、いわゆる女性歌手アンサー・ソングといっても良いのだろうと思います(ただのカバーとアンサー・ソングの違いがどこにあるのか、今一つよくわかりませんが)。原曲と異なるところが一つ。曲の中間辺りに突然男性コーラスが入って「〽ジョイス・ハーツ・ブローケン」と本人の名前で(笑)状況説明があるところ。
「Gonna Find Me A Bluebird」の原曲はカントリー・ソングで、アメリカでは同年に男性歌手のMarvin Rainwater(1925~2013)盤が、総合18位、C&W 3位の大ヒットを成しています。
Marvin Rainwater 「Gonna Find Me A Bluebird」
https://www.youtube.com/watch?v=HDrCIEte_T8&list=RDHDrCIEte_T8&start_radio=1&t=34
マーヴィン・レインウオーターは、チェロキー・インディアンの血をひき、ジョン・D ラウダーミルク作品で最大のヒット(彼の作品で唯一のNo.1ヒット)「Indian Reservation」の、オリジナル・リリース歌手でもあります。
再びケイデンスとは直接関係のない話になりますが、「Indian Reservation」の4ヴァージョンを、リリース順に並べてみます(この話題を語る理由は、リンク・レイ「ランブル」のところで述べます)。
Marvin Rainwater 「Indian Reservation(Pale Faced Indian)」1959
https://www.youtube.com/watch?v=-fNLCULhNpE
John D. Loudermilk 「Indian Reservation」1966
https://www.youtube.com/watch?v=RNcwdeFKUmA
Don Fardon 「Indian Reservation」1968
https://www.youtube.com/watch?v=wWVEM1idBj0
https://www.youtube.com/watch?v=m2_bW5vV28k
Paul Revere & The Raiders 「Indian Reservation」1971
https://www.youtube.com/watch?v=21ixwIaN7qw
2度大ヒットしています。68年に、イギリスのカントリー歌手?「ドン・ファードン」(1943~)盤で、Billboard pop(countryチャートではない)で20位(イギリスで3位)。
そして、71年に、いわゆる“新時代”のロック・バンド、「ポール・リヴィア&ザ・レイダース」盤でpop No.1ヒットとなっています。
実は、この2枚の前の66年に、ラウダーミルク自身が唄っていて、更にその前の59年に、マーヴィン・レインウオーターがシングル発売しています。しかし、ともにヒットチャートには登場していません(レインウオーター盤のタイトルは「Pale Faced Indian」)。
ラウダーミルク盤には、「ふんにゃふんにゃヘ、ふんにゃふんやホ」の穏やかな掛け声が入り、レインウオーター盤にも「ハイアハイアハイ、フンニャフンニャフン」と謳われています。
しかし、ドン・ファーゴ盤では、その部分が姿を消し「Cherokee people, Cherokee tribe, so proud you lived, so proud you died,,,,」 に替わります。静かに、一度だけ謳われます。
レイダース盤になると、それが一転して叫び声となります。「チェロキー・ピープル!チェロキー・トライブ!ソオ・プライド・リ~ブ!ソオ・プライド・ダ~イ!!!」
まさに、「反抗」「カウンター・カルチャー」の叫びです。
そのことが、更なる大ヒットに結び付いたのは、明らかでしょう。
世の中が、そういった(「分かりやすい」と言って良いのでしょうか)「空気」への同調を、要求しているからです。世の中が、そういった「空気」の上で、成り立っているのです。
香港の「正義」の構造と、似ている気がします。
僕は何も、ポール・リヴィアPaul Revere (1938~2014)やマーク・リンダセイMark Lindsay(1942~:レイダースのボーカル)が「悪い」「嫌い」と言っているのではありません。例えばボビー・ヴィー(1943~2016)は彼らのことを親友と言っていて、ということは、多分ジョニー・ティロットソンとも仲が良いのでしょう。年代的には同じですが、時代的には異なります(「ティーン・ポップ」の時代をスルーして、「反抗のロック」の時代に登場したわけです)。
僕が嫌なのは、それ(後発主張への同調)が正しくて、そうじゃない(同調から外れた古い)ものは間違っている、という「空気」の形成です。
(「香港デモ」への批判の話を差し挟みますが)僕は、香港が嫌いなのではありません。「正しい」とされることに対して、有無を言わせず「同調」を求める「空気」を作り出す、メデイアや(無意識的にその扇動に応じてしまう)大衆に、我慢がならないのです。
ラウダーミルクは、確かに「抵抗」の歌として、この曲を作ったはずです。静かな「抵抗」の歌、秘めた「怒り」の歌です。
もちろん「抵抗」は、叫んで表現しても良いでしょう。でも、叫ばなければならない、という訳でもないと思います。静かなままの、秘めたままの抵抗でもいい、と僕は思います。
なお、「Indian Reservation」の歌詞には「日本」(made in Japan、、、懐かしい言葉ですね) が登場します。No.1ヒットで日本や東京が出てくる曲は、他にあったでしょうか?(リッキー・ネルソンの「トラヴェリン・マン」には、香港は出てくるけれど、日本や東京は出て来なかったと思う)。
ところで、マーヴィン・レインウオーターは、ある意味、ケイデンス(アーチ・ブレイヤー)とも関係はあるみたいですね。アーチ・ブレイヤーが、アーサー・ゴッドフリー(1903~1983)と意見が合わず(半ば喧嘩別れという形で)ジュリアス・ラローサやコーデッツを引き連れてショーを脱離したのが53年、その後、コーデッツの代わりに、マクガイア・シスターズが、ショーの中心スターになりました。レインウオーターも、略歴を見ると、55年にゴッドフリー・ショウに参加しています。ラローサの代役的存在、と言えるのかも知れません。
レインウオーターはまた、別の意味でポップス界に足跡を残しています。ポップ・ヒットとカントリー・ヒットが5曲づつあるのですが、1曲だけ組み合わせが違っていて、そのポップス側の曲「Majesty Of Love」がデュエット曲。
あの、コニー・フランシス(1938~)、50年代末から60年代にかけて56曲のBillboard hot 100チャート・ヒットを放った“ポップス黄金期の女王”の初ヒット曲が、レインウオーターとのデュエットだったのです。
MGMレコードで55年から57年にかけて9枚のシングル盤をリリースしたものの、全てノン・チャートに終わっていました。初めてのチャート・インが、58年2月 「Who’s Sorry Now」(Billboard pop 4 位)の大ヒットを放つ直前の、57年12月にリリースされた、この「Majesty of love」です。Hot 100の93位に、一週間だけ、チャート・インしています。この曲におけるレインウオーターとのディエットの(まずまずの)成功が、すぐ後の大ブレイクのきっかけとなった、と考えて良いと思います。
Marvin Rainwater & Connie Francis「Majesty Of Love」
https://www.youtube.com/watch?v=ACSh_fz9ZEM
【下】に続く。