“狭間のシンガー”24人衆の紹介 ⑤ 『チャビー・チェッカーとボビー・ライデル』
Chubby Checker 62位
1941.10.3 South Carolina出身
ザ・ツィスト/リンボロック
Bobby Rydel 108位
1942.4.26 Philadelphia出身
ワイルドワン/青春スィンギンスクール
【Cameo-Parkwayレーベルの、2大看板スター】
たった今、marierenさんの「リッキー・ネルソンに恋して」を訪ねたら、ジョニーの新しい動画が紹介されていました。「ウイズアウト・ユー」。改めて紹介した理由は、ジョニーの曲なのに、なぜか動画画像にボビー・ライデルが使われていて、それが面白い?から、ということらしいのです(中国ではYou-Tubeが見られないので残念!)。
ということで、第3のボビー、ライデル君です。いや、トップが“ダーリン”というのは分かります。でも、なぜ2番目が“ヴィー”で、“ライデル”が3番目なのか? リアルタイムでの実績は両者完全に互角(ヴィー104位、ライデル108位、ヴィーは60年代後半に、ちょこちょこと顔を出して点数を加えたので、“ポップス黄金時代”の実績ではライデルのほうが上かも知れない)ですが、その後の評価(というよりも知名度)では、どうも常にヴィーの後塵を排しているように思えます。“スリー・ボビー”も、いつの間にやら“ヴィントン”と取り換えられていたり、、、、。ライデル君、なんだか、世間の認識が今一つ、ということらしい。
1964年の大ヒット曲に、「ネイビー・ブルー」という、明るく楽しい“ガール・ポップス”があります。ダイアン・リネイの(ほぼ)一発ヒット(正確には、この後「キッス・ミー・セイラー」のチャート・ヒットあり)。でも彼女は、その後も延々と、現在(65才)に至るまで現役で活動していて、立派な自分のH.P.まで持っているのです。社会の中に占める音楽の比重が高いアメリカに於いては、並大抵の才能や努力では、頭角を現すことは難しい、と以前に記しましたが、逆に言えば、一発でもトップ10クラスのヒット曲があれば、一生食っていけるわけです。
彼女のH.P.は楽しいですよ。いかにも良家の“お嬢さん”。どうやら「ネイビー・ブルー」でのブレイクは、“並大抵の才能や努力”とは無関係に、運とコネだけで掴んだのではないかと、そんな気がしてきます。いろんなスターたちとの2ショット写真が貼り付けられてあって、それが「スター同士の2ショット」というのではなくて、明らかに「“スター”と“ミーハーファン”の2ショット」のノリなのです。「with“オリジナル”ローリング・ストーンズ」とか、「with“オリジナル”シュプリームス」とか、「with4シーズンスの“3人”とボビー・ゴールスボローとコニー・フランシス」とか、、、。
むろん、「withチャビ・チェッカー」とか、「withジョニー・ティロットソン」などもあるのですが、圧倒的に多いのが、「withボビー・ライデル」。背広をきちんと着こんだジョニーとかしこまって写っている2ショットとは対照的に、上半身裸に近いボビーと寝転んだままの2ショットだったりして、ほとんど “バカカップル”というノリ。彼ら2人が特別な関係にあったとのかどうかとかは無関係に、ライデル君のキャラクターが、軽い(よく言えば天真爛漫)と、それだけのことだと思う。彼は、同じ頃、アン・マーグレットと「バイバイ・バーディー」で共演していて、僕はリアルタイムでその映画を見ているのだけれど、覚えているのは、アン・マーグレットの色っぽさばかり(純情極まりない少年だった僕には、刺激が強すぎて、ひと月ほど興奮が収まらなかったです)。本来はライデル君を見るのが目的だったはずなのに、彼の印象はこれっぽちも残っていないのです。
今回の紹介は、スリー・ボビーの2人、ということで、ヴィーとライデルの組み合わせでも良かったのでしょうし、“フィラデルフィアの2大ヤングスター”と位置付られていた、フランキー・アヴァロンとの組み合わせでも良かったわけです。でも、ボビー・ライデルとくれば、やはり同じカメオ&パークウエイ・レーベルのトップスター、チャビー・チェッカーとの組み合わせ、ということになるでしょう(彼ら4人に、最後に紹介する予定のジミー・クラントンを加えた5人は、どの組み合わせでもしっくりくるように思うのですが)。
チャビー・チェッカーも、軽い(天真爛漫!)という点では、ライデルに引けを取りません。良くも悪くも、2人とも騒がしく楽しい曲が真骨頂。この“24人衆”の選定基準は “Popチャートへのランク曲がR&Bチャートランク曲の2/3を上回らない”として、実質的に黒人シンガーに対しハードルを上げている(その理由は以前に記しました)のですが、それでも線引きに引っかからなかったのが、チェッカー君です。彼がいかにポピュラーな存在なのかが分かります。
ご存じの通り、チャビー・チェッカーの名は芸名。ポップス系R&Bシンガーの大先輩、ファッツ・ドミノと対にして名付けられたというのは有名な話です。ファッツ(太った)=チャビー(小太り)、ドミノ=チェス(共にゲーム)。
でも、ドミノには、一曲もNo.1ヒット(Pop)が無いのですね(No.1ヒットを持たないNo.1のシンガー?)。ボビー・ライデル、ジョニー・ティロットソン、ジーン・ピットニーという面々が、「No.1ヒットを持たないメジャー歌手」の上位に、名を連ねています。
No.1ヒット、ということで言えば、「史上最大のNo.1ヒット」の保持者が、チャビー・チェッカーです。1960年と1961年に、2度No.1の座に着いた「ザ・ツイスト」。No.1の座についた後、一度Hot100から姿を消して、再びNo.1に登りつめた曲というのは、後にも先にもこの曲だけ。(現在ではチャート方式が変わってしまったので)永久に破られない記録です。他にもう1曲のNo.1ヒット(61年の「ポニー・タイム」)を持っていますが、僕は「リンボロック」(62年Pop 2位)が好き。B面の「ポパイ・ザ・ヒッチハイカー」(Pop 19位)もいいですね。太り気味の体を軽快に揺すって、ウキウキするように唄う姿には、つい微笑んでしまいます。
ボビー・ライデルでは「青春スインギンスクール」(60年Pop 5位)かな? いずれにしろ2人とも、底抜けに明るく、賑やかで楽しいヒット曲が満載です。そうそう、2人一緒に歌った「ジングルベル・ロック」(61年Pop 21位)と言ったヒット曲もありましたね。
2人とも、ビートルズの登場を機に、一気に萎んでしまった口です。ライデルは、64年初頭、しばらくぶりのトップ10ヒット「フォーゲット・ヒム」(Pop 4位AC 3位)で、この後“ライデル時代”が続くか?と思いきや、その後はPop40位以下の4曲だけ(ラストヒットは、65年の「ダイアナ」Pop 98位)でお終い、(ビートルズとティストの重なる)チェッカーも、65年の「レッツ・ドゥ・ザ・フレディー」(Pop 40位)が最後のメジャーヒットで、似たり寄ったりの境遇と言えます。
でも、現役から退いたわけではありません。チェッカーは、80年代に入って、黒人少年3人組の「ファッツ・ボーイ」と共に「ザ・ツイスト(ヤ・ツイスト)」を三度目のチャートに送り込んでいます。ライデルは、76年に「スエイ」のディスコヴァージョンをACチャートに送り込むと共に、クラブシンガーとして、活躍を続けているそうです。最近の動画を見ると、ボビーは渋い小父さんに、チャビーも貫禄たっぷり、でも相変わらず賑やかな歌を歌い続けています。
そうそう、marierenさんは、今日、もうひとつ動画を紹介していましたね。“シャナナ”に出演中の、Johnny Tillotson1。“シャナナ”は、Chubby Checkerヴァージョンも(You-Tubeで)アップされています。こちらも大変楽しいので、皆さん、ぜひ見て下さいね。
Chubby Checker
59.05.18(Billboard Hot100初登場日付け)-65.05.29(一年間以内の連続ヒット最終日付け)
連続ヒット内のHot100ランク曲数:31曲
同Top40ランク曲数: 21曲
同Best10ランク曲数: 07曲
通算Hot100ランク曲+C&W・R&B・AC 各単独チャートイン曲の総数:35曲
4チャートのBest10ランク曲総数:07曲
Bobby Rydell
59.06.29(Billboard Hot100初登場日付け)-65.02.13(一年間以内の連続ヒット最終日付け)
連続ヒット内のHot100ランク曲数:30曲
同Top40ランク曲数:19曲
同Best10ランク曲数:06曲
通算Hot100ランク曲+C&W・R&B・AC 各単独チャートイン曲の総数:31曲
4チャートのBest10ランク曲総数:06曲
今日は、曲の紹介は無し。次の機会に改めて