功夫電影専科

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ステイサム罷り通る(2)『ワイルドカード』

2017-06-16 14:21:15 | マーシャルアーツ映画:上
「ワイルドカード」
「WILD CARD/ワイルドカード」
原題:Wild Card
製作:2015年

●ネバダ州ラスベガス。栄光と挫折が渦巻くこの街で、元兵士のジェイソン・ステイサムは堕落した生活を送っていた。酒とギャンブルに溺れ、嘘を吐き出し、冴えない用心棒として殴り殴られる…そんな日々を彼は繰り返していた。
ある日、彼の前に護衛を依頼したいという青年(マイケル・アンガラノ)が現れる。時を同じくして、ステイサムは元恋人のドミニク・ガルシア=ロリドから「私に乱暴したゲス野郎に復讐したい!」と迫られた。
 嫌な予感を覚えつつも調べてみると、ドミニクに酷い仕打ちをした相手はイタリアンマフィアのボンボン(マイロ・ヴィンティミリア)で、さすがのステイサムも「こりゃヤバい」と困り顔。彼女に断りの電話を入れ、マイケルの御守りへと戻っていく。
だが思い直した彼は、敵が滞在するホテルの一室に直行すると、あっという間にマイロとその護衛を一蹴。合流したドミニクはリベンジを果たし、報復が来る前にラスベガスを後にするのだった。
 その後、マイケルの所に戻ったステイサムは「ベガスを去る前にひと勝負」と、マイロからせしめた金でギャンブルに挑む。するとツキがツキを呼び込み、一夜にして50万ドルもの大金を得た。
しかし、それも一時の栄光でしかなく、最後の勝負で全てを失ってしまう。挙句に逃げるタイミングを失い、地元のマフィア(スタンリー・トゥッチ)に確保されたステイサムは、ほくそ笑むマイロの前に引きずり出された。
どうにかその場は切り抜けたが、マイロが殺しに来るのは確実だ。彼は行きつけの喫茶店で最期の食事を採るが、そこへフラリとマイケルが現れ、ある物を手渡した。果たしてステイサムが辿るのは栄光か、それとも……?

 今回は前回と打って変わって、最強路線を確立した後のステイサム主演作の紹介です。この作品は、ラスベガスを舞台にステイサムが大暴れを演じる大活劇…ではなく、ある男の旅立ちを描いた物語となっていました。
全体的にアクションは控えめになっており、序盤はイケてない主人公が元カノの復讐に振り回され、重い腰を上げるまでの物語を淡々と描いています。
 その後、リベンジのほうはアッサリと片付き、欲をかいた末に一文無しになるステイサム。正体を明かしたマイケルからギャンブル中毒を指摘されるも、彼は踏ん切りをつけることが出来ず、自分を認めようとしません。
しかし自らの死が目前に迫り、マイケルから手を差し伸べられたステイサムは、目の前の現実から逃げずに立ち向かうことを選択します。それは自堕落な過去との決別を意味し、マイケルを救おうとした事で彼自身も救われた瞬間でもあるのです。
 ドンパチ賑やかな物語ではないものの、ハードボイルドな雰囲気が徹底された中々の良作。私としては「ああこりゃ破滅エンドだな…」と覚悟していたので、まさかここまで前向きな終わり方をするとは思いもよりませんでした。
ところで“ギャンブル中毒の主人公がベガスで戦う話”といえば、こんな作品もありましたね。もっとも本作のステイサムは過去に見切りをつけているので、あっちと違って中毒の再発はしないと思われますが…(苦笑

 さて、アクションについても控えめと表記しましたが、個々のシーンはケレン味にあふれていて迫力十分。マイロと接触した際はクレジットカードで額を切り裂き、カジノでは襲いかかる雑魚どもを叩きのめすわと、パワフルな殺陣が炸裂しています。
本作のファイト・コレオグラファーはステイサムと何度も仕事をしている元奎(コリー・ユン)ですが、香港アクションのノリをそのまま持って来た『トランスポーター』と違い、あくまでハリウッドらしい雰囲気を崩さない殺陣が構築されていました。
 ラストのレストラン裏での対決では、銃を所持した5~6人をバターナイフとスプーンで瞬殺! その凄惨かつ鮮やかな立ち回りは、ストーリーの展開とも相まって実に痛快なファイトに仕上がっています。
残念ながらラスボスに相当する相手はいませんが、作品的にはこれぐらいの規模がベストでしょう。とはいえ、ステイサムといえばやっぱり暴れてナンボのアクションスターです。そろそろ彼の本領を発揮した作品を見たいところですが…続きは次回にて!

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