「DENGEKI 電撃」
原題:Exit Wounds
製作:2001年
▼多くのハリウッド作品で撮影監督を手掛け、アクション映画向きのカメラワークに定評のあるアンジェイ・バートコウィアクという方がいます。彼は監督業にも進出し、2000年代の始めごろにヒップホップ歌手のDMXと組んで3本の映画を製作しました。
それが『ロミオ・マスト・ダイ』と『ブラック・ダイヤモンド』、そしてこの『DENGEKI 電撃』です。最初と最後は李連杰(ジェット・リー)が、本作ではスティーブン・セガールがそれぞれメインを担当。どの作品もヒットを記録していて、アクション映画としては成功した部類に入ります。
しかし彼の監督作はどれも大味で、よくアクション演出などに詰めの甘さがが見られました。『ブラック~』では李連杰VSマーク・ダカスコスの決戦をブツ切りカットで台無しにし、『レジェンド・オブ・チュンリー』では人気キャラの設定を改悪。本作でもその兆候は見られ、最後の最後で大きなミスを犯しています。
■セガールはロス市警に務める型破りな刑事。実力はあるのだが、襲撃された副大統領を助けるために河へ叩き込むなど、あまりに無茶をしすぎたため左遷されてしまう(笑)。犯罪多発地帯の第15分署に飛ばされた彼は、謎の麻薬密売人・DMXを捕まえるべく、たった1人で捜査を開始する。
そんな中、記録保管センターから押収されていた麻薬が強奪される事件が発生。セガールはこの事件にきな臭いものを感じ、一方で警察署内に怪しい連中がウヨウヨしている事にも気付く。そのころDMXは取引相手のボスと接触していたが、その正体はセガールの同僚であるマイケル・ジェイ・ホワイトであった。
調査を続けるうちに、セガールもDMXがただの密売人ではないこと、そして署内の同僚たちが麻薬密売に加担していることを察知。やがてDMXと接触したセガールは、彼が無実の罪で投獄された弟を助けるため、警察汚職を摘発しようと密売人に化けていたことを知らされる。
協力してくれた署長のジル・ヘネシーが命を落とす中、セガールは麻薬取引の現場に踏み込み、DMXとともにマイケル一味を一網打尽にしようと目論んだ。凄まじい銃撃戦の中、2人はそれぞれの倒すべき敵と相対する!
▲まずストーリーですが、こちらはセガール作品らしく実に適当です(爆)。DMXの正体にまつわる部分は謎めいているものの、怪しい奴がそのまま悪人だったりする真っ正直な展開が多いため、サスペンス性は皆無。珍しくセガールが落ちこぼれであるという特徴も、物語が進むにつれて忘れ去られてしまいます。
とはいえ、これらの点は特に問題ではありません。個性的な登場人物、満遍なく配置されたアクションやカースタントが作品を適度に盛り上げていて、本作に平均的なセガール映画から頭ひとつ抜けた印象を与えているのです。
これについては格闘シーンも同様で、セガール的な合気道ファイトにワイヤーワークが加わり、いつもと違ったアクションが構築されていました。動作設計は香港から招かれた林迪安(ディオン・ラム)なので、セガールの動きを尊重しつつ新鮮味を加えるのは、彼にとってお手の物だったでしょうね。
しかし腑に落ちないのは、ラストのセガールVSマイケルの一戦です。ともに武術を得意とする俳優同士であり、格闘映画ファンにとって夢の対決が実現した瞬間ですが、この戦いは使用していた刃物が落ちたところで唐突に中断。マイケルはさっさと逃走し、実に呆気ない結末を迎えてしまいます。
明確な勝ち負けが決まらないばかりか、素手での勝負をスルーしてしまうとは片手落ちもいいところです。DMXが「紐を引っかけた銃を投げて撃つ」という、『タイガー・オン・ザ・ビート』で周潤發(チョウ・ユンファ)がやったのと同じ動作を見せたりと、どうもこの最終決戦はおかしな部分が目に付きます。
ある程度の品質は保っているのに、かゆい所に手が届かない演出のせいで損をしているアンジェイ監督の作品群。本作もラストと適当な展開さえ気にしなければ気楽に見られるのですが……う~ん。
原題:Exit Wounds
製作:2001年
▼多くのハリウッド作品で撮影監督を手掛け、アクション映画向きのカメラワークに定評のあるアンジェイ・バートコウィアクという方がいます。彼は監督業にも進出し、2000年代の始めごろにヒップホップ歌手のDMXと組んで3本の映画を製作しました。
それが『ロミオ・マスト・ダイ』と『ブラック・ダイヤモンド』、そしてこの『DENGEKI 電撃』です。最初と最後は李連杰(ジェット・リー)が、本作ではスティーブン・セガールがそれぞれメインを担当。どの作品もヒットを記録していて、アクション映画としては成功した部類に入ります。
しかし彼の監督作はどれも大味で、よくアクション演出などに詰めの甘さがが見られました。『ブラック~』では李連杰VSマーク・ダカスコスの決戦をブツ切りカットで台無しにし、『レジェンド・オブ・チュンリー』では人気キャラの設定を改悪。本作でもその兆候は見られ、最後の最後で大きなミスを犯しています。
■セガールはロス市警に務める型破りな刑事。実力はあるのだが、襲撃された副大統領を助けるために河へ叩き込むなど、あまりに無茶をしすぎたため左遷されてしまう(笑)。犯罪多発地帯の第15分署に飛ばされた彼は、謎の麻薬密売人・DMXを捕まえるべく、たった1人で捜査を開始する。
そんな中、記録保管センターから押収されていた麻薬が強奪される事件が発生。セガールはこの事件にきな臭いものを感じ、一方で警察署内に怪しい連中がウヨウヨしている事にも気付く。そのころDMXは取引相手のボスと接触していたが、その正体はセガールの同僚であるマイケル・ジェイ・ホワイトであった。
調査を続けるうちに、セガールもDMXがただの密売人ではないこと、そして署内の同僚たちが麻薬密売に加担していることを察知。やがてDMXと接触したセガールは、彼が無実の罪で投獄された弟を助けるため、警察汚職を摘発しようと密売人に化けていたことを知らされる。
協力してくれた署長のジル・ヘネシーが命を落とす中、セガールは麻薬取引の現場に踏み込み、DMXとともにマイケル一味を一網打尽にしようと目論んだ。凄まじい銃撃戦の中、2人はそれぞれの倒すべき敵と相対する!
▲まずストーリーですが、こちらはセガール作品らしく実に適当です(爆)。DMXの正体にまつわる部分は謎めいているものの、怪しい奴がそのまま悪人だったりする真っ正直な展開が多いため、サスペンス性は皆無。珍しくセガールが落ちこぼれであるという特徴も、物語が進むにつれて忘れ去られてしまいます。
とはいえ、これらの点は特に問題ではありません。個性的な登場人物、満遍なく配置されたアクションやカースタントが作品を適度に盛り上げていて、本作に平均的なセガール映画から頭ひとつ抜けた印象を与えているのです。
これについては格闘シーンも同様で、セガール的な合気道ファイトにワイヤーワークが加わり、いつもと違ったアクションが構築されていました。動作設計は香港から招かれた林迪安(ディオン・ラム)なので、セガールの動きを尊重しつつ新鮮味を加えるのは、彼にとってお手の物だったでしょうね。
しかし腑に落ちないのは、ラストのセガールVSマイケルの一戦です。ともに武術を得意とする俳優同士であり、格闘映画ファンにとって夢の対決が実現した瞬間ですが、この戦いは使用していた刃物が落ちたところで唐突に中断。マイケルはさっさと逃走し、実に呆気ない結末を迎えてしまいます。
明確な勝ち負けが決まらないばかりか、素手での勝負をスルーしてしまうとは片手落ちもいいところです。DMXが「紐を引っかけた銃を投げて撃つ」という、『タイガー・オン・ザ・ビート』で周潤發(チョウ・ユンファ)がやったのと同じ動作を見せたりと、どうもこの最終決戦はおかしな部分が目に付きます。
ある程度の品質は保っているのに、かゆい所に手が届かない演出のせいで損をしているアンジェイ監督の作品群。本作もラストと適当な展開さえ気にしなければ気楽に見られるのですが……う~ん。
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