指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『子午線の祀り』

2021年02月26日 | 演劇
木下順二作、野村萬斎演出の劇をKAATで見た。
木下順二は、戦後の劇作家のなかで、今日の野田秀樹にまでつながる開祖である。というのは、野田秀樹が一番影響を受けたのは、唐十郎であり、唐十郎の師と言うべきは福田善之である。そして、福田善之が一番影響を受け、劇作のモデルとしたのは、木下順二の『山脈』などの作品なので、遠回りすれば、野田秀樹に繋がるのは、木下順二と言うことになる。

                       
これは、『平家物語』を元に、木下順二が最初に岩波ホールでの1967年の「群読」という公演で作ったものである。私も、戯曲となってすぐに読んだが、実に美しい台詞の作品である。
そして、今回期待してKAATに行ったが、期待は相当に裏切られた。
1幕は、抒景的な場面がつづき、ああそうかなと思うが、眠るまでにはならなかった。
そして、2幕目は、壇ノ浦の戦いで、平家の将知盛(野村萬斎)と源氏の大将義経(成河)との戦いになるので、ややドラマチックに盛上がるが、いつか寝ていて、気がつくとエンドだった。
いずれにしても、私はこの名作の中に入ることができなかったのは、非常に残念なことだった。
ひとつ、良かったことは、武満徹の音楽が素晴らしいことが再確認できたことだ。
神奈川芸術劇場大ホール


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