指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

滝田祐介の剣客 『剣客商売』

2021年11月29日 | テレビ

テレビの時代劇を見ているが、『剣客商売」の最初のシリーズは非常に良いと思う。

山形勲と加藤剛の親子、山田吾一の岡っ引き、その妹の関根恵子と良い役者が出ている。

この回は、夜に山形の家に行くと珍客で、6年前に共に大坂で修行した仲間の新克利。

3人は旧交を温めるが、夜中加藤が帰ると、浪人の一団に襲われる。

加藤は、これは自分ではなく新を狙ったものだと思う。

加藤と同様に町道場主に神田隆がいて、新の職の世話を依頼する。すると、道場破りの一団がきていて、中に抜群に強い浪人に滝田祐介がいる。

               

互いの技を見抜いた加藤と滝田は、一献傾けると、滝田は、新に遺恨を持っていて、討ち果たすために江戸にいることを聞く。

神田の道場で、新克利が技を見せるが、誰もがその凄さに舌を巻くが、その一人に庄内藩の武士の武内亮がいた。

この滝田は、すごい腕で、道場破りの浪人の一団の首領だが、労咳になっていて、もう数ヶ月の命。

凄腕の剣客と言えば、平手造酒で、ここでも滝田の名は、平山となっているのは、平手を意識しているのだろうと思う。

脚本は、井出雅人、監督は高瀬昌広の超ベテランのコンビで、非常にテンポが良い。

加藤が、滝田の体を心配するが、滝田は、どうせ長くない命なので、新克利と真剣で決闘したいと言い、加藤に果たし状を託す。

すると、なんと新は、武内に見込まれて、娘の養子縁組となる。

その婚礼の夜、加藤は一人宴席を出て、決闘の場所に行く。

そして、もちろん勝ち、滝田は死ぬ。それを見て、加藤は宴席に戻る。

そこでは、二人の婚礼の祝いが続いていたが、誰も知らずに加藤は席に着く。

果たし会いをしてきて、冷静に酒が飲めるものだろうかと思った。

西部劇の『荒野の決闘』のドグ・ホリディーは、

「人殺しをした後の興奮を冷ますために酒を飲んできたので、依存症になったのだ」と言っているが、この方が正しいように思う。

滝田祐介は、俳優座で最初にスターになった俳優だった。もちろん、テレビの『事件記者』である。

この後、仲代達矢、平幹二朗、そして加藤剛と俳優座は、多数のスター俳優を出した。

前から、私は「俳優座・オリックス説」で、このふたつは1970年代までは、日本をリードしていたが、近年はだめになった典型だと言ってきた。

今年は、オリックスも優勝したので、俳優座も良くなることを期待したい。

 


ヤクルト優勝に思う

2021年11月28日 | 野球

私は前から、日本シリーズは、7戦までやってほしいという立場で、なんとか神戸に戻って来たので、7戦までを期待していた。だが、ヤクルトの粘り強さ、しっこさには、あらためて驚いた。

そして、思い出したのは、1950年代終わりの南海の強さだった。
杉浦忠という絶対的エースがいたとはいえ、当時の南海も、野村だけでそう強い打撃陣ではなかった。...
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ヤクルトナインは号泣 村上、山田、青木、中村、川端も 大激闘に涙止まらず(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース
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 「日本シリーズ・第6戦、オリックス1-2ヤクルト」(27日、ほっともっとフィールド神戸)

『わが命つきるとも』

2021年11月26日 | 映画

トーマス・モアってこんなに凄い人だと始めて知った。

特に、役者のポール・スコフィールドの演技が素晴らしい。

これぞ、本物の役者であると思う。

                   

モアは、日本で言えば最高裁長官と法務大臣を合わせたような人だと思うが、国王のヘンリー8世と対立している。

この王も面白い人で、無邪気だが、自分の離婚、結婚で問題を抱えている。

これが、イギリス国教会を作る契機になったと思うが、実に西欧では宗教は人間の生き方を束縛していたんだなあと思う。

モアの戦術は、これまたすごいもので、国王の離婚、結婚問題について、沈黙を守るというものだが、なんと投獄されて、最後は有罪で首を切られてしまう。

だが、彼を有罪にしたクロムウェルも絞首刑にされてしまう。

唯一人生き残るのは、リッチという小心者で、これまた日乗に皮肉。

原作は戯曲で、作者のロバート・ボルトはイギリスの共産党員で、監督のフレッド・ジンネマンも、アメリカで1950年代の赤狩りを経験した人なので、この作品の意味は大変に深いと思う。


全斗煥を評価していた方・・・

2021年11月24日 | 図書館
全斗煥を評価していた方。
それは、元横浜市長の高秀秀信氏である。
高秀氏は、市長になる前の建設省ににいる時代に親交があったようで、
「日本のゲートボールを韓国に導入している」と言っていた。
確か、ゲートボールのセットをもらったと言っていたような気がする。
これも今は昔のお話である。

『白鯨』

2021年11月24日 | 映画

1956年のハリウッド映画、主演のエイハブ船長はグレゴリー・ペック。監督は、ジョン・ヒューストン。

原作は、言うまでもなくハーマン・メルビルの『モービー・デッイク』で、これは読んだことはないが、彼の『ベニト・セレイノー』は原文で読んだことがある。

勿論、大学の授業であり、東大の北川悌二先生の授業で、大変だったが非常に面白かった。

北川先生は、チャールズ・ディケンズの翻訳で有名な先生である。

アメリカ東海岸の港町に主人公イシュメルがきて、捕鯨船に乗る。

船室の相棒は、銛打ちで、先住民・インディアンの男、全身の刺青がすごい。

船長は、片足を白鯨に取られて、その復讐に燃えているエイハブ。

船は、大西洋を渡り、喜望峰からインド洋に出て、スルー海峡から、南太平洋に出る。

鯨の大群に遭遇すると、そこに白鯨のモービー・デッイクもいる。

彼は、巨体で大きな潮を吹き、潜ったり、浮上したりして海を堂々と泳いで行く。

船長は、追跡を命じ、白鯨を捉えれば、利益の全部を乗組員に分配すると叫び、船員は大喜びして白鯨を追う。

そして、ついに見つけ、ボートの乗ってさらに追い、槍を次々と投げて刺す。

船長も槍を刺すと鯨に飛び乗り、背中に腹ばいになる。

刺した槍についているロープに船長は括り付けれて鯨と共に洋上を行くことになる。

そして、最後、白鯨は沈んで行き、船長の姿もなくなる。

たった一人、主人公は助かり、この始末を語ることになる。

白鯨との戦いだが、現代では絶対にできない映画だ。

1956年には、まだ反捕鯨運動は大きくなかったからだ。

 

近代で一番捕鯨をしたのは実はアメリカだった。ただ、日本のように食用ではなく、鯨油の元としてだった。

17世紀以降の西欧の産業革命で、機械油が大量に必要となったが、当時はまだ石油は開発されておらず、機械油は菜種等の植物油だった。

そこでは少ないので目を付けられたのが鯨の脂だった。

そこで、大西洋、さらに太平洋での捕鯨が盛んになり、アメリカ海軍のペリー提督が、日本に開港と開国を要求してきたのも、この捕鯨船への薪、石炭、水等の補給が最大の目的だったのだ。

日本沿岸は、鯨のよい漁場で、東京の北品川には、立派な鯨塚があるほどだ。

                 

人の行為のものすごさ、そして虚しさを描いている作品で、さらに今日では到底作れないという意味でも凄い映画だと言えるだろう。

 


『ジャンガリアン』

2021年11月21日 | 演劇

ジャンガリアンとは、なにか。

               

一瞬、洋物の翻訳劇かと思うが、文学座の新作の和物、大阪のどこかの町の話であり、これを見て最初に思ったのは、日本維新の会の人は、どう思っただろうかである。

世界に冠たる文楽の補助金を削った文化音痴の橋下の党なので、見るはずもないだろうが。

この文楽への補助金削減だけでも、橋下と維新は、万死に値すると思う。

大阪のどこかの町に、老舗のトンカツ屋があり、老齢の男がやっていたが、その死で、孫の琢己・林田一高が、祖父の死の生命保険金で店を新しくしようとしているところ。

彼の父昇・たかお鷹は、祖父の娘幸子・吉野由志子とは別れて、同じ町内で小料理屋をやっていて、町内会会長でもある。

作は横山拓也で、演出は松本祐子、横山は大阪府出身の人で、全編が大阪弁である。

店を閉じようとする最終日から始まる。最後で始まる劇は多く、チェーホフの『桜の園』も、そうだったと思う。

さて、ジャンガリアンとはなこれはこれはウイグル地方に生息するハムスターの一種で、店が老朽化していい手、ネズミが出ると言うので、その対策にハムスターを飼えば、群れを持つネズミは嫌って逃げると言われたからである。

ネズミ、犬などは群れを作り、他種を排除して生息するが、本来ヒトは、他種を排除しないので、地球上に大繁殖したのだ。

自分と異なる者、他種をやたらに排除する維新や小池百合子は、ヒトではなく動物に近いと言うことだろう。

この夜、琢己が脳梗塞で倒れてしまう。

そして、ジャンガリアンを持って来た(一頭1000円で売っているのだが)モンゴル人の留学生フンビシを店で店員として雇用できるかが、ドラマになり、琢己はなぜか強く反対する。

商店街の祭に留学生らが出店を出し、そこで豚の丸焼きを売ったことで、さらに町の人の反感も起きる。

豚等を丸焼きにするのは、モンゴルのみならず韓国やアラブにもあり、狩猟民族の習慣だが、確かに豚の頭を見ると最初は驚く。農耕民との習慣の違いだろう。

古くからいたコックが実は在日だったが、なにも言わずに祖父は雇ってくれたことなどがあり、琢己もフンビシと一緒に店をやっていくことになる。

予定調和的で、甘いといえばそうだが、外国人の問題を取り上げた劇としては、最上の部類だと思う。

唯、一つだけ希望を言えば、このジャンガリアンを見せてほしかったと、動物嫌いの私も思った。

紀伊国屋サザンシアター

 

 

 

 


小選挙区で、野党が共闘するのは当然のことである

2021年11月20日 | 政治
小選挙区で、野党が共闘するのは当然のこと。
 
立憲共産党が問題なら、自民学会党はどうなんだと言いたい。
国立戒壇を自民党員は認めるのでしょうかね。
お聞きしたいものだ。

ヤクザのお仲間のお二人

2021年11月20日 | 政治
維新の連中は、こういう者ばかりだが、なぜか許される。
おかしな話だ。こういう連中は町内にいるやんちゃな奴で、まあ良いじゃないか、多少の間違いは、とされる。
それにしても、この松井という男、ヤクザとしか見えないね。

時代劇は、日本の伝統ではない

2021年11月20日 | 映画
時代劇が、日本の伝統のように言われるのは間違いです。
これは、傾向映画の末期、権力から弾圧されたとき、これは現在のことではありません。
江戸時代の悪のことですと逃げるために出来たのが、時代劇ですから。
歌舞伎が、演目の時代をズラしているのと同じ発想です。
なぜなら、江戸時代が、時代劇が描くように、悪代官と抜け荷商人の社会だったら、260年間も続きません。...
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どぶ板選挙こそが、本当の選挙運動だ

2021年11月20日 | 政治

先日、横浜市南区のあるところで飲んでいて、隣の男の人と選挙の話になった。

菅義偉に投票したという人なのだが、公明党が嫌いだと言うのだ。

なぜなら、あるとき知合いから、ある会合に誘われて行くと、最後は公明党の運動だと分かって不快だったと言うのだ。

公明党へのこうした反応は非常に多いが、私は、こうした「どぶ板選挙」は、本来の選挙運動だと思っている。

世界の国では、戸別訪問が禁止されているのは日本くらいで、海外では戸別訪問が選挙運動の主流なのだ。

第一に、戸別訪問のようなどぶ板選挙以外に、どうやって個々の候補のことを有権者に知らせるのだろうか。

マスコミしかないのは、異常だと思う。

これでは、いつまで経っても「風が吹かない」と選挙は、意味がないことになる。

なぜか、選挙は公営にした方が良いという、信仰があるが、完全な間違いだと私は思うのだ。

 

                 

公営掲示板など、本当に愚策である。やはり昔のように、各候補が自分のポスターを支持者に貼ってもらうのが正しいあり方なのだと思う。

いずれにせよ、どぶ板選挙をやるしか、立憲民主党らの野党の生きる道はないと私は思うのだ。


佐野がいた

2021年11月18日 | 野球

元広島監督の古葉毅の死が報じられたが、古葉についていたコーチに佐野嘉幸がいた。

昔、磯子に住んでいたとき、マンションの廊下で背は高くはないが、がっちりとした、あまり人相のよくない男に会った。

             

それは、当時横浜大洋で打撃コーチをやっていた佐野だった。

彼は、当時の監督だった古葉の下でコーチをやっていたのだ。

彼は、古葉について各チームを動いていたようだ。

日本のプロ野球の世界では、このように親分・子分の関係がよくあるようにみえる。

私は、あまり感心しないのだが。

 

 


富川すみ夫 『新選組血風録』

2021年11月16日 | テレビ

富川すみ夫は、言うまでもなく六月劇場などのアングラ劇団の俳優で、1970年代には東宝の青春スターとして活躍していた。

ややニヒルな感じもある二枚目だった。

この東映京都のテレビにも出ていたのだ。

               

話は、北村英三の井上が、新隊士を募集するため京都の近在を廻り、百姓の手代として富川を連れてくる。

彼は、訓練の襲撃のとき、倒れた攘夷派志士が死の寸前だったので、上司からトドメを刺せの命に逆らう。

そして、次の二条の旅館の急襲の時、いの一番に突撃したため、鉄砲に撃たれて死んでしまう。

実に悲劇的な役で、富川に合っていたと思う。

その後、消息不明になっているようで、本当にどうしたのだろうか。


梶君が出ていた 『剣客商売』

2021年11月15日 | テレビ

梶君といって、梶芽衣子ではない、梶三和子さんである。

彼女は、大学2年の時の12月の公演『黄色い波』に出てもらったことがある。

どういう経緯で、出ることになったか知らないが、私は大道具のチーフだったので。

それは、広島を舞台にした一種の反戦劇で、彼女はある家の娘の一人だった。

当時は、まだ10代で、昼は証券会社に勤務し、舞台芸術学院を出て、役者をやっていた。

先日亡くなった前進座の志村智雄さんは言った

「彼女は小柄だが出ているところは、きちんと出ているね」

さすがに、新宿国際名画座の痴漢だった方のお言葉である。当時、同館は東京の痴漢の巣で有名だったそうだ。

だが、志村さんは、彼女の演技については大変に批判的だった。

「全く合わせないんだからね、参るよ」

私も、それは同意する。

彼女には、部屋の外から駆け込んで来るという場面があった。

その時、彼女は走りすぎて、舞台に二重を蹴っ飛ばしてしまい二重が動いて、一瞬床に落ちると言うことがあったからだ。

二重は結構重いものなので、動くことは普通はないのだが、彼女はけっとばしてしまったのだ。

それくらい思い入れの強い人なのだと思う。

               

 

テレビの『剣客商売』の第一シリーズで、山形勲の若妻のおはるを演じていたことを初めて知った。

結構、この頃は出ていたなと思った。

今は、もう70歳を越えているはずだが、どうされているのだろうかと一瞬思った。


立憲民主党幹部は全部女性に

2021年11月14日 | 政治

先の衆議院選挙で、立憲民主党は、小選挙区では善戦したが、比例区で負けた。

と言っても、自民党の得票率は、34%にすぎないのだが、小選挙区比例代表並立制というインチキな制度で、過半数を越えた。

そして、立憲民主党は代表選挙になるが、ここは是非代表以下を女性にして貰いたいと思う。

これは安易な人気取りだと言われても良い、画期的なこととなるはずだ。

                

代表は、西村智奈美、副代表は大河原雅子、幹事長は森裕子と言う具合に。

これは、自民や維新にはできないことだから、是非やってもらいたいと思う。

そして、来年の参議院選挙に向けては、候補者を公募して予備選挙をやって候補者を決めることが必要だと思う。

今回の自民党は、選挙直前に総裁選挙があり、これが事前運動になったのだから。

 


判官びいきは生きていた

2021年11月13日 | 政治

今回の衆議院選挙で、興味深かったことは、新聞の事前予測で、朝日新聞が、自民過半数越を出し、読売が、自民過半数割れを予測したことだ。

結果は、朝日新聞の予測の通りで、その原因は、朝日は従来の電話聞き取りの外に、ネットでの調査を行ない、それの比重を強めたからだそうだ。

さらに、もう一つ、重要なことがあったと思う。

                                   

私は、何度か書いたが、昔の市会議員などは、「○○候補優勢などと書かれるのを非常に嫌がり、別の候補に判官贔屓で票が流れる」と言ったことだ。

菅前総理に、横浜市西区の市会議員を引きずりおろされた鈴木喜一先生は、よく言っておられたものだ。

だが、近年、それは変わり、特に小選挙区制になって、自分の票が死票になるのを嫌がり、勝ち馬に乗るという傾向が強くなったと言われてきた。

だが、今回の読売の予測が外れたのは、読売の読者にまだ判官びいき、さらに直前の静岡での参議院選挙の補選で自民党が敗れたので、危機感が強くなって自公に入れたのだと思える。

対して、朝日新聞の読者は、意外にも勝ち馬に乗る、傾向があったので、自民過半数との予想で、嫌になって棄権したからだろうと私は思う。

意外にも、今回の選挙では、予想のアナウスメント効果があったことになるのだろうか。

さて、前に書いた「小選挙区・比例制」は、ドイツの選挙制度とよく似ていることが分かった。

ドイツは、小選挙区と比例区があり、二票制だが、議席は、小選挙区での獲得比率で、厳密に確定させている。要は、小選挙区比例併用制で、日本のは比例並立制とは異なるもので、死票は極めて少ない。

近年の投票率の低さは、死票にあるとも思われ、投票率の向上の点からも、制度は見直されるべきだと私は思う。

さすが、厳格なドイツ人である。いい加減な日本人とは大いに違う。