指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

今日は、『七人の侍』が公開された日

2017年04月26日 | 映画

今日は、『七人の侍』が公開された日なので、それについて http://sasurai.biz/ に書きましたので、よろしく。

                    


ペギー葉山はジャズ歌手だった?

2017年04月13日 | 音楽

ペギー葉山が急死されたが、83歳で若いとは、日本の高齢化は凄い。

さて、ペギー葉山と言えば、『南国土佐を後にして』だが、元はジャズ歌手だった。

デビューが、渡辺弘とスター・ダスターズの歌手であるように、彼女はもともとはジャズ・シンガーだった。

その証拠に、ペギー葉山のペギーは、ペギー・リーからきている。

                 

 

当時は、フランク永井、松尾和子も、みなジャズ・シンガーだったが、それは米駐留軍基地での公演が主だったように、日本の音楽文化における米軍基地の意義の大きさを現すものである。

現在は、大手の呼び屋のウドー音楽事務所も、元は米軍基地にミュージシャン等(そこには日本の大神楽のようなものもあった)を売り込んでいた事務所であり、キョウドーなどとは違い、日本国内の呼び屋としては、後発なのだそうである。

ジャズから日本のポピュラー音楽の発展に尽くされた歌手のご冥福をお祈りしたい。


家で見る映画が多くなるなあ 

2017年04月11日 | 映画

週末は雨だったので、家にいてビデオを見た。

『ワイルド・バンチ』で、いつものように非常に良かったが、それについては新しいブログ http://sasurai.biz/ に書いたので、どうぞよろしく。

春の雨なので、季節的に「家で映画を見るのが多くなるなあ」と思う。


『祈る人』

2017年04月01日 | 映画

世に隠れ芦川いづみファンは多いが、私は大学1年の時から隠れではない、公然とした芦川いづみファンである。

原作は田宮虎彦で、脚本は三木克己こと東宝の井手俊郎、監督は抒情派で、元は鳴滝組でもあった滝澤英輔である。

話は芦川の回想でつづられていくが、父の下元勉は、国文学者で真面目で非常に厳格で、高校時代に同級生の沢本忠夫と書斎に入っただけで叱責されてしまう。

大学生の時、下元は心臓病で急死してしまい、母の月丘夢二は、大邸宅を売って永福町の家に代わる。この斡旋をしてくれたのが、カメラ会社社長の金子信夫で、芦川は金子に反感を抱いている。

芦川が、都庁の役人の小高雄二と見合いして、その後ストーカーのように付きまとわれる筋もある。がさつで遠慮のない小高を本能的に嫌っているが、一体芦川はどういう相手を求めているのかは分からない。

戦時中に疎開していた房州の漁師(近藤宏なのが笑える)の妻となった香月美也子、その夫らが海で遭難しかけたり、やはり房州で友達だった高田敏江が、貧乏な工員の杉幸夫と明大前で暮らしているのなども挿入される。

最後、月丘は、自分と下元勉とのことを話す。

もともと月丘は金子と付き合っていたが、親の決めたお見合いで下元と結婚したこと。決して金子との間の子ではないと断言する。

もともと学者の下元の家が大豪邸なので、これはおかしいのでは思っていたが、元は金持ちの家の出だったのだろう。永福町の小さな家に移っても、女中のばあやがいるのだからすごいが、扶助料、つまり遺族年金は8,000円だと言っているのだが。

高校の先輩の医師が研究者の女性と幸せそうな結婚をしたところで、芦川は家を出て、出版社に勤める決意をしたところでエンド。

一体、この映画は何を言っているのだろうか、あえて言えば女性の自立と恋愛結婚の勧めだろうか。

この1959年は、現在の天皇陛下と美智子様がご結婚された直後であり、見合い結婚は不幸の始りと考えられていた時代だからである。

チャンネルNECO


『バンコクナイツ』

2017年04月01日 | 映画

1980年代、バンコクの女性の5%は売春婦だと言われた。私は、タイに行ったことはないので、真偽のほどはわからない。

ただ、この3時間もの映画を見ると、それも嘘ではないかなと思えて来る。

バンコクにいる主人公のオザワ(富田克也監督自身が演じている)は、元自衛隊員でカンボジアPKOでこの地にきて、女性に依存したり、いろいろなことをしてその日暮らしの生活を享受しているが、昔の恋人ラックに再会する。

この辺の始りの人間関係は少々わかりにくいが、オザワが先輩に頼まれて、不動産調査でカンボジア、ラオスに行くところから「ロード・ムービー」になっていき、俄然面白くなってくる。

中でも、カンボジアの米軍に爆撃された草原の丘が連なる情景が特に面白い。

ベトナム戦争時、米軍は南ベトナム解放戦線軍を支援する北ベトナムによる軍事的支援ルートを叩くため、カンボジア領内もしばしば爆撃した。

それが丘の元だが、数十年を経て非常に不思議な情景を作り出している。

また、フランス人たちがいて、インドシナ戦争時代からいるとのことで、『地獄の黙示録』のようだが、本当かねと思うが、本当のことらしい。

作品は、長時間だが、決して退屈することないのは、映像と音楽が良いからである。

                 

 

音楽は、タイの伝統音楽であるモーラムで、これは日本で言えば、浪花節や説教節のような語り物である。

私が実際に見たのは、1992年のウォーマッド横浜と連携して渋谷で行われた「東南アジア祭」の時に来た、おじいさんとおばさんのモーラムだったが、原田尊志さんの話では、有名な方だったようだ。

その時感じたのは、男女二人の掛け合いで語られる物語は、われわれには理解できないが、時には猥褻な内容もあると思われる実にユーモラスな音楽だった。

最近でも日本でモーラムの公演があったそうだが、残念ながら私は見ていない。

この映画ゆったりとした感じは、タイの文化を象徴しているように私には感じられた。

題名の「バンコクナイツ」は、NIGHTではなく、NITESと普通東南アジアでは表記されていることに由縁しているとこと。

当分、DVDは出さないとのことなので、ぜひ見に行ってほしいと思う。

映画に行くのは面倒という方は、渋谷のCDショップの「エルスール」にはサウンドトラックのCDもあるので、ご利用を。私は一銭ももらっていないが宣伝しておく。因みに私はもちろん買ってきた。

横浜黄金町・シネマベティ