朝日新聞に、栗原小巻の回想が出ていて、俳優座養成所の卒業公演で田中千佳夫の『自由少年』を演じたことが出ていた。
実は、この公演は、友人の下川博、山本亮の3人で見ているのだ。
この頃から、3人で劇団を作ることを考えていたのだ。
今は、下川も山本も亡くなってしまった。
さて、この公演だが、あまり感心しなかった。田中千佳夫の戯曲の観念性を、役者が上手く表現しているとは思えなかったからだ。
ただ、かなり実験的な作品で、ところどころで、見る者に話しかけてきたりするなどがあり、驚いたものだ。
私は、この田中千佳夫の実験性は、後に唐十郎の劇作に大きな影響を与えたのではないか、と思っている。
唐十郎の前衛性と実験性は、能の観世英夫と田中千佳夫からの影響ではないかと思っている。
さて、この1966年の養成所の公演は、これが最後で、この後は、桐朋学園の演劇科に移行することになるのだ。