指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

「大津事件」の映画 『鉄砲安の生涯』

2022年09月30日 | 政治

NHKの「歴史番組」で、大津事件のことをやっていたが、脇からだが、これを題材とした映画があったことを思い出した。

 

                    

1962年に大映で作られた勝新太郎が、大津事件でロシア皇太子を暴漢から助けた人力車夫安太郎を演じる。安太郎は、無知蒙昧な酒浸りの乱暴者だったが、ニコライ皇太子を襲った警官の津田三蔵を偶然に偶然に取り押さえたことから起きる波乱の生涯。

実際は、彼一人ではなかったようだが。脚本八住利雄、監督は木村恵吾。ロシアとの戦争を恐れる政府、国民から安太郎は感謝され、ロシアからは多額の恩賞金と年金が貰える。村の英雄と称えられ、彼は金で屋敷を建て、元校長で国会議員となる三島雅夫の娘近藤恵美子を嫁に貰う。村での酒池肉林が傑作だが、なにかと言うとすぐに怒ってものをやたらに壊す勝新が最高である。勝は、もともとは「長谷川一夫の物まね演技」だったが、この時期から自分の性格である自由奔放性を引き出すようになり、長谷川の呪縛から逃れるようになり、いつには「座頭市」に当たるのである。

しかし、ロシアとの対立が深まり、戦争の危機感の中で、次第に安太郎への批判も高まり、逆に津田三蔵が英雄とされるようになる。この間で起きた有名な司法事件は良く知られるところだろう。ついには日露戦争になり、安太郎は非国民、ロシアのスパイとさえ言われる。ロシアの金で屋敷を建てたのだから、焼けても当然だとまで言われる。近藤は、実は家の書生と以前からできていて、生まれた息子も勝新とのものではなく、書生との間のもので、「何もしないで酒ばかり飲んでいる安太郎は嫌だ」と家を出て行ってしまう。

この日本人の、英雄と一時は称えるが、すぐに非国民と蔑むのは、脚本の八住利雄の心情の反映のように思える。彼は、ロシア文学者の元左翼で、戦時中は「非国民」と蔑称され、憲兵に監視されていたそうだ。日本人の付和雷同性が強く批判されている。

これはなかなか面白い映画だったが、ほとんど知られていないので、書いておく。

大映という会社は、面白い企画のある会社だったと思う。


『鯨神』

2022年09月28日 | 映画

巨大な鯨と戦う男達の映画で、今では絶対に作れない作品である。

                                         

鯨と言うと、結構感情的になる人が多いが、私は別にそうではない。

鯨の竜田揚げの給食も食べたことはないので、美味しかったという記憶もない。

ただ、食文化は、人間の一番の根底にあるもので、それは人種差、民族差が大きいものなので、他人種がある人種・民族の食文化を云々するのは間違いだと思う。

その意味では、反捕鯨運動は、欧米人の偏狭さの現れだと言えるだろう。

場所は、明かでないが多分九州に、鯨漁を生業とする村があり、鯨長は、志村喬で、鯨神が来たとき、

「あれを捕った者には娘を上げる!」と宣言する。

村の小屋には、鯨採りの多数の荒くれ者がいて、その一人が勝新太郎で、「紀州」とよばれている。

村には、本郷功次郎もいて、彼は貧しい家の娘・藤村志保と恋仲である。

だが、娯楽劇の当然の筋書きで、藤村は、勝新に襲われてしまう。

そして、ついに鯨神が来て、全員で漁に出る。要は、多数で銛を投げて突いて、殺すのである。

ときどき、鯨の目が動くのが不気味である。

ついに本郷が鯨の頭に飛びつき、銛を刺すと吹き出る血。

その黒い墨汁のような血を見たら、グリンピースは卒倒するに違いない。

次いで、勝新が飛び乗り、鯨の頭を突き刺す。

この残酷さはすごい。

だが、鯨神も海岸に打上げられて死ぬが、勝新と本郷の二人も死ぬ。

最後、藤村は子を産むが、それが自分のではなく、勝新の子であることを知っていて、静かに本郷は死んでゆく。

これは、明治時代のことらしく、時代的には時代劇だが、なぜか大映東京撮影所でつくられているのは不思議。

監督は、学徒動員で出征して戻って来たニヒルな田中徳三。

原作は、これによって芥川賞受賞者だが、1980年代に多数のロマンポルノの原作を書いた宇野鴻一郎という不思議。

衛星劇場

 


大衆芸能の変遷から見る「国葬」

2022年09月28日 | 政治

「国葬」は、賛否あったが、無事終わったようだ。

近代以降の日本の大衆芸能史から、現在の政治状況と「国葬」を考えてみる。

日本の大衆芸能で一番人気があったのは、浪花節、浪曲である。それは、戦前、戦中、戦後の1950年代まで続いていた。

いかに、浪曲が人気があったかは、俳優の加東大介の戦時中の実話、『南の島に雪が降る』をニューギニアでやるとき、参加者を募集すると、

「私は浪花節ができます・・」ばかりだったでも分かるだろう。

近代以降の日本で、最大の人気の芸能は、浪花節で、ラジオでも1950年代まで『浪曲天狗道場』などがあった。

だが、浪曲は、1960年代に急速に人気を失ってしまう。

その原因は、高度成長により、農村からの大量の若者の都市への移動したことと、戦後の民主主義教育だった。

すべての場面で、「浪花節的」は、古くさい物の象徴にまで、なってしまう。

そこで生まれたのが、演歌だった。

それは、三波春夫、村田英雄の二大歌手が、元は浪花節の世界にいたことでも明かだが、もう一人、三橋美智也も民謡の世界からの転向者だった。つまり、演歌は、浪花節と民謡からの転向だったので、きわめて新しい音楽だったのだ。

もう一つ、北島三郎やこまどり姉妹のように、巷の「流し」から出てきた歌手もいたが、これは江戸時代来の新内等からの流れである。

こうして流行歌は、1960年代末に演歌とニューミュージックに分化する。

そして、20世紀末になって、自民党で小泉純一郎、さらに安部晋三が出てきたのは、やはり自民党の「末期的」症状なのではないかと思う。

戦後、国民政党だった自民党は、中曽根首相の「戦後政治の総決算」以後、より右寄りになって行く。

かつて日本の左翼には「左翼バネ」があると言われたが、自民にあっても、「右翼バネ」が作用してきたというべきだろう。

その根底には、昭和、そして平成の天皇が、戦後の憲法の平和主義と民主主義に賛意を示してきたからであり、戦前的な価値の否定だったからである。

だが、自民党は、小泉純一郎以後は、国民政党では完全になくなり、「右翼ネット政党」になったので、その象徴が統一教会である。

こうした自民の「孤立」を支えてきたのは、言うまでもなく、創価学会・公明党である。

かつて、大久保英太郎横浜市会議長は、1984年春に私に言ったことがある。

「公明党も堕落したな!」

まさにそうだと思うのである。

「国葬」というなら、国民すべてが賛同すべきだが、強い反対があり、岸田首相が、「弔意を強制しない」では、そもそも始まりが矛盾している。

国葬とすべきは、天皇と上皇しかいないはずで、現在の日本国憲法からみれば、法的に問題がある。

その意味で、国民の創意の国葬となれば、戦時中の山本五十六の国葬が最後だろう。

 

                        

さて、現在の大衆芸能で見れば、現在はニューミュージックの時代で、演歌は、カラオケ世代のみだろう。

友人代表の菅義偉の弔辞を見ると、実に浪花節的だなと思うが、彼は、秋田という地方出の人間である。

ここには、浪花節的感情はまだ生きていた。

さて、もう一人、安陪の子分だった井上義幸氏は、どうしたのだろうか。

あの統一教会の井上である。

彼も小田原の出で、貧困から大学へは行けず、国鉄に入り、民営化のとき、総務省に移行し安部晋三と知合い、子分になるのだ。ただ、彼は、みんなの党に行ったりしていて、揺れている。

この菅義偉と井上義幸は、安部晋三の政治的性格を象徴していると私は思うのだ。

 

 

 


岡田彰布が阪神の監督に内定したそうだ

2022年09月27日 | 野球

今日のスポーツ紙によれば、来年の阪神の監督に岡田が内定したとのことで、実に喜ばしい。

 

                    

以前、私は次のように書いた。

Jスポーツで阪神キャンプの中継をやっていて、岡田彰布元監督が解説していた。マルテのホームランは喜ばしいいが、「小野が3-1からストレートを投げたのには驚いた、日本では3-1からも変化球を投げると教えてあげるのが彼への教育だ」と言っていた。小野は、ひどくて、アップアップの状態だったのだが。
また、4番を期待されている中谷が打った2017年のホームラン20本の内、ストレートは1本だけで、翌年はストレートで攻められて駄目になっている。フォームを全部変えないとだめだ」とのこと。「糸井は、ホームランを捨てて、打率だけを目指しているのではないか」ともコメントしていた。藤浪については、「理解不能」とのことだったが、本当にそうだと思う。やはり近年の阪神の監督で一番優れていたのは、岡田だとあらためて確信した。原辰徳が巨人で3回目の監督をやるのだから、岡田もいずれまた阪神の監督をやっても良いと思う。
 
岡田は、選手を見る目があると私は思うのだ。
来年は、大いに期待したいと思う。

ヤクルトの強さは・・・1960年のオリオンズ以来ではないかと思う

2022年09月26日 | 野球

昨夜、ヤクルトが、サヨナラ勝ちで、横浜に勝ち、セ・リーグの優勝を決めた。

次に、CSシリーズもあるが、どこが出てきても、まずヤクルトの勝ちは揺るがないだろう。

ヤクルトの強さは、言うまでもなく、村上、山田の左右の強打者を揃えていることだが、前後の塩見、中村、そして外人もよく働いている。

その強さを考えると、9連覇時代の巨人で、これも王、長嶋の左右の強打者がいた。

だが、もっと強打者がいたチームがある。

 

                                                       

1960年のパ・リーグ優勝の大毎オリオンズである。

ここでは、山内一広、葛城隆夫の右の強打者、左は田宮謙次郎、榎本喜八がいて、ミサイル打線とよばれたのだ。

投手も、33勝の左投手の小野正一をはじめ、若生、三平(みひらで、さんぺいではない)といて、非常に強く、18連勝をしたほどだった。

だが、日本シリーズでは、初優勝の太洋ホエールズに4連敗してしまう。

このために、オリオンズのオーナーの永田雅一は、監督の西本幸雄を首にしてしまう。実に愚かなことだった。

その後も大毎は、かなり強くて、常にパ・リーグの上位にいた。

そして、永田雅一は、フランチャイズ球場の東京スタジアムを北千住に作ったほどだった。

私も、一度だけ行ったことがあるが、ロスのキャンドル・スティツク球場をモデルにしたとのことで、非常にきれいだった。

少なくとも、川崎球場とは比較にならないほどきれいだった。


村田元投手が逮捕

2022年09月24日 | 事件
村田の右腕の強さは、尋常ではないと思う。
昔、早稲田大学での学費・学館闘争の時、ある場所で、スト派の学生達がピケを張っていた。
その時、相撲部の連中が来て、
「どけよ!」と一押した。
すると、学生のピケの10人くらいが、一挙に倒れたとのことだ。
学生とはいえ、本当の相撲取りの力は、すごいのである。
たしか、ボクサーは、素手でも凶器とされるはずである。
村田の右腕も、凶器とされるに違いないと思う。
村田兆治容疑者、逮捕 空港で暴行も容疑否認 携帯電話を手に金属探知ゲートへ→何度も引っかかり…(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース
NEWS.YAHOO.CO.JP
村田兆治容疑者、逮捕 空港で暴行も容疑否認 携帯電話を手に金属探知ゲートへ→何度も引っかかり…(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース
 羽田空港の保安検査場の検査員に暴行を加えたとして警視庁東京空港署は23日、暴行の疑いで元ロッテ投手の村田兆治容疑者(72)を現行犯逮捕した。逮捕容疑は23日午後、第1ターミナル北ウイングの検査場で

宮本敏雄について

2022年09月23日 | 野球

先日見た『パイナップル部隊』のタイトルには、宮本敏雄の名があった。

1950年代末に、巨人の打者でライトを守っていて、打点王も取っていた。

三振かホームラン下の、荒い打者で、三振すると、その笑顔がよかった。

                    

彼は、エンディー宮本の愛称で親しまれていて、私が最初に好きになったプロ野球選手だった。

当時の、選手は、川上や別所など、年取った小父さん連中が多く、まさに戦前からの職業野球人という感じだった。

中で宮本は、少し上のお兄さんという感じだったので、私が好きだったのだと思う。

長嶋茂雄も、その若さが人気の元だったはずだ。

当時は、ハワイ出身のプロ野球選手は日本に多くいて、宮本の他、東映のジャック・ラドラやスタンレー・橋本などもいて、結構活躍されていた。

もう少し前では、阪神の若林忠治や田中義雄もハワイから来た選手だった。

現在では、アメリカの元メジャーの選手もいるが、1960年代では、非常に稀で、その点ハワイは、身近だったのだろう、ハワイ出身の選手がいたのだ。

私は、アメリカには二度行っているが、ハワイにはまだ行ったことがない。一度行って見たいと思っている。

 

 

 


タイトルにあるが、出演がない映画

2022年09月22日 | 映画

前の『パイナップル部隊』では、巨人の宮本敏雄の名がタイトルにはあったが、登場はなかったことを書いたが、こうした例は、1960年代頃はよくあった。

                   

今井正の映画『ここに泉あり』では、草笛光子がピアニストとしてタイトルにあるが、映像にはない。

さらに、音楽評論家湯川れい子さんも、中学校への訪問の場面に出ていて、きちんと撮影されたそうだが、これもなく、NHKテレビでの放映の際にカットされたのだそうだ。

また、東宝の『サラリーマン清水港』のタイトルには、児玉清があったが、作品にはないが、おそらく編集でカットされたのだろう。

理由は二つあり、当時は2本立てだったので、1本は1時間30分程度で、それに合わせて編集したこと。

さらに、スター以外の俳優は、会社社員で組合員でもあったので、映画にでる出ないに関わらず給与は出たので、誰にも異論はなかったからだ。

こうした俳優の待遇は、1960年代後半の各社の合理化の中で、専属制はなくなり、俳優はプロダクション所属となり、契約も異なってくる。

 


『パイナップル部隊』

2022年09月20日 | 映画

長い間見たいと思っていた映画を見るのは、うれしいが、「こんな程度なの」というのもあり、これはそうしたものの一本だった。

                    

1951年、朝鮮戦争の国連軍に参加するため、ハワイの日系人の若者が召集されて訓練を受ける。

指導教官は、ジェリー伊藤。彼は、伊藤道郎の子で、当時は二世タレント俳優として活躍していた。

主人公の杉浦直樹、ミッキー安川、マイク佐野など。10週間の訓練の後、日本に来る。

立川基地で、そこでまず東京に遊びに行く。

杉浦は、叔父伴淳三郎がやっている銀座の寿司屋に行く。伴淳の娘は、十朱幸代である。

もう一人、南馬込にいるはずの日本人娘と婚約していた、マイク佐野も、大井町に来る。

第二国道の馬込橋も、大井町駅も出てくるが、その娘は別の男と結婚していて、彼は落胆する。

だが、駅前で、似顔絵描きをしている女・桑野みゆきに会い、馬込橋まで行くが、桑野は家まで来させずに去る。

松竹京都作品なのだが、ここは大船が撮ったのだろうか。

その前に、全員が銀座のキャバレーに行くシーンがあり、ここではハワイアンのエセル・中田が歌っている。

彼女は、当時は人気女性歌手で、テレビにもよく出ていた。

3日間の日本が終わって朝鮮に行かされる。

そこでは、塹壕戦の後、戦車戦等になり、次々と兵士は死ぬ。

敵側は、中国人のようで、途中には北朝鮮側の軍服を着て、敵側に潜入するなどの問題シーンもある。

随分と苦戦し、負傷して杉浦は日本に戻ってくる。

そこに桑野と母親の山田五十鈴が病室に見舞いに来る。そこで、杉浦は、マイク佐野が、桑野へ貯金を残していたことを知らせ、初めは拒否していたが、最後桑野は、マイク佐野の預金を受け取る。

「自由、万歳」の映画で、反共産主義だが、さして面白くない。

タイトルには、巨人軍宮本敏雄の名もあったが、出てこない。

おそらく、撮影したが、編集でカットしたのだと思う。

主題歌で、ノブオ・西本のもあるはずだが、それもなし。

監督の内川清一郎は、「国際誤解」にセンスがなかったようで、その辺の面白さがまったくなしが残念だった。

衛星劇場

 

 

 

 

 


『実録エロごと師・巡業花電車』

2022年09月19日 | 映画

阪神・ヤクルト戦を見ていて、藤浪、中野のエラーでの失点1点を回復できずに負けたので、日活ロマンポルノの『実録エロごと師・巡業花電車』を見る。

これは、初回に、ノーアウト1,2塁になったのに、3番の近本にバントをさせて2,3塁にしなかったのが間違いだったと思う。一回からバントはないと普通は思うが、現在は通常のゲームではなく、日本シリーズのような戦いなので、「まずは先取点だった」と思うのだ。

1974年の全盛時代で、見たはずだが、筋はあまり憶えていなかった。

吉村平吉の実体験の本の映画化で、今村昌平の『人類学入門・エロごと師達』は、吉村らの話をもとにした野坂昭如の小説だったので、この方が実録だと思う。

                     

検察庁で、罰金を払った殿村(殿山泰司)は、そこの受付の女(星まり子)に目を付ける。

浅草の小料理屋でやっているシロ・クロショーを見に行くが、若者二人で、早すぎで、彼曰く、

「まるでお医者さん、ごっこだ」

殿村は、星をスカウトしてきて、中年の紳士に紹介して5万円を得る。

若者組の女と、大ベテランのウタマロ・ボーイ(五條博)を組ませて、本物のショーを見せて客を唸らせる。

そして、殿村は、榎木兵衛からの話で、地方の温泉場でのシロ・シロショーの仕事に出る。

シロ・シロは、ベテランの二条明美で、その相手に殿村は、星を選び、榎木の運転でドサ参りに出る。

本当は、浅草を離れたくなかったのだが、戦前からの馴染みの女郎・朝顔太夫の武智豊子が死んだので、それを期としたのだ。

この武智の骨を埋めた地面に、男達全員で精液を掛けるシーンがあり、翌日朝顔が開いていて、笑える。

二条のショーは、すごいもので、膣から出した糸で、リンゴを切ったり、ラッパを入れて戦闘曲を吹いたりする。

田舎の客の近江大介は言う、「まさに芸術だ!」

だが、ある夜、二条は榎木と性交すると、なんども感じてしまい、括約筋が緩んでしまう。

次の場では、二条は芸がでず、殿村と星は東京に戻る。

この時、彼は言う、

「あの二人はできたのだ」と。

私は、増村保造の傑作『セックス・チェック第二の性』を思い出した。

 

 

 


『名シーンでつるるなつかしの映画歌謡史』

2022年09月17日 | 映画

1974年の松竹映画、30分ほどのものだが、こういう映画は、2番館以下は、すでに3本立てだったので、需要があったのだ。そうした館では、ピンク映画を付けることも多かったのだから。

監修は、東大を出て、晩年の小津安二郎の助監督もやった田中康義氏で、なんどか小津安二郎ネットワークでお話したこともあるが、温厚で真面目な方だった。

田中さんには申し訳ないが、ここには間違いもある。

『愛染桂』の霧島昇の『旅の夜風』に始まり、『人生劇場』の美空ひばりの『人生劇場』で終わるので、歌謡映画は、トーキーで始まったように思えるが、実は違う。

サイレント時代から、映画主題歌はあり、SP盤で販売され、館で掛けられていたのだ。

私が持っていた、ある盤では、A面は主題歌で、B面はいい場面の台詞入りになっていて、今のビデオみたいになっていたのだ。

そのように、映画会社とレコード会社は共に協力していて、映画主題歌は、ヒットしていたのだ。

そして、戦前の『純情二重奏』の後の、戦後の歌の『リンゴの唄』で、戦後の明るい世相を反映してとナレーションが付くが、この『そよかぜ』は、実は戦時中に戦意高揚作品として企画され、一部撮ったが、負けたので平和の作品と変更されたものなのだ。普通、このことを多くの人は知らないので、書いておく。

『懐かしのブルース』の髙峰三枝子の貫禄の後は、美空ひばりの『東京キッド』

そして、『君の名は』と来て、次は『この世の花』のメロドラマ時代。

カラーになって木下恵介の『喜びも悲しみも幾年月』

『下町の太陽』と『アンコ椿は、恋の花』の本当の歌謡映画。

井上梅次監督でピンキーとキラーズの映画『恋の季節』があるとは、初めて知ったが、これは見ていない。

水前寺清子の『365歩のマーチ』も横浜のシネマジャック&ベティで見たはずだが、中身はまったく憶えていない程度の作品だった。

                                                           

最後は、加藤泰監督の、田宮二郎、渡哲也らの『人生劇場』で、これは『宮本武蔵』等と同じで、非常に良かったと思う。

今回見て再認識したのは、主題歌が入るようなサビの場面は、良いシーンだと言うことだった。

田中さんのご苦労のたまものだと思った。

衛星劇場

 

 


イギリスチームもしたナチス式敬礼

2022年09月17日 | 政治

カラーで見る大英帝国の3シリーズで、一番興味深かったのは、1938年12月にベルリンで行なわれたドイツとイギリスのサッカーの試合の開会のこと。

                                                               

このとき、イギリスのチームは、開会式のドイツ国歌の時、ヒトラーに向かいってナチス式敬礼をしているのだ。

この時期の、イギリスのチェンバレン首相の融和政策は、ヒトラーをつけ上がれせて、二次大戦を招いたとして、大変に評判が悪い。

だが、このイギリス・チームのナチス式敬礼にみられるように、国民も融和的意識だったのだ。

「もう、そんなにひどくヒトラーは、戦争に向かってい行かないだろう」と。

それだけ、第一次世界大戦の傷は、国民に大きかったのだったと思える。

 


照ノ富士、負ける

2022年09月15日 | 相撲

横浜稲門会の伝統文化鑑賞会で、大相撲9月場所2日目に行く。

1時過ぎだったので、幕下中盤で、後ろから二番目で朝乃山が出てくる。

まだ、髷を結っていない学生上がりの川副をひねり潰すように押して勝つ。

学生とプロは違うところを見せつける。

十両では、徳勝龍が出ている。去年は、幕内のビリで優勝したのだが、今は十両である。

個人競技の相撲は、力が落ちると一気に下がるもので、今年引退となった福留や糸井がずっとできたのとは異なる。野球は、団体で、代打、リリーフなど多様な役割があるので、いろいろと使いようがあるのだ。

幕内では、贔屓の栃の心が負けたのが悔しいが、上手い妙義龍では仕方のないところだろう。

今場所は、悪くないはずの正代に勝った霧馬山は、北の富士も推奨する力士で、どんどん強くなっていると思う。

                                             

打ち止めの照ノ富士は、翔猿に負ける。翔猿の素速い動きに付いて行けなかったが、やはり膝が悪いのだろうと思う。

今回は、コロナ情勢と、50人と大所帯だったので、入る店もないので、宴会はなしで皆帰る。

 

途中、鶴見で降りて食事すると、隣の3人組が、携帯で横浜戦を見ている。

横浜の贔屓も増えてきたのは、うれしいことだが、今年はどうあがいてもヤクルトの優勝だろうとのことで一致する。

それにしても、村上はすごいと思う。


『首都消失』

2022年09月14日 | 映画

1987年の東宝特撮映画、監督は舛田利雄、主演は渡瀬恒彦と名取裕子。

                        

ある日突然、東京が謎の雲に覆われて、外部から一切連絡ができなくなる。

名取は、テレビのレポーターで、関西地区で活躍していて、そのテレビ局は、関西テレビで、局幹部が財津一郎で、そのはしゃぎぶりが面白い。

パニックものとなれば、当然丹波哲郎の出番で、留守舞台となる大阪府知事渡辺文雄の黒幕になる。

だが、東京に代わって大阪が首都になって、という風にはならないのは、製作の大映が嫌ったからだそうだ。

渡瀬は、三菱電機らしい北斗電気の技師で、研究者の大滝秀次と現場に行って対応するが、自衛隊機も落とされてしまう。

不安が高まる中で、聖歌隊が祈りの合唱をしたり、団扇太鼓の連中が祈るのが娯楽映画らしくて良い。

その広場では、大騒ぎになり、縁日で屋台が出て、大混雑になり、ついには若者ロックバンドが演奏するが、この曲が冴えないの残念だった。

伝書鳩の往復で、中にいる人間は無事なことが分かり、最後レーザー光線銃で、雲の隙間を狙って攻撃する。

渡瀬が倒れた後、山下真司が続いて、攻撃は成功する。

相手が、形のある怪獣ではないので、アクションの面白さには欠ける。

日本映画専門チャンネル


富川、田島、そして若松正雄

2022年09月14日 | 映画

昨日書いた『ロスト・ラブ』には、その後出なくなった二人が出ている。

富川澈夫と田島和子である。二人とも六月劇場の関係で、富川は東宝に、田島は、テレビの「11PM」にも出ていたので憶えている方も多いと思う。

彼女は、美人だったが、草野大悟と結婚して引退した。まさに美女と野獣だった。

若松正雄は、誰というと、この映画の美術で、後に根本悌二の後を受けて、日活の社長になった人だ。

美術は、肉体労働の場なので、各社では組合の主力になっていた。

若松は、この作品で見るように、普通の映画が好きなようで、

「若松がポルノが嫌いで、ロマンポルノを止めてロッポニカを始めた」という噂は本当のように見えてきた。

日活が倒産したとき、根本はアメリカにいて、実務は日本にいた若松がやっていたのだそうだ。

                        

だが、その後、いろいろな経緯があり、日活は今もあり、製作と配給をやっている。

私の知合いも、新人の入社試験を受けたことがあるのだから。