猫じじいのブログ

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ウクライナへの軍事支援で見え隠れする「西側」の傲慢さ

2022-03-06 23:27:02 | ロシアのウクライナ軍事侵攻

(オデッサ)

ロシアのウクライナ軍事侵攻が長期化の気配を示すにつれ、ロシア人にひそむ反欧米感情が気になり始めた。これには、「西側」の傲慢さも責任があると思う。

日本が1941年12月8日に一方的にアメリカに戦争を告げ、真珠湾を奇襲攻撃した。そのとき、著名な作家・文学者やジャーナリストの多くまでが、真珠湾攻撃の成果に驚喜した。私は、これまで、狂喜した彼らは、欧米への劣等感にさいなまされ、情動的判断をしているとしか、思わなかったが、劣等感を生むような欧米からの差別があったと気づいた。もちろん、知的であるはずの人びとが、日本の開戦を支持したことを、肯定するつもりはない。

ロシアのウクライナ軍事侵攻の情報がいち早く欲しくて、この間、BBC放送ばかりを見ていたが、このBBCの「西側」という言葉がとても気になってきた。

「西側」は“the West”の訳である。「東側」は“the East”ではなく、“the estern Europe”である。その東にロシアや“the middle east”の中東がある。その東にインドがある。さらに、その東が“the far east”の中国、韓国、日本がある。

この順で、優秀な国から劣る国々という感じで、BBCはウクライナ侵攻の解説を書いている。ロシア人も、プーチンの軍事侵攻に反対でも、どこか、心の底で、「西側」を自称するイギリス、アメリカ、フランスに違和感をいただいているのではないか。

BBC放送で、あるウクライナ人が、自分も西側と同じ個人主義であるのに、なぜ、西側諸国はウクライナを助けてくれないのか、というのを聞いて、違和感を覚えた。

この発言の背後には、ロシア人は集団主義で劣り、自分は個人主義だから、ヨーロッパ人であるという、感情がある。集団主義だから劣り、個人主義だから優れているというのは、本当か。個人主義individualismは、他人と自分とはべつの存在と気づき、他人との関係を理性的に築くことを言う。どうも、そういうふうに使っているように思えない。individualismとか、the free worldが安易に使われている。

バートランド・ラッセルの『西洋哲学史』“A History of Western Philosophy"を愛読しているが、自分たちをギリシア哲学の後継者のように書いているところは誤っている。ギリシア文化はイスラム国家に受け継がれ、それが、イタリア、スペインに伝播して、現在がある。また、中世から近代にかけての文化の中心はオーストリアやポーランドやイタリアにあり、イギリスは単なる海賊国にすぎない。それが、世界各地に植民地を作り、アフリカやアジアから富を強奪して、工業国になっただけである。

にもかかわらず、文明は西からくるような「西側諸国」の意識は、ロシア人の心の奥深く傷つけていると思う。

NATOやアメリカのトップは世界大戦になるからという理由でウクライナに兵を送らないというが、BBCの報道によれば、ウクライナに兵器を送っている。

アメリカは2億ドル相当のJavelin anti-tank missiles と Stinger anti-aircraft missilesをウクライナに供与した。さらに、3.5億ドルの兵器をNATO諸国に供与すると言っている。イギリスも2,000 short-range anti-tank missilesをウクライナに供与した。オランダもベルギーもスウェーデンを兵器をウクラナイに供与した。

すなわち、ウクライナはこれらの国々の武器支援でロシアと戦っているのである。自分が傷つかないところにいて、ウクライナ人にロシア人と戦わせているとも言える。

もちろん、ウクライナにはロシアの軍事侵攻をはねのけて欲しい。あくまで、人道的な戦いであって欲しい。アメリカやイギリスには、「西側」社会が優秀だとかという傲慢な発言をしないで欲しい。