日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 前回のコメント欄からお題を拝借します。テーマがテーマですから、今回は十字砲火を喰らうかも知れませんねえ(笑)。

 私はつい中国語を学んだために、それに引きずられて中国、香港、台湾と10年ばかり流浪する破目になってしまいました。

 そのため現在もそうであるように、現地在住のころもローカル(現地の住民)と手を組み肩を組んで、同じ塹壕にこもってローカル向けの仕事をすることが多く、自然に日本人駐在員と接触する、現地の日本人社会で交際する、などという水位ではなかったため、個人的には関連業界の人とお付き合いがあった程度でした。

 それから私は中港台と流浪したのですが、中国にいたころはまだ駐在員自体がそんなに多くなかったり、台湾では仕事一辺倒で周囲を眺める余裕がなかったので、私の場合は香港の「駐在員」に限定されるといってもいいです。

 印象でいえば、私がいたころの中国はまだ対中投資が盛り上がる以前のことで、派遣されてくる駐在員も中国語のできる人が大半だったので、現在のようにその質を嘆くまでには至りませんでした。ただ社費の浪費癖はそのころからありましたね(笑)。

 ちなみに、いま日本にいる私の肩書は「東京駐在員」みたいなものです。でも大手企業の外地の日本人駐在員のように家賃を会社が持ってくれるとか諸手当がついてオイシイ、といったことはありません。給与も香港ドルとかNTドルで向こうの現地通貨建てですから、常に円安たれと祈っている毎日です(笑)。

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 さて、「駐在員」というと、ローカル身分の日本人や留学生、あるいはローカルそのものから蛇蝎のように嫌われているイメージが先行します。

 ただイメージ先行という部分もあって、同じ駐在員でも私にとって接触頻度の高かったサブカル業界の駐在員は商売柄意外にくだけていて、ローカルにも気さくで、その目線で物をみることのできる人が少なくなかったです。むろん、そうでない人も結構いましたけど。

 あと金融など他の業界でも10年から20年くらい香港駐在員を続けている人などはいわゆる「駐在員」の範疇に収まらず、ローカルからも慕われる存在、といった人が少なくありませんでした。

 それから駐在員ながら公費で贅沢なんてことに縁遠い人もたくさんいました。ただ贅沢しなければローカルスタッフに好かれるという訳でもありません。

 要するに愛着なのかなあ、と私は思います。個人的経験に照らしていえば、「駐在員」が悪い意味で使われる場合は、第一に往々にしてその土地への愛着のない人のケースが多いように思います。

 それから言語ですね。香港でいえば広東語や北京語でコミュニケーションがとれる人は当然ながらローカルスタッフとの距離感がぐっと近くなります。

 英国統治時代の香港でも、英語で押し通す人、これは広東語や北京語ができないためやむを得ず英語に頼らざるを得ない面もあるのでしょうが、こうなるとやはり壁ができてしまう部分があります。

 統率力や人格的魅力のある人は英語しかできなくても「モーマンタイ、モーマンタイ(無問題)」と片言を差し挟むだけで愛嬌になっていた人もいますが、これは例外的なケースでしょう。

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 そこで愛着という訳です。一般論としていえば、現地の言葉が使える人は当然ながらその土地に一種の思い入れがありますし、ローカルスタッフとのやり取りも直接できますから、いわゆる「駐在員」としてローカルに嫌われることは少ないように思います。

 そうでない人は……例えば「来たくなかったけど社命で仕方なく住んでいる」とか「何でこんな歳になって駐在員をやらなきゃいけないんだ」という思いのある人はその土地に馴染もうという意識が希薄ですから、いわゆるローカル日本人&ローカルに蛇蝎のように嫌われたり唾棄されるタイプになりがちです。

 言葉ができないから(英語も下手糞だったりしますし)住みにくい。部下との意思疎通もどこかうまくいかない。さらにその土地、ここでは香港ですが、そこに愛着がないのと日本より後れている部分があるということでどこか見下した態度をとる。これはすぐローカルスタッフに見抜かれてしまいます。

 それから「社命で仕方なく住んでいる」という部分もありますし、「駐在員」同士の付き合いがそうであることから、経費でバカ高い日本料理屋で飲み食いしたり高級マンションに住んだりします。そうせざるを得ない、という面もあるでしょう。ランチなど日常的な食事も高いところが多かったり。

 ……ただそうやって「日本」をそのまま持ち込むような生活を送っていれば、ローカルスタッフの顰蹙を買っても仕方がないと思います。

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 私は配偶者が某大手電器メーカーの駐在事務所で働いていたこともあって、「駐在員」の悪い噂はよく耳に入ってきました。

 ●接待名目で会社のカネ使って自分名義のゴルフクラブの会員権なんか買ってんじゃねーよ。
 ●お前の分際でなんでミッドレベル(半山区=香港の高級住宅地)なんだボケ。
 ●女買うために名目つけて中国出張してるんじゃねえ阿呆。

 しかも全て社費での贅沢三昧。日本に帰れば奥さんがスーパーでパートしたりしているくせにねえ。何のぼせ上がっているんだか、舞い上がっちゃってるんだか、こういうときにしか機会がないから増長しているのか、そこら辺はわかりませんが。

 支店長クラスになると50歳を超えて定年間近であることを理由に、家事については不如意だからとより豪華なホテル住まい(もちろん社費)。それでクリーニングとか光熱費の支払いをローカルスタッフにやらせたりしているんですから、そりゃ嫌われますね。

 単身赴任している人は日本でパートをしている奥さんが遊びに来ると、その暮らしぶりの豪華さに目を見張ったりしています。もちろん旦那が週末ごとに中国本土に「出張」して××してるなんてことは知りません。

 奥さん帯同で香港駐在になってもそれをやっている奴もいましたね。細君が美人で慎ましい大和撫子タイプだったので義憤しましたよ私は(笑)。

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 ただ、こういうのは駐在員に限らず、私が上海にいたころ、あぶく銭を持たされている留学生にもそういうタイプの日本人がいたことを付記しておきます。いまはどうなのでしょう。

 常識云々ということでいえば留学生も「駐在員」を笑うことはできず、週末に彼女同伴で高級ホテルに泊まった奴が枕やバスタオルや灰皿などを持ち帰ってきたために留学先の大学にホテル側から連絡が入ったことがあります。日本人の面汚しですね。

 そういう留学生やローカルの眉をひそめさせる「駐在員」、あれは常識があるかないか、年齢がどうかというより、現地や現地人への見下した感覚や「旅の恥はかき捨て」的な感覚が作用しているのだと思います。

 少なくとも
「おれは日本人だから恥ずかしい真似はできない」といった矜持のないことは確かですね。

 例の瀋陽の事件、タクシーのシートに口にしていたガムをべったりと貼り付けたとされる日本人。

 事件の全容が明らかになっておらず、この発端となったとされる部分が事実かどうかもまだわかりませんが、赤信号で後続するタクシーに乗っていた中国人たちが加勢に駆け付けて運転手を車外に引きずり出して暴行するというのは、事実だとすれば堅気臭がありませんねえ。

 ガムの一件が事実だとすれば、日本人の面汚しです。

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 私の香港時代は常にローカル待遇でしたし、みんなで力を合わせてひとつの物事を成し遂げるという性質の仕事ですから、現在もそうですが幸い同僚とうまくいっていないということはないようです。

 ライバル会社の連中も来日すると挨拶に来ますし、それではと定例になっている場所に酒席を設けて一夕仕事抜きで歓談すると、それが嬉しいのか一人前扱いされている基準のようなものらしく、雑誌編集者などは自己宣伝なのか編集後記にわざわざそれを書いたりします。虚名というのもいいものです(笑)。

 ただ私個人は、香港と香港人は大嫌いです。いやもうホントに大嫌い。

 むろん一般論であって、配偶者は別です。たまたま香港人だっただけのことですから。……仕事仲間も苦楽を共にする「戦友」ですからまた然りです。

 「嫌いな理由」を思いつくまま挙げてみると、

 ●私自身が北京語出身(香港は広東語)。
 ●台湾の温かさが身に沁みている。
 ●香港人は現実的で計算高い。
 ●香港人は長期的視点で物事や人材を育てようとする意識が希薄。
 ●香港人は実力がないくせにプライドばかり高い。
 ●香港人の意識の底流に反日の土壌がある。
 ●ハード(高層ビルとか)だけは東京並みでもソフト(例えば店鋪のサービスなど)のレベルが伴っていない。

 といったところです。むろん香港という土地に格別の愛着もありません。香港人を一種見下したような感情もないとはいえません。

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 ただ統率上、また公私共に余計なトラブルを避け、「日本人」に対するイメージを多少なりとも好ましいものにするために、そういう気配を微塵も感じさせないように香港では振る舞いかつ愛嬌を振りまいてきました。演技でも誠を込めた演技であれば真に入るものです。

 その気がなくてもローカルと一緒に泣いたり笑ったりすることは朝飯前です。涙なんて統率上必要ならいつでも必要な分だけ流せます。何せ相手は外国人で自分だけ日本人なんですから、そのくらいのことができなければローカルスタッフを引っ張っていくことはできません。

 副業のコラムでも「懇切丁寧でいい日本人」「日本人だけど香港人の味方」(日本批判をやるということではなく、香港人と同じ目線ながら香港人にはない視角を持っているということ)といったイメージを最初から徹底させていますから、しばしば香港に苦言を呈しても大抵の読者は憎むことなく、私の言葉を素直に受け取ってくれます。

 そして現在に至るまで、実際に上述したような「本性」を気取られたことはありません。

 ですから業界内を見渡したところ私にとっての敵はいないようですし、仮に私を敵視しても仕事をさせればその差は歴然。おめーらの実力で何とかなると思ったら大間違いだ、日本人を舐めるんじゃねー!……くらいの気持ちは常に持っています。

 まあ駐在員でないため仲間意識が生まれやすいということも幸いしているのでしょうけど、前述したように関連業界の日本人駐在員にも本音はともかくローカルにごく気さくに接し、「気取られない」ことに努めて仕事のしやすい環境を作り上げている人がいました。

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 何だか締めようのない話になってしまいましたが、要するに自分がいまいるところはアウェーであって日本ではない、ということを意識せず、無理に「日本」をそのまま持ち込んだりするような無茶や油断やスキがあるからバッサリと斬られるのです。

 あとはローカルスタッフや現地住民と接する際に「自分は日本人だ」という矜持が欠落しているのではないでしょうか。

 以前、日本の統治下にあった台湾やパラオには日本人によるたくさんの美談が残っていますが、その一方で支配者風を吹かせて嫌われたケースも少なからず存在した筈です。

 俗にいう「駐在員」、悪いイメージを伴う日本人というのは、そういう弊風を地で行っているのではないかと思います。

 もちろん、私は山師の類ですから立派な日本人ではありませんけど(笑)。



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