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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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所詮は籠の中の鳥――それでも。
香港
/
2005-12-06 20:37:08
香港ですから「檻の中の獅子」にしてやってもいいんですけど、あそこの連中はいざとなると逃げ足が速いので(笑)、獅子というほどの凛とした獰猛さには欠けますからねえ。
……いまさらですが日曜日(12月4日)に香港で行われた民主化デモ、前フリに2回費やしていますから結果報告めいたものを出しておきたいと思います。
日本でも新聞各紙などが報じているので正に「いまさら」なのですが。下記の記事が最もよく状況を把握しているように思います。一部の引用にとどめておきますが、できれば全文を読んでほしい記事です。
――――
●香港直接選挙要求デモ 民主派盛り返し 「香港の良心」参加で拡大(産経新聞 2005/12/06/02:46)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051206-00000012-san-int
【北京=福島香織】香港の選挙制度の行方をめぐり、民主派がにわかに勢いを盛り返してきた。四日の直接選挙要求デモは当初の予想を大きく上回る二十五万人(主催者発表)規模で、元政務官の陳方安生(アンソン・チャン)氏も参加。次期行政長官選挙に向けた布石かとの憶測も飛び交う中、選挙制度改革法案の採決が行われる二十一日の立法会(香港議会)までに、中国政府がどう対応するか注目される。
香港の行政長官は親中国派が多数を占める選挙委員(八百人)の投票で選出されるが、民主派はこれを市民の直接投票で選ぶべきだと主張。しかし香港政府が示す選挙制度改革法案では直接選挙への道筋も示されておらず、民主派議員はデモによって法案成立を阻止する構えだ。
(中略)
デモ当日、英国統治時代の香港最後の総督・パッテン氏、中国返還後の初代行政長官・董建華氏の下でナンバー2として手腕をふるった陳氏の突然の参加が傍観派の市民をデモに引き込んだ。返還後、中国政府の干渉に抵抗した「香港の良心」の人気は衰えておらず、本人は否定するものの、一部香港紙は「次期行政長官候補」との期待を隠していない。
(後略)
――――
デモそのものについていうと、これは予想を上回る大成功だったと思います。主催者が警察にデモ届けを出したときの予想参加者数が5万人だったのに対し、実際には主催者発表で25万人(警察発表では6万3000人)が集まった大規模デモとなりました。
当日、私のところにはデモに参加した仕事仲間や副業先の編集長、それに配偶者(香港人)の姉などから刻々と状況報告が入り、正直、有り難迷惑なほどでした(笑)。好天に恵まれたこと、それに
「続・香港。――中共必死だなw」(2005/12/01)
にて紹介した香港のトップ・曽蔭権行政長官によるテレビ演説が広く反感を買ったこと、また元々興味の薄かった市民もテレビ演説を観て参加する気になったこと……などにより、予想以上の人手となったようです。
それにしてもデモを仕掛けた民主派はイメージ戦略が下手ですね。15万~18万人くらいにしておけばまだ真実味があったのに、25万人はちょっとホラが過ぎるように思います(笑)。翌日の香港各紙(2005/12/05)でこの数字をそのまま伝えて感動的なストーリーに仕上げたのは『蘋果日報』だけでした。
――――
私の元に刻々と入った現地報告から考えると、最初に出発地点に集まった人数、その後に出発地に着いた連中が待たされた時間、進行速度、途中からの参加者数、デモ最後尾の出発時間などからして、実際には10万から13万人くらいではないかと思います。
警察発表の6万3000人は数え方にもよりますが、これは少なすぎます。5万人規模のデモを想定して交通規制を実施したのに、途中からトラム(チンチン電車)運行を止めたり一部車線を追加封鎖したのは明らかに予想を大幅に上回る人数だったからでしょう。衛星写真をもとに9万人強と算出した研究者や、デモルートの各所に計測員を置いて途中参加者も洩らさず数えた団体(複数)は9~13万人という数字を弾き出しています。
民主派のイメージ戦略が下手、というのはホラを吹き過ぎたためにマスコミの興味が参加人数に向いてしまい、相対的にデモ本来の主題に割く時間や紙幅が少なくなったということです。まあ相手方の曽蔭権による事前のテレビ演説、恐らく中共の圧力があったのでしょうがこれも大失敗に終わっていますからどっちもどっちですけど。
――――
以前書いたように、香港基本法(ミニ憲法)の関連規定によれば、たとえ普通選挙制度が実現しても、最後には中共(全国人民代表大会常務委員会)の承認が必要となりますから、中共の意に沿わない限り、香港人が本当に望む人物が行政長官になることは困難です。要するに普通選挙制が導入されても中共がOKしなければ選挙は無効とされてしまいます。その意味で香港はいかに「一人一票」を市民が求めようと所詮は「籠の中の鳥」であり、政治的にはすでに終わっていると言い切ってもいいでしょう。
という訳で中共は普通選挙制にOKを出してやってもいいのですが、それによって香港人の民意(普通選挙によって当選した行政長官候補者)を退けるケースが出現すれば国際的イメージに響きます。ですからなるべく普通選挙制の導入は避けたいというのが本音でしょう。
もちろん、「籠の中の鳥」であることは香港人自身もよく理解しています。それでもなお普通選挙を求めようとする姿に私は痛々しさとある種の哀しみを感じるのですが、今回のデモが成功を収めたことで、香港人が「植民地の奴隷」から「市民」に成長しつつあることは認めてやっていいでしょう。「籠の中の鳥」であるためにあくまでも「なんちゃって市民」であり、この点が台湾の政治制度と全く異なる点ではありますが。
――――
ですから私はデモに参加した香港人への拍手を惜しみません。ただ実はそれよりも、元政務官の陳方安生(アンソン・チャン)氏がデモに参加したことに注目する必要があります。同氏(女性)は植民地時代には英国から派遣される総督(トップ)に次ぐ地位を保ち、中国返還後もナンバー2の政務官を務めていたのですが、前行政長官の董建華と対立して辞職したという経緯があります。
行政長官との対立はすなわち中共との対立です。前掲記事にもあるように「香港の良心」とされる同氏の人気は、現行政長官の曽蔭権を遥かに上回ります。そういうキーパーソンが雌伏姿勢を一転させてデモに参加した政治的意味は非常に大きく、そもそもデモに参加すること自体が曽蔭権とその後ろ盾である中共に対する文字通りのデモンストレーションです。
本気で退隠したのならこんな場所には出てこないでしょう(しかもデモの2日前に参加宣言w)。そこでマスコミをはじめ香港市民の期待が膨らむのです。もし2007年の行政長官選出に普通選挙制が導入され、陳方安生が出馬すれば、間違いなくトップ当選することになるでしょう。中共政権は大譲歩でもしない限りその当選を承認することはありません。さすれば欧米から人権抑圧との非難が出ることは必定。……中共が絶対に見たくない展開ですね。
――――
ともあれ、今後の焦点は親中派が過半を占める立法会において、タイムテーブルが付属しないロードマップである政治改革法案がどう扱われるかということになります。
定石でいうならデモの影響に関係なく可決されることになるでしょうが、親中派も一部は選挙の洗礼を受けて議員になっていますし、「中共の走狗」と呼ばれるのはやはり嫌なようですから(笑)、少しは流動的な部分が残っているといえるかも知れません。
前例を挙げるなら、2003年の50万人デモが親中派主力の姿勢を一変させて、採択される筈だった「国安条例」が廃案に追い込まれたケースがあります。ただデモの参加者数からみてわかるように社会の熱気が違いますから、親中派の翻意は難しいところでしょう。
――――
ひとつ気になった点は、携帯でデモの現場から実況してくる連中が異口同音に「若い連中は意外に少ない」と言っていたことです。目立ったのは20代後半から中年層や老人の姿。
「次世代のためにより良い社会を残しておいてやりたい」
という気持ちが動機になったようですが、
「中国は一党独裁ではなく多党制」
なんていう「国情教育」(中共主導による香港版愛国主義教育)が現在の香港の学校では行われています。1989年の天安門事件を「反革命暴乱」扱いするどころか、その存在すら教えていないそうです(個人的信念で教える教師もいるそうですが、教科書には書かれていません)。天安門事件に怒りが噴出した香港での大規模デモの記憶があり、植民地時代に成人した世代と現在の若年層の間には、価値観の違いがすでに生まれつつあるのかも知れません。
一種の愚民教育が始められているといってもいいでしょう。香港人の中に「香港で生まれた中国人」と自らを定義する連中がこれからどんどん増えてくる訳です。おぞましいの一言に尽きます。
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