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ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

障害者施設で広がる不安 心身に影響も NHKアンケート

2016年08月28日 12時55分15秒 | 障害者の自立

相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件から26日で1か月です。NHKが全国のおよそ90か所の施設に聞いたところ、半数近くで入所者や家族から不安を訴える声が上がり、中にはショックから眠れなくなったり食事がとれなくなったりと心身に影響が出た入所者もいることがわかりました。

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NHKは、先週から今週にかけ日本知的障害者福祉協会に加盟する入所施設のうち、定員が100人以上の全国89の施設を対象に緊急の調査を行い、93%にあたる83の施設から回答を得ました。

この中で、事件の影響について聞いたところ「入所者やその家族から不安を訴える声が出ている」と回答したのは39施設、率にして47%と半数近くに上ることがわかりました。

このうち、関東地方の施設では、事件後に入所者から「こわい」や「心配」という訴えがあったほか、別の施設では、「何もしていないのに危害を加えられたことが怖い。自分たちも他の人に同じことをされるのではないか」と入所者が不安を打ち明けたということです。
また、中国地方の施設では、入所者が事件を伝えるニュースをみて、みずからが生活している施設の入所者の名前を挙げて「誰と誰が死んだ」と話したということです。

さらに九州地方の施設では、事件を受けて、入所者の女性が情緒不安定となって十分に眠ることができなくなったため、病院から処方される薬の量が増えたケースがあったほか、北海道の施設でも、入所者が事件後の報道をみて、ショックをうけて食事ができなくなったり、部屋にこもったりしたため、事件の4日後に病院に入院して治療を受けたということです。
このほかにも一部の施設からは重度の障害のため事件自体を十分に認識していないものの、職員や家族の様子や施設内の雰囲気を感じ取って落ち着かない様子の入所者がいるという声も寄せられました。

また、入所者の家族からの問い合わせも相次ぎ、防犯対策の問い合わせのほか、「この施設は大丈夫か」とか「不安」といった声が寄せられたということです。また、事件の容疑者が施設の元職員だったことから、最近、トラブルなどで「こじれて退職した職員はいないか」など問い合わせる家族もいたということで、事件の影響が広がっていることがうかがえます。

偏見広がらないか 不安の声も

今回のアンケートでは多くの施設からさまざまな意見が寄せられ、事件への怒りや悲しみのほか、事件を受けて障害者への偏見が広がらないか不安の声も寄せられました。

このうち、中部地方の施設からは「障害者は役に立たないという考え方は絶対に間違っている」とか、北海道の施設からは「障害があるために豊かな暮らしができないという考え方は間違ったモノの見方です」、さらに近畿地方の施設からは「重度で複数の障害がある方すべてが無用の存在なのでしょうか。一人一人がかけがえのない存在です。日々たくさんの支援を必要とはされていますが、それぞれの能力に応じた主体的な生活を目指しておられます」といった意見が寄せられました。

また、四国地方の施設からは事件を受けて「障害者に対して不必要なバッシングや偏見の助長が心配されます」という懸念の声が寄せられました。

関東地方の施設からは「罪もなく、抵抗もできず、多くの人たちの尊い生命が失われたことに強い怒りを禁じえません。今回の事件をうけて、積み上げてきた障害者施策を後退させることなく、どんなに重い障害のある方でも幸せな生活を求め、ともに支え合っていけるような社会の実現に向けて一層の努力が必要だ」、九州地方の施設からは「障害者が特別な存在としてではなく、ごく普通の存在として認識される社会の実現が第2の事件を防止することになる」という意見が寄せられました。

アンケートで回答を寄せた兵庫県赤穂市の「赤穂精華園」は、およそ260人が入所していますが、事件を知った複数の入所者から不安の声が上がったということです。このうち重い障害がある40代の男性は、今でも職員に対して、「ニュースを見た。大変ショックで、信じられません。怖いです」と話していました。また、子どものころから入所している40代の男性は、事件の直後、作業をしている最中に突然、「亡くなった、亡くなった」と言って手を合わせ、拝むようなしぐさをしたと言います。
籔中康司次長は「長いつきあいだが、こんなことは初めてで、かなりのショックだったんだと思います」と話していました。

不安を訴える入所者に対し施設は外部からの侵入者を防ぐ対策をとっているので安心するよう伝えていて、事件のあと警備体制を強化する取り組みを始めました。
赤穂精華園は事件の前まで入所者が生活する4つの建物に1本ずつ不審者を取り押さえる時に使うさすまたを設置していましたが、事件のあと新たに14本を購入して宿直室にも常備し、夜勤の職員が不測の事態にすぐに対応できるようにしました。また、正面玄関は自由に出入りができるよう午後11時ごろまで鍵を閉めていませんでしたが、事件の後は「施設の安全上、施錠しております」と張り紙をしたうえで、施錠時間を午後7時に早めました。

しかし、こうした対策を進めると、地域との結びつきが失われてしまうのではないかとジレンマも抱えています。施設では昭和36年の設立当時から、障害者への理解を深めてもらおうと、地域に開かれた施設を目指してきました。甲子園球場の2倍以上ある敷地に5つある門に扉はなく、周囲も低いフェンスや生け垣で囲まれている程度で、敷地内の芝生の広場は自由に開放され、スポーツを楽しむ地元の住民の姿もみられます。また、毎年5月に開く施設のお祭りには1日に2000人以上の住民が集まる地域に欠かせない催しになっています。
川見和彦園長は「地域の人たちが障害者のことを理解し、利用者にも社会性を身につけてもらいたいと、施設を開放してきた。今後、警備を強化し、門扉や高いフェンスを付けるようなことになるとこれまで目指してきた『地域に開かれた施設』と逆行してしまうのではないかと心配です。入所者を守りつつ、どう地域の人たちとつながりを深めていくか。ジレンマは強いです」と話していました。

「不安打ち消す働きかけを」

事件のあと、不安の声が広がり入所者の心身に影響が出ていることについて、障害者の施策に詳しい浦和大学の河東田博特任教授は「入所している人たちは全く何も知らない人ではなく感性の非常に鋭い人たちでありだからこそ不安になる。そのことを認識したうえで、不安を打ち消しショックを緩和するための周囲からの働きかけが必要だ」と話しています。
そのうえで、「現場の職員は雑務に追われ入所者に寄り添える時間が限られている実態もある。地域の人にはボランティアなどの形で施設の中に入ってもらい職員や入所者をサポートしてほしいし、国も警備などの物理的支援だけでなく、社会的、心理的な支援に重点を置いて取り組んでいくべきだ」と指摘しています。

8月26日    NHK


障害者バンド、追悼ライブ 「生きる喜び」ロックで叫ぶ

2016年08月28日 12時46分02秒 | 障害者の自立

 心身に重い障害がある人たちのロックバンド「サルサガムテープ」は、神奈川県秦野市の障害者施設で22年前に生まれた。相模原市緑区の「津久井やまゆり園」には元メンバーが暮らし、園を訪ねて演奏したこともある。1カ月前、身近な場所で起きた殺傷事件に、メンバーは深い絶望と無力感を覚えたという。9月4日に東京・渋谷で追悼のライブを開く。

 ダウン症脳性まひといった重い障害のある13人と、障害のない7人で構成する。バケツに粘着テープを張って作る太鼓がバンド名の由来だ。

 知的障害がある米田光晴さん(67)は、16歳から約35年間を入所施設で過ごした。「外の空気を吸いたい」と、グループホームに移ったのは52歳の時。60歳を過ぎてからサルサガムテープと出会った。

 「俺でもやれるのか。こんな世界があるのか」。初めて出演したライブ。打楽器を鳴らして歓声を浴び、ステージで泣いた。「自分を忘れて無になるんだ」

 施設での暮らしでは、人間らしく扱われていないと感じていた。殺人容疑で再逮捕された植松聖(さとし)容疑者(26)だけの問題ではない。「確かに僕らには手がかかる。でも、どんな人も生きる権利がある。一緒に暮らす社会にしないとだめだ」

 ボーカルのYouGo(ユーゴ)さん(23)は、脳性まひ養護学校へ。卒業後は作業所などで働いた。電話番の仕事では、着信は日に1~2本。「ふびんで仕事をくれたのか。やりがいがほしい」。5年前にサルサガムテープに加わり、全身が熱くなる感動を覚えた。

 ライブで全国を訪れ、たくさんの仲間や観客と出会った。こんな事件が起きた時だからこそ、ロックンロールしなければと思う。「ロックを通して問いかけているんです。障害者に気を使ってませんか、壁を作ってませんか。僕たちはあなたと楽しく接したいんだと」

 リーダーのかしわ哲さん(66)は、事件に「これまでやってきたことをすべて否定されたような衝撃」を受けたという。やまゆり園で演奏経験があり、元メンバーも入所している。安否がすぐにわからず不安が募ったが、無事だった。

 1980年代にNHKの幼児番組に出演し、5代目「うたのおにいさん」として知られた。福祉施設をコンサートで訪ねて障害者と演奏する楽しさに目覚め、94年にバンドを結成した。

 太鼓や南米の打楽器「スルド」がリズムを生み、かしわさんらがギターの音色をのせる。奔放な明るさとエネルギーに満ちた演奏は反響を呼び、故忌野清志郎さんは「ロックの原点」とたたえた。

 2011年には同県厚木市に障害者の介護や移動支援を担うNPO法人「ハイテンション」を作った。音楽が活動の中心で、利用者はバンドのメンバーでもある。フジロックフェスティバルでも演奏。「ロックンロールで生きる喜びをわかちあう」。メッセージが少しずつ社会に届いていると、感じていたところだった。

 事件の後、10年以上前に作った曲をウェブサイトに載せた。「ねむってゆるしてやるさ せんそうなんか しないのさ」。障害者との付き合いから感じ取った、彼らの生き様を描いた曲だ。容疑者にも感じてほしかった。「彼らはいなくなればいい人たちじゃない、社会のお荷物でもない。穏やかで優しい人たちなんだ」とかしわさん。

 事件の被害者に捧げるライブは9月4日正午から、東京都渋谷区道玄坂1丁目の「ラママ」で。障害者らが思いを語る予定。ワンドリンク制(600円)。問い合わせはハイテンション(046・281・7737)へ。

写真・図版 

演奏するサルサガムテープ=NPO法人「ハイテンション」スタッフの小幡徹さん撮影

朝日新聞デジタル    2016年8月26日


「どんな重度の知的障害者も意思疎通できる」

2016年08月28日 12時37分32秒 | 障害者の自立

 相模原市の知的障害者施設殺傷事件は、26日に発生から1カ月を迎えた。凄惨(せいさん)な事件に傷付きながらもそれぞれの居場所で日々を懸命に生きている知的障害者や障害者福祉の関係者は、事件をどう受け止めているのか。神奈川県内の作業所を訪ねた。

 川崎市多摩区のNPO法人織風(しふう)会(名古屋洋一理事長)が運営する知的障害者の小規模作業所「クラフトヌプリトック」。登戸駅から徒歩約10分の賃貸アパート1階で、20〜40代の15人(男性4人、女性11人)が機織りした生地で名刺入れなどの小物を作っている。

 同区のグループホームに住むナオミさん(35)=仮名=は前身の施設と合わせて約17年間、ここに通う。養護学校で学んだ機織り技術を生かせる作業所はナオミさんにとって「大切な居場所」だ。一生懸命作った小物を両親が買ってくれることに幸せを感じている。ナオミさんは「よそでは嫌なこともあるけど、ここでは落ち着ける。ずっとここに通いたい」とほほ笑む。

 利用者を支えるのは、理事長の名古屋さんと6人の職員だ。パートの田口和美さんは「利用者が楽しんでくれているから自分も楽しい」とやりがいを語る。「かまってほしい」との思いで、軽いいたずらをしてくる利用者にも「分かりやすい言葉で繰り返し諭すように注意する」ことで対話してきた。

 名古屋さんも「不安を訴える利用者と(無料通信アプリの)LINE(ライン)でやり取りすることもある」といい、年2、3回は家族懇談会を開いてきた。福祉の現場はどこも人手不足で職員が疲弊しており、「職員には愚痴でもいいから言ってもらい、悩みを一人で抱え込ませないのが大事」と話す。

 相模原市での事件は障害者福祉の現場に大きな衝撃を与えた。ナオミさんは「すごくショック。もし友人が入所していたらどうなっていたかと思うと怖くなる」と声を震わせる。田口さんも植松聖容疑者(26)が襲撃された施設の元職員だったことに胸を痛める。「障害者は生きている価値がない」などの暴言に、「どんな重度の知的障害者でも表情や仕草などからある程度のコミュニケーションは取れる」と反論する。

 クラフトヌプリトックの前身となる施設は1984年に川崎市中原区内に開設されたが、障害者施設に不安を抱く近隣住民の反対運動でたびたび移転を余儀なくされたこともあった。そんな経験から、名古屋さんは事件を機に「地域の人に障害者を見守ってほしい」との思いを強くしているという。

毎日新聞  2016年8月26日

視覚障害者に声かけを…盲導犬先導でもためらわず

2016年08月28日 12時25分26秒 | 障害者の自立

 東京メトロ銀座線の青山一丁目駅で15日、盲導犬を連れた視覚障害者の男性が転落して死亡した。盲導犬を邪魔してはいけないと声かけをためらう人もいるが、障害者団体は「命の危険がある時は遠慮せずに声をかけて」と要望する。

 視覚障害者の男性会社員(55)は、盲導犬の先導でホームを歩いていた際、ホームの端を示す白線より線路側に出てしまい、足を踏み外して転落、電車にはねられて亡くなった。転落防止用のホームドアは設置されていなかった。

 日本盲導犬協会(東京)は「盲導犬がいれば安全とは限らない」と指摘する。「盲導犬は段差や障害の有無を教えてくれるが、安全かどうかの最終的な判断は人間がしなければならない」

 同協会など盲導犬を育成する各団体はこれまで、一般人が盲導犬に声をかけないよう広報してきた。盲導犬を仕事に集中させるためだが、そうした対応が浸透した反面、盲導犬を連れた人にも声をかけない方がよいという誤解も広まってしまったという。

 同協会は「人間の安全と生命が一番大切。盲導犬はほえたり動揺したりしないよう訓練されているので、危ないと思ったら、ためらわず声かけしてほしい」と話す。

 盲導犬の有無にかかわらず、障害者が困っている場合は「何かお手伝いしましょうか」などと声をかけよう。そのまま誘導するなら、白杖(はくじょう)やハーネス(胴輪)を持った手の反対側に自分が立つ。半歩前に出て、腕や肩をつかんでもらいながら歩く。

 全国の視覚障害者団体が加盟する日本盲人会連合(東京)常務理事の橋井正喜さん(65)は、「誘導の際は周囲の状況を教えてもらえると助かる」と話す。単に「階段があります」ではなく、「上り階段です」などと具体的に説明すると、よりありがたいという。

 事故を受けて、同連合は20日、鉄道事業者や関係機関に対し、ホームドアの設置を始めとする転落防止のための抜本的な対策を求める声明を発表した。橋井さんは「ホームドアの全ての駅への設置は、現実的には難しい。皆さんの声かけが頼りです」と訴える。

聴覚障害者には見える位置から

 他の障害を持つ人が困っている時も、障害の内容に配慮しつつ積極的に力を貸したい。

 聴覚障害者の場合、「外出先で警報や音声案内が分からなかったり、後方で危険な状況があっても気づけなかったりする」と全日本ろうあ連盟(東京)の担当者は話す。

 聴覚障害者かどうかは外見からはわかりにくいが、音声案内が聞き取れないなどで不安げな人を見かけたら、前に回るなどして相手に見える位置から「大丈夫ですか?」と声をかける。コミュニケーションは、本人の「ゆっくり話して」「筆談で」などの要望に合わせて対応するといい。

 身体に障害があり、車椅子やつえを利用する人が通行などで困っていれば、「車椅子を押しましょうか」「ドアを開けますよ」など声をかけて、本人の要望を聞く。ただし、車椅子を持ち上げるなどの介助は互いに危険が伴うので、無理せず、周囲に協力を求めよう。

 東京都身体障害者団体連合会会長の小西慶一さんは「障害の内容は個人個人で違う。何が必要かは本人が分かっているので、どうしてほしいかを聞くことがお互いに安心できる方法です」と話す。

2016年08月27日 Copyright © The Yomiuri Shimbun

▽声かけ
・「何かお手伝いしましょうか」などと優しく話しかける。気付かない時は、軽く肩や手に触れ、もう一度声をかける
・急に腕や白杖をつかんだり、大声を出したりしない。ただし危険が迫っていれば、体をつかむのもやむを得ない
▽誘導
・白杖や盲導犬のハーネスを持っている手の反対側で半歩先に立ち、腕や肩をつかんでもらう =イラスト  
・「階段を下ります」「信号が赤です」など、言葉で周囲の状況を具体的に伝える 
・方向を伝える際は、時計の文字盤をイメージし「3時の位置」「10時の方向」などと表現する 
・立ち去る時はその旨を伝え、今いる位置を教える 

(橋井さんの話などを基に作成)


「障害者に涙しちゃう番組、でもそれって″感動ポルノ″だと思うよ」

2016年08月28日 12時20分10秒 | 障害者の自立
【タイムリー連載・フィフィ姐さんの言いたい放題】8月27日から28日にかけて放送される「24時間テレビ 愛は地球を救う」(日本テレビ)。障害者の頑張る姿が毎年印象的な同番組であるが、フィフィはそこに“感動ポルノ”の傾向が多分にあるのではないかと指摘。日本社会の障害者の扱い方について疑問を投げかける。

日本社会は“感動ポルノ”として障害者を扱ってしまっているのではないか

 今年も『24時間テレビ』の季節がやってきましたけど、大人になるにつれ、私は同番組をはじめ、メディアそして社会の障害者の扱い方について違和感を覚えるようになった。何か違うんじゃないかと思うようになったの。

 障害者の扱い方の主眼が、健常者を感動させることにある、つまり、障害を持った人たちでも頑張っているんだから、ちょっとしたことでクヨクヨするなんてバカみたい、というように、健常者を感動させ奮い立たせるための“モノ”として障害者を扱っているように思えてならないんだよね。

 自身も障害を持つ、コメディアン兼ジャーナリストのStella Young(ステラ・ヤング)さんが、《ある特定のグループに属する人々を、他のグループの人々の利益のためにモノ扱い》すること、つまりこの場合、《障害者を、非障害者の利益のために消費の対象にしている》状況を《ポルノ》と称し、《健常者が良い気分になれるように、障害者をネガティブな存在としてモノ扱い》することを《感動ポルノ》だと危惧していらっしゃいました。

 ステラ・ヤングさんが指摘するように、『24時間テレビ』をはじめ日本社会の障害者への扱い方は、まさにこの“感動ポルノ”なんじゃないかと思うんだよね。

「標準を作ってしまった日本社会」

 障害者を見るとき、日本社会は憐れみの目線で見てしまうところがある。本来人間は、環境も思想も身体的特徴も、一人一人異なるはずなのに、日本社会はそこに“標準”を作ってしまった。

 多様性があるものに対して戸惑い、隠そうとする傾向が強いからなのかな。その標準に満たない人に対して、憐れみを持って見てしまう。標準がすべていいわけでもないのにね。この憐れみを持つこと自体が、バリアフリーを妨げてしまっているんじゃないかな。

 『24時間テレビ』の裏では、この“感動ポルノ”としての障害者の扱い方に異議を唱えるかのように、『バリバラ』という番組が放送されるそうですね。こちらは'12年から放送が始まっているんだけど、障害者自身がどこまで笑いをとれるのかということに挑戦した内容で、真のバリアフリーに向けた動きも見受けられます。

 たとえばこうした番組のように、健常者の視点からばかり考えるのではなく、障害者は社会とどうやって共存していきたいと思っているのか、障害者の視点からももっと考えていく必要があると思うよ。

2016年8月26日   週刊女性PRIME