Sinks in Alcohol

節操なくお酒に沈む、ある酒飲みの半生

奥能登の白菊 純米 八反錦 22BY

2011年07月25日 | 日本酒
料理と合わせるとき、迷ったらコレです。

【奥能登の白菊(おくのとのしらぎく)】


石川県の白藤酒造店のお酒。



全量「八反錦」使用、精米歩合55%となっています。
アルコール分15%ですから、かなり軽い造りですね。

さっそくレビューにいきましょう。


上立ち香は乳酸系の甘酸っぱい香り。
山廃仕込みなんでしょうか、そう思わせる香りです。

口に含むと、まずすっと入ってくる旨味。
含み香はあまり立ちませんが、うっすらと柔らかい米の香りが感じられます。

口の中で転がすと、じんわりと酸が立ってきます。
甘みも引っ張られてひょこっと顔を出しますが、旨味のほうが勝るバランスですね。

後口は一転して華やかさを伴います。
鼻に抜ける香りは甘く葡萄のようで、口に酸と渋を残した余韻です。
ゴクッと喉を通るときにピンと通った辛味が感じられ、全体の引き締め役になっている感じです。
キレは良いのですが、穏やかに舌の上に残ります。

口当たりから喉を通るまで、比較的軽いバランスです。
どんな料理にも合うだろうと思える、柔軟な味わい。
お世辞抜きで旨いです、常に1本は家に常備したいですね。


アテは「鶏もも肉の粕味噌漬け焼き」


今回の粕は【謙信】のものを使いました。

山間 純米吟醸 亀口瓶燗 19BY

2011年07月20日 | 日本酒
つい先日、godanism宅でまた【山間】の会を催しました。
その会で出したお酒の1本です。

【山間(やんま)】


19BY。
「T○」とか、「仕込み○号」とか付く前の年度のお酒です。



平成20年9月出荷。



純米吟醸、中取り亀口の瓶燗火入れ。
もちろん手詰めです(この頃は手詰めしかありませんでした)。
全量「五百万石」、精米歩合は麹50%、掛55%です。
この頃はまだ、スペックが裏ラベルに書いてあったんです。

レビューにいきましょう。


上立ち香は果実味を伴った爽やかな吟醸香。

口に含むと、ピリッとした辛味と酸。
含み香は甘めで、しっとりとした旨味が感じられます。

口の中で転がすと、辛味は喉先へ。
酸が上顎へ移動し、旨味は舌一杯に広がります。
濃い味ではなく、線は細めですが、芯はしっかり。

後口は酸とほんの少しの渋。
鼻に抜ける香りに、ほんの僅かに木香があります。
余韻は短めで、非常にキレが良いですね。

この19BYの「瓶燗」、初めて飲みましたが非常に旨いです。
3年前の年度のお酒とは思えない瑞々しさ。
コンディションはバッチリですね。


今回の「山間の会」では、長岡かねせ商店の菊口さんにご協力いただき、お店で眠っていた【山間】を譲っていただきました(もちろんお金は払ってますが笑)。
今回ご紹介した19BYの亀口瓶燗の他、20BYを2本、21BYを2本ご用意いただき、会を催すことが出来ました。
この場を借りて御礼申し上げます。
グッさん、ありがとう!!

雪鶴 Aコレ 特別純米 五百万石 生酒

2011年07月18日 | 日本酒
久しぶり(?)のAコレ酒です。

【雪鶴(ゆきつる)】


新潟糸魚川の田原酒造のお酒。
五百万石100%使用、精米歩合58%。
特別純米酒として出荷です。



裏ラベルを見ると、酵母は「協会1001酵母」。
しかし、実際使用している酵母は「1801酵母」です。
今期からの新顔ということで、裏ラベルが間に合わなかったようです笑

さっそくレビューに参りましょう。


上立ち香は甘い香り。
うっすら吟醸香もありますが、強いものではありません。

口に含むと、シャープな辛味、そして奥に隠れる渋。
酸は上顎のほうに顔を出しますが、あまり出てきません。

口の中で転がすと、嗅いだときの甘みにつながるような、キュッと締まった甘みが感じられてきます。
口当たりからある渋味とくっついて、旨味を膨らませますね。

後口の流れは非常に心地よいです。
喉に引っかかるように残る甘みと、鼻に抜ける爽やかな吟香。
余韻は長めですが、途切れること無く感じていたいバランスです。

旨いです!
あまりこういう方向性のお酒は、飲んだことがありません。

全体として、酸は抑えめで甘みと渋味が中核を成す酒質。
封開けから3週間くらい経過しています。
開けた時には、ピリッとした辛味がもっと前面にありましたが、さすがに落ち着いて、非常に丸くなりました。


アテは「青椒肉絲」。

萩の鶴 純米吟醸 生原酒 別仕込 22BY

2011年07月15日 | 日本酒
東北の蔵、とくに宮城の蔵が注目されているこの頃。
このお酒も例に漏れず、品薄となっている様子です。

【萩の鶴(はぎのつる)】


宮城の萩野酒造のお酒。
当ブログでは何度もご紹介しています。



純米吟醸の「別仕込」。
ラベルには書いてありませんが、山田錦100%使用、精米歩合50%。※こちら誤りでした。麹米:山田錦、掛米:美山錦が正解です。
ただし、麹米は精米歩合40%仕込みの、実質純米大吟醸の規格となります。

レビューにいきましょう。


上立ち香は若干果実味を伴う吟醸香。
宮城の酒らしい、すっきりさわやかな香りです。

口に含むと、飛び込んでくるはガス感、そして酸。
遅れてふわっと漂うように着地する旨味。

口の中で転がすと、じわりと甘みが感じられてきます。
酸は上顎へ移動、旨味は発泡とくっついて口全体へ広がります。

締めは酸と渋。
ただ、渋はおまけ程度で酸が主体ですね。
余韻は非常にしめやかで、ガツンと来るタイプではありません。
しっとりとキレます。

一見(一飲?)線が細いのですが、しっかりと味のあるうま口。
godanism のヒット酒です。
値段も2940円と破格。ここも誤り。3150円が定価です。
常に家においておきたい酒ですね!

たてのい うきうき純米大吟醸 生酒 19BY

2011年07月13日 | 日本酒
今となっては貴重なお酒を開けました。

【たてのい】


秋田県は沼館酒造のお酒。
この沼館酒造、19BYを最後に閉蔵となっています。

このお酒も19BY。
つまり、製造最後の年のお酒です。
これ以降の年度で【たてのい】は造られていません。



「うきうき純米大吟醸」という名前です。
どういう経緯でこの名前になったのかは知りませんが・・・。



秋田酒こまち100%使用。
精米歩合40%の純米大吟醸です。

レビューにいきたいと思います。


上立ち香は果実感を伴った吟醸香。
若干渋味を伴った香りです。

口に含むと、艶のある酸と微かな発泡感。
遅れてしんなりと練れた旨味が口に広がります。

口の中で転がすと、酸は上顎へ移動。
絡み付くような甘みが引っ張られて感じられます。
鼻に抜ける香りは果実味がたっぷりですが、渋味を伴ってタイトな印象もあります。

後口は酸と渋味で締め。
ピリッとしたガス感は最後まで健在で、余韻はさっぱりしたもの。
キレが良いですね。

全体を通して微かな熟成香が感じられます。
しかし、これくらいの香りであれば全く気にならないレベル。
しかも瑞々しさ・発泡感は健在で、艶と色気が加わっていますね。
非常に旨いです。

一口飲む度に、惜しむ気持ちがふつふつと出てきます。
この酒がいまはもう売られないとは、非常に残念。

大切に飲みたいと思います。

田光 純米吟醸 雄町 無濾過生

2011年07月07日 | 日本酒
とうとう開けてしまいました。

【田光(たびか)】


三重県にある早川酒造のお酒。
【早春】という銘柄を醸すことで有名です。
三重といえば木屋正酒造という、押しも押されぬ大蔵元がありますが、この早川酒造も侮れません。

昨年初めて飲んで、「これはうまい!」と驚いた記憶があります。



全量「雄町」使用、精米歩合50%。
中取り、無濾過生となります。

さっそくレビューといきましょう。


上立ち香はうっすらただよう吟醸香。
果実感があり、甘い香りです。

口に含むと、まず透き通るような旨味と酸が感じられてきます。
口当たりでは甘みはほとんど出てきませんが、含み香が甘く、全体として丸いバランスです。

口の中で転がすと、舌の奥のほうへ酸が移動。
引きずられるように甘みが出てきます。
旨味が舌全体に広がるようですが、意外と雑味も感じられます。
舌先には渋味も感じられますが、それでよりジューシィになる感じ。

後口は非常に爽やか。
渋で締めますが、余韻が短く、パッと消えてしまいます。

うまいですね~~!
つい先日抜栓したので、約4ヶ月ほど寝ていた計算になります。
すぐに開けていたらどうだったのか、気になります。笑


アテは厚揚げで。

房島屋 純米吟醸 五百万石 兎心ラベル 22BY

2011年07月05日 | 日本酒
大好きな銘柄の一つです。
そして、このラベルは毎年かかさず買っています。

【房島屋(ぼうじまや)】


岐阜県の所酒造のお酒。
所酒造の名にあやかって付けられた「兎心」ラベルです。

>

全量五百万石使用、精米歩合50%の純米吟醸です。

>

日本酒度+3、酸度1.8。
おりがらみです。瓶底にうっすらオリがあるのがわかりますかね。笑

さっそくレビューといきましょう。


上立ち香は果実感漂う吟醸香。
甘みを伴う香りで期待高まります。

口に含むと、まず舌先に酸、次いで舌全体に広がるように旨味。
鼻に抜ける香りは甘みを伴いますが、酒質そのものは意外とドライです。

口の中で転がすと、うっすらと渋味が出てきます。
しかし、酸はそこまで主張してきません。
甘みは舌の奥のほうへ移動して、酸と絡み付きます。

後口は爽やかで、酸と渋で締めます。
この感覚、やはりグレープフルーツ!
鼻に抜ける香りが色っぽく、キレが良いのでさっぱりと飲めてしまいますね。
これは次の杯が欲しくなる。笑

うまいですね~。
うーん、でも、去年のほうが良かったかもしれない。

夏らしい味わいでさっぱりと飲めるので、やはり来年も買うでしょう!

長陽福娘 純米吟醸 雄町 直汲み 無濾過生原酒

2011年07月02日 | 日本酒
7月に入り、いよいよ夏本番のような暑い日が続くようになりました。
こういう陽気が続くと、ビールが飲みたくなります。
日本酒は甘いお酒なので、暑い日に飲むのを敬遠する方も多いかと。
夏に日本酒を飲むのなら、やはりスッキリタイプのお酒や、シュワシュワ発泡タイプがいいですよね。

今回のお酒はスッキリタイプでも発泡タイプでもありませんが、べたつく甘さは一切無いので、夏でも美味しいと想います。

【長陽福娘(ちょうようふくむすめ)】


前々回のエントリでも取り上げたお酒。
今回は雄町100%の純米吟醸酒です。



630kg仕込みの少量生産です。
精米歩合50%、日本酒度+2、酸度1.9。

さっそくレビューに参りたいと想います。


上立ち香はすっきりした吟醸香。
梨のような果実感のある香りです。

口に含むと、まず飛び込んでくるのはピリッとしたガス。
絡まるように酸と甘みも感じられてきます。

口の中で転がすと、ふわっと旨味が広がりますね。
酸は上顎へ移動、甘みは舌の両サイドへ。
果実感を伴った渋味が、発泡とよいバランスです。

後口は甘渋。
鼻に抜ける香りには、直汲みらしいセメ臭が少し感じられますが、気になりません。
キレが非常に良く、余韻ははかなげ。

山田錦の同精米歩合のものに比べると、甘みが落ち着き、ふくらみのある酒質で、バランスが良いです。
うまいですね~。

アテは「水菜・油揚げ・茗荷のお浸し」。