Sinks in Alcohol

節操なくお酒に沈む、ある酒飲みの半生

謙信 High Standard

2012年07月29日 | 日本酒
今年、もっとも認知度が上がった銘柄ではないでしょうか。

【謙信(けんしん)】


新潟県糸魚川市にある、池田屋酒造さんのお酒。



裏ラベルには「High Standard」と明記されています。
パンクですね~。笑

細かい規格は書いてありません。。というか非公開ということで。
一応、ネットで得られる情報を書かせていただくと、上撰(普通酒)、中取り、無濾過、加水、瓶燗火入れ。
値段は1,890円と、買いやすいものです。

さっそくレビューにいきましょう。


上立ち香は果実味のある香り。
リンゴ系の爽やかな香りですね。

口に含むと、まず舌の中心を伸びてくるように旨味が感じられてきます。
含み香は、上立ち香にも感じられたリンゴ系のフルーティな香り。

口の中で転がすと、酸が喉奥手前に感じられてきます。
同時に渋味が舌の両サイドから。
香りの甘さをキュッと引き締めるような演出です。

後口は渋酸で〆。
するっと流れるようなキレで、余韻には渋と結びついた甘みをちょこんと置いていきます。


うまいですね~!
価格から考えると、非常にコストパフォーマンスに優れた1本です。
渋が全体の構成をまとめたバランスになっているので、香りの割には食中酒として使いやすいと思いますね。

今回は少し味の強いアテで。
「鮭の粕漬け焼き」

金鼓 純米 中汲み しぼりたて 無濾過生原酒 23BY

2012年07月23日 | 日本酒
今の時期まで引っ張ってみました。

【金鼓(きんこ)】


写真からは見えませんが、24年1月出荷です。



奈良県の大倉本家のお酒です。
今年の新酒のしぼりたての商品。

使用米は記載されていません。
精米歩合70%、アルコール18度。

レビューにいきましょう。


上立ち香はほんのり果実味のあるものです。
吟醸香ではありません。

口に含むと、まず舌先に酸。
酸の粒をコーティングするように甘みが感じられます。

口の中で転がすと、酸が舌の両側に。
舌先にはピリピリとガスが感じられてきます。
口全体に広がる旨味は、若干の渋味を伴っています。

後口は渋酸で〆。
キレはまずます、余韻にはアルコール感が少し残ります。


今の時期に飲むのにピッタリな、軽快な口当たりです。
今まで引っ張った甲斐もあり、味ノリは抜群。
しぼりたての爽やかさと、艶と丸みのある旨味のマッチングが素敵ですね。
うまいです!


アテは枝豆で。

萩の鶴 極上純米 中取り生原酒 12号/14号

2012年07月20日 | 日本酒
連日の更新となります。

【萩の鶴(はぎのつる)】


前エントリと、規格は同じお酒です。



ですが、こちらは仕込み順号が違う。
要するにタンク違いです。
前回は11号、今回は12号。

通常商品だと、号数の記載はありません。
こちらは仙台いづみやさんの別注品。
本数を仕込むなら、号数書いてくれや、という。

前回の11号とどのように違うでしょうか。
レビューにいきましょう。


上立ち香は甘い香り。
吟醸香ではありませんね。
若干、ビターな甘さを伴っています。

口に含むと、まず舌先に酸。
その酸に覆い被さるように甘みが感じられてきます。

口の中で転がすと、酸は上顎へ。
舌先にはガスがジュワッと出てきます。

後口は甘酸で〆。
キレはまずまずで、余韻にはキャラメルのような甘みがふんわり漂います。


あれれ、11号とぜんぜん違います。
規格はまるまる一緒、仕込みも出荷も時期としてはほぼ一緒。
それなのにずいぶんと違う印象ですね。


さて、実はもう1本。


こちらは14号と明記されています。



規格は11号/12号と一緒。
これも併せてレビューしてしまいましょう。


上立ち香はビターな香り。
ほんの少しですが、セメ臭を感じます。

口に含むと、舌先には酸、次いで酸に覆い被さるような甘み。
酸は甘みの覆いから抜け出して、舌の中心線をなぞるように伸びてきます。

口の中で転がすと、酸は喉奥手前へ移動。
甘みが酸を追いかけるように舌の真ん中へ。
舌の両サイドからも酸が出てきて、南国フルーツのような口当たりです。

後口は甘酸で〆。
キレる段階になって、舌先にガスが感じられてきます。
余韻はナッツ系の甘みを残します。


これもやはり11号・12号とはまるで性格の違うお酒。
どうしてこうも違うのでしょう?
水・米・酵母・精米・搾り・時期・造る人、計画上の仕込みがまったく一緒でも、出来上がる酒は面持ちの違うものになる。
ここに日本酒の面白みがあると言っても過言ではありません。


ちなみに、godanism は12号が一番好みでした。笑

萩の鶴 極上純米 中取り生原酒 11号

2012年07月18日 | 日本酒
また少し間が空いてしまいました。
暑い日々が続いております。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。

今回はこのお酒。

【萩の鶴(はぎのつる)】


当ブログでは何度もご紹介しています。
宮城県、萩野酒造のお酒です。



「極上純米」とは聞き慣れない名称です。
まぁ、特定名称というのは「付ける権利がある」だけで、名乗らずとも良いものですから、こういう悪戯もできると。笑

規格は「蔵の華」100%使用、精米歩合50%ですから、純米大吟醸を名乗れるお酒です。
今年1月出荷の中取り生原酒となります。

レビューにいきましょう。


上立ち香はうっすらと果実味を帯びた吟醸香。
フルーティと呼べるほどではありません。

口に含むと、まず舌先に酸、遅れて甘みがじんわり広がります。
立ってくる香りは果実味があり、甘酸と相まってフルーティですね。

口の中で転がすと、ガスがピチピチと弾けます。
旨味が舌の真ん中に居座ると、舌の両サイドから渋味。
サイダーのような爽やかさです。

後口は甘酸で〆。
キレがよく、余韻に渋味を置いていきます。


生原酒という言葉からは想像できない軽快さです。
甘みは若干のビターを混じらせていますが、酸とガスが巧みに溶け込ませています。
冬に飲んでも良いですが、夏に飲んでも美味しいと思います。


アテは、もずくと胡瓜の酢の物。

天野酒 7号 本醸造 無濾過加水生 23BY

2012年07月09日 | 日本酒
また少し間が空いてしまいました。
今日はこのお酒をご紹介。

【天野酒(あまのさけ)】


とある事情により、今や稀少となったこのお酒、【天野酒】山本SP。



麹「山田錦」、掛「日本晴」。
精米歩合65%。

本醸造の7号酵母。
無濾過、加水生となります。
この規格、昨年も購入しました。

さっそくレビューにいきましょう。


上立ち香は、甘酸っぱさを感じさせるもの。
麹様の香りが入り交じっています。

口に含むと、まず舌先にふわっと酸が降りてくる。
含み香は果実味たっぷりで、マスカット系。

口の中で転がすと、酸は喉手前に移動。
旨味は舌の真ん中に、でん、と腰を据えます。
ほんのり渋味が舌の両サイドから感じられてきます。

後口は酸で〆。
余韻は甘酸のしっかりしたもので、戻り香と相まって心地よいもの。
少しだけぴりっとガスを残しつつ、消えていきます。


昨年も思ったのですが、およそ本醸造の範疇に入る質ではありません。
加水による軽やかさは、酒の旨味をスポイルしないギリギリの見極めです。
文句無しにうまいです。


アテは手羽先と茸の炊き合わせ。


手羽先って、美味しくて値段が安い庶民の味方だと思います(^^)