Sinks in Alcohol

節操なくお酒に沈む、ある酒飲みの半生

初雪盃 純米吟醸 槽搾り 無濾過生原酒 22BY

2012年05月30日 | 日本酒
だいぶ更新に間が空いてしまいました。
godanism、その間は外のイベントに顔を出す機会が多く、家飲みがほとんど出来ていませんでした。
また少しずつ、再開していこうと思っています。

今回ご紹介するのは、当ブログでは初の銘柄となります。

【初雪盃(はつゆきはい)】


愛媛県の「協和酒造」のお酒。



麹米「山田錦」、掛米「松山三井」、精米歩合は50%。
無濾過生原酒、直汲みとなります。

まずはレビューにいきましょう。


上立ち香はほんのり甘く香ります。
吟醸香も少し含まれます。

口に含むと、まず舌先に酸、そして舌の中心に甘み。
すっと渋味が両脇を固めます。

口の中で転がすと、酸は喉手前に瞬間移動。
舌に乗ったままの甘みと結びつきます。

後口は渋酸で〆。
辛みをちょこっと残していきます。
余韻は比較的長めで、渋味と戻り香の甘みがほのかに。


甘みの起伏は比較的なだらかで、中間に盛り上がりがあります。
酸と渋はその甘みと結託して、上品な和菓子のような甘みを作ります。
料理に寄り添う方向の味ではありません。
が、甘みがしっかりあるのにこれ1本でずっと飲めてしまう珍しいバランス。
うまいですね!


それにしても、おそらくですが、愛媛のお酒を購入したのは初めてです。
初めての愛媛のお酒がコレって、もしかしたらすごく贅沢かも。笑

飛露喜 純米吟醸 愛山 23BY

2012年05月18日 | 日本酒
2連続でこの銘柄。

【飛露喜(ひろき)】


相変わらずもっとも入手困難な飛露喜です。



酒米は愛山、精米歩合50%の純米吟醸。
純米吟醸の中でもこの規格だけは、毎年生で出荷されます。

さっそくレビューにいきましょう。


上立ち香は果実味を伴った吟醸香。
この香りは【飛露喜】特有のものに思います。

口に含むと、まず舌先に酸。
酸を覆うように甘みが感じられてきます。

口の中で転がすと、舌先の酸はそのままで甘みだけ上顎へタッチ。
砂糖を連想させる上品でなつっこい甘みです。
舌の真ん中には渋味がちょこんと乗ってきます。

後口は甘酸で〆。
戻り香は熟した南国フルーツ系の甘みが感じられます。
辛みを最後に残しますが、余韻は長め。


中間のバランスは好ましいですが、後口が若干ぼやける印象。
これなら前回の「雄町」のほうが好きです。
とはいえ、温度を戻していくと旨味がにゅうっと出てきて、これはこれで美味しい。

アテは「豚バラと新じゃがの照り煮」。


先月の宅飲み会で出したのと同じです。

飛露喜 純米吟醸 雄町 本生 23BY

2012年05月13日 | 日本酒
今年も郡山「泉屋」さんの頒布会最終月の商品はコレ。

【飛露喜(ひろき)】


酒米「雄町」、精米歩合50%。
純米吟醸、生酒です。



相変わらずラベルには「雄町 94%」と書かれていますが、真偽のほどはわかりません。
というか調べるのめんどくさい(^^;

ともあれ、レビューにいきたいと思います。


上立ち香はほんのり果実味を伴った吟醸香。
【飛露喜】独特の香りだと思います。

口に含むと、まず舌先に酸、次いでぽちゃっとした甘みが感じられてきます。
じんわりと広がるように、甘みを追いかけるように旨味。
酸は舌先のまま。

口の中で転がすと、酸が移動開始、舌の両サイドをつたって上顎へ。
甘みと旨味のバランスは崩れず、舌の真ん中に渋味が出現します。

後口は甘酸で〆。
含み香はアルコール感が少し立ちますが、絶妙な華やかさ。
余韻に辛みをポンと置いていきます。


うまいです!
口当たりから嚥下するまでの間になだらかな旨味の起伏があり、甘みと酸味のバランスは素晴らしいです。
23BYの【飛露喜】では今のところベストじゃないかな。


アテは「鶏もものチーズはさみ焼き」。


粒マスタードを乗せるとうんまぁ~い♪です(^^)

白鶴 純米吟醸 山田錦/白鶴錦

2012年05月06日 | 日本酒
今期出るらしい、との噂はかねてより聞いていて、楽しみにしていました。
日本酒生産量一位の銘柄です。

【白鶴(はくつる)】


はせがわ酒店のプロデュース規格。
純米吟醸2種類、片方は全量「山田錦」、もう片方は全量「白鶴錦」です。



精米歩合はそれぞれ50%。



「白鶴錦」とは、山田穂と渡船を交配させた白鶴独自開発の酒米だ、と裏ラベルにあります。
山田錦は山田穂と短桿渡船の交配米ですので、腹違い兄弟のお米になります。笑

さっそくレビューにいきましょう。

まずは山田錦のほうから。


上立ち香はほんのり香る吟醸香。
果実感はほとんど感じませんが、派手でもなく控えめでもない、塩梅の良い香りです。

口に含むと、舌先に酸。
少し遅れて舌の真ん中に渋が感じられてきます。
ピリッとした辛みと、甘みを持った含み香が絡まりますね。

口の中で転がすと、渋は抑えめになり、代わりに酸が旨味と結びつきます。
含み香はリンゴのような果実味があります。
透き通った旨味は柔らかで、非常に上品。

後口は渋酸で〆。
辛みが浮上してきて全体を引き締めます。


お世辞ではなく、これはうまいです。
中間では、のっぺりとした金属感のある舌触りがあるので、それが苦手な人はいると思いますが、総じて非常に完成度の高い、はせがわ酒店らしい酒質です。


次は白鶴錦のほうを。


上立ち香はやはりほんのり香る程度の吟醸香。
心なしかやや甘めの果実感があります。

口に含むと、ふんわりしたうまみがまず感じられます。
アタックのある酸や渋味は感じられません。

口の中で転がすと、舌の両サイドから辛みが出てきます。
酸は舌先から、渋は喉手前からうっすらと出てきて、微かな甘みを引き立てます。
含み香はあまり強くありませんがやはり青リンゴ系。

後口は酸で〆。
辛みの要素がなく、キレはあるもののほんわかとした余韻です。


うーむ、これもうまいです!
カドのない柔らかな口当たりと、起伏の緩やかな中間がステキですね。

godanism 的には「白鶴錦」のほうが、独自性があって好きですが、万人受けするのは「山田錦」のほうかも。


【白鶴】がもつブランドイメージ。
それはパック酒「まる」に代表される、低価格帯の日本酒を造るというものです。
地酒蔵が目指す方向とはまるで真反対のお酒を造り続けている。
はっきり言って、私は美味しいとは思わないし、自分で買うことはまずありません。
料飲店でも頼みません。

今回なぜ【白鶴】を買ったのかといえば、【白鶴】の技術力をもって味を追求したらどんな酒が出来るのか、に興味があったからです。
大手清酒メーカーが持てる技術を結集したら、やはりそれは相当完成度の高い日本酒が出来るのではないか。
その予想は今回、当たったと言ってよいでしょう。

ただし、1.8Lで3,000円という値段は、【白鶴】のブランドイメージからすれば高すぎる。
料飲店で出すとすれば1合700~800円の値付けになってしまうことを考えると、飲んでもらう前に、売ること自体が難しい。
だから、もし今回の【白鶴】の企画が今期限りなのだとしたら、そもそもセールスとして失敗だと思うのです。
ちゃんと認識を新たにしてもらうという意味では、短くても3年前後のスパンで造り続けてもらう必要があるでしょう。

もし今回紹介したお酒が、1.8Lで2,000円を切るような価格帯で発売されてきたら、これはぞっとしますね。笑


アテは「春菊の白和え」。

やまユ 純米吟醸 酒こまち 生 23BY

2012年05月01日 | 日本酒
対決列島がすぎ、まずご紹介するのはこのお酒。

【やまユ】


秋田県の新政酒造のお酒。



秋田県の酒造好適米「酒こまち」を全量用い、麹55%・掛50%まで磨いて醸した純米吟醸酒。
酵母は六号酵母、生酒です。

レビューにいきましょう。


上立ち香はほんのり甘く香る吟醸香。
梨のような甘酸の香りです。

口に含むと、まず舌先に酸。
ふんわりと漂う旨味と、ちょこんと感じられるガス感。

口の中で転がすと、喉奥手前に酸。
甘みはその両サイドをキープ。
上空に渋が感じられてきて、トロミのある旨味と結びつきます。

後口は甘酸で〆。
ピリッと辛みを置いていくためキレはよく、余韻は果実感たっぷりです。

口開けから柔らかい口当たりと、果実味あふれるバランス。
【やまユ】の真骨頂ですね。
今期の新政はどれもうまいですが、この「白」がひときわ好きです。笑

アテは鰆の塩麹漬け焼き。