Sinks in Alcohol

節操なくお酒に沈む、ある酒飲みの半生

天野酒 純米 生もと 無濾過火入酒 20BY

2011年12月30日 | 日本酒
2011年も、今日を含め残すところあと2日となりました。
今年最後の更新となります。

【天野酒(あまのさけ)】


2011年に初飲みしたお酒の中でも、ひときわ印象に残った銘柄です。



生もと造り、酵母無添加(蔵付き)。
酒米は福井県産五百万石100%、精米歩合60%の特別純米規格のお酒です。

蔵出荷は今年の9月ですが、製造年月は21年2月となっていますので、20年度産ということになります。

ではレビューにいきましょう。


上立ち香はほんのり乳酸系、奥のほうに米の旨味を彷彿とさせる香りが感じられます。

口に含むと、まず舌先に酸、遅れて甘み。
ピリッとしたガス感があります。
口一杯に広がる含み香はヨーグルト系の甘酸っぱい香りで、生もと造りをしっかり感じさせるものです。

口の中で転がすと、甘みが舌の裏側から出てきて酸と絡まります。
甘酸のバランスは果実味のあるものではありません。

後口は酸で〆。
喉奥に渋味も感じられますが、ひょこっと顔を出す程度。
濃厚な旨味と力強い酸が、喉を通った途端キレイにさばけます。


21年2月に搾り、すぐに瓶詰めして蔵熟成。
それを今年出してきた。
火入れのタイミングはわかりませんが、熟成の間に発酵もゆっくり進んだものと思われます。

今年飲んだ【天野酒】の中では、一番パンチの強い酒質でした。
温めるとまた違った味わいになり、甘みがしっかり乗ってきます。

好みは分かれるでしょうが、godanismは大好きなバランスです!


アテは「豆腐の塩麹漬け」。


今ハマっている調味料「塩麹」。
今回は木綿豆腐を3日ほど漬けてみました。
美味しいことは美味しいけど、一度にたくさんは食べられません(^^;


さて、2011年のエントリは今回で最後となります。
今年も当ブログを応援していただき、ありがとうございました。
来年も変わらぬスタイルで、つらつらやっていこうと思っておりますので、変わらずお付き合いくださると嬉しいです。
新年1発目は、「日本酒2011、ベスト10」をお届けいたします。

皆様よいお年を!

佐久乃花 純米吟醸 手詰め直汲み Dスペック

2011年12月28日 | 日本酒
何年ぶりに買ったでしょうか。。

【佐久乃花(さくのはな)】


長野県佐久市にあります佐久の花酒造のお酒です。
酒造名はひらがなの「の」ですが、銘柄名は「乃」になっています。



酒米はひとこごち100%、精米歩合55%の純米吟醸酒。
酵母は長野D酵母。
無濾過生原酒、手詰めの直汲み。

「手詰めの直汲み」には、godanism深い思い入れがあります。
【山間】がどうしても連想されてしまいますが、それはそれですね。。

さっそくレビューにいきましょう。


上立ち香は甘い吟醸香。
桃と苺を足して2で割ったような果実感のある香りです。

口に含むと、まず舌先にガス。
舌を包むように甘みと酸味が広がってきます。
含み香は若干の渋味とアルコール感。
新酒らしい味わいです。

口の中で転がすと、酸と渋が絡み付いて旨味を引っ張りだしてきます。
甘みは口当たりのとき程は感じず、シャープでドライな味わい。
香りが甘いので、全体のバランスは甘く感じますが・・・。

後口は渋酸で〆。
余韻は甘みと渋味でふんわりと残ります。
キレもまずまず。

手詰めらしい瑞々しさと、佐久の花らしいパッと広がる甘みがいいですね~。
ジュース感覚ですいすい飲めてしまう、危険なお酒です。笑


アテは「鶏もも肉の塩麹漬け焼き」。


先日、お茶の水にある天野糀店に久しぶりにお邪魔して、生糀を購入。
自宅発酵させて塩麹を作り、鶏もも肉を漬けて焼いてみました。
いや~、塩麹いいですね!
やみつきになりそうです(^^v


年内にあと1回くらい更新したいな~。

三芳菊 特別純米 中取り 阿波山田錦 生

2011年12月26日 | 日本酒
おそらく、3年ぶりの購入となります。

【三芳菊(みよしきく)】


近年になって評価がうなぎ上りのこの銘柄。
「みよし“ぎ”く」ではなく、「みよし“き”く」が正解でしょうか。



阿波山田錦100%、精米歩合60%の特別純米酒。
中取り生となります。

さっそくレビューへ。


上立ち香は甘い香り。
吟醸香と呼んでいいのかわかりませんが、南国系、熟したパイナップルのような香りです。

口に含むと、まず舌先に酸、ほぼ同時に甘み。
舌先にタッチする甘酸のバランスは、巨峰そのものです。

口の中で転がすと、ふんわりした旨味が感じられてきます。
ほんの少しだけ渋味が立ち上がってきますが、これは果実味ではなく、日本酒っぽさを彷彿とさせるもの。
でも、これくらいしか日本酒の片鱗は感じ取れません。

後口は甘酸で〆。
アルコール感は一切無く、余韻も艶があり上品。
今飲んでいるものは、貴腐ワインではないのかと思わせるフィニッシュです。


まだ【三芳菊】がそこまで知られていなかった頃、1本購入したことがあります。
その時の規格は純米吟醸の雄町。
甘みが強く、醤油や味噌といった和食の味付けに決定的に合わない酒、という認識を持ちました。
時が流れ、今口にしている【三芳菊】は、甘みは強いながらも、控えめさを兼ね備えて、非常に上品。
いまだに和食には合いませんが、白ワインを飲むときの組み立てを考えて合わせれば、恐れることはないのだと知りました。

アテは「コンビーフとゴルゴンゾーラのポテサラ」。


コンビーフ・ブルーチーズの塩気を【三芳菊】で流す組み合わせで、我ながら良いチョイスだと思っています。

智則 純米吟醸 直汲み中取り無濾過生原酒 佐香錦

2011年12月21日 | 日本酒
godanism、初購入の銘柄です。

【智則(とものり)】


お店では何度か飲ませていただいています。
とくに「つくしのこ」さんに行くときは、必ずお願いしていますね。



島根県の吉田酒造のお酒。
この蔵は【月山】という辛口のお酒をメインで造っていますが、【智則】は吉田智則さんという方の責任仕込みで造られた旨口タイプのお酒です。

さっそくレビューにいきましょう。


上立ち香は艶のある吟醸香。
ほんのり甘みを忍ばせた、少し果実味を帯びた香りです。

口に含むと、まず舌先に酸、後を追うように舌全体に旨味が広がります。
甘みは上顎へ早くもタッチ。
含み香も甘さを感じさせるもの。

口の中で転がすと、ピリッとしたガス感が舌の真ん中に感じられてきます。
酸は喉側へ移動。
なつっこい甘みと、じんわり舌の中心線を這うように出てくる渋味がマッチ。

後口は甘酸で〆。
余韻には渋味を感じさせ、鼻に抜ける香りはアルコール感を少し伴いながらも艶のあるもの。

うまいです!
おそらく好き嫌いの分かれる酒質ながら、godanismは好きなお酒ですね。


アテは白菜の胡麻サラダ。


鍋をやって余った白菜は、生でサラダにしても美味しいです笑

豊賀 特別純米 氷温熟成生原酒 仕込み3号

2011年12月18日 | 日本酒
3連続で、この銘柄のご紹介。

【豊賀(とよか)】


前回・前々回と同様22BYですが、こちらは氷温で囲ったもののようです。

酒米はひとごこちが90%、美山錦が10%。
精米歩合59%、日本酒度+2、酸度1.8。
使用酵母は長野C酵母となっています。

ではレビューにいきましょう。


上立ち香は甘い吟醸香。
ほんの少し乳酸系の香りが混じっています。

口に含むと、まず口全体に甘み、次いで米の旨味がじんわりと広がってきます。
非常に丸い口当たり。
鼻に抜ける香りもほんのりバナナ香を伴った甘いもの。

口の中で転がすと、顎奥に酸が感じられてきます。
が、全体の変化幅はおとなしく、ふわっとした旨味と甘みが酸を包み込むようです。

後口は酸で〆。
鼻に抜ける香りにはアルコール感が伴いますが、爽やかな乳酸系の香りです。
余韻は甘酸で、艶っぽく残ります。


氷温熟成のおかげか、完全に開いた味わいです。
ただ、バランスが意外と甘めにシフトした状態で調整されている気がしましたね。
うまいことはうまいけど、長いことチビチビ飲むのには向いていないように思いました。

アテは鯖味噌。


鯖味噌の付け合わせは牛蒡、とgodanismのなかでは相場が決まっています笑

豊賀 特別純米 直汲み無濾過生原酒 仕込み7号

2011年12月14日 | 日本酒
前エントリに引き続いて、この銘柄の登場です。

【豊賀(とよか)】


規格も前回とほぼ一緒。
しらかば錦100%使用、精米歩合59%。
ただ、前回のものは「中取り」だったのですが、今回のは「直汲み」。



仕込み7号。
う~~~っすらと、裏ラベルには「マル七」のバックプリント。

さっそくレビューにいきましょう。


上立ち香はほんのり甘い香り。
軽いタッチの香りで、少し吟醸香を感じます。

口に含むと、舌先には酸、じんわりと広がるように旨味。
含み香は弱めで、丸い口当たり。

口の中で転がすと、ピチピチとした発泡感を少し感じます。
上顎からは渋味。
旨味の要素は中間でけっこう広がります。
ここへ来て、含み香には少しビター系の苦みも含まれるように。

後口は酸渋で〆。
鼻に抜けるのは生酒らしい、ほんのり甘みの乗った香り。
余韻の甘みはスパッとなくなりますが、旨味がたなびくように少しずつ消えていきます。


仕込み5号と比べると、こちらのほうが全体的に軽めの印象。
また、ガス感もこちらのほうが強めでした。
中取りに対して、直汲みであることの差はそういうところに出るのでしょうか。

仕込み5号と仕込み7号、封切りを同時に行いました。
実は封切りのときはそこまで大きな差を感じなかったのですが、2週間経ってけっこう違いが出てきましたね。
godanismは仕込み7号のほうが好みでした。


アテは高野豆腐の煮物。


豊賀 特別純米 中取り無濾過生原酒 仕込み5号

2011年12月09日 | 日本酒
大好きな銘柄の1つです。

【豊賀(とよか)】


酒米「しらかば錦」100%使用、精米歩合59%。
【豊賀】は59%精米で造って特別純米酒として出すことが多い(というか、それ以外見たことがない)。



仕込み5号。
裏ラベルにはバックプリントで「マル五」と入っています。

さっそくレビューにいきましょう。


上立ち香は甘めの香り、吟醸香ではありません。
米の香りをふわっとさせる、円熟味のある香りです。

口に含むと、まず舌先に柔らかい酸。
舌の全体に旨味が寝そべります。
刺激的な要素は一切無く、丸みを帯びた味わいです。

口の中で転がすと、酸が舌の両サイドへ。
中心部には酸に引っ張られるように甘みが出現します。
喉奥にほんの少し辛みあり。

後口は甘酸で〆。
生酒によくある熟成感をほのかに残しつつ、余韻は長め。
鼻に抜ける香りも少しアルコール感があり、その余韻を手助けする印象。


中間に起伏のある、骨太な味わいです。
生酒のいいところも、人によっては苦手なところも併せ持っている感じですね。
うまいことはうまいけど、godanism 的には長く飲める酒質ではありませんでした。


アテは「鰹のたたき胡麻ポン酢」。


鰹、20代前半までは実は苦手な魚でした。
今は大好きですが(^^)

長陽福娘 山廃仕込純米 無濾過生原酒

2011年12月07日 | 日本酒
今年、もしかしたら一番認知度が上がった銘柄かもしれません。

【長陽福娘(ちょうようふくむすめ)】


山口県の岩崎酒造のお酒です。



酒米「山田錦」100%、精米歩合60%の、実質純米吟醸酒。
山廃造りの無濾過生原酒となります。

さっそくレビューに参りましょう。


上立ち香はほんのり甘い吟醸香。
乳酸系の香りがほんのり混じっています。

口に含むと、いきなり強烈なガス!
舌先に酸を感じさせつつ、全体はかなりドライ。
含み香は爽やかで、上立ち香に感じた甘さはありません。

口の中で転がすと、酸は顎奥へ移動。
じわりと旨味が広がってきます。
舌のサイドからは渋味が感じられてきます。

後口は酸と渋で〆。
喉越しにキレがあり、余韻は短め。
鼻に抜ける香りには、上立ち香に感じた甘さがポンと入って消えていきます。


封開けから2週間ほど経ち、ガスはかなり落ち着きました(それでもまだありますが)。
味のバランスにも丸みが出て、今が非常に飲み頃かと思います。
うまい!


アテは、なめたかれいの煮付け。


付け合わせはえのきと白菜。
鍋をしたときの余りです。笑

日本の田んぼを守る

2011年12月03日 | 日本酒
今年も、郡山の泉屋さんの頒布会をお願いしております。
今回のお酒は、11月分の頒布会から。

【金寳(きんぽう)】


日本の田んぼを守る酒蔵。
と書かれ、「田守(たもり)」と銘打っています。
規格上は、

「穏」特別純米 山廃造り

となっています。



福島の仁井田本家のお酒です。
2011年11月出荷。

さっそくレビューへ参りましょう。


上立ち香は、米の甘みと雑穀のような旨味のあるものが入り交じったような香り。
ほんのりと漂う乳酸の香り。

口に含むと、まず舌先に酸、次いでふんわりとした旨味が広がります。
甘みはそれほど感じられず、香りもほんのり。

口の中で転がすと、酸はサイドへ移動。
宙に旨味が浮いて、滑り込むようにじんわりと渋味が寝そべってきます。
酸は喉奥にちょこんとある甘みを拾って、もともとある田んぼの香りの含み香を引き立てる。

後口は酸渋で〆。
中間では主張していたはずの旨味が、喉を通ると急におとなしく、さっぱりと消えてなくなります。
鼻に抜ける香りが非常に心地よいです。

これはうまいです!
中間に強いアタックがあり、前後では比較的おとなしめ、キレのある酒質。
実は「金寳」は初めて飲みましたが、凛とした口当たりから叙情的な後口まで、いろいろな風景を魅せてくれます。
温度を上げるとこれまた素敵、甘みがしっかりと感じられ、丸みと艶を両方感じられる味わいに。

アテは選びませんが、今日はさっぱりと「なめこおろし」で。


間の緑は大根の葉です。