風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

シルクロードは暑かった

2010-08-22 14:28:14 | 旅行
 ウルムチで一泊した翌朝、敦煌へ向かうために空港へ行った。
空港も暑いので、扇子を買おうとした。
 ガラスケースの中におさまっている扇子はまずまずの品物に見えた。

 二千円というのは高い気がしたが、なにせ空港の売店である。
出発時間もせまっていたのでそれを買った。
 
 すぐに使うべく広げたのはいいが、閉じられない。手にとってみて分かったのだが、新品ではない。
 色あせた扇子の中古品に唖然とした。

 今買ったばかりである。広がったままの現物を突き出して、文句を言った。

 売店のおばさんは、慌てず騒がず、扇子のひだをひとつひとつ無理やり折り畳み、しれっと、こちらに返してきた。

 こんなぼろはいらない、と言ったら、首を横に振った。
一度お金を払ったら、例えどんな事情があろうとも、もう二度と戻らない。
 日本とは違うのである。

 しかし、暑いので、滞在中、やむをえずこれを使用した。

 敦煌で一泊したあと、またウルムチに戻り、バスでトルファンに向かった。
車窓からの眺めは、砂地、荒野、岩山が続く。行けども、行けども、灰色の大地が果てしなく続く。
 ところどころにある窪地や小山の膨らみは、波のようで、まるで曇天の海のごとくに広がる。 
  
 廃墟である高昌故城や、三蔵法師で知られる火焔山のあるトルファンは、 日中の気温が四〇度近くになる。
 その炎天下を歩くのである。  

 砂漠の中をロバ馬車に乗って移動する。
 ロバ馬車といえば可愛いが、西部劇の馬車もかくやと思えるほど、ガタガタに揺れる。突っ走る。
 しがみつく鉄枠は灼けて素手では触れないほどに熱い。

 このときの写真を見ると、砂よけのマスク、タオルで顔を覆い、そのうえに帽子をかぶり、サングラス。
 みんなまるで山賊一味のスタイルであった。
 
 とにかく暑かった!