今日一日こともなく過ぎ羽布団
花舗にいて緋の色が好きシクラメン
着ぶくれて誰に気兼ねもなき独り
おでんさえあれば留守して不平なし
枯蔦や白壁のカフェ閉店す
無農薬人参カリッと噛んでみる
冬の帯白くして砕け散る
今日一日こともなく過ぎ羽布団
花舗にいて緋の色が好きシクラメン
着ぶくれて誰に気兼ねもなき独り
おでんさえあれば留守して不平なし
枯蔦や白壁のカフェ閉店す
無農薬人参カリッと噛んでみる
冬の帯白くして砕け散る
旅行記に栞代わりの落葉挿す
遠く来てメープル街道落葉踏む
スキップの女児(めこ)一人なり落葉道
葉脈を残し虫食ふ落葉かな
落葉降るトレモロの音軽き音
五十年住みなれし街秋惜しむ
法事後はそれぞれの帰路秋惜しむ
セパリーグ悲喜こもごもに秋惜しむ
植木屋に一服のとき秋惜しむ
夜の更けてあと一頁秋惜しむ
一病を一喜一憂秋の暮
ポストには待つ便りなく秋の暮
子の留守は雨戸早めに秋の暮
秋の暮着信音はメヌエット
秋の暮たどたどしくもギター弾く