風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

千両

2012-01-29 10:04:25 | 猫および動物
        彩りの少ないこの時季、千両の朱色は美しい。
      我が家の庭先の実も、自慢じゃないが、見事な風情である。
 
        しかし、例年、今ごろになると、鳥にやられる。
       ある朝見ると きれ~いに平らげてある。
       くそっ! と思う。
       来年こそネットでも張るぞ、と毎年いまいましく思ってきた。

       ところが、今年は、
      一月もすでに終わろうと言うのに、千両はまだ無事なのである。

         そうなると、鳥さんたち、どうしたんだろうかと、
        なんだか落ち着かない。

         正月に人間は目で楽しんだ、
       今度は鳥さんの番だよ、食べてもいいんだよ……
       待っているときには来ないものである。

他人

2012-01-26 10:05:34 | 家族
     体操サークルの若い仲間が、
    風子さん、いつまでもやめずに来て下さいね、と言ってくれた。

     ありがとう、そう言ってもらって嬉しいわ。
   「風子さんが頑張ってると私たちも元気が出るのよう」

     そうねえ、でも、もう齢ですからね、いつまで来られるかしら、
     と一応謙遜する。
   「そんなこと言わずに100歳まで来てくださいよ」

      お世辞でも嬉しい。

      帰りのバスの中で考えた。
     他人だからこういう具合になる。

      夫婦だとこうはいかない。

      おい、長生きしてくれよ、と言われたとする、
     へいへい、長生きして欲しかったら、もっと大事にしておくれ、とでも答える、

      頑張っていつまでもメシを作ってくれよな、とでも言われたら、
     あたしゃ、メシ炊きばあさんじゃあないよと言う。
     口のへらない奴だなあということになる。

      夫婦だって、もとは赤の他人なのだから、
     原点に戻って、頑張ってくれよ、嬉しいわとでも言えれば、
     家内円満間違いないのだろうが、そうはいかないところが夫婦なのだ。

        ま、闘争もエネルギーのうち、
       やりあっているうちが花と考えよう。


家庭菜園

2012-01-25 12:30:09 | その他
      どっちを向いても不景気な話ばかりである。

      不景気は家庭菜園にまでおよび、長年やっている知人によると、
      近年、収穫泥棒が多いそうである。


      大根畑など、ごっそり穴だらけになっていると涙が出るという。


        収穫前の八朔に
       「孫が楽しみにしています、採らないでください」
        と木の枝に札を下げましたとのこと。

        今年はどうかお孫さんと笑顔で収穫出来ますように!


ファックス電話機

2012-01-15 11:47:59 | ショッピング
       老齢とは罪もないのに罰を受けるに等しい、と
      誰か有名な人が言ったそうである。

       自分ではまだまだ……のつもりでも
      見知らぬ人から、ばあさん扱いを受ける。

       こういう場合、尊敬の念で接してくれることは少ない。
      たいがい、幼児扱いか、それに準ずる。

       昨日ファクス電話機を買いに行った。

      「なに探してんの?」
       店員が寄ってきた。

      「ファクスかあ。そうだなあ、これなんかどう?」
      タメくちというより、人をなめたナメくちである。

      「字が大きいよ、スピーカーの音量も大きくなるし」

       むむむ。
      風子ばあさんは、まだまだ文庫本が読める、
      玄関のピンポンだって聞き逃さない。
      大きなお世話である。

       おすすめのとは違う機種を買った。
      「え、お宅まで配送しないでいいの?」
       大丈夫、このくらい持てます。

      「設定とか行かないでいいの?」
       ええ、自分でします。

     ……というわけで、今から、これを取りつけないといけない。
ばあさんが意地を見せるのもなかなか大変なのである。

アシックスの靴

2012-01-12 22:59:07 | ショッピング
     夏のサンダルのオカダさんのことは、昨日ここに書いた。

    冬はアシックスのサルテスとペダラの中にお気に入りがあった。

    同じ紐靴を三足、スリッポンは二足、履きつぶした。

    買う店も、三越の地下、と決めていた。

     昨日、またそれを買いに行ったら、廃番になっていた。

      似たような、と勧められても、
     微妙に違うから駄目なのである。

      何で廃番にするのか! 
     ファンを大事にしなさいと店員に一席ぶってきた。

       申し訳ありません、伝えておきます、と店員は恐縮していたが、
      伝わることはないでしょうねえ……多分。



オカダさんのサンダル

2012-01-11 11:04:26 | ショッピング
       足腰の弱いものにとって、
     靴が合うか合わないかは大問題なのである。
 
       風子ばあさんは、
     夏のサンダルは、あとりえオカダ、冬はアシックス。
    苦労した末にようやくこれに落ち着いたお気に入りなのである。

        オカダさんの同じサンダルは、
       黒を三足、ベージュは二足履きつぶした。

       そのあと、ネットで注文しようと、
         ようやく見つけて、
       一生分で10足頼もうかと思ったが、
       いつまで生きるかわからないので、取りあえず5足にした。

   パスワードやらなんやら面倒なことをすませてほっとしていたら、
      翌日、オカダさんから電話がかかった。

       あれはご注文の24サイズでなく、
       23ならあるんですがとのこと。

      すでに廃番で、それ以外は入手できないという。
    23ならあるんですが、と言われても、こればかりはねえ。

       あのサンダルは風子の足に実によくなじみ、
      偉い人に会うときも、コンサートに行くときも、カンボジアへ行くときも、
      夏の間、ず~っと履いた。

      ああいうサンダルは、オカダさんの定番として、
     会社の存続するかぎり作り続けて欲しかった。
 
      電話があったときもそうお願いしたが、
     風子ばあさんがお願いしたくらいで、あちらも、
     ハイ、そうしましょうと言うわけにはいかないのだろう。 

    早く気づいて、一生分、10足? いやもう少し長生きするとして20足? 
   買いだめしておけばよかったと悔やまれてならない。

サボってますが

2012-01-10 21:13:43 | ギター、映画など他
       ブログ、サボってますが、風子ばあさんは元気です。

       先週は、合奏仲間と今年早速ギターの練習がありました。

       「夜霧のしのびあい」

       かのクロートチアリが弾いた名曲です。
       ムードのあるいい曲で、
       年齢を忘れて、うっとり弾いてきました。
 
       しのびあう齢じゃないですがね。

       次はどの曲を弾くか?
    ベサメムーチョなんか、きれいでテンポ感があっていいんですがね、
    あれは英訳すると、キッス・ミー……なんですって。

         で、ちょっと、
      ばあさん達のプログラムにはどうかというので、
      どうやら、次ぎは、エストレリータ、になりそうです。

        エストレリータ……は小さな星と言う意味です。

      というようなわけで、風子、元気に遊んでいます。

ブリのマリネ

2012-01-05 16:07:35 | グルメ
        ブリのマリネのことをここに書いたら、
       レシピの問い合わせメールが続いた。

        あくまで風子流なのである。
      マリネというのも、食べた人間があとから勝手につけものである。

        うちのじいさんがまだ若かったころ、
       ブリは顔を見て一本で買うものだと言ってきかなかった。

        で、一本買ってきても、
       そうそういつまで刺身では食べきれず、
       苦肉の策で、塩をふって身をしめ、
       そこらにあったダイダイ、カボス、ゆず、柑橘類を全部絞り込んだ。

        いたむといけないので、ちょっと酢もたらした。
       薄口醤油もたらした。砂糖もほんのちょっといれた。
       酒もダブダブっといれた。

          レモンと玉ねぎをスライスして、
         ブリを挟みこんでこの液に漬けた。

        もともと、かくのごとく、すべていい加減。
       ドボドボ、パラパラ、タラタラっと調味料を入れるのだから、
       レシピを教えてと言われても困るのである。

         でも、教えないと言えば、いかにもケチなので、
          以上……です。

         あとは、手の甲に液を、垂らしては舐め、垂らしては舐め……。
          我が家流でどうぞ。
 

適当に

2012-01-02 15:08:56 | ご挨拶
      風子は年寄りだから、最近の正月は静かなものである。

      昔は、こうでなかった。
     兄弟、姪、甥らが集まり総勢20名などという正月もあった。
 
      うちの正月のメイン料理は、風子流、ブリのマリネだった。

      大皿の幾皿かが、ぺろりとなくなった。
     「これが食いたくて来る」という甥もいた。

       腰の悪い風子ばあさんは、67歳のとき、
      正月もこれで定年、と一同に言い渡した。

       それから、年末になると、
      「あのブリ、どうやって作るの?」
       と電話がかかるようになった。

       ああして、こうして、こうやって……と教えるが、
      また翌年電話がかかってくる。
    
      「言われたとおりにしたけど、ああはならなかったのよ」
       
       風子は、
      「適当にやってごらん、適当に」と言う。

       今年も31日の忙しいさなかに
      別の姪から電話がかかった。

       インターネットで調べたけど、
      風子ばあちゃんのマリネとちょっと違うような気がするんだけど。
      塩はぁ? 酢の分量は?
     
      「適当にやってごらん、適当に」
 
      明けましておめでとうございます。
      今年も、なにごとも、風子流、適当に。
      よろしくお願いします。