デパートは疲れるからめったに行かない。
先日、ギフトの用で久々に出かけた。早めにすませたくて、開店と同時にエスカレータに乗った。
すぐ前に高齢の女性とたまたま乗り合わせたらしい若い女性が喋っている。
どうやら、二人は最上階の靴の売り出しに行く模様である。
「お元気そうですけど、おいくつになれらますか」
若いほうがぶしつけに訊ねる。 いやあ、わたしも聞きたい。
おばあさんは、高齢ながらモダンな模様のスカートをはいている、
わたしなどもう忘れるほどに、何十年もスカートなどはいたことがない。
スカートだから、当然ストッキングをはいている。
びっくりしたことに、かかとは低いがなんとパンプスである。
おいくつ? と聞きたくなるではないか。
「94歳なんですよ」
杖もついてない。ひとりで来た様子である。
あれ~~である。話の様子では、靴の売り出しでお目当てのものがあるらしい。
はやるおばあさんに、「大丈夫ですよ、まだ早いから」と若い方がなだめている。
走り出しそうなおばあさんに、度肝を抜かれた。
94歳でまだ靴が欲しいというその前向きの姿勢。
いやあ、たまには街に出てくるのもいいもんだ、
こんなお婆さんを見ただけで元気が出ると
大いに刺激された一日でした。