小心者のフーフーばあさんが、もっと年上の友だちと二人で、外国へ行きました。
道中、居眠りとお喋りに夢中で、ほんとは機内ですませておくはずの入国審査の用紙記入が済んでいませんでした。
降り立った空港は、日本のJRのローカル駅ほどの粗末で小さなものでした。
でも、観光客を乗せた飛行機が到着したので、ビザの申請がまだの人などもいて、そこは大変込み合っていました。
滞在先のホテル名をたどたどしく横文字で書きこんでいると、空港職員とおぼしき制服の男性が、にっこり笑って、私の手から申請用紙を取り上げました。
ささっと馴れた手つきで記入をしてくれましたので、やれありがたや、サンキュー、サンキューと言いました。
ところが、彼は、その用紙をこちらに渡さず、一方の手を腰のあたりでひらひらさせて、チッチッチ、と言うのです。チッチッチ? 何だろう?
横から連れが、チップって言ってるんだよ、と囁きました。
これって、日本でやったら間違いなく問題になるでしょうが、まあ、この際、固いこと言わないで、ワンダラー一枚を渡して、やれやれ。
記入してもらった用紙を持って出国カウンターの列に並びました。
順番が来て、パスポートを差し出し、顔をあげると、さきほどのチッチッチのおっさんが、すましてスタンプを押してくれたのです。
あれからすでに数年が経ちました。某国と言わないでも、もう時効かもしれませんが、気が小さいフーフーおばさんは、国際問題に発展するのを恐れて、某国の名を明かせないのです。
道中、居眠りとお喋りに夢中で、ほんとは機内ですませておくはずの入国審査の用紙記入が済んでいませんでした。
降り立った空港は、日本のJRのローカル駅ほどの粗末で小さなものでした。
でも、観光客を乗せた飛行機が到着したので、ビザの申請がまだの人などもいて、そこは大変込み合っていました。
滞在先のホテル名をたどたどしく横文字で書きこんでいると、空港職員とおぼしき制服の男性が、にっこり笑って、私の手から申請用紙を取り上げました。
ささっと馴れた手つきで記入をしてくれましたので、やれありがたや、サンキュー、サンキューと言いました。
ところが、彼は、その用紙をこちらに渡さず、一方の手を腰のあたりでひらひらさせて、チッチッチ、と言うのです。チッチッチ? 何だろう?
横から連れが、チップって言ってるんだよ、と囁きました。
これって、日本でやったら間違いなく問題になるでしょうが、まあ、この際、固いこと言わないで、ワンダラー一枚を渡して、やれやれ。
記入してもらった用紙を持って出国カウンターの列に並びました。
順番が来て、パスポートを差し出し、顔をあげると、さきほどのチッチッチのおっさんが、すましてスタンプを押してくれたのです。
あれからすでに数年が経ちました。某国と言わないでも、もう時効かもしれませんが、気が小さいフーフーおばさんは、国際問題に発展するのを恐れて、某国の名を明かせないのです。