風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

歌う

2022-08-22 11:33:49 | 日記

 歌う

独居老人は、一日誰とも口を利かない日が珍しくない。

これは口の周りの筋肉にも、嚥下力にもよろしくないから

鏡にむかって、ニイッと笑いなさいとか、「あいうえべー」と言いなさいとかすすめられる。

そんなことをするくらいならと、歌うことを思いついた。

声を出すことは咽喉をを鍛えるためにも、歌詞を思いだすことは記憶力のためにもよろしい。

一人だから調子っぱずれだろうが、大声だろうが、遠慮はいらぬ。

思いつくままに[慈しみ深き友なるイエスは~」と唄い出したかと思えば

「アカシアの雨に打たれてこのまま死んでしまいたい」と声を張り上げる。

「月の砂漠をはるばると~~金の鞍には王子さま~」になったりする。

選曲は意味不明、でたらめ。でも、いいの。ひとりって気楽!


左利き 矯正

2022-08-20 11:54:25 | 日記

左利き

 「ぎっちょ」というのは差別用語だそうである。

しかし、私は、左利きと言われるより、ぎっちょ、と言われるほうが好きである。

フラフープを回しても、雑巾を絞っても、ダンスを踊っても左周りになる。

なのに、箸と筆記だけは親が矯正してくれたおかげで右利きである。

 自分が物心つく前に矯正されたので、矯正されたという覚えさえない。

だから、矯正の苦労などというものは当然ない。

 箸と筆記は文字通り日常茶飯なので、これが右で使えるようにしてもらったことを

私は親に感謝している。

 左利きも遺伝なのだろう。次男が左利きである。

自分が感謝しているのだから、次男にも迷わず、箸と筆記だけは矯正してやろうと思って実行した。

べつに難しいことでもなんでもなかった。ただ、ほんの赤ちゃんのころから、

左に持ったスプーンを、こっちね、と右手に持ち返させた。このとき、決して叱らなかった。

怖い顔もしなかった。にっこりして、こっちね、というように心がけた。

鉛筆やクレヨンもそうだった。こっちね、とにっこり笑って持ち替えさせた。

ただ根気だけだった。で、次男も、覚えてないよと言いながら箸と筆記は右手で不自由なく過ごしている。

 

 


越境

2022-08-14 10:21:15 | 園芸

お隣に葡萄棚がある。

こちら側の桃ノ木の上を這うようにして我が家の庭に蔓を伸ばしてきている。

写真の大きな葉っぱがそれである。

すごい生命力を楽しんでいるが、残念ながら実はつけていない。

    

    


2022-08-09 21:29:26 | 日記

ちょっとした横断でも、このごろよく車の方が停まってくれる。

皆さん、車の中から手をひらひらさせて、早く渡りなさいと合図をくれる。

 交通マナーがよくなったんだなあと、感心していた

今日、ふっと、気がついた。私の前を行く人のときはそうでなかった。

私のときだけだった。そっかあ、私がいかにも老人で危ういと見て停まってくれたんだ。

 ずいぶんヨチヨチ歩いてるんだ、きっと。ありがとさん。

     

 


酷暑の散歩コース

2022-08-04 19:50:22 | 日記

   こう暑くては外での散歩はままならない。

 私の通うイオンショッピングモールは、エアコンがよく効き、ひと休みできるベンチもある。

館内にトイレも四か所もある。買い物の前後に館内をウオーキングする。

私のリハビリコース。 ありがたいことである。

          


緊急には違いないけど。ああ、おかしい。

2022-08-02 14:01:58 | 日記

87歳の老ボーイフレンドがいる。

老妻と二人暮らしである。

昨夜、彼はパソコンで将棋をさしていた。

綺麗好きな奥さんが、夜中の12時近いと言うのに、掃除機をかけようとスイッチを入れたとたん

ポンと音がして真っ暗になった。容量オーバーの停電である。

手探りで仏さんの蝋燭をともして配電盤のブレーカーを上げてみたがらちがあかない。

なじみの電器屋に電話するが夜中だから出るわけがない。

困りはてた彼が110番か119番か迷ったすえに119番に電話した。この時点で、それはないだろうと、おかしい。

「火事ですか、救急ですか」と問われて、事情を訴えると、それは九電ですと、親切に電話番号を教えてくれたそうである。

ははん、たまにはそんなひともいるんだ。

九電の緊急連絡先では、こまかに配電盤の漏電ブレーカーのあり場所へ誘導してくれて、パッと灯りがついて解決した。

ここまでは、ちょっとおかしいだけである。

翌日のことである。昨日は親切に九電の番号を教えてくれたのでお礼の電話をしないといけないと、

彼はご丁寧に119に電話をしたそうである。アッハハ…である。

「火事ですか、救急ですか」「かくかくしかじか…で」と言いかけたら、

「こちら火事か救急いがいにはかけないでください」と冷たくあしらわれたそうである。

 そりゃあ、そうだろう。 ああ、おかしい。でも、そんなお爺さんが、好きなのよ。